「リトは何者なの?」
学校からの帰り道、ララがリトに尋ねる。
「魔術師だけど?」
「それ、本当のことを言ってないよね?
パパを倒しちゃうんだからおかしいよ」
「確かにそうですね」
「ヤミ!?」
「結城リトは地球人の戦闘力を逸脱しています。
何者なのですか?」
「私も知りたいな……」
「西連寺まで……はあ……」
リトは言いたくないという顔であった。
「それは僕が説明しようか」
「マーリン!」
「それじゃ映像付きで説明しよう」
マーリンは空間に画面を表示する。
「?。この男の人誰なの?」
ララがマーリンに尋ねる。
「リト君の前世。聖人だよ」
マーリンの言葉に皆が驚く。
「それは違う。俺は数千の人間を殺した」
「それはテロリストとかの悪人で、弱者を数万人救ったじゃないか」
画面が切り替わり、リトが縄に縛られ処刑台に向かう様子が映し出された。
「これは?」
「…………守るべき弱者に裏切られ処刑される場面だよ」
「「「!」」」
皆が絶句する。
「何でそんなことになったのですか?」
ヤミが問う。
「リトは助けても見返りを求めなかった。それが逆に不気味に映ったのさ」
「恩を仇で返す……最低ですね」
「まあ、正確には自ら捕まったのだけどね」
マーリンがそう言うと場面が切り替わる。
「爺さん。俺がこの洞窟に隠れていると伝えろ」
「何をおっしゃるのですか! 命の恩人相手にそんなこと出来ません!」
リトは静かに首を振る。
「このままここに隠れていれば、爺さんの家族にまで累が及ぶ。だから密告しろ」
「聖人であるあなたを売れとおっしゃるのですか!?」
「俺は聖人じゃないよ。ただの人だ」
リトは透明な笑みを浮かべた。
全てを覚悟した者の笑みであった。
「う……うう……」
老人はそれを見て泣いた。
「行け。そうすれば爺さんの家族の無事は保障される」
リトの言葉に老人は立ち上がり、洞窟を立ち去った。
画面が切り替わる。
リトが火あぶりに処刑される場面だ。
リトの顔には恐怖や怯えはなく、達観した顔だ。
そして火が放たれた。
「こうしてリトは亡くなったのさ」
画面を一旦切りマーリンが説明する。
「なんで……なんで何ですか!」
西連寺が大声を出す。
「西連寺?」
西連寺の反応にリトは戸惑う。
「こんなの……こんなのひどすぎます!」
西連寺は涙を零す。
「西連寺……」
「うん。そうだね。だが、リトは彼らを怨まなかったのさ。
そして天界で神になることを勧められた」
「えっ? でもリトは地上にいるよね?」
「リトは断ったのさ。その代わりに数多のスキルと宝具を授けられた」
「なるほど……道理で戦い慣れしているわけですね」
「ヤミちゃんの言う通りさ。リトと戦うことは神と戦うことと同義だよ」
「まあ、そういうことだ。面白くない話だったろ?」
「…………」
「ララ?」
「リトは凄いなと思って」
「凄くないだろ」
「凄いよ。少なくとも私にはそんな気持ちにはなれない」
「まあ、深く考えるな。俺は自分の行動に一片の後悔もないし」
そう言ってリトは笑うと歩き出した。