そろそろ本気を出して、斬騎君!
side斬騎
ギースさんが夕食時にこんなことを訊いてきた。
「そういやさ、斬騎。
お前、どうして戦闘中に盾展開しないんだ?」
「呪刀のバッドステータスに《ガード被ダメージ増加》がついてるからですよ?」
そう、今までこれのせいで回避に頼らざるを得なかった。
一歩ミスれば死亡確定、という薄氷の戦いに身を置き続けなければならないのはこのバッドステータスの一言が俺の反応を《防御》から《回避》へ縛っていたからだ。
あたかも《呪い》のように。
「それに、盾を展開したことは最初の神機の基礎訓練以降一度たりともないです」
「ふぅん、勿体ねぇな」
「何がですか?」
「いや、神蝕甲イチキシはさ、ただの盾じゃないんだ。
展開時にオラクル細胞を放出して不可視の盾が現れて使用者を守る能力もある」
「なにそのしょうげきの隠しスキル。
ぼくしらない」
「まさか、教えられてなかったのか?」
そのまさかだ。
そんな情報一瞬たりとも聞いたことがない。
ギースさんは可哀想なものを見る目でこっちを見ている。
止めて!そんな目で俺を見ないで!
「このスキル、リンドウかペイラー・榊は少なくとも知ってるはずだぞ。
リンドウは直接見てたし、ペイラー・榊はこの神機を三年間も隠し持っていたわけだしな」
マジかよ、チクショウ!
と言うかリンドウさんはともかくサカキ博士は知ってて教えなかったな!
あの博士はやっぱり俺の最大の敵だ!
「明日試してみます。
もしかしたら俺にも出来るかもしれませんし」
「おう、そうしろ」
そんな会話を続けていると師匠が突然思い出したかのように言ってきた。
「よし、じゃあ明日は俺も戦いに参加してやる。
そんでもって俺の戦い方からも何か掴め」
「は?いや、師匠はそもそもゴッドイーターじゃないからアラガミとの戦闘なんて無理じゃん」
「そう来ると思った」
師匠はおもむろに長袖の袖を捲った。
そこには今まで見たことのない金色の腕輪が填まっていた。
「え?これってまさか」
「そのまさかだ。
ゴッドイーターになった」
え?
「「ええええぇぇぇぇぇぇ!!!!?」」
俺とギースさんは揃って絶叫した。
「んだよ、うっせーな。
この流れは自然だろ?」
「「いやいやいやいやいやいやいやいや!?」」
誰だよこの
明らかにやっちゃいけない組み合わせだろ!
鬼に金棒どころか核爆弾装備させちゃった様なものじゃないか!
「ま、俺の神機はあくまでテスト用のプロトタイプだけどな」
「いや、プロトタイプとかそういう問題じゃないんですよ!
カルメラさんがゴッドイーターになったことが一番の問題なんですよ!!」
「それがどうした!
俺だって戦いたいんだっつーの!!」
「「それが本音か!」」
もうやだこの
「ってか師匠、いつ適合試験受けたんですか?」
「お前らが
「もう何でもありだな!」
片道12時間はかかるはずだぞ!
俺たちが戦ってたのって三~四時間くらいのはずだ。
どう考えても矛盾してる!
「俺が本気を出せばあんな距離片道一時間で済むに決まってんだろ。
さっきまでのあれはお前に合わせて走ってただけだ」
師匠は俺の思考を読んだかのように返してきた。
そして考え直すように首を横に振ると、
「いや、今なら違うな、ゴッドイーターになってから体が軽くなったし、今なら片道30分有るか無いかだな」
「「チート過ぎる!?」」
30分!?あの長距離を30分で移動するの!?
もはやそれはゴッドイーターじゃない!
「そういや、マリーは驚いてないけど知ってたのか?」
「うん、ギースたちが帰ってくる前にカルメラさんが帰って来て腕輪と神機を一足先に見せてもらってたからね」
なるほど、通りで、さっきから俺とギースさんの反応を見てくすくす笑ってたわけだ。
マルグリットさんは最初から師匠がゴッドイーターになったことを知ってたなら妥当な反応だろう。
「あ、そうだ。
じゃあ明日は私も含めた四人で討伐に行こうか。
その方が効率も良いだろうし」
「え?でもマリー……」
「それに私に何かあってもギースが守ってくれるでしょ。
代わりに私もギースを守るから、ね」
マルグリットさんはにっこりとギースさんに笑いかけた。
ギースさんは降参するように両手を上げると、
「わかったよ、じゃあ明日に備えてフォーメーションでも考えようか」
あ、認めちゃうんだ。
まぁ、良いけどさ。
師匠が居れば大抵の状況はどうにかなるだろうし。
もうししょー主人公の話でも書こうかな。
この人だんだん主人公より主人公っぽくなってきちゃったし。