「よし!」
リトは準備運動を終え、気合を入れた。
今日はオリンピック出場権のかかった予選会だ。
この中で一番注目されているのはリトであろう。
正確にはリトが出場権を獲得することは間違いなく、
その記録に熱が注がれていた。
「リト頑張れ!」
ララ、蜜柑、西連寺の三人はスタンドで応援していた。
「そういえばリトは何の種目に出るの?」
「100m、200m、槍投げ、円盤投げ、ハンマー投げ、走り幅跳びだよ」
「結構出るんだね。結城君大丈夫かな」
「フィジカルモンスターだから大丈夫だよ。
それよりお弁当作ってきたから、食べながら応援しよう」
そう言って蜜柑はお弁当を広げた。
「わあ、おいしそう」
「本当においしそう」
「それじゃ蜜柑いただきます」
そうララが言うのを皮切りに、皆が食べ始めた。
「うん。いつ食べても蜜柑の料理は美味しいね」
「…………」
「蜜柑どしたの? 黙ちゃって」
「ううん。リトの方がずっと上手く作れるから」
「そうなの? 作ってるとこ見たことないけど?」
「作らないだけで腕はプロだよ」
「結城君料理も出来るんだ」
「今だから言えるけどさ。リトに嫉妬してたんだ」
「嫉妬?」
ララが疑問に思う。
「運動神経では勝てなくて、勉強もリトは100点が当たり前。
だったらと絵や音楽も努力したけど1回も勝てなかった。
料理も同じ。それで喜んでいるなら良かった。
でも、リトは全てそれが当たり前という表情をするだけ。
悔しくて仕方なかった。何度泣いたかわからないよ」
「蜜柑……」
ララには蜜柑がそんな感情を持っていたことを初めて知った。
「それが変わったのはあの出来事があったからかな」
蜜柑8歳
「きゃっ!?」
蜜柑はいきなり男達に車に乗せられ、廃工場に連れてこられた。
「上手くいったな」
「ああ。こいつの父親は有名漫画家だからな。
身代金ふんだくれるぜ」
「あ……あ……」
蜜柑は恐怖で震えていた。
怖い! 怖い! 怖い!
蜜柑がそう思っていた時、廃工場のドアが蹴破られた。
「助けに来たぞ蜜柑」
「リト…?」
蜜柑はリトが来たことに驚いたが、驚いたのは表情である。
それは犯人に向けた怒りであった。
「さて、お前等とりあえず反省しろ」
リトがそう言うと背後に黄金の波紋が現れ、武器が姿を現す。
「
武器が犯人達に一斉に降り注いだ。
その後動いている犯人はいなかった。
呆然としている蜜柑にリトは優しく語りかける。
「大丈夫か?」
「う、うん」
「よし帰るぞ」
リトは雷気を纏った二匹の神牛
『飛蹄雷牛(ゴッド・ブル)』に牽かれる戦車(チャリオット)、
『
先程からのリトのやっていることに目を丸くする蜜柑。
リトは蜜柑を乗せると神威の車輪を飛ばした。
「リト! 空を飛んでる!」
「そう言う乗り物だからな」
「リトは何者なの?」
「んー、魔術師と言うやつかな」
「これは何?」
「宝具というやつだ。物質化した奇跡が適当か」
「なんで私を助けたの?」
「兄が妹を助けるのに理由なんているか?」
「だって私リトより劣って……」
「蜜柑は大事な妹だ。自分を卑下するようなことを二度というな」
「リト……」
「……ってことがあったんだ」
「へえ……」
「それにしても助けに来たリトかっこよかったな」
「あ、結城君の番みたいだよ」
結局リトは出場種目全てで出場権を獲得した。