n回目の朝帰り   作:ノッキー

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第1話

やっば、まーた、たづなさんと喋り過ぎた。

 

いや、あのね、たづなさんと話すの凄い楽しいせいで、お店を梯子して、尚且つ夜通し話してしまう事はほぼ確定、で、だから、どうしても、いつもたづなさんと話す日は朝帰りみたいな形でトレセン学園に来る事が多くなっており、今日も今日とて朝まで語り合ってしまい朝日に照らされているトレセン学園に続く道をたづなさんと歩いていた。

 

「本当、いつもいつもあっという間に時間が過ぎて困りますね」

 

「すみません、私ばかり熱弁してしまいまして」

 

少し申し訳なさそうに頭を下げて来たたづなさんに対して首を横に振る。

 

「いえいえ、自分もたづなさんが熱弁しているのを結構楽しんで聞いてますよ」

 

「そうですか、そう言ってもらえると嬉しいです」

 

ふんわりとした笑みをたづなさんは浮かべる。そんな他愛もない話をしながらもトレセン学園の校門辺りまで歩いていき、校門を潜るのと同時に何かの視線を感じる。

 

「……ん?」

 

その視線に反応して思わず視線を感じた方を見て足を止めると、同じく足を止めたたづなさんが首を傾げる。

 

「どうかしましたか、トレーナーさん?」

 

「いや、なんか今、視線を感じたんだが……まぁいいか……」

 

周りを見回した時にはもう既にその視線は消えており首を傾げながらもそのまま学園内に入るのだった。

 

ーーーー        ーーーー

 

その日の昼間、自分が担当しているダイワスカーレットから何の脈絡もなしに彼女が所属しているチームの部室に来て欲しいと言われ彼女が所属しているチームの部室を訪れていた。

 

「よう、スカーレット」

 

「あ、来たわね、そこに座って頂戴」

 

部室に入るなり部室の中央にあった机と対になるように置いてあったパイプ椅子に一人座っていたスカーレットに指定される形で彼女の前の席に座る。

 

「それで、急に呼び出して、どうしたんだ」

 

こちらの質問に彼女は腕を組んで目を瞑り、んーっと悩むような唸り声を出す。

 

「まぁ、そうね、うだうだ言うのもあれだから、単刀直入に言わせてもらうけど、トレーナーさ、週に一回かニ回ぐらい朝から何でか知らないけど、少し疲れているくせになんでたづなさんの匂いがする事が少し気になって、私、いろいろと話を聞き回っていたのよ」

 

「お、おう……」

 

冷静でいて何処かえぐみのあるスカーレットの言葉に相打ち打つ。

 

「そしたらね、トレーナーさんがたづなさんと二人だけで夜の街に繰り出ているって話を人伝に聞いて、ここ一週間朝、ずっと校門近くで山を張っていたの」

 

目を開けてニッコリと清々しいぐらいに意味深な笑顔を浮かべたスカーレットがこちらを見る。ん、んーなんか、話がヤバい方向に向かってないか……

 

「そしたら、今日の朝、朝帰りみたいな形でトレーナーとたづなさんがトレセン学園に来ていたって所が撮影出来たんだけど、どう言う事か説明できるかしら、トレーナー?」

 

そう言いながらも死んだ目になったスカーレットはポケットの中から携帯を取り出し画面を表を上にして机の上に置く。携帯の画面にはたづなさんと自分が仲睦まじく校門を潜っている所が、明らかに盗撮したような角度で写っている写真が表示されていた。

 

「マ、マジ……かよ……」

 

もしかして、あの視線って……これを撮ったスカーレットの奴だったのか……そうか……

 

「この事を、私に秘密にしているって事は、まさか、私達にバレないように夜の街に出て不純異性行為を働いているとか……」

 

「そ、そんな事はしていない!俺はただ、たづなさんと夜通し話をしていただけなんだ!」

 

顔を上げて、スカーレットの言葉を遮るようにして慌てて否定すると、死んだ目になっていた彼女は首を傾げる。

 

「じゃ、それを証明する事はできるのかしら?」

 

「そ、それは……」

 

証明する物がなく言葉を詰まらせると、スカーレットはフッと鼻で笑い理性を取り戻したかのように目に彩光が戻る。

 

「まぁ、それは悪魔の証明になるから愚問になっちゃうから、タキオン、お願い」

 

パチンッとスカーレットが指を鳴らすと部室のロッカーの一つが開き中から何かの透明な液体が入っている試験管を片手にタキオンが中に入ってくる。

 

「やぁ、モルモット君」

 

「お、おうって、ちょ、ちょっと待った、タキオン、そ、その手に持ってる試験管に入っているものは?」

 

「ん?自白剤さ、本当だったら作るのはいけないんだけど、どうしてもってせがまれてね」

 

得意げな顔でタキオンがそう返して来る。ちょ、ちょっと待て、え、確か、今ある自白剤っと言うか、昔使われていた自白剤は記憶が正しければL○Dとかチ○ペンタール辺りを使ったかなりやばい奴だった気がするんだが!?

 

「え、ちょちょちょちょ、ちょっと待て待て待て待て待て待て、自白剤って結構ヤバくなかったか?」

 

「あぁ、そうだな、確かに過去に使われていた物は危ない物だとは理解しているけど、私の手に掛かればそんな物使わなくても作れるよ、それにそれらは注射器が必要だけど、これは飲めばその効力を発する品物さ」

 

「う、嘘、だろ……」

 

こちらが思わず漏らしてしまった言葉にタキオンはスカーレットの斜め後ろに立ち、彼女に自白剤を差し出しドヤ顔でこちらを見る。

 

「嘘じゃない本物だ」

 

その返しに恐れ慄いていると、スカーレットが自白剤を受け取る。あっ……あっ……あっ……何も悪い事してないのに……何で、何で自白剤を……

 

「さて、トレーナー?」

 

椅子から立ち上がった目が完全に逝って始末までいるスカーレットから逃げようとして足がもつれ椅子から転がり落ちる。

 

「や、やめろ、スカーレット」

 

「抵抗はしない方が身のためだよ、モルモット君」

 

スカーレットは地面の上で肘を使って後退さっていたこちらに自白剤を片手に馬乗りになる。

 

「さぁ、真実を吐いて頂戴、トレーナー」

 

彩光のない目でこちらを見下すように見てくる。あっ、なんか若干、これ、こうh……んんっスカーレットの胸下から見てもでかいなぁ……ってそう言う話をしている場合じゃない!

 

「や、やめ、やめろ、スカーレットぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

そんな絶叫がトレセン学園の部室で放たれるのだった。

ーーーー          ーーーー

その後

 

自白剤を飲んだお陰で本当に話をしているだけと証明され身の潔白はできたものの、その日から少しの間"部室でウマ娘がトレーナーを押し倒した(勿論、性的な意味ではない)"っと言う本当の噂(?)がトレセン学園に流れたのだった。

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