「深海龍帝だ」
「前回は飛ばされた先の異世界でその世界の神の1柱から依頼を受けて世界の破滅を止めることになったね」
「そして神のオススメで地下迷宮がある封印都市に向かったな」
「それで辿り着いたら封印都市に入りたくてもお金が無くて入れなくて困っている火狐の少女、クーナが居たんだよね」
「金を代わりに出して宿代も出す代わりに3日後に行われるヴェルグランデ騎士学校で合格したらパーティを組むという契約を結び、トワ達は勉強を始めるのでした!」
「つーわけ本編!」
「「ゆっくりしていってね!」」
「「没落貴族の魔剣姫」」
「う〜ここがこうで…?」
「…なるほど。こうなるか」
「え〜と?こう覚えればいっか」
『はーい皆さん、次はこれですよ〜』
封印都市にある宿の一室では龍、トワ、クーナの3人がBBから貰った問題用紙に書き込みながらBBの解説を聞いていた
「座学つっても歴史は覚えればいいし…後は魔物の知識位か」
『出題傾向は初心者が知っておくべき魔物や厄介な能力を持った魔物が多いですね』
そう言ってBBは地下迷宮の1階から3階に出現する魔物をピックアップする
「え〜!?なんでここが違うんですか!?」
魔法式の問題の答えに納得がいかず叫ぶクーナ。横から龍達も覗き込む
「…ここはこうじゃなくてこうなるのか…?いやこれは…」
「う〜ん…」
問題と答えを見て頭を捻る2人…確かに答えは間違ってないしなんなら答えの方が間違ってるように見える
『あ〜これなんですが…ぶっちゃけますけど間違ってるのは答えの方なんですよね…あ、BBちゃんが書き間違えたとかじゃなくて答えそのものが間違ってるんです』
「どういうこった?」
『単純な話学校側の知識が間違ってるんですよ。本来ならここは必要ありません、ですが学校ではこれは必要な部分だと思われてます』
「…つまり間違った知識が正解になってるから試験が終わるまではそう覚えろと」
『そういう事です』
「うぅ…間違ってるはずなのに正しいなんて…」
まさかの事態に顔を引き攣らせる龍とトワに頭を抱えるクーナ…BBも学校の授業の現状に呆れたようにため息をつく
『エルシエ国の協力が得られていたならこうはならなかったんでしょうねぇ…』
「「エルシエ?」」
「っ…」
BBの言葉に首を傾げる龍とトワ…だがクーナだけは反応が違った
『エルシエとはクーナさん達火狐とエルフが住む国です。領地は小さいですが魔法技術の発展が凄まじく戦力も元々強い火狐とエルフが国民なのでそこらの大国も手が出せないんですよね…特に国王が世界最強の存在ですから…』
「へぇ…そりゃまた…」
「…ウル様が聞いたら戦って来いって言いそう」
「『違いない』」
『あ、因みに封印都市の地下迷宮はエルナ集積装置によって創られたんですがこれを作ったのもエルシエの国王だそうです』
「そりゃすげぇな」
『これのお陰でこの街の地下迷宮以外に魔物が基本湧かないそうです』
「マジで世界に貢献してるんだ〜」
「…そんな大層な人じゃないですよ」
「「?」」
『…やはりそういう事ですか…』
不貞腐れた様な態度のクーナと何かを確信したBB…龍達は疑問には思ったが今は勉強を優先するべきだと鉛筆を手に取る(この街の技術だとまだボールペンは無い)
〜翌日〜
『…あの…クーナさん…』
「な…なんでしょう?」
『…なんで完全にゼロから勉強を始めたセンパイやトワさんよりも成績が低いんですか?特に歴史と魔術』
「だ、だって他の国の歴史なんて知らないし魔術式だってあんなめちゃくちゃなのが答えなんて!」
『いや魔術式に関してはしょうがないとしても歴史を1ミリも知らなかったのはセンパイ達も同じですからね?それでこれって…』
龍達が囲む机の上にはペケばかりのクーナの回答用紙が並んでいた…これには龍もトワも苦笑い
「…と、とりあえず今日は受験の受付に行くか」
「だ、だね!それが終わってから復習とかしよう!」
なんとか別の話題を捻り出して話を逸らす龍。トワもそれに乗ってクーナの手を取って外に出た
「って場所分からねぇんだから飛び出すな!?」
『ああもう!センパイ!とりあえず学校はここなので飛び出して行った2人を追いかけてください!』
飛び出して行った2人を追いかけて龍はスマホ片手にダッシュするのだった…
「「痛い…」」
「場所も分からないのに勝手に突っ走るからだ」
直ぐに龍に捕まりゲンコツを喰らった2人…タンコブを抑えながら龍に着いて歩いていく
「っと見えてきたな」
「うわぁ、すっごい人…」
申し込み開場には専用席が設けられているが既に50人程が並んでいた
『因みに通常枠は貴族が100名、一般が50名だそうです』
「貴族枠が多いんですね。一般人より少ないのに」
『貴族の方が優秀な人が多いからですね。お金で魔石を買って力を上げていたり教養があったり…一般人はろくに魔術も使えずノウハウも無いので浅い階層で小銭を稼ぐか無理して下層に行ってこの世からさようならですね』
「まぁ脳筋が探索者になっても死体が増えるだけだろうからなぁ…」
そんな事を話しながら受付に並び、無事受付を終え何か食べ物でも買おうかと話しているとヒソヒソ声が聞こえた
「ほら、アレ見ろよ」
「ああ、あの没落した家の?」
「噂でここを受けるって聞いてたけど、本当に来るのかよ」
「元とはいえ、貴族なんだから一般応募で受験なんて恥ずかしくないのかしら」
そんな声の中1人の少女が歩いてくる
「…」
その少女を心配そうに見つめるクーナ…少女は元々は良い服だったのだろうが泥に汚れ、所々解れてみっともなく、美しかっただろう銀髪は栄養が取れていないのか輝きを失っていた
「…あの剣」
龍が興味を持ったのは少女の腰にぶら下げられた長剣…場違いに輝いているその剣がただの剣ではないと龍はすぐに見抜いた
「一般受験の申し込みをさせていただくわ。名前は、アンネロッタ・オークレール」
「は、はい…」
受付嬢の手が震えている…龍とトワもオークレールの名前は歴史の勉強の際に聞いていた
オークレール家、王国の懐刀と呼ばれ王家の剣の指南役として名を馳せていた大貴族…そう、呼ばれていた。とある事件が起き、今では王国史上最大の汚点と呼ばれ家は取り潰され当主は処刑されていた
「ありがとう。お仕事頑張ってね」
「は、はい///」
アンネロッタと名乗った少女は受付嬢に礼を言うと颯爽と来た道を戻って行った…受付嬢の顔は真っ赤だった
「…あら?」
龍達の横を通りがかったアンネロッタが何かに気づき立ち止まる
「…エルシエの姫君。どうしてこんなところに?」
「ひ、人違いですよ…」
「いいえ、間違いないわ。王宮のパーティで会った記憶があるもの」
「人違いですよ。私はアンネの事なんて知らないです」
「…私がアンネと呼ぶのを許してるのはごく1部なのだけど」
「…言い直します。ここでは私の立場を無視して下さい。私は1人のクーナとしてここに居ます。理由は察して下さい」
クーナが真剣な顔でそういうとアンネも触れるべきではないと思ったのか頷く
「…貴方にも事情があるのね」
「そういうアンネこそ大貴族のアンネがどうして一般応募を?」
「…私はもう貴族じゃないわ。オークレール家は冤罪で取り潰されたの。無実を訴えるにも貴族じゃないと話も聞いて貰えない…ここで名誉貴族になって私はオークレール家の名誉を取り戻す」
お家の復興のために名誉貴族を目指すと宣言するアンネロッタ…そんなアンネロッタにクーナは自嘲する様に言う
「アンネ。友達として忠告します。家に縛られるなんてバカらしいですよ。家の事なんて忘れて、自分の幸せだけを考えたほうが有意義です」
そんなクーナの言葉にアンネロッタは…疲れきった、しかし誇りに溢れた笑みで答える
「確かにそれは正しいわ。でも、私は捨てない。オークレールは、私そのものだから」
(…良い笑顔だ)
龍はその口角を吊り上げる…少女は強くなると確信したからこそ、その剣の腕を見てみたいと思った
「ということはアンネも特待生狙いですか…私も特待生を狙ってます。勝負です。アンネ」
「負けないわ。でもどうせなら特待生枠4人の枠に2人で入りたいわね」
「ええ」
「あれ?これトワ達忘れられてない?」
「「『それは言っちゃダメだろ』」」
「(´・ω・`)」
アンネロッタは龍達に背を向けてヒラヒラと手を振り歩いていく…遠くなっていく背中を見送っていると…
「「「『!?』」」」
「アンネ!?」
突然、糸が切れるようにアンネロッタは崩れ落ちた
「アンネ!しっかりしてください!」
「落ち着けクーナ!ちょっと失礼するぞ」
倒れたアンネロッタの脈を、瞼を開いて眼球の動きを、口を開いて喉と舌の様子を、胸に耳を当て心音を確認する
「後は…」
解析魔法をかけ、栄養状態を確認する…しばらくして
「こりゃ栄養失調と過労だな…今までマトモに食事も取れず休めなかったのか…?」
「大丈夫なんですか!?」
「半日もすれば起きられるし飯食って寝れば一晩で充分回復できる」
「そ、そうですか…良かった…」
心底安堵した様子のクーナ…だがトワも龍の表情も険しい
「こんな状態になったことは全くもって良くないがな…だがどうするか…封印都市は治安が良くないし、このまま放置すると…」
「…身ぐるみ剥がされて奴隷落ち…って感じ?」
トワの予測に頷く龍…龍は予めBBから封印都市の治安状態を聞いてそれなりに警戒していた。だから彼女をこのまま放置したら最悪トワの予想通りになりかねない
「リュウガくん。お願いします」
クーナが頭を下げるその拍子に帽子が取れて狐の耳が見えるが不安そうにピクピク震えていた
「私の借金にしてもらって構いません。だからアンネの分の宿と栄養のある食事を、それに医療の心得もある様なので看病してくださるならその分の医療費も上乗せで構いません…人の道を外れて友達を見捨ててまで特待生になりたくないんです…」
その声は泣きそうな声だった…龍は先程の会話でクーナがエルシエの姫であることを理解していたしアンネロッタが貴族や王族とか関係無しに話せる親友であることにもわかっていた
「…」
だがハッキリ言って龍達にメリットが無い。彼女の身のこなしや魔力の流れで彼女が強力なライバルになる事がよくわかっている…が
「ったく…」
「わひゃっ!?」
「入学後にパーティ組むのが決まってる相手に借金がどうとか言ってんじゃねぇよ。トワ、スマンが卵と牛乳切らしてるから買って来てくれ。俺達は先に宿に戻る」
「OK!まっかせて〜!」
笑顔で走っていくトワを見送り、龍はアンネロッタをお姫様抱っこで抱え上げると歩き出す
「早く戻るぞ。部屋は…これ俺と同室になっちまうのか?」
「ふふ…リュウガくんはそういうことする人じゃないってわかってるので安心して任せれますよ」
「そうか?」
そんな事を言い合いながら早歩きで宿に戻っていくのだった…
To Be Continued…
オマケ
宿に戻った龍達…ベッドにアンネロッタを寝かせ、龍はトワが買ってきた材料と収納に入っていた米、レバー、ハーブのセージを使ってお粥を作る
「母さんも俺達兄妹が風邪ひいたりした時によく作ってくれたなぁ…」
そんな事を呟きながら弱った体に優しいお粥を器によそう
「これでよし…持ってくか」
龍が扉を開けると既にアンネロッタは目を覚ましていた…がやはりダルいのか起き上がってこない
「貴方がリュウガね?」
「クーナからでも聞いたか?」
「ええ…ありがとう」
「礼ならクーナに言っとけ。俺は宿に運んでお粥作っただけだ。それ以外はクーナやトワがやったからな」
アンネロッタの服はクーナ達によって着替えさせられていた。体を締め付けるタイプの服だったので寝苦しいと判断したトワとクーナが着替えさせたらしい
尚そんな2人は龍と比べて勉強の理解ぎあまり進んでいないので遅れた分を取り戻す為に机に向かっている
「とりあえずこれ食っとけ。いきなり多く食べると胃が驚いて吐いちまうからゆっくりとな。あと最低でも20回は噛め」
「ふふ…まるでばあやみたい…ありがとう」
そう言ってお粥を受け取るとすぐに食べる
「美味しい…こんなに美味しいの久しぶり…それに優しい味…体だけじゃなくて心に沁みるわ…」
「そりゃよかった」
そうして20分ほどでお粥を平らげるアンネロッタ…龍は笑いながら収納からお粥の入った鍋を取り出す
「おかわりはいるか?」
「…お願いするわ///」
顔を赤くしながらアンネロッタは器を差し出す
(この調子なら明日には良くなるな)
そう判断し、龍は新しくお粥をよそった器をアンネロッタに手渡すのだった
「…ねぇ、なんでそんな良くしてくれるの?」
「んあ?元々こういうのはあんまり見捨てることはしたくないし、後のパーティメンバーの友人なら尚のことな」
「そう…ねぇ」
「ん?どしたよ」
「…その…友達にならない?」
「ん?そのくらい全然OKだぞ。元々なりたいと思ってたし」
「そっか…ありがとう。貴方がオークレールでなくなってから初めてできた友達だわ。これからはアンネと呼んで、親しい人はそう呼ぶの」
「OK。よろしくなアンネ」
「ええ。リュウガ」
次回の深海の龍帝は何を成す?は…
「さて、結果はどうなるか…」
「うぅ…胃が痛いです…」
筆記試験結果は…?
「テメェがどんな方法を使ったか知らないがそれでもランク1なのは変わらない!速攻でぶち殺してやる!」
「小物くせぇセリフ吐いてる暇があったら構えろや」
激突!
次回!「波乱の試験」
キャラ解説…要る?
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書け!
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別に要らんじゃろ