斬騎君がゴッドイーターになる前のお話なので綾佳さんが中心です。
side綾佳
キュウビ討伐から十日後、私はあるミッションで《嘆きの平原》に程近いとある建物の調査へと駆り出されていた。
同行者はリンドウさん、アリサさん、コウタさんの《旧第一部隊》組だ。
ベテラン揃いだが、それも仕方がない。
何故なら、今回のミッションはあるカルト団体が絡んでいるのだ。
自称、世界平和を願う女神崇拝者
ふざけた連中だ。
だが、この連中がいる以上あるアラガミが出てくる可能性がある。
ヴィーナス
無数のアラガミを捕食し、美を追求したサリエルの成れの果てとも言われている大型のアラガミだ。
その姿は美しい女性の上半身におぞましい化け物の下半身を持つという。
だが、最大の特筆すべき特徴はその多彩な攻撃方法である。
胴体の各部についたゼリー体からはそれぞれ、捕食したアラガミの技を発動する。
背中からはクアドリガのミサイルを。
右足、左足からはそれぞれ、サリエルとボルグ・カムランの力を持つ触手を。
臀部からはグボロ・グボロの水流弾を。
どれも厄介な攻撃だ。
更にそのいずれにも状態異常付与の追加効果まである。
「今回の情報、ガセだといいな。
ヴィーナスとやり合うのは正直、疲れる」
「そうですね。
私もヴィーナスと戦うのは勘弁です。
というか何故彼らはあんなものを崇拝するんでしょう?
ドン引きです」
「俺も同感!
せめてアイツが帰って来てたら楽なんだろうけどなぁ」
「゛アイツ″って誰ですか、コウタさん?」
「俺の後任の元第一部隊隊長。
前に一度話したよな?」
「あ~、キュウビ討伐の時に話してた人ですか!
確か、今は世界中を廻って新種のアラガミを探してる」
「そうですよ。
私も彼には救われました……」
「アリサは極東支部に来た時ホンットに周りとの折り合い悪かったよな~!
旧型は旧型らしく新型のサポートに回っていなさい、とか」
「ちょっ!コウタ!
その話はやめてください!
私にとっては黒歴史なんですよ!」
「へぇ~、アリサさんにそんな過去が……」
「聞きたければ後で俺から教えてやるよ。
アイツのことも含めて、な」
リンドウさんは話を打ち切ると正面の建物に鋭い視線を向けた。
ここが……。
大きい屋敷だった。
「アジトに潜入したら、まずはガサ入れから始めるか」
「そうですね、ただの廃墟なら良いのですが……」
屋敷の中は薄暗く、人の住んでいる気配はなかった。
私たちは屋敷を手分けして探すこと一時間、話にあったカルト団体どころか人一人いなかった。
玄関近くのホールに再集合し、情報を交換したが、目ぼしいことは特になかった。
「あれ?これは………?」
私は最後にもう一度皆で屋敷を回っている際に、床にチラシが落ちているのを発見した。
それを読もうと手を伸ばした瞬間ーー
「あぶねぇぞ!綾佳!」
ドガンッ!
という音とともに私に飛びかかろうとしたオウガテイルがコウタさんの放った銃撃を受けて、のけぞった。
私は素早く神機を構えると、通路にいつの間にかオウガテイルが三体現れていた。
「クソッ!こいつらどこから!?」
「話は後だ。
取り敢えずこいつらを片付けよう」
リンドウさんはオウガテイルの一匹に肉薄し、切り裂く。
私とアリサさんもそれぞれ一匹ずつオウガテイルを倒した。
「これ以上他のアラガミが出てきても厄介だな。
一旦引こう。
ここは十分調べたしな」
「了解!
じゃあ帰るか」
ん?
私、なにか忘れたような……?
「お~い、綾佳!
置いてくぞ~!!」
「あ、は~い今行きます!」
ま、いっか。
床に落ちていたチラシにはこう書かれていた。
『一ヶ月後、《女神様》降臨の予兆あり。
《女神崇拝者》の諸君、本部に集合するべし』
次回、簡単なソロ狩りだと思ったら大変なことになりました(下)に続く!