side綾佳
チョウワンが地面から飛び出すところをみるのは戦闘が始まってからこれで三回目だった。
私はボロボロのイェン・ツィーが苦し紛れに放った羽攻撃を《バリアスライド》で打ち消し、勢いに乗ってそのまま斬撃を浴びせる。
チョウワンをナナが《誘引》の力で引き留め、片っ端からハンマーで殴り飛ばす。
シエルは《直覚》で体力の少ないチョウワンを的確に攻撃してナナの負担を減らしつつ、イェン・ツィーの体力の残量をこちらに教えてくれる。
そしてギルの血の力《鼓吹》で全員の攻撃力を底上げし、敵の防御を切り崩す。
いつもの戦い方でイェン・ツィーを追い詰めていく私たち《ブラッド》。
私はトドメにインパルスエッジでイェン・ツィーの下半身を吹き飛ばし、動けなくなったところで、全力の一撃を弱点の頭部に叩き込んだ。
「ふぅー、これで一段落かな?
残ってたチョウワンもあらかた殲滅したし」
「隊長さん、物資の回収完了したぞ」
「ありがと~、ギル
じゃあそろそろ帰投しようか。
斬騎君も待ってることだろうし」
すると、今回のミッションのオペレーターーーヒバリさんが慌てた様に
『え、斬騎さんはまだ帰投していませんよ?
そちらにいらっしゃるのではないのですか!?』
え?
何を言っているの?
だってさっき斬騎君は帰投したはず………。
「隊長、私の《直覚》に反応があります!
今までこちらに意識を割いていたので気付きませんでしたが、大型種と思われる反応が何者かと抗戦中です!」
side斬騎
クソッ!まだ追ってきてる!
俺は後ろから迫る狼のアラガミーーガルムから必死で逃げ回っていた。
数分前………
帰投中の俺は遠くから何か赤黒いものがこちらに接近していることに気付いた。
?何だ、アレ。
俺はその場に立ち止まり、目を凝らしてその赤黒いなにかを見てみた。
すると、
ウオオオォォォォン!!!
という叫びと共にその赤黒いものがアラガミ、しかも大型種であることに気付かされた。
みるみるうちに距離を詰めてくるガルム。
距離がなくなっていくにつれてガルムの大きさがわかってきた………って冷静に見てる場合じゃない!
俺は踵を反してさっさと逃げた。
冗談じゃない。
あんなデカイのとまともにやりあえるか!
ッ!案の定追ってきた。
俺は念のためにと綾佳さんから渡されていたスタングレネードを使用し、目を眩ませたスキに逃げることにした。
しかし、
「何で目を瞑ったままで追ってきてんだよーーーー!!!!!」
後々になって気付いたがこれは俺のアサルト゛機鋼小銃乙弍型″のスキル
《騒音》
…………音を辿って追っかけられていたらしい。
呪刀と関係ないところに思わぬ伏兵が…………!