深海の龍帝は何を成す?   作:リア・ユグドラシル

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九尾の炎を従えて

ソラの案内で屋敷に招かれた龍達は出された緑茶を飲みながら茶菓子を食べてのんびりしていた

 

「…さて、一服したことですし、そろそろ本題に入りましょう」

 

「だな」

 

一旦お茶を置いて向かい合う

 

「今回、皆さんがエルシエに来られた理由は戦力の増強…特にクーナとオークレールさんを鍛えることでしたわね?」

 

「だな。俺もトワもアイツら相手にならそうそう負けないし、そもそも鍛えるための設備がここでも足りなさそうだ」

 

「…父から話は聞いていましたし、そこに疑問はありません。ただ…クーナに関しては宛がありますが…オークレールさんに関しては…」

 

「俺の方にも宛はあるから安心しろ。それにシリルも同じことを考えているはずだ。だがこれはまだ余裕がある。今最も急ぐべきなのはクーナの九尾の火狐の制御だ」

 

クーナは九尾の火狐の制御が急務だがアンネに関してはまだそこまで急がなくてもいいと龍は考えていた。ぶっちゃけ暴走する危険性があるクーナを先にどうにかしないと死人が出る危険性があるからだ

 

「…そうですか。ではそのように…そう言えばリュウガさんはクーナと同じく九尾の火狐の力を扱えるそうですが…」

 

「あれは最早九尾の火狐とはよく似た別物だ。あれを基準にはできん」

 

龍の夜叉九尾は改修剤の素こそクーナの九尾の火狐の因子だがそこに妖精が手を加えて改造したものである為、最早九尾の火狐とは別物になっている(クーナの九尾は魔術の領分だが龍の九尾は肉体改造と魔法によるものだったり)

 

「そうですか…ではおふたりはどうするおつもりで?」

 

「ここって迷宮あるだろ?」

 

「…そう思った理由は?」

 

「簡単だ。ここの軍は強すぎる。他の国と比べてな。ここまで精強な軍を作るには魔石が大量に必要だ。それも自分達で狩った魔物の…な。ならそれを供給できる迷宮があると考えるのが自然だ」

 

そう言うとソラは目を閉じ、頷く

 

「その通りです。エルシエの地下には秘匿された迷宮が存在します。それは皆さんが住む封印都市にある物に匹敵するものが」

 

「だからそこに潜って素材集めをしたい」

 

「…父からリュウガさん達が持つ武器や素材はこの世界のそれを遥かに上回ると聞いていますが…」

 

ソラの言葉に頷きつつも龍は続ける

 

「正直俺達と同質の材料を使った武器や防具を用意することも考えたが…それだと武器に使われる可能性が出てきてな…」

 

「…なるほど。良質すぎるが故にですか…」

 

元々武器(と言うか生物兵器)である龍やウルティマの地獄の特訓を受けていたトワは振り回されることは無かったがクーナが試しに双剣を使ってみたところ振り回される結果となり、妖精印の武器の導入は延期されることとなった

 

「そういう訳だからまずはこの世界由来の素材を使って物を作ってからにしようって話になってな」

 

と言っても龍達は魔鋼とかは使うつもりだった

 

「というわけで迷宮に入る許可を貰いたい」

 

「わかりました。そういう事なら私の名義で許可を出しておきます。ですので…」

 

「わかってる。手を抜くつもりは無い」

 

そういうと龍は立ち上がる

 

「おや?どちらに?」

 

「ちょっと外に」

 

そう言って龍は扉を開けて外に向かった

 

 

 

…………………………

 

「…ふむ。いい街だな」

 

エルシエをふらつく龍…屋台で買ったホットドッグモドキをかじりながら周囲を見回す

 

「ん?あんな飲み物もあるのか…1つくれ」

 

「あいよ!120バルだよ!」

 

「ほいほい」

 

赤い飲み物を購入し、口に含む

 

「…これメロンソーダだ」

 

イチゴと思って購入した飲み物がまさかのメロンソーダ味である事に驚く龍

 

「面白いな…ん?」

 

「おい。ちょっとツラ貸せ」

 

そう言ってきたのは門で龍に喧嘩を売ってきたクーナ親衛隊の1人だった

 

「なんだまた殺られに来たのか?」

 

「いいから黙って着いてこい」

 

(…最悪殺ればいいか)

 

そう判断して龍は男について行く

 

………………………………

 

「…ここは?」

 

「俺たちクーナ様親衛隊の訓練場だ」

 

森の中にある開けた場所、そこにはクーナ親衛隊の面々が龍を待ち構えていた

 

「で?結局殺るのか?」

 

「…まぁそうだな」

 

そう言って案内した男が槍を構えると他の親衛隊も武器や魔術を構える

 

「…俺達からしてみたらどこの馬の骨とも知れないやつがいきなりクーナ様を掻っ攫って行ったようなものだ。納得できないやつが居るのは当然だし、俺だって納得出来ていない…だから」

 

そこで1度言葉を止め…

 

「強さを示せ」

 

「OK全力で叩き潰すわ」

 

この後森の半分がクレーターになり、エルシエ全域で震度5強の地震が観測された

 

 

翌日…

 

「うーん…」

 

「…ちょっと素材が微妙?」

 

龍とトワは早速エルシエの迷宮に潜っていた…が集まっている素材が龍達目線ではあまり品質が良くなかった

 

「いやまぁこの世界だとかなり高品質なんだろうけどさ…」

 

「俺達基準にするのは辞めた方がいいなこれ…」

 

「…とりあえず上澄みだけ持ってくか」

 

2人は素材の仕分けを行い、一旦迷宮から出ることにした

 

ドラゴン&悪魔移動中…

 

「さて、早速工房に…」

 

「「リュウガ様!」」

 

「「ん?」」

 

出てきた龍達に慌てた様子の2人の火狐が走ってきた

 

「何かあったのか?」

 

「それが―――」

 

次の瞬間火狐が走ってきた方角から朱金の火柱が噴き上がった

 

「…OK。だいたい察した。すぐに向かう」

 

「お願いします…」

 

「代わりにトワと一緒に素材運んでくれ」

 

「「わかりました」」

 

龍から素材を受け取るとトワと共に屋敷に戻って行った

 

「ったく面倒な…」

 

そんな事をボヤきながら龍が現場に到着すると…

 

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ぐぐぐ…」

 

「うぅ…」

 

暴走寸前のクーナと必死に朱金の炎を散らすソラとライナ(ユキナの義父でクーナの兄の筋肉モリモリマッチョメンな最上位の火狐)が居た

 

「状況は…あんま良くなさそうだな」

 

「リュウガか!?スマンがあまり長く持ちそうにない!」

 

「分かってる。あとは任せろ」

 

そう言って龍が2人の前に出ると同時にクーナが2人の妨害を振り切って暴走を開始する

 

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「…世話が焼けるな…」

 

自身の体内の因子を活性化、それに伴い龍の髪と尻尾の色が白から黒に塗り変わり黒い炎が朱金の炎を侵食するように吹き荒れる

 

夜叉九尾

 

「さて…」

 

龍が手をかざすとクーナが纏う朱金の炎を黒い炎が絡め取り、塗りつぶして制御を奪い取る

 

「ぁぁぁぁ…」

 

完全に朱金の炎が剥がれるとクーナが倒れ込み、地面に頭を叩きつける寸前で龍が受け止める

 

「さて、この後どうするんだ?」

 

「…とりあえず俺たちも疲れたから今日はここまでだな」

 

「了解。そんじゃあこのまま寝かせてくる」

 

そう言って龍はクーナを抱えて屋敷に戻って行った

 

「…ナチュラルイケメンムーブしてますね」

 

「…アイツいつか背中から刺されそうだな…」

 

そんな事を呟く2人だった

 

 

 

数日後…

 

「…すーはー…」

 

エルシエ特殊部隊イラクサと龍達が見守る中、クーナは自らの意識を集中させる

 

「…大丈夫なの?」

 

「大丈夫だ。ここ数日は俺も付き合ってたからな。ヤバくなったら止めれる」

 

そう言って龍はクーナを見つめる…だが龍はそんな身構えなくてもいいと判断していた

 

「…っ!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

気合いの入った声と共に朱金の炎がクーナから吹き出す…が今までと違ってそのまま嵐のように吹き荒れるのではなくクーナの周囲を繭の様に覆っていく

 

「―――せいっ!」

 

繭を形成する炎が解けるように広がり、八本の尻尾を形成、クーナの瞳は濁った理性のないものではなく、明確な理性の光が灯っていた

 

「…やれやれ…やっとどうにかなったか…」

 

「これである程度安心できるな…まぁ、まだ荒い所があるみたいだからそこは要改善だな」

 

「普通に褒めてくれていいと思うんですが!?」

 

褒めてくれない龍に不服な様子でブー垂れるクーナ

 

「事実だろう?これからは炎の安定化を始めとした修行だから頑張れよ」

 

「うぅ…ライナー兄様はスパルタです…」

 

しょぼくれるクーナを見て、今度クーナの好物を用意することを決めた龍だった

 

to be continued…




次回の深海の龍帝は何を成す?は…

「私も頑張らないと…もっと…」

焦るアンネ…

「無茶のし過ぎだ。少し頭を冷やせ」

「そーそー。アンネが居なくなったらみんな困るんだからさ」

2人の言葉は…

「改めて、お初にお目にかかります…私の名は…」

龍、アンネの前に現れたのは!?

次回!「暴食の魔剣」

キャラ解説…要る?

  • 書け!
  • 別に要らんじゃろ
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