深海の龍帝は何を成す?   作:リア・ユグドラシル

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「ぜーんかいのあらーすじ〜!」

「今回は妖精さんと私!クーナが担当です!」

「ぜんかいはアンネちゃんが晴れて公式でもクヴァル・ベステの担い手として認められました〜!」

「良かったです…心配ないとはいえ不安だったので…」

「その後龍とトワは王様に呼び出されてオークレール没落の真実を知ることに…」

「…一応私はまだ知りませんが…かなり闇が深い話でしょうね…」

「正直今アンネちゃんに言えるものではないらしいですからね…」

「…まぁいずれ知る時が来るでしょうし、暗い話はここまで!」

「…ですね!それじゃあ本編!」

「「ゆっくりしていってね!」」

「「エルシエの王との邂逅」」


エルシエの王との邂逅

王と面談を終えた龍とトワ。宿にたどり着くと気配探知を使う

 

(…クーナは居るな。慌てて帰ってないか心配だったが…)

 

「クーナ、入るぞ」

 

部屋に入ると布団を被ったクーナがブルブル震えながらこちらを振り向く

 

「誰も、居ませんよね!?尾行なんてされてませんよね!?」

 

「一応確認してたけど誰も着いてきてなかったよ」

 

「同じく」

 

「良かった…」

 

ほっと一息つくクーナだが龍とトワは言いたいことがあった

 

「…なんだこの臭い…」

 

「香水の匂いがキツい…これクーナだよね?キツイからお風呂入ってきてよ…」

 

「リュウガくん!?トワまで!?」

 

龍はドラゴンのスペックの高さ故に嗅覚も鋭いので強すぎる香水の臭いはかなり堪えた。なんならトワも顔を顰めている

 

「…王都に居る間だけは勘弁してください…ユキ姉様が来るんです…ユキ姉様、すごく鼻がいいからこうして私の匂いを塗りつぶさないと見つかっちゃうんです…」

 

「クーナの姪だったっけ…なんかすごい警戒してるけど…」

 

「姪ですよ…私の方が年下で忙しい両親や兄姉の代わりに私を育ててくれたんです…火狐式スポ根教育法で…」

 

「あっ(察し)」

 

「…」

 

何となく察したトワと未だに鼻をつまみながらも仕方ないとため息をつく龍…暫く鼻栓をすることにしたのだった

 

「で、お前まさかアンネの帯剣式にも出ないとか言わないよな?」

 

「それはもちろん出ますよ…でも…」

 

「…うーん…どっかで話が出来るタイミングがあれば…あるいは?」

 

「まぁ強硬手段に出てくるなら…な?」

 

「だね」

 

そう言って顔を見合わせる龍とトワ…少なくとも2人は手段を選ぶつもりは無い

 

「…いくら2人が強くても流石にお父様相手は…」

 

「うーんさっき王都正門にやたらでかい反応を拾ったが…多分勝てるぞ」

 

「…カレラ様と比べたら気配が弱すぎるし…」

 

「…何故でしょう。マジで勝てそうな気がします…」

 

そう言って遠い目をするクーナ

 

「それ以前にクーナはもう16だろ。何時までも子ども扱いするなって言っても問題ないだろ」

 

「だね。今更誰かに自分の人生のことで指図されることも無いでしょ」

 

「2人とも…そうですね。もう私も子どもじゃないんですから…ね」

 

「「やってる事は大体子どもっぽいけどな(ね)」」

 

「最後の最後で台無しにしないで下さい!?」

 

頬をふくらませながらポカポカと叩いてくるクーナをいなしつつハーブティーと茶請けの準備を始めるのだった

 

翌日…

 

「これおいひいれふ!」

 

「頬張りながら喋るな行儀が悪い…」

 

「満喫してるねクーナ」

 

3人は王都の散策をしていた(尚アンネは帯剣式の準備で忙しいため居ない)

 

「食うのは結構だが晩御飯に支障がない程度にしておけよ?」

 

「わかってまふ!あ、これもおいひほおう!」

 

「ダメだこりゃ」

 

冷やしたフルーツの屋台に駆け寄るクーナを見て呆れた様子で首を横に振る龍

 

「…ん?向こうが騒がしいね?」

 

「なんか始まるのか?」

 

街の外に続く門の方から自警団が人々を道の端に寄せ、ロープで道の中央に入れないようにしていた

 

「おい。なんかあるのか?」

 

「ん?アンタら知らないのか?今日はエルシエから大魔術師シリル様一行が来て下さるんだよ!今からこの大通りを馬車で通るからその為の準備さ。皆一目見たくてこうして集まっているんだよ」

 

「なるほどな…」

 

ちらりとクーナを見ると汗をダラダラと流しながらガタガタ震えていた

 

「リュウガくん。トワ、私は用事を思い出したので「ちゃんと向かい合って話すって言ってたでしょ。黙って待つ」ふええ…」

 

逃げようとしたクーナを後ろから羽交い締めして留めるトワ。念の為龍はフード付きローブをクーナの頭から被せる

 

「これで多少はマシになる…っと来たか…」

 

貴族にありがちな華美な物ではなく、装飾は最小限だが機能美に満ちた馬車が通る

 

「…あれが…」

 

「クーナの親父さん…この世界の最強…か」

 

「へぇ〜強そう」

 

馬車の中から手を振る一人の男…クーナから聞いた話だと既に40歳後半のはずだがその見た目は20代後半の美しいエルフの男…現世界最強の男シリル・エルシエ

 

「…ん?」

 

シリルがこちらに顔を向けた瞬間一瞬硬直した様に見えたが直ぐに元の様子で手を振る

 

「…なんだろうね?」

 

「なんかこっちを見て固まった様だったが…」

 

「バレてないですよね!?私バレてないですよね!?」

 

「そのコート一応妖精印だしそう簡単に分からないと思うぞ」

 

「…なんかそれだけで安心出来ました…」

 

不安そうなクーナを宥めつつ馬車を見送る

 

「…とりあえずどっかで会ったら喧嘩売ってみるか」

 

「「辞めて!?」」

 

割と好戦的な龍なのだった

 

 

 

 

 

あの後クーナは「不安だから部屋に篭ってます」と言って宿に直行したので龍とトワは街をぶらぶらしていた

 

「食料は買い溜めしてるしなんか面白いものがないかと思ったが…」

 

「まぁそうそう面白いものなんて無いよね〜」

 

そう言い合いながら歩いていると進行方向から目深に帽子をかぶった男が歩いてきた

 

「おっとすみません」

 

「ん?いやこちらこそすまない」

 

前をあまり見ていなかったため男とぶつかってしまった龍。尻もちをついた男に手を差し出す

 

「ん?」

 

「…」

 

「…初対面の相手に解析魔術とは…礼儀がなってないな?シリル・エルシエ?」

 

「…やっぱりバレるか…」

 

男…シリルは苦笑しながら立ち上がる

 

「…とりあえずそちらのお嬢さんはそれを消してくれないかい?」

 

「…ま、いっか」

 

槍を生成して警戒していたトワは槍を消す…だが何時でも魔法を撃ち込めるように構えていた

 

「…流石に警戒は解いて貰えないかぁ…まぁあんなことした訳だし当然か…」

 

シリルは立ち上がると近くにある酒場を見る

 

「せっかくだし、1杯どうだい?」

 

「昼間から飲むのはあれだが…ま、1杯位なら構わん」

 

「そっちの奢りでね?」

 

「そっちのお嬢さんはちゃっかりしてるなぁ…まぁ構わないよ。それじゃあ行こうか」

 

 

 

 

 

 

「…さて、君達とは1度ゆっくり話してみたかったんだ」

 

「ま、それは構わんさ。で?何が目的なのかねぇ?」

 

「そうだね…まずは…」

 

そう言うとシリルは真剣な表情で龍を見据える

 

「…リュウガくん。君は一体何者だい?」

 

「あ?そりゃどういう意味だ?」

 

「君達の出自に関してはアイツから聞いている」

 

「だがリュウガくん。君と直接会ってみて違和感を感じた」

 

「…違和感?」

 

「ああ。より正確には君の魂だ。私はとある事情で魂に関しては精通している。だから君の魂の異質さがよくわかるんだ」

 

「…具体的には?」

 

「…欠けた部分を別の物で埋め合わせ、それを黒いモヤが包み込み、埋め合わせた物を馴染ませている…もうほとんど馴染んで安定しているが…普通なら崩壊していてもおかしくはない」

 

「…うーん…正直欠けたとか埋め合わせたとか…俺は思い当たることがないんだよな…」

 

思い当たることがなく首を捻る龍。それをシリルはじっと見つめる…が直ぐに苦笑する

 

「まぁわからないなら仕方ない…次の話をしよう」

 

「だな。何も分かってないことを議論するよりも建設的だ」

 

龍がそう言うとシリルは口を開く

 

「俺はエルシエの代表としてクヴァル・ベステの帯剣式に招待された…でもそれはついでだ」

 

「国の代表としての仕事がついでとはな…」

 

「国王がそれ言っていいの…?」

 

「まぁ俺にとっては何よりも大事な事だ」

 

そう言っているとウェイトレスが前菜を持って現れる

 

「情けない話だが家庭の問題だ。娘が家出してね…」

 

「…へぇ?国のお姫様が家出ねぇ?」

 

「まぁそう言う気持ちもよくわかる。よかれと思って娘に縁談を勧めたのだが怒って家を取り出してしまった。頭が良い子だが世間知らずだし、人が良すぎるから心配だったんだ。だけど知り合いが娘が王都に来ていると教えてくれてね。無事を確認しようと思ってきたんだ」

 

「ふーん…」

 

どこかで聞いた話に僅かに反応するトワ

 

「娘の名前はクーナだ。母親が火狐族でね。俺には似てないし種族も違うが可愛い娘だよ」

 

その言葉に若干顔を顰める龍とトワ

 

(コイツ…まるでまだ見つかってない風に言ってるが…)

 

(…多分もう宿に隠れてることがバレてるよねぇ…)

 

BBから聞いた情報にはもちろんシリルの物もあった

 

曰く、世界最強にして唯一のランク6

 

曰く、精霊に愛されし者

 

曰く、エルシエの発展は彼の知識によるもの

 

(風の精霊の力を使えば大体の情報は集められる…となると俺達に接触してきたのは…)

 

(…見定める為…か)

 

「で、それを俺たちに言ってどうする?」

 

「…もう分かりきってるだろう?」

 

そう言って龍達に絞って殺気を向けるシリル…だいたい察した龍は手を焔の柄に乗せる

 

「少々付き合ってもらえるかい?」

 

「殴り合いか?上等」

 

そう言って2人は店の外に出ようとする…が

 

「ご注文の料理をお持ちしました」

 

「「…」」

 

「…まずは食べてから」

 

「…だな」

 

「なにやってんのさ2人とも…」

 

出鼻をくじかれたが美味しく料理を頂く3人だった

 

 

 

 

 

 

「さて…この辺がいいか」

 

「そうだね。それじゃあルールを決めようか」

 

王都の郊外で3人は話し合っていた

 

「そうだな…加護が半分を切るか降参で負けでどうだ?」

 

「それくらいが丁度いいね。君を殺したらクーナに一生恨まれそうだ」

 

「こっちも仲間の親を殺すのは避けたいしな」

 

そう言っているとトワがコインを1枚取り出す

 

「それじゃあコインを弾くからそれが地面に付いたら開始で」

 

「「異議なし」」

 

「それじゃあ…」

 

キンっという音と共にコインが高く打ち上がり…

 

「!」

 

「はぁ!!」

 

龍の拳とシリルの拳が激突した

 

「ちっ!」

 

「ふぅ…!」

 

そのままフェイントを交えた殴り合いが続く

 

「ふぅっ!」

 

「オラァ!」

 

一旦距離を取りシリルが風の、龍が炎の魔法を放つと風によって炎が拡散し周囲が焦土と化す

 

「これでも食らっとけ!」

 

大焦熱地獄

 

「ぬぅ!?」

 

龍が地面を強く踏みしめると地面に日々が入りそこから獄炎が吹き出す

 

「やってくれるね!」

 

「うぉぉ!?」

 

「トワ様までぇぇぇぇ!?」

 

次の瞬間暴風が吹き荒れ龍とトワを吹き飛ばす

 

「ちっ!流石はハイエルフ!風の扱いは一流ってか!?」

 

「これでも長生きしてるからね!そう簡単に負けるつもりは無いさ!」

 

そう言うシリルだが内心は冷や汗ダラダラだった

 

(最初から風を使わないと対応しきれないと思っていたが…まさかここまでとは…)

 

「そこっ!」

 

「ぬっ!」

 

(考えてる暇はないか!)

 

今度は水の槍を無数に飛ばしてくる龍に風と炎を合わせた槍で迎撃する

 

「水葬…」

 

「!」

 

海砕き

 

龍が海神を抜くと水を纏わせ地面に叩きつけると地面を砕きながら濁流が迫る

 

「くっ!」

 

シリルは風の防壁を展開し防ぐとお返しとばかりに雷を放つ

 

「がっ!?んなろ!」

 

周りが水浸しだったためモロに食らってしまう龍だがカウンターとしてミサイルを放つ

 

「!ホーミングか!」

 

「それだけじゃねぇがな!」

 

シリルの動きを制限するようにガトリングを乱射するとミサイルが着弾。周囲が煙に包まれる

 

「っ…結構きついなぁ!」

 

「ちっ!浅いか!?」

 

若干煤けたシリルが飛び出し岩の弾丸を飛ばしてくる

 

「「ぜぁぁぁ!!」」

 

弾丸を海神で叩き落とすとそのまま龍は斬撃を、シリルはオリハルコンの腕輪を槍に変えて近接戦に移行する

 

「「!」」

 

数度打ち合い互いの顔面に一撃打ち込むと距離をとる

 

「ぜぇ…ぜぇ…」

 

「ちっ…結構いいの貰っちまったか…」

 

(き、基礎体力から違いすぎる!というか身体能力強化全力で使ってやっとくらいつけるとかどうなってるんだ!?)

 

「だが…」

 

「!」

 

「こいつでしまいだ!」

 

朧流水斬

 

「っ!はぁぁぁぁぁ!!」

 

龍の高速斬撃とシリルの連続突きがぶつかり合う

 

「ぜりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

最後の最後でシリルの槍を吹き飛ばすと袈裟懸けに斬り捨てる

 

「試合終了!勝者、龍我!」

 

その一撃がシリルの加護を削り取り、龍の勝利となった

 

To Be Continued…




次回の深海の龍帝は何を成す?は…

「娘の事で大切な話がある」

「…」

「…それ、マジで?」

龍とトワが知ったクーナの秘密!?

「うわーん!許してください!」

「ダメ、私達もすごい心配した」

お仕置キーツネ!?

「ターゲット発見…」

「生憎お前ら程度の奴にくれてやるほど俺の仲間の命は安くない」

迫る魔手…!

次回!「クーナの秘密と迫る影」

キャラ解説…要る?

  • 書け!
  • 別に要らんじゃろ
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