スミマセン
side斬騎
ヴィーナス戦から三日、コウタ隊長は俺という過剰攻撃力持ちを含んだフォーメーションを完成させた。
そのフォーメーションとは……
「邪魔な大型種の足止め、か。
新人にやらせる仕事じゃないと思ってたけど、案外適任、かも!」
俺はヴァジュラの雷球を躱し、尻尾を呪刀で切り落とす。
ガアアァァ!?
尻尾を落とされ怯んだヴァジュラは後ろに大きく仰け反る。
「ここだ!」
俺は素早くヴァジュラの正面に回り込むと前足をまとめて切り裂き、結合を崩壊させる。
更に《呪怨の太刀・黒》を発動し、一気にとどめをさした。
「またか……。
斬騎、お前に頼んだのはあくまで《足止め》だぞ?
《討伐》したら俺らのいる意味ないじゃん…。」
コウタ隊長は頭を抱えていた。
ま、仕方ない。
こう言う日もあるさ。
「と言うか斬騎が入ってから妙に予想外のアラガミが出やすくなった気が……?」
エリナ先輩は何やら不穏な事を言っている。
「例えどんなアラガミが出てこようが僕の騎士道の前に立ちはだかるならば全て打ち倒すのみ!」
「エミール、うっさい!」
相変わらずだな……。
俺は第一部隊に入ってからもよく見かける光景だった。
「取り敢えず今日はもう帰投するか。
一番の大物も斬騎一人で倒したみたいだし」
コウタ隊長はエミールとエリナ先輩の口論を止めると、帰投準備を始めた。
自室に戻ると先客が二人いた。
「お疲れ様です!斬騎様!」
「何故ここにいるんだ、アルカナ?」
「命を救って頂いた恩返しのためですよ?」
ニッコリと満面の笑みを浮かべるアルカナ。
………どうしてこうなった?
「へぇ、しばらく見ねー内にモテてんじゃねーか、バカ弟子」
「そして何故ここに居るんですか師匠ーー!」
師匠が俺の冷蔵庫から麦茶を出して飲んでいた。
「あ、カルメラさん麦茶のおかわりいりますか?」
「ん?ああ頼む」
「勝手に人の冷蔵庫から麦茶飲むなよ……」
「バーカ、前にも言ったろ?
俺のものは俺のもの
お前のものも俺のもの
お前が俺から貰えるものは……」
「技術だけ、ですか……。
相変わらず横暴ですね」
「その通りだ。
《夕闇ノ支配者》さん?」
「その名前で呼ぶのはヤメテ!!」
「ああ、ワリーワリー。
今は《呪怨の刀使い》だったな」
「何故知ってるんですかああああ!!!」
「あ、わたしがさっき話しました」
アルカナは思い出した様に言う。
「いやはや、聞いたぜお前の活躍。
今も元気に中二病やってるみてーだな」
「違います!
これには事情が!」
「皆までゆーな。
大方、 ただ者じゃないぜ感出したかったからとかだろ?」
「っぐ!」
図星だった。
何も言い返せない俺を師匠は笑う。
「で?どうだ?
闇の力にでも目覚めたか?」
「ブラッドアーツには目覚めましたよ」
「あぁ、あれだろ?
感応種に対抗できる奴」
「ええ、その通りです」
「お前の事だ、そのブラッドアーツも案外お前好みの黒いオーラとか、ノートに描いてたコートとか出るんだろ?」
!なぜそれを?!
まだ誰にも知られていない筈なのに。
「これも図星みたいだな」
俺の顔色を見て師匠は確信した。
「カマかけたんですね?」
「あっはっはー、許せ。
面白そうだからやった」
ひどいやひどいや、と泣く俺の頭をアルカナは撫でていた。
「斬騎様、落ち着いて下さい。
カルメラさんもここに来た理由からどんどん遠ざかっていますよ」
「おぉ、そうだったな。
おいバカ弟子!いつまでも泣いてんじゃねーよ。
めんどくせーだろ」
「グスン、で何しに来たんですか?
これが目的だったならさっさとお引き取り願いたいんですが?」
「お前が逃がした《自称、世界平和を願う女神崇拝者》?のアジトは潰しといた。
後始末よろ!」
「ざけんな!」
後始末よろ!じゃねーよ!
何あっさりと解決してんの、この人?!
「実はさ、アイツらのアジトって俺ん家の隣だったんだよな。
んで、夜中まで《女神様》万歳!ジーク《女神》!とかうるせーからちょーっとボコった」
「一応聞いておきますが、何人ほど?」
「確か最後に来た筋肉ダルマが300人の同志がどうとか言ってたし300人くらいだと思うぞ?」
「さ、300……。」
師匠はあっさりと言ってのけたがかなり頭のおかしい数字である。
もうこの人がゴッドイーターやれば全部解決するんじゃ?とも思うが、いつも通りめんどくせーからパス、と言うに決まっている。
俺は溜め息をつくと、事後処理の完了をヒバリさんに伝えるため部屋を出た。
師匠マジチート。