「ひぇッ淫魔だ……(絶望)」「ひぇっ、人間くんだ……♡(幸福)」 作:春の神
本編とは関係ないしシリアス展開多めだからそういうのが見たくない人は閉じよう!!
「―――ほら、この子が文月君よ。ちゃんと挨拶しなさい」
母親が私の背を押し、少年の前に立たせようとしてくる
少しパーマがかかった薄い茶髪に、片目だけ碧眼で、こちらを殺すかのように睨みつけてくるのが『貴月文月』らしい
父と母の共通の友人の子供で、よく私に話していたのを覚えている
「……ちっ……!」
そして彼は私のことが嫌いらしい
「子供達だけの方が話しやすいと思うし、私達は下でお茶してるから、何かあったら言いなさい」
母親はそう言い残し、下に降りる
「………」
二人だけの部屋に長い沈黙と気まずい空気が立ち込める
「…自己紹介でもする?名前は互いに知ってるでしょうけど」
「いらないよ。『淫魔』って呼ぶから」
少年はこっちを蔑んだ目でこちらを見ながら、心底面倒くさそうに答える
「じゃあ『人間』、自己紹介を始めましょうか」
「…あれ、違ったかな?じゃあ『売女』ちゃんだった?」
「人間の癖に随分生意気じゃない。魔法も使えない分際でギャーギャー騒がないでくれるかしら…!」
「男を誑かして生きる以外に能がない種族にだけは言われたくはないよ」
「はぁ?」
「なに?」
「ならその体に刻みこんであげるから死んでも文句言うんじゃないわよッ!」
彼女が文月に目掛けて殴り掛かる。だが文月は寸前のところで躱す
「…へぇ、少しはやれるのね。でもこれはどうかしらっ!」
文月の首元を掴み顔面に一発入れようとした時、文月が彼女の腕を掴み、彼女を投げ飛ばす
「だからあんたら魔族はバカなんだ。魔族に人間が勝てる訳ないと高を括っているから、こんなガキに負けるんだよ」
床に手をついている彼女の前に立ち、喋り続ける文月
「あんたって確か天才なんだろ?魔界随一とか言われてたよね。でもさそんな奴が人間如きに負けていいんでちゅかー?」
「……わざわざ…魔法を使わないで上げてたのに……灰になってもしらないから……ッ!!!」
文月の足を掴み、外にぶん投げる
「っぶないな……何──────」
大気が揺れ、風が荒れ、辺り一体の魔力が彼女に集まる
「これはまだ使ったことないけれど、山一つ位なら消し飛ばせる魔法よ……ッ!」
「っ、家を消し飛ばすつもりか!?」
「あなた以外なら多分死なないわよ…だから安心して死になさい!」
詠唱が始まり、あと数秒もすれば発動される魔法に為す術ないかと思われたのだが、彼は…文月は彼女に向かって走り出す
「(何を…今さらもうできることなんて──────)」
彼はローブのポケットからピストルを取り出し、こちらに撃ち込む
ピストル如きで淫魔である彼女の身体を傷つけることなんてできやしない。そんなこと彼も理解しているはずだが、彼の顔はまだ死んでいない
そのことから彼女は「弾に何かを仕込んでいる」と言う考えに至り身体に魔法壁を展開する。これで彼の死が決まった―――はずだった
弾は魔法壁に至る前に弾け、何かの粉が彼女の周りに散布される
「(何、を───────)」
その時、99.4%構築されていた魔法が崩壊し始めた
「なっ!?」
その事に気を取られた彼女は目の前に迫っている彼に気づけず、口を抑えられたまま押し倒される
「はぁッ…はぁっ…どうだ…天才……あんたは本気を出して人間に負けたんだ………ッ!」
「……っ……」
彼女は文月に抑えられながら、潤んだ目を逸らす
「たかが人間のガキにさッ!」
「……」
「これに懲りたら…そうやって…高を括るのはやめとくっ……んだね…っ!」
彼がそう言い終わる前に彼女の体がスっと消えてしまう
「っ……無詠、唱…?……ならさっきのやつだって……いや、今はまず部屋の片付け……か」
散乱した本や紙に、割れたコップやその他諸々を片付けないといけない
「……最初に外に出てやればよかったかな」
片付けながらそう愚痴を零す文月
「ん…なんだこれ…」
棚の下に、クシャクシャになった手紙が数十枚散らばっていた
それを手に取り、目を通すと、文月は外に飛び出した。散乱した部屋を後にして────────
―――
悔しい。悔しい。悔しい───────!
私は天才なのに、他の魔族にだって負けたことないのに……負けた
しかも人間にだ。脆弱で、魔法もまともに使えない人間に負けた。悔しくて悔しくて涙がでる
確かに殺さないようにしていたのはある。だが、最後の魔法は本気を出したんだ。それで負けたのだから、私の敗北は変わらない
あぁ、知らなかった。負けるのがこんなにも悔しいだなんて、知りもしなかった
私に挑んできた魔族は皆、こんな気持ちだったのだろうか。負けた者の気持ちなんてずっと知らないままだと思っていた
「ぐすっ……うぅっ……くやし…いぃ……っ!」
花畑の真ん中で体育座りで泣き続けるシーナに声をかける少年が一人現れる
「……なに…っよ……負けた奴の顔…っ…でも……みに…きたの……」
「…悪かった」
彼女は背を向けたまま何も言わない
「………」
「これ、あんたが書いたんだろ」
彼は彼女にクシャクシャの手紙を見せる
「この手紙、何度も何度も書き直されてた。失礼がないように、仲良くできるように、親しみやすいように、沢山考えて書いた手紙だった」
「……っ…」
「でも、結局送れなかった……だろう『シーナ』」
「…それが…どうしたのよ……っ!」
彼女はようやく口を開き、こちらに顔を向ける。綺麗な赤眼からは涙が流れている
「ボクに関わる魔族はみんな人間をどこかバカにしてた奴らばっかりだった。だからキミもそうだろうって決めつけてた」
「キミが魔法祭で優勝した時に「どうでもいい」って言ってたのを見てボクは嫉妬したんだ。自分はこんなにも魔法が好きなのに、なんでこいつの方が才能あるんだって嫉妬してた」
「……」
「だから、キミに強く当たってしまった。酷い言葉を言ったりもした。それらを全部含めて謝罪するよ…ごめん……許して欲しい」
彼女に向かって頭を下げる文月。それを見た彼女はゆっくりと口を開き始めた
「……私は昔から天才だった。何をしても、何処を行っても相も変わらず『天才』だった」
「学校でいい成績を取る度に賞賛されたけれど、妬まれることの方が多かった。仲間はずれにされたり、陰口を言われたりしてたから友達なんて一人も居なかった」
「テストで100点を取ろうが、学校の教師でも扱えない魔法を覚えても『天才』の一言で済ませられた。だから、私は天才じゃなきゃいけないと決意したわ」
「だから、もう他人と関わるのは辞めた。どれだけ妬まれようが、陰口を言われようが私は私、それは絶対に変わらないから」
「そうやって過ごしていたら、ある日突然母親からあなたの事を伝えられたわ。「種族は違うけど同年代の男の子が居る」ってね」
「私はそれを聞いた時、怖かった。他人と関わるのは辞めたのになんでって思ったりもした。でも、友達ができるかもって思ったら、それを書いてた」
「まぁ、結果はこれだったけど」
「…申し訳ない」
「許して欲しいんだったわよね?なら私のお願いを一つ聞いて」
彼女は涙を拭いこちらを見る
「わかったよ」
「私と自己紹介をして」
「え…う、うん。いいけど……本当にそれでいいの?」
もっと殴らせてとかが来ると思っていた文月は呆気に取られたような顔をしている
「えぇ、もちろん。じゃあ私から──────」
「私は『シーナ・アルロッテ』魔法の天才よ。貴方は?」
「ボクは『貴月文月』ただの人間さ」
「じゃあ『文月』、私と友達になってくれるかしら」
「うん。こちらこそお願いするよ」
文月がそう答えると、シーナは先程までの泣き顔やつまらなそうな顔がにっこりと太陽の様な笑顔だった
夕日と花畑を背にそう笑う彼女に見とれてしまう
「────────じゃあ帰りましょうか、そろそろ親が心配するでしょうし」
シーナはそう言って手を差し出してくる。文月は彼女の手を握り、夕日に照らされた花畑をゆっくりと歩き、帰路についた
シーナと文月の出会いですね。はい
実は文月くんは最初生意気だったんですよ。それはまぁシーナにも言えますけど、これから無限に等しい回数のやり直しで今のシーナちゃんに至るんですよ。
ちなみにお気付きの方もいると思いますがピストルの粉は例の花です
皆さんが1番性癖にクる魔族さんが知りたいコーナー
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(上記に無い)