「ここが雄英の…………扉デケェな。バリアフリーにも程があんだろ。」
大きいけど思ったより軽い扉を開く。
「おはよーございまーす。」
有名高といえど高校。知らない人達ばっかりだった。
女子は女子でグループを作り、男子はグループを作ろうとする。
中にはコミュ力の高い女子もいたが。
黒板に書かれている席表を見て、自分の席を確認する。
「えーっと俺の席、俺の席………………あれ、もしかしてここ?」
生徒は全員で21人。
4人5列なら、必ず1席余る。
「ハズレを引いちまうとは………………トホホだぜ。」
ロッカーに荷物を入れ、最後方の端っこ席に座る。
「まずは友達作りから…………そして名乗るなら自分から………よし!」
前方の席に座っている髪が特徴的な男子に声をかける。
「なあ、ちょっといいか?」
「…………ん、俺か。」
「俺、武蔵野第二中からきた遊阪仁助ってんだ。君は?」
「…………轟。轟焦凍だ。」
「よろしくな轟!」
手を差し出すと、轟も握手に応じる。
「うおっ、見た目らしく体温低いね。」
「個性の関係だ。半分だけ冷たい。」
「なるほど、見た目通りのクールガイって感じね。そうだ、俺の個性なんだけどさ。」ゴソゴソ
「?」
遊阪はバックからデッキを取り出す。
「こういうカードで戦うんだ。なんかこいつについて知ってる事ない?」
「…………悪い、俺こういうの詳しくねぇんだ。」
「そっか〜…………それじゃ、このゲーム一緒にやらないか!?」
「ゲーム?このカードゲームか。」
「おう!遊戯王って言って、俺の作ったゲームだ!やってみる?」
「いや、俺こういうのあんまり………………」
キ-ンコ-ン カーンコーン
ガラッ
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。ここは、ヒーロー科だぞ。」
唐突にやる気のないような声が教室に入る。
「なんだよ、まだ朝のホームルームじゃねぇぞ。」
教室もザワザワしていた空気からだんだんとに静かになる。
「ハイ静かになるまでに8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね。」
入ってきた………てことは先生?
「それじゃ、プロヒーローってことかよ………!」
「担任の相澤消太です。よろしくね。」
しかも担任!?
「早速だが、体操服着てグラウンド出ろ。」
相澤担任の話だとこうだ。
中学まで個性無しだった体力テストを個性アリでやる。
そして、突きつけてきた厳しい条件。それは、
「最下位の者は除籍処分とする。」
だった。
「中々にヘビーだぜ……………」
しかしやるしかない。
「乗り越えろ………!プルスウルトラだ!」
〜第一種目 50m走〜
「デュエル!さーて、最初のドローは…………」
・ハーピィの羽根帚
・切り込み隊長
・黒炎弾
・死のマジックボックス
・伝説の黒石
「どうしようもないぜ☆」
『ヨーイ、START!』
「おらぁ!」
遊阪仁助:中学 6.32〜5.64秒
〜第二種目 握力〜
「ドロー!お、いいカードだ!岩石の巨兵を召喚!」
岩石の巨兵 ATK:1300 DEF:2000
「よし、代わりにやってくれ!」
「おいそれアリかよ!?」
「代わりにやって貰ってるぞ先生!」
「個性使ってりゃ何でもいいよ。」
遊阪仁助:中学 63kg〜400kg
〜第三種目 立ち幅跳び〜
「ドロー!よし!砦を守る翼竜を召喚!」
「すげぇ!ドラゴンだ!」
「ドラゴン出してるよ……………」
遊阪仁助:中学 5m50cm〜約500m(グラウンドの端)
〜第四種目 反復横跳び〜
「ドロー!よっしゃ!切り込み隊長召喚!そして効果で、マグネッツ1号を特殊召喚!3人で反復横跳びだ!」
遊阪仁助:中学 67回〜216回
〜第五種目 ボール投げ〜
「岩石の巨兵!月へ攻撃!」
ゴォッ!
「流石に月までは行かねぇか……………」
遊阪仁助:中学 48.3m〜580.6m
「さて、残りの種目でも好成績は狙える………ともかく除籍は逃れたな。ん?あのモサモサの人…………」
今までの記憶からだと、あまりパッとしない成績の気がした。
彼が
「そんなに成績良くなかったよな…………強化系の個性なのか。どちらにしろ、生き残るのは厳しいか……?」
同期の者が散っていくのは見たくないが、ヒーローになるためには仕方がない。
人の命を救うとは、それほどまでに重い事なのだ。
「ご愁傷さま…………受かっちまった自分を恨めよ。」
目を逸らし、少しでも見ないようにしていると…………
ドォン!ゴォッ…………
「うおっ!?」
さっきの方向を再び振り返る。
先程の緑少年は手を抱え震えていた。
「アレあいつが投げたのか…………!?さっきまであんなだったのに…………」
人は見かけによらないということを身をもって感じる。
「話しかけるっきゃねぇ…………!おーい!そこのモジャモジャのあんた!」
すぐ様傍まで走り、話しかける。
「すげぇなその個性!どうやったんだ?って、指折れてんじゃねぇか!」
「え、あ、あのその…………」
「ちょっと待ってろ…………ドロー!よし!レッドポーション発動!」
ブルーポーション:効果:LPを500回復する。
「コレを怪我した所にかければ…………」
パァァ…………
「おし、骨は繋がったと思う。重度の突き指くらいかな。念の為保健室行った方がいいよ。」
「すご!どうなっとんの!?」
「個性、つっても説明が難しいな。後で教えるよ。えーっと2人の名前は……………」
「ぼ、僕、緑谷出久っていいます!」
「私は麗日お茶子〜!」
「遊阪仁助だ。よろしくな。緑谷に麗日。おっと、次のやつやっていいぞ〜!」
迅速に対応し、次の種目へ移る。
緑谷は険しい表情をしていたし、涙を堪えていたが、それでも前を向いて立っていた。
(なかなか…………面白いやつじゃん!)
期待とは裏腹に除籍のことが頭をよぎる。
はたして、緑谷は生き残れるのか。
〜結果発表〜
俺は上から四番目。
緑谷はもちろん最下位…………。
(ヒーロー科もそこまでするのか………?いやでも…………)
そうこう思案していると、相澤先生が言い放った。
「ちなみに除籍は嘘な。」
「ヒョ?」
「君たちの実力を図るための、合理的虚偽。」
クラス中から驚きと安堵の声が上がる。
「ちょっと考えればわかりますわ……………」
「ま、そうなるよねー。」
不安を入り交じえながら、授業はお開きとなった。
「緑谷〜!駅まで一緒に行こーぜ!」
「あ、遊阪くん。もちろん!」
「おや、君は……………」
帰りのHRが終わり、帰路に着こうとしていると、校門前でぐったりとした緑谷を見つける。
すると、眼鏡に長身の男子と話していた。
「21番の遊阪仁助君だな。俺は私立聡明中学出身の飯田天哉だ。色々あって挨拶をしていなかったな。」
「おう。俺は武蔵野第2中から来た遊阪だよ。聡明ってスゲーな。飯田の個性は………『ブースト』ってとこか?」
「いや、俺の個性は『エンジン』。見たままだが、脚には自信がある。」
「なるほど。だから50m走あんな速かったんか。」
「おーい!3人とも〜!駅まで?待ってー!」
後ろから麗日が追いかけてくる。
「君は………∞女子。」
「∞女子て!」
「麗日お茶子です!えーと飯田くんに、遊阪くんに、デクくん!だよね!」
「木偶!?」
「あー、テストの時に爆豪?が叫んでたな。デクコラーーッ!って。」
「その………本名は出久で、あれはなんというか、かっちゃんがバカにしているというか…………」
お互いに蔑称、というか渾名で呼びあってる辺り仲良いなと感じる遊阪。
(でもコイツはなんか負い目でも感じてんのかな………)
「でも『デク』って……『頑張れ!!』って感じでなんか好きだ私。」
「デクです。」
「躊躇無しかよ!」
その後とわいわいと話しながら駅まで向かった。
これが高校生活か、と体感した遊阪であった。