深海の龍帝は何を成す?   作:リア・ユグドラシル

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「前回のあらすじは私、クーナと」

「アンネロッタ・オークレールが担当させてもらうわ」

「前回は受験の申し込みに行ったらアンネが来たんですよね」

「申し込みをした後に倒れちゃったけどね…」

「その後リュウガくんの診察で栄養失調と疲労だと分かり、宿で療養することになりました」

「本当にありがとう」

「そう思うなら特待生を皆で取りましょう!」

「…ええ。それじゃあ本編…」

「「ゆっくりしていってね!」」

「「波乱の試験」」


波乱の試験

没落貴族の少女、アンネが仲間になった次の日…龍達はラストスパートで過去問を解いていた

 

「…え〜っと…こうだな」

 

「あやっべ計算式違った…」

 

「…や、やっとこの街では正しい魔術式を覚えれました…」

 

『あと5分ですよ〜』

 

最後にBBから出された過去問を解いていく3人…これまでの勉強でかなり余裕で問題を解いていた

 

『はい。終了でーす』

 

「…とりあえず全問答えれたな」

 

「だね〜」

 

「ふぇぇ…疲れました…」

 

「3人ともお疲れ様。水貰ってきたけど飲む?」

 

「「「頼む(お願いしまーす)」」」

 

アンネが宿の人から水を貰ってきて3人分のコップに入れて渡す

 

『はーい結果出ました〜!結果は〜…センパイ98点!トワさん92点!クーナさん88点!これだけ取れれば十分でしょう!』

 

「む、満点は取れなかったか」

 

「お〜いい感じ!」

 

「うぅ…私が1番下ですか…いやまだアンネの点数も…」

 

『因みにアンネちゃんは90点でした』

 

「希望なんて無かった!」

 

台パンして突っ伏すクーナ…残り3人は苦笑し龍が取り出したお菓子を食べながら雑談を始める

 

「しっかし流石元大貴族だな。ちゃんと勉強してるのがわかる」

 

「元々騎士学校を受けるつもりだったからね…まさかこんな形で役立つとは思わなかったけど…」

 

「…この話題はやめとこっか…」

 

「…そうだな…ところでアンネのその剣…ただの剣じゃなさそうだが?」

 

龍が興味を示したのは立てかけられているアンネの剣だった

 

「えぇ。この剣はクヴァル・ベステ。この封印都市があるコリーネ王国最強の剣士に与えられる称号であり、王家の象徴。コリーネ王国に伝説として残る救世主シュジナ様より建国の際に承りし魔剣なの」

 

「魔剣かぁ…俺の愛刀にも魔剣にカテゴライズできそうな物があるが…ちょっと触ってみてもいいか?」

 

「私もリュウガの剣が気になるから触らせてくれるならいいわ」

 

「OK。来い、焔」

 

龍の手元に鞘に収まった焔が召喚される

 

「凄いわね…呼んだら手元に現れるなんて…」

 

「まぁな。自慢の愛刀だよ」

 

そう言ってアンネに手渡すとアンネからクヴァル・ベステを受け取り柄を握ってみる

 

(…この剣…生きてるな?)

 

龍はクヴァル・ベステを見た時に感じた違和感が確信に変わった

 

(…アンネに変なことしないといいが…この気配は魂の根底から人ならざる存在の気配だ…どうにか保険を掛けれないものか…)

 

「うん。ありがとうなアンネ」

 

少し心配になりながらも変に刺激するべきでは無いと考え、アンネに返す

 

「こちらこそ。それにしても不思議ね…こんな真紅の剣初めて見たわ。クヴァル・ベステもそうだけど何でできてるのかしら…」

 

「さぁな?」

 

焔を鞘に戻すと自然と消える

 

(…やっぱこいつ自我持ってない?)

 

ちょっと不安になった龍だった

 

『あ、因みにこのテスト過去問と言いましたがそれ嘘です』

 

「「「「はっ?」」」」

 

『これ実はで明日の受験の問題なんですよねww』

 

「えぇ!?そんなのがあるなら私達が過去問をやった意味はぁ!?」

 

「…もしかして入学後のことを見据えてか?」

 

『そういう事です。因みに少なくとも1年目の分は大体教えたのでちゃんと勉強してれば余裕で過ごせますよ』

 

「なるほどね。それなら大丈夫かぁ…」

 

『因みに入手方法は企業秘密です☆』

 

(まぁどうせ神だろ)←龍

 

(神様だろうなぁ…)←トワ

 

((何となく突っ込まない方がいいと本能が言っている気がする))←クーナ・アンネ

 

情報源を即座に察する龍とトワに深入りすべきでは無いと本能で理解したクーナとアンネ…この後4人は明日に向けて準備をし、就寝するのだった

 

〜翌日〜

 

「さて、間もなく受験だ。全員、特待生取るぞ」

 

「「「お〜!」」」

 

筆記試験中…

 

「…とりあえずクーナはもう少し気を付けてくれないか?」

 

『「あ、過去問でやったところです!」ってあれ教官によっては1発退場の可能性も有りましたからね?』

 

「だって驚いたんですよ!ラストの問題以外、全部一緒じゃないですか!」

 

「BB。あれ違法なルートで手に入れたものじゃないのよね?」

 

『正規ルートですよ。ちょっと今までの問題の情報を集めて今年出そうな問題をピックアップしただけです』

 

※今作のBBのスペックなら実際に可能です

 

「…仮にBBさんが魔法を使えたらお父様とタメを張れそうです…」

 

『純粋な戦闘能力で言うならセンパイとか他にもやばい人知り合いにいっぱいますけどね〜』

 

「…どんだけ強いんですか…」

 

「あ、そろそろ結果が発表されそうだよ」

 

そう言うトワの視線の先には壇上に立つ教官の姿…それを見たBBがニヤついた事に龍以外気付かなかった

 

「早く呼ばれたいですね!」

 

「できは良かったけど緊張するわ。呼ばれるまで安心できないもの…」

 

「うーん緊張する…」

 

「…」

 

どんどん名前が呼ばれていく…呼ばれる度にガッツポーズして駆け足で受験生が前に出る

 

「以上45名!」

 

龍達の名前が呼ばれることは無く終わる…まさかという表情の3人と心底楽しそうな表情のBB…そして大体察した龍は呆れた様子でBBを見ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帰ってよし!失格だ」

 

教官の言葉に呼ばれた受験生が崩れ落ち、呼ばれなかった受験生が立ち上がって喝采をあげる

 

『ブッハハハハハハ!いや〜ww傑作ですねぇ〜ww』

 

「やっぱそういう事か…」

 

「「「な、なんだ…良かったぁ…」」」

 

爆笑するBBと呆れる龍、そして心底安堵した様子の3人

 

「では合格者はついてこい。これより実技の試験を行う」

 

部屋の中にいるのは50人。そのうち35人が不合格で通過者は15名で全体で実技に進めたのは恐らく100人から150人程度である

 

「待て、待ってくれ…!」

 

教官の足元に縋り付く受験生…いかにも金持ちそうな坊ちゃんだった

 

「お願いだ。金はいくらでも払うから実技を受けさせてくれ、そこで、そこでなら僕の本当の力を見せられるから…」

 

「貴様、私に賄賂を受け取れと言うのか?騎士には罪人を裁く権利がある。それ以上続けるなら贈賄罪で逮捕する」

 

因みにこの学校の教師は全員騎士の資格持ちなのでこの受験生みたいに露骨に賄賂を持ちかければ逮捕できる

 

「ひっひぃぃ…」

 

教官の足元から飛び退く少年…だが少年は次はアンネを標的にしだした

 

「でもおかしいじゃないか!罪人の子が合格して僕が不合格なんて…!」

 

「何もおかしいことでは無いが?」

 

「だって罪人の子だ!僕の方が偉い!」

 

「外ならそうだろう。社会的な身分は君の方が高い。名高き大商人レックルラーテの御曹司」

 

「だったら!」

 

「だがここでは能力があるものを評価する!これ以上我が学園を侮辱するなら首をはねるぞ小僧!!」

 

その言葉がトドメになり受験者は逃げていった…そして教官はアンネに向き直る

 

「オークレールのご息女。不快な思いをさせて悪かった」

 

「い、いえ…」

 

教官がアンネに頭を下げる…アンネは若干気後れしていた

 

「私は優秀な人間なら歓迎する。個人的な感情を試験や教育に持ち込むつもりもない…だが…」

 

そこで言葉を止め、間を作る

 

「私個人としては君にいい感情を持っていない。君の父上がした事を到底許せない。許すわけにはいかない…それは多数の教官の共通認識だと思った方がいいだろう…そして教官とはいえ人間である以上その全てが感情を無視して理性的に対応する訳では無い。その事を忘れるな。ましてや君と共に過ごす未熟な学生達に分別を求めてはいけない」

 

「…わかってるわ。その上でここに来たの。それに…私を友達と言ってくれる人達がいる。それだけで十分よ」

 

「…覚悟があるならそれでいい…一つだけ教えて欲しい。君の母上、リーネクラン・オークレールはご壮健か?」

 

その問いを受けたアンネは一瞬押し黙り…絞り出すような声で言った

 

「…亡くなったわ。お父様が処刑された日に…自殺した」

 

「…そうか…教えてくれてありがとう…リーネは死んだのか…」

 

教官は一瞬だけ目を手で覆った…その時、龍は教官の目元に涙が光ったことに気付いた

 

「受験生の諸君、トラブルで君たちの時間を使ってしまいすまなかった。すぐに実技の会場に向かおう」

 

涙を感じさせず、来た時と同じ厳しい表情。したまま歩き出す教官…龍の目にはその後ろ姿が悲しげに見えた

 

移動中…

 

「はい、皆注目。今からあなた達の【格】(ランクの事)を測るわ。この学園が求めてるのは才能。現時点の強さじゃないのよね。よって引き上げられてる【格】によって試験結果をマイナスするからよろしく」

 

実技試験の会場で待っていたのは先程の大男のような教官ではなく少女の様にも見える可愛らしい人だった。学生と言っても通じるだろう

 

「じゃ、並んで並んで」

 

指示に従い受験者達が並ぶ…龍とトワは腕輪を操作して視認不可にすると設定をランク1にする

 

「では名前を言って」

 

「リュウガ・フカミ」

 

「リュウガ・フカミっと…じゃあいくよ【格測定】」

 

教官が目を閉じ集中する。この世界の魔術は頭に魔術式を一言一句間違えず浮かべることで魔術を発動できる。因みにある程度知識を持ちコツを掴んでいると他人の魔術式を見ることが出来る

 

「リュウガ、生まれた時のままだね。今だと最低位の魔石は買えるのに」

 

「他人が取った魔石食うより自分で狩った魔物を魔石を食いたいとおもってるからな(嘘)」

 

「変わった子だね…まぁいいわ。マイナス補正は無し…あ、ちょっと待って。君のポケットから魔石の気配を感じるわ。それは試験が終わるまで預かるわね。たまに鑑定が終わってから魔石を使ってズルをする子がいるの」

 

「構わんぞ。つってもたまたま狩ったやつ(トワが)だが」

 

「うわっ!凄い魔石…これランク1の上位じゃない。こんなのどこで手に入れたのよ…まぁこれなら預かる必要は無いね。君が使うと死んじゃうもん」

 

「なら返してもらっていいか?」

 

「いいよ〜これ使える子受験者に居ないし」

 

そう言って返却される魔石…その時龍に念話が届く

 

(龍〜その魔石ちょっと預けて貰えますか?)

 

(ん?どした?)

 

(ある道具を作ったんですが試しに使いたいのでその魔石を貸してほしいんです〜)

 

(まぁ構わんが…一応貴重品だから壊すなよ?)

 

(わかってますよ〜)

 

そう言ってポケットに仕舞うふりをして妖精の元に転送する…そしてトワ、クーナ、アンネと進んでいくがその間に魔石が戻ってきた

 

「それじゃあ測定を始めるからそれぞれ場所についてね〜」

 

測定中…

 

「ま、当然だな」←龍第1位

 

「うーんやっぱ勝てなかったか〜」←トワ第2位

 

「できる限りやったけどまだまだですね…」←クーナ第3位

 

「まだまだ上を目指さないと…」←アンネ第4位

 

因みにクーナとアンネも格は一切上げていない

 

「教官!【格】を全く上げずにこの結果はおかしい!不正をしている可能性がある!」

 

1人の受験者…第5位のライル…がそう抗議する

 

「私もライルの意見に賛成です速やかに【格】の再測定をお願いします」

 

「兄さん!」

 

試験の補助を行っていた上級生の1人が声を上げる…一応紹介されたが龍達からは「どんぐりの背比べ」と思われていて全く印象に残っていなかった

 

「それは無いね。この子達は魔力の使い方が上手い。淀みもなくロスもないから消費が少なく最高効率で魔力強化をしているのよ。こういうのって教官をやってるとわかるの」

 

「教官!!」

 

「しつこいな〜じゃあ自分で見ればいいじゃん。使えるでしょ、君なら」

 

「わかりました。では遠慮なく」

 

そう言って測定魔術を発動する…だがすぐに目を見開く

 

「上昇ゼロ…本当に何も強化されていない…」

 

「当然だろ」

 

「くっ!次だ!」

 

そう言って他のメンバーも見るが結果は同じ

 

「そんな…ありえない…」

 

呆然とする上級生に駆け寄る受験者…それを見て教官はカラカラと笑う

 

「ほら言ったじゃない。この業界にいると天才とかボロボロ出てくるからね。こういうの素直に受け入れないとダメよ?」

 

そう言うと教官は水を取りだし1口飲むととんでもない爆弾を投げ込む

 

「この後試合形式で実践を行うけど準備しておいてね。あと実際には王様が見に来るからそのつもりで〜」

 

その言葉に龍とトワ、BB以外の全員が息を飲む

 

「ふーん…面白いことになりそうだな」

 

 

 

 

 

「おいお前」

 

「あ?」

 

「さっきは疑って悪かった。謝罪しよう」

 

「そりゃどーも」

 

「それでだ。もしお前が特待生で合格したらお前を俺のパーティに「お断りだな」なに?」

 

「なんでお前みたいなのの下につかなくちゃならねぇ?お前の言うこと聞くなんざ真っ平御免だ」

 

「なんだと!?この俺が誘ってやってるんだぞ!?」

 

「その無駄なプライドの高さがウザイから嫌なんだ。それ以前にパーティメンバーならもう集まってるから受ける理由なんてそもそも無い」

 

「…随分2位と3位と4位の女と親しそうだな」

 

「あんたなんか比べ物にならないくらいいい仲間だからな」

 

「…その選択後悔するなよ…ちょうどいい、弟が特待生になるのに目障りだったんだ」

 

上級生はアンネを睨みつけるとそのまま去っていく…そして龍はBBを見る

 

「…今の録音できたか?」

 

『バッチリです…もうひとつの方もクリアに撮れるでしょう…さーて面白いことになりますねww』

 

愉悦の笑みを浮かべるBBに対して龍は上級生に対して静かに殺意の刃を研いでいた…

 

 

 

 

 

 

「王の入場。敬礼」

 

王が来る前に全員が整列させられ、合図と同時に敬礼する

 

「よく来てくれた。未来の騎士達よ。私は才能ある若者が頑張る姿が好きだ。今日は全力で君達の魅力を伝えてくれ」

 

「総員休め」

 

全員が敬礼を解く

 

「それじゃあ私は特等席で君達の試合を見させてもらうよ」

 

そう言って王はいちばん高い貴賓席に向かう…去り際に王はアンネの方を見るがその表情は酷く憐れむような…何か後ろめたさを感じるものだった

 

(…王様はアンネの親父さんの冤罪を知ってるってことか…)

 

王が知り、隠蔽せざるを得ない何かがあるのだと察した龍は事の根深さに頭を痛めるのだった…

 

「さて、トーナメント表は…」

 

トーナメント表には成績上位者64名の名前が表示される…だが龍はトーナメント表を見た瞬間顔を顰める

 

(…あからさまもいい所だな)

 

トーナメント第1回戦に龍とアンネが当たるようになっていた…本来ならこれはありえない。成績優秀者はシード扱いされるはずだがそれをされてない上、明らかに龍かアンネのどちらかを潰そうとする動きだった

 

(…教師も一枚噛んでるな)

 

先程の上級生を見ると明らかにニヤついた様子でこちらを見ていた…その近くにいた教官も同じ表情でこちらを見ている。明らかにグルだが証拠がないから何も出来ない…

 

(とでも思ってんだろうなぁ…?)

 

「教官、すまないがとある物を聞いて欲しい」

 

「ん?なんだい?」

 

近寄ってきたのは測定を担当した教官…龍はスマホを取り出すと説明する

 

「これは録音機能がある物なんだが…実はこんなものが撮れてな?」

 

そう言って起動すると流れるのは先程の上級生の発言と教官と共謀して龍とアンネを潰し合わせようと言う話…これが流れると上級生と教官の1人が真っ青になった

 

「…これはどういう事かな?」

 

「「ひっ!」」

 

最初の優しげな表情とは程遠い憤怒の形相で上級生と教官を睨みつける王…何とか2人は弁明しようとするが次に見せられたのは先程流れた共謀の様子。録画までしていたのだ

 

「…私は才能ある若者が頑張る姿が好きだ…だがその才能ある若者を育て、導く立場にあるべき教官と上級生がその目を潰そうとするとは…」

 

「で、ですがあの女は罪人の――」

 

「それがなんの関係がある?彼女の父の罪は彼自身が処刑された時点でもう終わっている。それをダシに彼女を嘲笑っていいわけがあるか!!!!」

 

「ひっ!?」

 

「君は今日付けでクビだ!」

 

「そ、そんな!?」

 

その場でクビを言い渡され泣き縋る元教官…だがすぐに近衛と思しき人物に羽交い締めにされ会場から追い出された

 

「…さて、君にはどんな罰を与えるべきか…」

 

「あ、あぁ…」

 

「国王陛下1つお願いしたいことがございます」

 

「ん?何かね?なんでも言ってくれたまえ」

 

「とりあえずこの上級生ボコしたいんでコレと試合させてください。それで勝ったら特待生ください」

 

「ちょっ!?君なんてことを…」

 

今度は教官が真っ青になるが王はそれを聞いて大笑いする

 

「ハッハッハっ!!まさかそんなことを言うとは…良いだろう!私は彼とそこに居る愚か者の戦いを所望する」

 

王の鶴の一声…だが教官はそれでも渋った。相手はランク2で龍は(設定上は)ランク1の下位、攻撃を受けてしまっては加護が追いつかず死んでしまう

 

「教官の心配事なら解決は簡単だが?」

 

「え?…ってまさか!?」

 

ニヤリと笑って龍は妖精から戻ってきた魔石を取り出すと額に押し当てる

 

「だ、ダメだ!本当に死んでしまう!」

 

教官が慌てて止めようとするが龍はなんの躊躇いもなしに喰らう(実際には暴食之王で胃袋に一時保管しただけ)

 

「…さて、これで俺もランク1の中位だ。これなら文句はねぇだろ?」

 

その言葉に教官は反応できない…当然だろう。普通なら死んでるはずなのに普通に立っているのだから

 

「ハハハ!面白い!面白いよこんな無茶苦茶な子は初めてだ!よし、仮にこの試合に君が勝ったなら今回の件は不問としよう」

 

「ほ、本当ですか!」

 

絶望していた上級生は目の前に垂らされた蜘蛛の糸に縋り付く

 

「テメェがどんな方法を使ったか知らないがそれでもランク1なのは変わらない!速攻でぶち殺してやる!」

 

「小物くせぇセリフ吐いてる暇があったら構えろや」

 

上級生が片手剣を持ち、龍は鉄製の刀を取り出す

 

「あの女は何れ誰かに潰されてた!そうなる運命だったんだ!不相応な夢を見て破滅する運命だっ「くっだんね」なに!?」

 

「んなクソくだらん事一々喚くなや。そもそも何が運命だ?んなクソくだらん運命なんぞ…」

 

「ぶった斬ってやるだけだ!!!」

 

凄絶な殺気が鉄槌の如く振り下ろされ、上級生は既に及び腰になっていた

 

「ルールを説明する。加護が尽きるか気絶、ギブアップ宣言で負けとする。そして何が起ころうとこの試合では自己責任だ。双方問題ないか」

 

「ねぇよ」

 

「構いません!」

 

「では双方準備…はじめ!

 

戦いの火蓋が切られた

 

 

 

 

「オラァァァァ!!!」

 

「…」

 

雄叫びを上げて切りかかる上級生を軽くいなし、躱していく

 

「ちぃ!?」

 

当たらないことに驚いた様子で追撃をしてくる上級生だが龍は上級生を的ととしか見ていなかった…それは自分が義姉から教えてもらったある事を実践するため

 

(…先ずは極限まで集中する…)

 

この試合に勝たなければあとが無いため焦っている上級生を静かに見据え、意識を研ぎます

 

(…まだ…まだ…)

 

どんどん深く集中していく…上級生以外見えなくなっていき、ゾーンに入っていく…そして

 

(…そうか、ここか)

 

ある一定の領域に到達すると龍が動く

 

「!?」

 

次の瞬間上級生の両腕が切り飛ばされた

 

(一体何が――!?)

 

「これで詰みだ」

 

獄龍牙突

 

放たれるのは鋭い突き。その突きは咄嗟にガードに使われた片手剣を粉砕し上級生の目を貫き脳にも突き刺さる

 

「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

加護は一度に大量に消費すると喪失状態になり動けなくなる

 

「ふぅ…!」

 

獄炎崩拳

 

追撃と言わんばかりに黒炎を纏わせ胴体に鋭い崩拳を打ち込み胴体を貫く

 

「はぁっ!」

 

目に突き刺した刀を引き抜き居合の構えをとる

 

朧流奥義・八重桜 八華閃

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」

 

高速過ぎるあまりにほぼ同時に斬撃が着弾し、最後に心臓を貫いた

 

「そこまで!リュウガの勝ちだ今すぐ剣を抜けぇぇぇ!!!加護が切れたらそのまま死んでしまう!!」

 

慌てて走ってくる教官を尻目に刀を引き抜くと上級生は崩れ落ちる

 

「君。大丈夫かい?」

 

「お、俺…目ある?生きてる…?」

 

茫然自失の状態の上級生はうわ言のようにそう呟く

 

「うん。ちゃんと生きてるし目もあるよ」

 

「よ、良かった…」

 

そんなことを話している上級生の頭を掴むと力を込める

 

「ひぎっ!?」

 

「もう二度とくだらねぇ事ほざくんじゃねぇぞ…次絡んできたら再起不能にしてやる…!」

 

アイアンクローで持ち上げた後壁に投げつけ刀を突きつけてそういう龍

 

「ひっ!いや、いやぁぁぁぁ!剣イヤァァァァァァァァ!!!!」

 

上級生は泣きながら逃げていく…そして観客席は大盛り上がりだった

 

「全く…あまり褒められた勝ち方じゃないけど…おっと、さっきのは緊急だったから改めて…」

 

教官は龍の手を取ると高く掲げる

 

「勝者!ランク1の受験者、リュウガ・フカミ!また、この場で特例として現時点での特待生決定を発表する!」

 

歓声が一際大きく響く中、龍はパーティメンバーに向かってVサインした

 

To Be Continued…

 

 

 

 

オマケ(試合中のアンネ)

 

私は剣に自信がある

 

達人と呼ばれた人の技にはある種の畏怖を感じる

 

だけど…私は今日ほど魂を揺さぶれたことはない

 

リュウガの放った剣閃

 

刹那の間に終わった神速の一撃

 

私は一生忘れないだろう

 

無駄を全て取り除いた極限

 

目の前の敵を切り伏せる為に注がれた狂おしいまでの情熱が伝わってきた

 

一体どれほど修練を積めばあの境地に辿り着けるのか?

 

私は初めて知った…どんなものであれ、極まれば美しい

 

どんな芸術品も、花も、宝石も、あの美しさには敵わない

 

あの一撃を受けたいとすら思った

 

気が付けば身体の奥がじゅんと熱くなっていた

 

酷く興奮する

 

服を脱ぎ捨てて叫びたい

 

あぁ…そうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は初めて恋をしたんだ




次回の深海の龍帝は何を成す?は…

「はぁっ!」

「それっ!」

「せいっ!」

戦う3人!

「…この学園人間関係めんどくせぇな…」

呆れる龍!?

「パーティ名か…」

「どうする?」

「こういうのはどうです?」

パーティ名はどうなる?

次回!「進むトーナメントとパーティ名」

キャラ解説…要る?

  • 書け!
  • 別に要らんじゃろ
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