「え?。リトパパ帰れないの?」
「うん…」
「じゃあ家庭訪問は無理だな。
先生に電話して別の日にしてもらえよ」
「そーだね…。でも、これまでもう何回も日にち変えてもらってんだよね…」
「そーだ!。私いい考えがあるよ!」
「ここが結城さんの家…」
(いよいよ私の大好きな漫画「英雄学園」の作者、
結城才培先生にお会いできるのね…………)
「…何かしら変わった植物が…。
さすが漫画家の家って感じね…」
ピンポーン
「はい」
「あ、あの!。こんにちは!。
私、美柑ちゃんの担任の新田晴子です!」
「どうも父の結城才培です」
先生に応対したのは幻術で結城才培に化けたリトであった。
「は、初めまして結城才培先生!」
「あ、ホラ。うまくいってるよ美柑!」
リト達は先生を和室に通した。
(とりあえずはバレてないか。美柑のために少しでもいい印象を与えないとな)
(この方が結城才培先生…。見た目と違って丁寧な方ね…。
となりの女性は誰かしら…。美柑ちゃんのお母さんは海外のはずだし…。
お姉ちゃん?。似てないけど…)
「あの…そちらは…」
「ああ。遠い親戚の子です。学校が家から近いので居候してるんです」
(リト。ナイス切り返し!。話を切り換えて!)
(了解)
「先生」
「は、はい!」
「美柑の学校での様子はいかがですか?」
「あ、様子ですか?。美柑ちゃんは頭もいいし落ち着きのあるいい子ですよ。
クラスの皆からもとっても信頼されてます」
「そうですか。それはよかった」
リトは心から喜んだ。美柑も心なしか誇らしげだ。
「あの~…私事で恐縮なんですが…」
「何でしょうか?」
「私…実は以前から才培先生の漫画の大ファンでして!
その…サインをいただけないでしょうか!?」
「へ?。そーだったの先生…」
「わかりました。いいですよ」
リトは渡されたペンと才培の漫画を受け取る。
サインは何度も見ているから真似ることは可能だ。
「新田晴子さんへでいいですか?」
「はい。お願いします」
リトは慣れた手つきでサインを書いていく。
(自分以外のサインを書くのは初めてだな)
リトはそう考えつつもサインを書き終わった。
「どうぞ先生」
「ありがとうございます!」
先生は嬉しそうにサインを見ている。
バレてはなさそうだ。
その後の家庭訪問は終始和やかに進んだ。
「本日はありがとうございました」
「いえいえ。度々日にちを変えてすいません。
美柑をこれからもよろしくお願いいたします」
「はい。では失礼いたします」
先生はそういうと家から帰っていった。
「ふう。何とかなったな」
リトが幻術を解いて呟く。
「ありがとうリト」
「美柑の為だ。どうってことないさ」
リトが伸びをしながら喋る。
「でも先生を騙して申し訳ない気がする」
「都合のつかなかった親父が悪いんだ。
美柑が気にする必要ないさ。俺も共犯だしな」
「……ん。今日は特別な美味しいごはん作るね」
「楽しみにしてるよ」
さて、草木に水をやるかとリトは如雨露をもって庭に向かった。