(西連寺に好きな人がいるか…かあ)
リトは難しい顔をして考える。
(やっぱりいるのだろうか…。
バレンタインの時チョコ持ってきてたし…)
「先輩!。聞いてくれました?」
「立花か…生憎とまだだ」
「え!?。先輩らしくないなあ。恋愛の達人の先輩なら、
こんなの楽勝じゃないっすか」
「お前は勘違いをしているぞ。俺は誰とも付き合ったことがない」
「え!?」
「事実だ。だから簡単に聞けるものか。まあ、
後輩の顔に免じて一度だけ聞いてきてやる」
リトはそう言うと西連寺に近づく。
「西連寺」
「どうしたの?。結城君」
「あー、ちょっと話があってな……」
「?」
「西連寺は今好きな人はいるか?」
「え?。わ…私は」
「………」
(西連寺は黙ったか………。この反応から察するに照れてる。
まさか…いる。西連寺はやはり好きな奴がいる……か)
リトはちくりと胸が痛んだ。
(……何だこの感情は?。俺にはどうでもいいことのはずなのに)
「ご…ごめんなさい!」
西連寺は走り去った。
「……」
「あ~、あの反応はいるって事っすよね…」
「……」
「先輩?」
「これで満足か?。次からは立花がやれ。
全く…明日からどういう風に顔を合わせればいいんだ」
リトは一人愚痴った。
胸に小さなしこりを残して。
「はあ…」
西連寺はベッドに横になった。
(結城君…何であんなこと私に…?)
(西連寺は今好きな人はいるか?)
(私の好きな人…私は…)
(私リトを振り向かせたい。振り向いてもらえるように努力したい)
(結城君…私は)
翌日
「どうしたの?。リト元気ないね」
「そうか?。普通だぞ?」
「そうかなあ?。普通に見えないけど」
「そう見えるか……」
「リト?」
「先輩!」
「昨日はありがとーございましたっす!。
先輩のおかげで俺心に決着がついたっす!」
「そうか」
「昨日はさすがに落ち込みましたっすけど…、
俺もう新しい恋に進むっす!。決めたっす!」
「新しい恋?」
「はい!」
「俺今度は先輩のクラスの風紀委員さんに一目ぼれしたんす!
またお願いしまっす!」
立花はリトを見た。
リトの視線はツンドラを思わせるレベルに冷たかった。
「お前は昨日のことを学んでいないのか?」
「せ、先輩?」
「俺は言ったよな。今回限りだと。お前は聞いてなかったのか?」
「いえ、あの……」
「そも昨日の今日で新しい恋?。寝言も大概にしろ。
そのふざけた口を縫い合わせてやろうか?」
「せ、先輩怖いっす」
「俺は機嫌が悪い。二度と恋愛相談するな」
「は、はい!」
立花は走り去った。
「リトどうしたの?。何か変?」
「気のせいだ」
そう言ってリトは歩き始めた。