幸恵
(ん……あれ? 私……)
ドラルが家に向かっている途中で、幸恵は目を覚ました。
幸恵
(確か、変わった格好をした人に捕まって、助けられて、それから……あ、私、気絶しちゃったんだ……)
意識がだんだんとはっきりしていき、同時に視界も鮮明になっていくとドラルの顔が写り、目線が合う。
ドラル
「気がつきましたか?」
幸恵
「(この声……もしかして、さっき助けてくれた……)は…はい。あの……」
ドラル
「今、貴女の家に向かっている途中なのですが、気絶されていたので……その、こういう体勢なのには目を瞑っていただけませんか?」
幸恵
「体勢? どういう……え!?」
言葉の意味がわからず、自分の周囲を確かめるとようやくわかった。彼女は現在、ドラルに抱きかかえられていた―――お姫様抱っこの状態で。
幸恵
(う、嘘! 私、初対面の、それも男の人にお姫様抱っこされてる!? まだ付き合ったこともないのに……はぅぅぅ~!)
ドラル
(いかん……気絶している時は何ともなかったが、今更ながら恥ずかしくなってきた……こんな所、クロ達に見られたら何て言われるか……)
互いに顔を赤くして、目線を逸らしてしまっていた。
ドラル
「(気まずい…どうにか話題を変えないと!)あ…もう家に着いたか」
立ち止まった家には『石田』の表札が掛けられていた。ここが彼女の家で間違いはなさそうだ。
ドラル
「では、よっと」
幸恵
「あ……」
身を屈め地面に幸恵を降ろすが、その瞬間彼女はどこか緊張が抜けたような、残念がるような声を出した。
ドラル
「それでは、俺はこれで」
幸恵
「(え…もう行ってしまうの? まだ私、貴方のこと何も知らないのに……)ま、待ってください!」
ドラル
「?」
幸恵
「その、もしよかったら、ですけど……上がって行きませんか?」
ドラル
「……いいんですか?」
面食らったかのように、ドラルは驚いた表情で尋ね返した。
幸恵
「助けてくれたお礼をしないといけませんし。それに…………」
ドラル
「何か?」
幸恵
「な、何でもありません! とにかく、上がって行ってください!」
ドラル
「あ、ああ。なら、お言葉に甘えて……」
若干困惑しつつ、ドラルは幸恵の家に上がることとなった。
幸恵
「先ほどは、本当にありがとうございました。…粗茶ですが、どうぞ」
ドラル
「どうも。……む。これは中々……」
リビングに案内され、椅子に座ったドラルはテーブルの上に出された緑茶を口に含んだ。結果は反応の通りだ。
幸恵
「本当ですか? よかった。私、こう見えて茶道の経験があるんですけど、あまり自信がなくて……」
ドラル
「謙遜することはありませんよ。少なくとも、俺の口にはぴったりです。……これなら、いい嫁さんになれるな(ボソッ」
幸恵
「ふぇえええ!?」
目の前から聞こえた悲鳴の様な声に何事かと身構えるドラルだったが、すぐに自分の小声が原因だと気づくと「あっ」と声を漏らした。
ドラル
「失礼、つい……」
幸恵
「い、いえ。気にしてませんから(嫁さんって……確かにカッコイイし、優しそうだし、何より私を助けてくれたし……って、私何でこの人を基準に考えてるの!?)」
ドラル
「っと、そう言えば名乗るのが遅れました。俺の名前はドラル。ドラル・パーソイルです」
幸恵
「…はっ! ド、ドラルさんって言うんですか。私は、石田幸恵と言います。よろしくお願いします」
ドラル
「こちらこそ、よろしくお願いします。石田さん」
幸恵
(……むぅ……)
互いに自己紹介したのはいいが、名字で呼ばれたことに何故か幸恵は少しむっとした。
幸恵
「……名前で」
ドラル
「え?」
幸恵
「私のことは名前で呼んでください。それから、話す時は助けてくれた時みたいにタメ口で構いませんから」
ドラル
「は、はあ。わかり……わかった」
幸恵
「すいません、無理言って」
そう謝ったが、自分でも何故ムキになったのかはわからなかった。あれこれ考えながらドラルを見やると、彼の服装に目がいった。
幸恵
「もしかして……ドラルさんも医師なんですか?」
ドラル
「え?(ああ、白衣着ているからか)いや、医者ではない」
幸恵
「じゃあ、何か研究開発を?」
ドラル
「……そんなところだ」
実際G6他様々なアイテムやメカを開発しているので、あながち間違いではない。
幸恵
「そうなんですか。……なら、アレも手作りなのかな(ボソッ」
ドラル
「アレとは?」
幸恵
「へっ!? い、いや別に、あの赤いロボットみたいなのは貴方が作ったんじゃないかなんて、思って……はっ!」
物凄い勢いで口を滑らせたことに気づいて口を押さえるが、時既に遅かった。
ドラル
「(勘が鋭いな、この人は……)まあ……そうだが」
幸恵
「え…ええええ!? やっぱり!? でもあんな凄い技術なら、メディアが取り上げてもおかしくないのに……研究成果として発表しなかったんですか?」
ドラル
「するも何も、G6は俺が趣味で作ったものだけど……」
幸恵
「あ、そっか―――って趣味!? てことは1人で……どうやったらアレを、誰にも知られずに作れたんですか?」
ドラル
(……いよいよ誤魔化せなくなって来たな……ここはどうするか―――)
幸恵
「……ひょっとして、どこか別の世界から来た、とか?」
ドラル
「ブフォッ!?」
考えてる矢先、幸恵が言った予想の斜め上を突っ切る言葉に思わず茶を噴いた。
ドラル
「な、何でそう考えた……!?」
幸恵
「少し前にはやてちゃんの家に行ったんだけど、その時偶然にも……戦艦? を見ちゃいまして。それで初めて知りました。異世界から来た人達を」
ドラル
(戦艦って……丸っきりシュウトさん達じゃないかぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!)
心の中で叫び、思わず頭を抱えたくなった。
幸恵
「それで、どうなんです?」
ドラル
「…………合ってます、それで。彼らとは違う
幸恵
「なるほど……これで色々と辻褄が合うわね……」
顎に手をやりながら、何度か頷き思考し始めた。それを見たドラルにある疑問が生まれた。
ドラル
「? 別世界の話を聞いたりしないのか?」
幸恵
「私が? そんなことしませんよ。あんまり根掘り葉掘り聞いたら失礼じゃないですか。……異世界出身でもそうでなくても、ドラルさんが私を助けてくれたのは事実だし」
ドラル
「そうか……」
幸恵の言葉に笑みを浮かべて返す。単に嬉しかったからではない。どうしてか、彼女といると気持ちが安らぐのだ。それは彼女も同様だった。
幸恵
(さっきから何だろう……胸がドキドキして、落ち着かない……)
ドラル
「(妙だ……初対面の筈なのに、どうしてこうも安らぐんだ? クロなら何か知ってるか?)ん…なくなったか……」
空になった湯飲みを見て、ドラルはぽつりと呟いた。
幸恵
「じ、じゃあ、おかわり垂れて来ま―――あっ!?」
慌て気味に席を立った幸恵だが、足がつっかえたのか転びそうになった。
ドラル
「っ、危ない!」
咄嗟に席を立ち、素早く幸恵の前に移動するとぽふっと受け止めた。
ドラル
「大丈夫……あ」
幸恵
「ご、ごめんなさ……あ」
体をくっつけた状態で目が合い、互いの顔が赤くなる。2人の心臓の鼓動が速くなり、それが互いに伝わって来た。
ドラル
(っ、そうか……そういうことか……どういうことかわかった………わかってしまった……)
幸恵
「(ああ……そうだったんだ…だから私、さっきから……)ドラルさん……」
ドラル
「…!」
熱の籠もった目線と言葉に、ドラルは自分の想いに尚更確信を持ち、同時に幸恵の想いも察した。
そして―――
幸恵
「私、ドラルさんのこと…………す…好き……です……!」
ドラル
「!!(やっぱり……!)」
幸恵
「助けて貰って、一緒に話して……初めて会ったのに、気持ちが高ぶって……私「幸恵さん!」!」
ぎゅっと手の力を強め、幸恵を抱き寄せる。
ドラル
「俺も、好きだ……貴女といると、何故だか安心できる。ずっと一緒にいたいと、心から思えた」
幸恵
「ドラルさ「だが!」」
一度顔を合わせ、目をじっと見つめる。
ドラル
「俺は……俺は普通の人間じゃない。信じられないかもしれんが…………俺は、神に近い存在だ。寿命も全然異なる。それでも……いいのか?」
ドラルの言葉に最初は目をぱちくりしていた幸恵だったが、少ししてクスッ、と微笑んだ。
幸恵
「ええ。好きな人に何があっても愛し続けろって、教え込まれてますから。それに、神様に近いってことは仕事の内容も大変ですよね? だったら私が、疲れた時のケアをしてまげます! 得意なんですよ? だって、医者ですから♪」
満面の笑みを見せながら言う彼女にドラルは驚くと同時に、「やはり、この人だな……」と思いフッと笑った。
ドラル
「なら、付き合うのに悩む必要もないか……」
幸恵
「え、それじゃあ……」
ドラル
「こんな俺でよければ、傍にいてほしい。これから、ずっと」
幸恵
「……はい! ずっと、一緒です!」
想いを伝え合い、再度抱き合う。今日が初対面ながら、2人は厚い愛情で繋がっていた。
ドラル
(俺に、こんなにかわいい彼女ができるなんてな……悪いなクロ。先越させてもらったぜ)
心の中でドラルは、別世界の少女達を救いに行っている青年を思い浮かべた。
余談だが、縛られたままどこかに飛ばされた神城ガイアは、あの後フルパワーの真ゲッターを易々と超えるスピードの戦闘機に乗せられ、凄まじい難易度のシミュレーション(最初にグレートゼオライマーとイデオンとネオ・グランゾンと超銀河グレンラガンを相手にし、それに勝ったら天元突破グレンラガンを相手にする)を何度も何度も体感し、格の違いを散々見せつけられた上で虚無戦記に放り込まれた……らしい。
ガイア
「もう嫌だぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!! ここから出せぇぇぇぇぇえええええええええええええ!! 出してくれぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええ!!」
?1
「チェェェェェェェェェェェェェェェンジ!! エェェンペラァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアア!! ゥワンッ!!!!!」
?2
「行くぜ……邪鬼王ッッ!!!!」
?3
「極道兵器と呼ばれたワシの力、じっくりと見せたるでぇ!!!!」
?4
「全てを爆烈させる時が来ましたね……!!」
?5
「さあ行くぞ!! 戦いはこれからだッ!!!!」
全員
『『『おうよッ!!!!!!!!!!』』』
ガイア
「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!」
という訳で第一弾は終了です。続きません(断言)。
ちなみに転生者が放り込まれた世界は故石川賢先生が執筆された(ある意味凄まじい)作品です。わからない人は検索してみて下さい。