side綾佳
斬騎君のブラッドアーツである靄はまず刀身を覆い、次に細かな意匠のコートを形成、そして足元に集まった。
……あれが奥の手?
完成したのは漆黒のブーツだった。
「お待たせしました。
これが新たなブラッドアーツ、
何それ超カッコいい。
ってか何で靄がコートとかブーツになってるの?
私も覚醒するならそっちが良かった。
斬騎君は心底嫌そうに自分の格好を確認しながら、溜め息をつく。
「ってか黒っ!
全身真っ黒じゃん。
どこの不審者だよ……」
「え?
カッコいいじゃん。
何で嫌そうなの?」
「このブラッドアーツって俺の黒歴史を元に形成されてるみたいです。
しかも、追加効果は凄いんですけどバッドステータスも凄いんですよね……」
「つまり?」
「このブラッドアーツを使うのだけはやめた方が良いです」
………と言うか斬騎君はこれ以上バッドステータスを増やしてどこへ向かっているのだろうか?
「ッ!ーーーー来ます!!」
マガツキュウビはダウンから再び復帰した。
そして先程と同じように咆哮を上げようと息を吸い込んだ。
不味い!また殺生石を出される!
私は咄嗟にスタングレネードを放り投げた。
すると……
コオォォォ!?
目が眩んで咆哮を中断した!?
チャンスだ!
斬騎君はさっきまでとは比べ物にならない速さでマガツキュウビに接近し、無防備な頭を縦に両断した。
コオオォォォォ……
マガツキュウビはその一撃に堪えきれず、絶命した様だ。
それと同時に通信があった。
『コウタさんたちの方もセクメトの討伐が完了したそうです!
皆さん、お疲れ様でした!!』
ヒバリさんの言葉を聞いてようやく終わったのだと実感できた。
斬騎君は全身に纏った靄を解除してこちらに向いていた。
「取り敢えず作戦終了みたいですね。
無事に終わって良かったです」
「そうだね。
よし、じゃあリンドウさんとギルと合流して帰投しようか!」
side斬騎
何とか短期決着をつけられた……。
このブーツのバッドステータスの一つは《体力自動消費》。
戦いが長引くと確実に負けていた。
結果的には勝てたが、次は無い。
しかし、そう考えると……
「(まともな)力が欲しいなぁ……」
俺の呟きに綾佳さんはギョっとした。
「斬騎君?
これ以上力をつける必要性はないと思うよ?
今のままでも十二分に強いし……」
「……そうですか?」
「そ、そうだよ!」
何故か必死に止めてくるな、綾佳さん。
「それにまだブラッドアーツも進化するし!」
…………………。
「やっぱり早急に力が欲しいなぁ……」
「え!?」
俺は帰投したらまずサカキ博士かリッカさんに相談してみるか、と考えた。
sideサカキ
「これは……………」
先遣隊が命懸けで死守した情報には続きがあった。
彼らはマガツキュウビの情報だけでなく、ある記録映像を持ち帰っていたのだ。
そして、そこに映し出されていた今回の事態の原因かもしれないアラガミは………
三つ首のハンニバルの様なアラガミ。
そしてその手には斬騎君のブラッドアーツと良く似た《くらやみ》を纏っていた。
「早急に調査する必要があるね」
呪怨の太刀・黒レベルⅢ
斬騎のブラッドアーツの第三形態。
コートに加えてブーツが顕現出来るようになった
ブーツについて
正式名称、
コートと同じく、斬騎の黒歴史。
着用中、《総合攻撃力↑》、《移動速度↑》、《ステップマスター》追加。
但し《スタン倍加》、《リーク倍加》、《ヴェノム倍加》追加。更に《体力自動消費》。
本人は影の中を自由に歩ける能力が追加されたと思っていた。