「FGOを初めてすぐにどハマりしてしまい…このように遅くなってしまいました…本っ当に申し訳ございません!」
「こんな駄作者ですが今年も見てくださると幸いです…」
「さて、謝罪はここまでにして前回のあらすじ!」
「前回、フェイラーテ公爵家の嫡男であるクラネル・フェイラーテからクヴァル・ベステの担い手の選定の為決闘が行われることを告げられた主人公達」
「クラネルのアンネの意志を無視するような発言…特にオークレールの名を捨てるよう言うクラネルにキレかける龍とトワだが直後にアンネの様子が急変」
「なんとアンネの体を一時的に借りてクヴァル・ベステがその意志を伝えてきたのだ!」
「クヴァル・ベステに意思があることや明確に拒絶された事に混乱するクラネルを他所に龍達はクヴァル・ベステから情報を聞き出していく」
「そこでフェイラーテ公爵家の醜態や馬鹿さ加減を聞いて笑う主人公達だが話の中にあった龍が世界一の剣の師匠と言うアンネの思いに等々我慢の限界が来たのかクラネルは龍に決闘を申し込む」
「アンネに剣の手本を見せるのに丁度いいと龍も決闘を受ける」
「さてさて決闘の結果はどうなるのか!?(わかりきってるけどな…)」
「本編ゆっくりしていってね!」
「決闘!そして乙女は更なる領域へ…」
決闘当日…
「おい平民…何故これだけの観客が集まっている?」
「いや俺なんも知らないんだが…?」
俺たちが居るのは入学試験で使われたコロシアム…その観客席には数百人の観客が詰めかけていた
『あ、私が色々宣伝して集めました。万が一でも誤魔化されたり逃げられたりしたら困りますからね。コイツもセンパイを痛めつけて恥をかかせるつもりで観客を集めてたみたいですけど』
(あ、そうなのか…まぁそれならいいか)
俺が観客席をちらりと見ると既に賭け事が始まっていたり、食べ物を売っている者もいた
「これだけの観衆の前でランク1に負けたらフェイラーテの名は地に落ちるどころじゃ済まないな…」
俺がボソリと呟くとフェイラーテは顔を真っ赤にして叫ぶ
「僕が負けるなんて有り得ない!それよりも約束は守ってもらうぞ!僕が勝ったらアンネロッタに二度と近づくな!」
「有り得ないなんてことは有り得ない。そっちこそ約束を守れよ?なまくらだが一応その剣、フェイラーテ公爵家の家宝なんだろ?」
(後でその事知ってこの世界の一般的な技術力を察したけどな…)
やはり妖精は偉大である
「こ、この剣をなまくらだと…!?フェイラーテ公爵家をコケにするのか!?」
「クヴァル・ベステその物に拒絶されてる癖に未だにクヴァル・ベステの担い手になれると思い込んでる馬鹿一族だと思ってるが?或いは永遠にオークレールに勝てない二番手一族って言った方が良いか?」
「っ〜〜!!貴様ァ!」
顔を真っ赤にして叫ぶフェイラーテを無視して観客席で心配そうにこちらを見るアンネをチラリと見ると妖精に用意してもらった鋼鉄製の剣を抜く
「安心しろ。アンネ。この程度の相手に負けるほどやわな鍛え方はしてない。だから信じて待ってろ」
「…うん。頑張ってね?リュウガ」
アンネがそう返事をすると観客が湧く
(…色恋沙汰はいつの時代も最高の娯楽…ってか?まぁ別にアンネと付き合っている訳じゃないんだがな…)
だがフェイラーテが顔を更に赤くして俺を睨みつける
「平民…僕の前で調子に乗った事をすぐに後悔させてやる」
「やれるもんならやってみろ。それとアンネ、クーナ」
「「?」」
「2分だ。2分だけアンネのお手本になる戦い方で戦うから瞬きせずに見とけ。その後は参考にならんから寝ても大丈夫だ」
わざわざクヴァル・ベステに似せたタダの鋼鉄製の剣を用意したのはこの為。要はフェイラーテを動く稽古用案山子とし、見本を見せる為だった
「貴様…何処まで僕をコケにすれば気が済むんだ!」
「お前なんざ所詮その程度でしかないって事だよ。精々アンネとクーナの成長のための礎にでもなれや」
そう言って俺はコインを1枚取り出す
「コインが落ちたら試合開始だ。精々構えとけ」
俺はコインを上に弾くと剣を地面に突き立て、フェイラーテは剣を構える
「「…っ!」」
コインが落ちる甲高い音と共に俺とフェイラーテは剣を振るった
「ふん」
「ちぃっ!」
フェイラーテの動きは隙がない。が、俺からして見たらいくらでもやりようはある
「ほれ」
「なぁ!?」
フェイラーテが力を入れた瞬間剣に角度をつけて力を抜く。これによってフェイラーテの体勢が崩れるのでそのまま背後にまわり首元に剣を突きつける
「ま、最初はこんなもんだな」
試合開始数秒足らずであっさりと1本をとる…決闘だから大した意味は無いが
「平民、これは試合じゃない。決闘だ。寸止めなんて舐めてるのか?」
「最低でも2分は持たせないといけないからな。あと舐めてるんじゃない。下に見てるだけだ」
そう言うとフェイラーテは憤怒の形相で剣を振るうが俺は1歩下がって紙一重で躱すと後押しするように俺も剣を振る。するとまた体勢が崩れたので脳天に剣を突きつける
「学習能力ゼロかお前」
「貴様ァァァァァ!!!」
激昂しながら攻撃を再開するフェイラーテ。キレている割には攻撃が大振りじゃないあたりしっかりとした鍛錬に裏付けられた基本能力の高さが伺える
(ま、それでも所詮安全マージンを取った訓練だからなぁ…)
俺達の場合は別の意味で安全マージン(タヒんでも生き返れる訓練ルーム)がある殺り方だけどな
「ほらほら」
「ぁぁぁぁぁぁ!!!」
フェイラーテの攻撃を軽く流しつつアンネを見るとしっかり俺とフェイラーテの動きを見ていた
「そーれ」
「うぉぉぉぉ!?」
剣だけでなく格闘技も織り交ぜ更に翻弄していく。フェイラーテは基本に忠実な分このように邪道な動きに翻弄されやすいのだ
「これで三本目。剣を拾うの待ってやるから早く拾ってきたら?」
欠伸をしながらそう言うと観客席から嘲笑が漏れ聞こえる
「クソガァァァァァァァァァァ!!!」
フェイラーテは起き上がり空に向かって叫び声を上げる…が叫び終わると憑き物が落ちたような顔になって何事も無かったように剣を拾い、構える
「頭が冷えたよ。僕を挑発して冷静さを失わせるつもりだろうがもうそうはいかない。寸止めなのも攻撃を当てる意味が無いからだろう」
(単に手を抜いてるだけなんだよなぁ…本気でやったらコイツ2分持たないし)
見当違いな事をドヤ顔で言うフェイラーテに呆れる俺。因みに観客席に居るアンネやクーナ、トワも(コイツ何見当違いなこと言ってるんだろう?)と思っていた
「認めよう平民。貴様の剣の腕はわかった。確かに僕よりも強い…だが貴様をアンネロッタの師匠として認めることはできない。アンネロッタに君みたいな男が集るのが許せないし剣の腕を認めても僕は君が嫌いだ」
(…アホらし。なんでアンネの交友関係に部外者のお前が口出しするんですかねぇ…?)
フェイラーテの言ってることはアンネの意志も思いも何も考慮していない。単に自分の思い通りにしようとするガキ臭いワガママでしかなかった
「…そろそろ2分だな」
「?何を言って…」
「じゃさようなら」
「はっ―――?」
次の瞬間俺はフェイラーテの顔面と右肩に拳を叩き込みコロシアムの壁に叩き付けた
「お前に本気なんて出したら殺しちまうから寸止めしてたんだよバーカ」
加護を全て使い果たし怪我を治癒できなくなったフェイラーテから剣を奪うと俺は足早にコロシアムから出ていった
「リュウガくん最後のなんですか!?全く見えなかったんですけど!?」
「単に速く動いて殴りつけただけ…だが関節とか脆い部分に力を1点集中させると効率的に壊せる…後は衝撃を身体の内側に通すと硬い相手にも攻撃が効きやすい。後日教えてやる」
加護の攻撃を効果で表層は硬くなっているが身体の内側ばかりは鍛えようが無い。だから格上に攻撃を通す意味でも浸透勁などは学んで置いて損は無い
「と言うかアンネはどうしたよ?」
「なんか頭を冷やして来ると…ってアンネ!?」
クーナの驚いた声に振り返るとアンネが居た…何故かびしょ濡れで
「おいおい風邪引くぞ…つーかどうした…?」
「リュウガの戦いを見てどうしようもならないほど熱くなったから水を浴びてきたの」
「お、おう…」
水浴びてきたと言うが全然興奮が覚めていないようだ。アンネは肌が白いから赤くなるとよくわかる
「リュウガはやっぱり凄いわ」
「そうか?そう言われるのは嬉しいが…何れアンネもこの領域に到れるだろうさ…義姉ちゃんかアゲーラ師匠呼べたらいいんだが…」
『ん?ちょっ!?』
『マスター!無事かい!?』
「ん?メリュジーヌ?」
「「???」」
イーグルフォンからBBの悲鳴とメリュジーヌの声が聞こえてきた
『良かったぁ…繋がって…』
「あれそっちに連絡装置あったか?イーグルフォンから一方通行なら可能だが…」
『
「オーケイ大体把握出来た。ところでBデンライナーの修理状況は?」
『なんかあの変態でも解析できなかったらしいから元々作りかけだった装置を完成させるのに精一杯なんだってさ』
「あいつでもわからない妖精技術ってなんなんだ…?」
(…気にしたら負けか)
「ところでカレラ義姉ちゃんとアゲーラ師匠を呼んで欲しいんだが」
『ん?わかったよ。ちょっと待っててね〜』
メリュジーヌが引っ込んでしばらく待つとカレラ義姉さんとアゲーラ師匠が姿を表す
『呼ばれて飛出てなんとやら…何か用か?我が弟よ』
「実は2人に鍛えて欲しい奴がいてな…こっちに来れるなら鍛えて欲しいんだけど…」
『ふむ…見込みはありそうなのか?』
「多分鍛えれば綺凛に届くと思う」
『…ほほう』
興味深そうにアンネを見る2人…居心地悪そうにするアンネをある程度観察して納得したのか2人は頷く
『わかったそこの小娘を鍛えよう』
『義弟様の言う通り鍛えがいがありそうですな。しっかり鍛えさせて頂きましょう』
「よ、よろしくお願いします」
『とりあえず座標を調べてから向かうから待っていろ』
「サンキュー。それじゃあ学校に話通しに行くか」
…数日後、病院
「クソっクソっ!」
「なんでだよ!?なんで僕はいつも、大事なところで…!」
「…フェイラーテに泥を塗った事より、アンネロッタに拒絶された事の方がショックを受けた自分に驚く…あは、あははははは…僕は…僕はアンネロッタを…アンネの事が好きだったのか」
「このままじゃアンネロッタにまで負けるかもしれない。そうなったら本当に…」
「…うっわぁ…凄い荒れよう…やぁ少年。見舞いに来たよ?…なに鳩が豆鉄砲くらった様な顔をしちゃってさ?こうやってあたしみたいな美少女がお見舞いに来たのにその反応はないわー。ショックだわ〜」
「あれ?だんまり?うわぁ君本当に小心者なんだね〜」
「…お前は誰だ?」
「あたしは2年のユウリ。初めましてかな?今日は君にいい話を持ってきてあげたんだ」
「いい話?」
「…おい、リンガ!ハナマ!こいつをつまみ出せ!」
「…ああ、ごめん。彼らは来ないよ。2人っきりで話したかったからちょっと眠ってもらった」
「なっ!?」
「この色の眼をしているうちはランク1だからいくら見ても無駄だよ。それよりもいい話聞きたいでしょ?そっちの話をさせてよ。君、勝ちたいんだろう?あたしが勝たせてあげる」
「勝ちたい。だがお前の力なんて要らない。僕は僕の力で勝つ」
「おっかしいな?君は『勝ちたいりどんな手を使ってでも勝ちたい』。そう叫んでたはずだけど?心の中で」
「「なぜ、それを」」
「…それでもお前みたいなやつの力は必要無い。手段を選ばなければ…」
「ふぅん?君ってさ?もしかしてフェイラーテ家の親衛隊の連中。ランク3の彼らを使って地下迷宮で闇討ちでもしようかと考えてない?」
「な、ん、で、それ、を…」
「君、監視着いてるよ。多分陛下の差し金だね。あの人、立場上直接の支援はできないけど決闘の不正を防ぐくらいの事は考えてるよ。君の取り巻きも、顔が割れていて見張りがついてる。闇討なんてしようとした日には大義名分を得たと喜んで陛下も色々としてくるだろうね」
「それにそもそもランク3程度で彼を葬れると思ったの?彼とあの紫髪の少女は私と同じように偽装している。その気になれば世界最強のアイツでも彼らを止めることはできないさ。君の手駒程度なら返り討ちにあって命を散らすか生き残っても二度と戦えなくなるだろうね」
「…それなら、僕が決闘で勝てば良いだけだ…何としてでも決闘までに体調を整える。そうすれば勝てる。勝てるはずなんだ」
「…ぷっ…あははははは!ふぅん。君、負けるかもしれないぐらいにしか思ってないんだ?」
「何がおかしい!」
「いや、あまりにも滑稽だと思ってね?あたしさ?少し人よりも不思議な力を持っているんだ。そのあたしが教えてあげるよ。このままだと君は確実にアンネロッタに負ける。次の戦いまでにアンネロッタはランク2に到達するし、剣の技量はリュウガとリュウガの姉と師匠による教えで君を超える。リハビリ明けの君じゃお話にならない」
「そんなこと有り得るはずが「有り得るんだよ」」
「実際にアンネロッタは地下迷宮に潜ってたった数日でゼロからランク1の上位になった。リュウガ達の力でね。そんな事出来る連中がどうして2ヶ月も猶予があるのにランク2になれないなんて断言できるんだい?剣技だって一緒さ。リュウガをあそこまで育て上げた姉と師匠による直々の指導なんだよ?アンネロッタの才能もあってどんどん強くなってる。怖いくらいの成長速度だ」
「…僕は、僕は負けるのか…?」
「うん。確実にね。それでその先どうなるか教えてあげよう。君という脅威で弱ったアンネロッタちゃん。当然助けてくれたリュウガくんにゾッコン!身も心も捧げちゃいますぅ。きゃあエッチ!所謂君はかませ。リュウガという主人公が活躍するための踏み台に過ぎないんだよ」
「僕の、僕のアンネが汚される…」
「…ねぇ?君はそれでいいの?」
「そんなの…許せる訳が無い…許せる訳ないんだ…だってあんねは僕のものなのに!」
「フフ…だよね?なら君にプレゼント。さぁ受け取って。動ける状態になったらこれを持ってリュウガ達と同じ階層で狩りをすればいい。それだけなら監視も気付かないさ。これは人為的な災害を起こすおもちゃなんだ。スタンピード。聞いたことがあるだろう?君は巻き込まれないように注意しなよ?」
「…これさえあれば…僕のアンネを守れる…」
「うん、守れるよ。悪いドラゴンからお姫様を取り戻そう。これで今日から君が主人公だ」
「…クラネル。確かに君は主人公だ。滑稽な喜劇のね…さて、流石にリュウガ達もアンネロッタ達を強くするために2人だけ迷宮に行かせるタイミングがあるだろうし…彼女達もこれで強くなってくれるかな…」
2ヶ月後 地下迷宮
「…ふぅ。アンネ、そろそろ休憩しましょう」
「そうね…はぁ〜疲れた…」
私とアンネは現在地下迷宮に潜っていた。カレラさんから「我が弟やトワに頼りきりにならないように2人だけで潜ってこい!」と言われて1週間分の食料と水を入れた魔法の袋を渡されて迷宮に放り込まれたのだ
「…こうやって2人だけで潜ってると私達って結構リュウガくん達に頼ってたんだなぁって思いますね…」
「そうね…だからこそ、私達は強くならないと。頼りきりになるんじゃなくて、私達も頼られるように」
「ですね…それはそうと…」
私達は離れた場所で狩りをするフェイラーテのパーティを見つめる
「…今のところ何もされていませんが…」
「…不気味…ね」
何度かすれ違う事があったが徹底的に無視してくる様子があまりにも不気味だった。今のところ手出しされてないから無視しているが危なくなったら直ぐに逃げる様警戒している
「とりあえず今日が最終日です。最後まで気を引き締めて行きましょう」
「そうね。悔いのないようにしないと…」
「それじゃあそろそろ狩りを再開…ん?」
だがそこで私の本能が警鐘を鳴らす。フェイラーテではなく彼が持つ剣…何の変哲もない鉄の剣のはずなのに凄まじく嫌な予感がした
「…アンネ、予定変更です。凄い嫌な予感がしますので地上に戻りますよ」
「?わかったわ」
現在位置は地下6階。直ぐに地下5階への道はフェイラーテの方が近い
「!アンネ!警戒を!」
「ええ!」
フェイラーテが剣を地面に投げ捨てると剣の表面にヒビが入る…すると鉄に隠された白い刀身が顕になり、そこから可視化できるほどのエルナが吹き出した
「マズイ…!」
「これスタンピードが起こるんじゃ…!?」
スピードを上げて走るがフェイラーテが卑屈で愉悦に満ちた笑みを浮かべると天井に向かって爆発系の魔術を放つ
「お前らはそこで死ね!アハッアハハハハッハハハハ!!」
天井が崩れ5階への道が塞がれる。だが今の私達はそれどころでは無かった
「…アンネ」
「…ええ」
収束するエルナ。それは少しずつ大きな体を形作っていく
「…これは本当に覚悟を決めないとですね…」
「…一応救難信号を飛ばす魔道具使ったけど助けに来るまで生き残らないといけないわ」
「GYURAAAAAAAAAAAAAA!!!」
2本の足で立ち、手は短く異常に発達した顎。鈍い灰色の爬虫類じみた肌…推定ランクは恐らくランク3…
「っ!突進来ます!」
「!」
重心を前に倒して突き進んでくる魔物。左右に飛び退くとそれぞれ魔術を発動する
「【剛炎槍】!!」
炎槍の魔術を八つ展開しそれをひとつに纏めて放つ剛炎槍を撃ち込むと同時にアンネも斬月の魔術を走らせ疾走する
「「!?」」
だが剛炎槍は直撃した胸板に申し訳程度の火傷を負わせた程度に留まり斬月は体表で受け止められてしまう
「っ!」
「アンネッ!」
魔物が体を一回転させ遠心力のついた尻尾がアンネに掠る…が掠っただけでアンネは派手に吹っ飛ばされてしまった
「っ!危なっ!」
突進してきた魔物を咄嗟に躱しアンネを抱えて距離をとる…がすぐに咆哮を上げながら距離を詰めてくる
「ありがとうクーナ」
「お礼は嬉しいですがそれどころじゃって跳んだぁ!?」
3メートルという巨体でジャンプし器用に体を捻りながら尻尾を上から叩きつけてくる
「GYURAAAAAAAAAAAAAA!!!」
私達を殺し損ねた事が不満なのか地団駄を踏みながら咆哮を上げる
「…これどうしましょうかね…」
「私の剣じゃ切れないしクーナの炎も効かない…いや、効きはするけどそこまでダメージを受けてないわね…」
「あそこまでダメージが無いと凹みますがね…」
「私の場合ダメージを与えることすらできてないんだけど…って言ってる場合じゃないわね!」
再び魔物がタックルを仕掛けてきたので飛び退き同じように攻撃を仕掛けるがやはり大したダメージにはならなかった
「…アンネ。私の炎で鱗と皮を焼きますのでそこを切ってください」
「わかったわ。気を付けてね」
「アンネもですよ」
私達はそれぞれ左右に別れて攻撃を仕掛ける
(狙うなら先程剛炎槍を当てた胸…あそこに攻撃を集中させましょう)
「炎槍は通じないでしょうし…剛炎槍!」
再び剛炎槍を連打する。演算領域の関係上今の私では8発分の炎槍でしかできない
「ちまちました作業ですが背に腹はかえられないです」
「GYURAAAAAAAAAAAAAA!!!」
勿論魔物が黙って喰らい続ける訳もなく薙ぎ払いや噛みつきを仕掛けて来るが火狐の身体能力と身軽さで躱していく
「と言ってもかなり速いですしギリギリですが!」
狐耳を牙が掠り若干青ざめつつも剛炎槍を撃ち込むのを辞めない。できる限り鱗と皮を焼いて脆くしないと自分達が助からない
「ふぅっ!」
「GYURAAAAAAAAAAAAAA!!!」
アンネも攻撃をして上手く気を逸らし剛炎槍を打ち込む隙を作ってくれている
「これで…ラスト!」
とうとう鱗と皮が剥がれ落ち肉が露出する
「アンネ!」
「斬月!!」
「GYURAAAAAAAAAAAAAA?!」
露出した胸部にクヴァル・ベステが突き立てられ切り裂かれる
「…死んだ?」
「…そう簡単に死ぬとは思えませんが…!?」
次の瞬間魔物は大きく口を開くと極大の火球が私達に向かって放たれる
「っぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
咄嗟に腕を火球に突き刺し何とか制御しようと魔術を展開する
「っ―――!!!」
だがいくら炎と熱に耐性を持つ火狐でも焼け焦げてしまう熱力を制御するのは困難だった
「舐めるなぁァァァァァァァ!!!!」
「GYUA!?GYURAAAAAAAAAAAAAA!!!」
それでも気合と根性で制御し火球を投げ返す。魔物も全力で放った攻撃を返されてはたまったものではないらしく全身が焼け爛れていた
「っ…ま、魔力が…」
「クーナ!」
だが魔力も加護も使い果たしてしまい倒れ伏してしまう
「…あ、んね…」
私の前にアンネが立ったところで私の意識が途絶えてしまった…
「…クーナ」
意識を失ったクーナの前に立ち魔物にクヴァル・ベステを構える
「…」
「GYURAAAAAAAAAAAAAA?!」
(…大丈夫)
なんの根拠も無い…だけどそんな確信があった
(今までは何処か自分は担い手に相応しくないと言う葛藤があった)
だが今は違う
(自分の剣を見つけた。自分の全てを受け入れた。もう迷わない)
「GYURAAAAAAAAAAAAAA?!」
迫り来る巨体。だけど焦ることは無かった
『やっと至りましたね。それでこそ私の担い手です』
何か声が聞こえた気がする。だけど今はそんなことどうでもいい
『それでいいのです。今は成すべきことを。心の赴くままに私を振るいなさい』
「―――」
「GYURAAAAAAAAAAAAAA?!」
「―――斬月」
――一閃。魔物の頭に剣閃が走る
「ぐぎゃ?」
次の瞬間魔物は真っ二つに別れ、何も分からないまま魔物は永遠の闇に意識を落とした
「―――ぁっ…」
だけど私もそこで限界が来て倒れてしまう
「よく頑張ったな」
「後は我らに任せろ」
「ぁ…」
だけど受け止めてくれた人が居た…世界で1番頼りになる2人が
「おや、すみ…」
「お疲れさん」
「おーい速く帰るぞー」
「ういうい」
何時も追いかけている背中に背負われる感覚と共に私の意識は暖かい闇に落ちていった…
『おやすみなさい』
To Be Continued…
オマケ
「…やっと至りましたね…」
真っ黒な空間。そこにある玉座に座るソレはそう呟く
「いやそれにしても義姉上もマスターも荒療治が過ぎるのでは…下手したら死んでますよ…」
そう言って苦笑するソレの目の前に龍と背負われるアンネ、クーナを引きずりながら歩くカレラの4人が映された鏡があった
「主はランク2に到達し私の力を引き出せたので結果オーライではありますが…こういうのはもう少し手心があってもいいと思います…いくら近くから様子を見ていたとはいえ…いやこれは私が過保護なのか?」
ハエの複眼を模した赤いレンズのゴーグルを着けた頭を揺らしながらそう呟く
「…!…!」
「…おや?まだ動ける気力があったんですね?」
空間の隅っこに転がるビー玉サイズの小さな肉塊、そこから聞こえる声なき声にそう返すソレは肉塊をつまみ上げる
「私に負けて立場を奪われたくせして未だに主の肉体を奪って復活を目論むとか…」
「…!…!」
「…もう残しておく理由も無いですし、消えてもらいますか」
「?!」
つまみ上げた肉塊を奥歯で挟み込む
「!!…!!…!!!!!!!!」
「さようなら」
ぐしゃり、という生々しい音とともに噛み潰される肉塊…そのまま咀嚼され飲み込まれると空間が塗り変わる
「少なからず残ってた影響が消えて支配権が完全に私に移りましたか…それなら好きな様に模様替えをさせてもらいましょう」
真っ黒な空間に色とりどりの壁や床、家具がどんどん設置されていく…まるで支配者が変わったように
「…あぁ…そう言えばひとつ言うことがありましたね」
思い出したようにそう言うとソレは毒々しい桃色の髪を揺らしながら嘲る様な笑みを浮かべる
「味はそこそこでしたよ?魔王クヴァル・ベステさん?」
虫のような透明な羽を伸ばし、ソレは心底愉快そうな笑みを浮かべて笑うのだった…
次回の深海の龍帝は何を成す?は…
「行ってこい!」
「頑張って下さい!アンネ!」
「…行ってきます!」
選定の時来たる!
「…君には聞く権利がある」
「聞かせてもらおうか」
龍と話す人物は…?
次回!「選定の日、そして…」
キャラ解説…要る?
-
書け!
-
別に要らんじゃろ