「おーい、リト」
「……猿山か何の用だ?」
「どっか遊びに行かねえか?」
「パス」
「どうせ何も予定ないんだろ?」
「どうしてそう思う?」
「授業中も窓の外ずっと見てため息吐いてたし、予定ないんだろ?」
「予定ならある。鍛錬がな。授業中ずっと外を見てたのは、
わかりきったことを学ぶのが退屈だっただけだ」
「付き合い悪いぜ。まあ、勉強教えてもらってるから言いにくいけど」
「俺のやることは大抵退屈なんだから仕方ない」
「リトの退屈じゃないことって?」
「俺より強い相手との戦いとかかな」
「それ無理じゃね?」
「さてな。まあ、俺は行かないからな」
「わかったわかった」
そう言って猿山は去っていった。
(俺より強いねえ……転生特典がFGOな時点で反則級だっての)
神によって結城リトという名と共に転生して幾星霜……。
それこそバイオハザードとか宇宙人侵略を考えて鍛えたが、
そんなものはなく、残ったのは退屈のみだった。
(いっそ道場破りでもやってやろうか?)
少し危険な考えを抱きつつ、リトは家に帰った。
「リト、お帰り。お風呂沸いてるよ」
妹の蜜柑が声をかける。
「ん。わかった」
リトは了解の意を示し、風呂場へ向かった。
「ふう」
リトはお風呂につかり全身を弛緩させる。
「退屈……か」
リトは呟く。
リトはいつか来る日の為に鍛えた。
鍛えて、鍛えて、鍛えて、鍛えて、鍛えて、鍛えて……。
結果、剣も槍も弓も素手もそして魔術や暗殺術も極限とも言える存在となった。
そして退屈になった。天上天下皆すべからく自分より弱い。
「はあ……」
俺はこの先退屈に飼い殺されるのか……そうリトは思った。
その時、お風呂のお湯がブクブクと言い始めた。
「なんだ?」
リトが呟いた時、お風呂のお湯が爆発した。
「な……!?」
爆発が収まった時、一人の美少女が全裸でそこにはいた。
「んー、脱出成功!」
リトはすぐにアロンダイトを取り出し、美少女に向ける。
「誰かは知らないが、外にタオルがある。今すぐ風呂場から出て行け」
リトの殺意を含んだ目に怯んだのか、美少女は言われた通りにした。
美少女が出て行った後、リトは考える。
(転移魔術? いや、魔術の行使は感じられなかった。科学によるものか?)
「まあいいか」
リトは風呂場から出た。
リトは風呂場から出ると自室に向かった。
自室に入ると、先程の美少女がタオルを纏ってそこにいた。
出て行けと言いたいがこの格好では言えない。
リトはルーン魔術でパパっと服を作り、女の子に投げる。
「とりあえずこれを着ろ。それから事情を聴く」
女の子は服を着ると事情を話し始めた。
彼女はララと名乗り、宇宙人だと話した。
「宇宙人ねえ……」
まあ、魔術もあるからそういうのもいるか。
「ねえ。リトのは科学なの?
地球の技術じゃ不可能のはずだけど?」
「違う。俺のは魔術だ」
「魔術?」
「科学でも将来再現可能なのが魔術だ」
「ふーん。科学と似たようなものなんだね」
「ララ様!」
するとロボットらしきものが部屋に入ってきた。
「ペケ!」
「……それはなんだ?」
「コスチュームロボットのペケだよ!」
「ララ様。あの冴えない地球人は誰です?」
「ここの住人のリトだよ。それじゃペケお願い」
そう言うとペケはララの服になった。
「なるほど……地球より科学は進んでいるな」
「それでララ様。これからどうなさるので?」
「ふふふ。それはね……」
「待て! 二人こっちへ高速接近! 到着まで三秒!」
そしてリトの部屋に、ララと同じ尻尾を生やした男達が乗り込んできた。
リトは頭を抱えた。
厄介事の匂いしかしない。
その間にもララは激しく抵抗する。
……ああ、くそ!
男の一人に八極拳の一撃を見舞うと、窓からララと脱出する。
「なんで……!」
「力があるのに使わないのは俺の矜持に反する!」
屋根伝いに逃げ、公園に入る。
男の一人がトラックを投げてきた。
ちっ!
「宝具を開帳する! いくぞ!」
リトがそう言うと一振りの剣が現れる。それは回転していく。
「魔神ラーヴァナを討ったこの一撃。耐えれば名誉、屈服には破滅。汝はどちらに立つ身だ?
行くぞ! 『
その一撃はトラックを真っ二つにした。
それを唖然と皆が見る。
「いい加減にしとけよ。その気なら殺すのはわけないんだ」
リトは押さえこんでた殺気を解き放つ。
それは全員に恐怖を与えるものだった。
「ララ様。いい加減おやめください。家出など」
「……は?」
家出?
リトは頭が痛くなってきた。
そうこうしているうちに、ララはタコ型のロボットを呼び出した。
男達が吸い込まれる。
しかし、そのまま機械が止まらない。
このままだと周辺に被害が及ぶとリトは判断。
破壊することにした。
リトはフェイルノートを取り出した。
「我が音の前で万物は劣化し、物質は静止する。『
斬って断てば、それはただのモノでしかない」
タコ型ロボットはバラバラに寸断された。
「昨日はひどい目にあったな」
リトは一人愚痴った。
結局ララはいなくなったしよしとするか。
また、毎日お見合いするんだろうか?
「……おはよ結城君」
「西連寺か。どうした?」
「昨日の夜のことなんだけど……」
「ああ、厄介事に巻き込まれてな」
「そ、そうなんだ……」
「あ、いたいた!」
声と共にララが空から降りてきた。
「結婚しよリト!」
「は?」
騒動はまだ終わりそうになかった。