やはり俺のVR青春ラブコメは間違っている   作:青鬼ちゃん

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なんとか3/31中に間に合わせようと思ったのですがだめでした
読み直したり校正したりしているうちに時間がすぎてしまいました
はい、言い訳です、すみません

というわけで10話目です


一章 拾部

「隣、いいか?」

 

 攻略会議の後、お客さんが来ると言ってキリト達を先に帰し、劇場の席に腰をかけて間もなく声をかけられる。

 既に劇場には人気も疎らになっており、離れたところに数人話しているグループがあるくらいだ。

 

「・・・好きにしてくれ」

 

 それなら、と横に腰掛ける、褐色肌のガタイの良い“エギル”と名乗っていたプレイヤー。

 

「さっきはありがとう。正直参っていたから助かった・・・。出過ぎた真似とは思ったんだが、あのキバオウってやつの話は聞くに耐えなくてな・・・」

 

 ああ、そうだ。キバオウって名前だったわ。

 攻略会議中、名前が思い出せなかったから、ずっとモヤッとボールで呼んでたわ。

 

「別に、感謝されたくてしたんじゃない。あくまでも俺のために必要だと思ったからやったまでだ。

 ・・・そんなことより、なんか話があるんじゃないのか」

 一人になったところを見計らって話しかけて来るということは、なにか個人的な話だろうか。

 とりあえず本題をすませてもらって早く帰りたい。そしてふかふかのソファで眠りたい。

 

「おっとすまない。改めて、俺はエギルだ。 よろしく。」

 

 手を差し出して握手を求められる。

 訝しみながらその手を取り握手に応じる。当然目は合わせない。だって恥ずかしいんだもん!・・・もんってなんだよ、気持ち悪いな。

 

「ハチマンだ。で、要件はなんなんだ」

 

「ああ、実は俺・・・あんたのファンなんだ」

 

 ・・・っ!?

 急いで握手をしていた手を離す。

 もしかしてコイツ・・・。

 

「エギル・・・。もしかしてソッチなのか?」

 

「・・・・・・ハッハッハッハ!いや、残念ながら俺はノーマルだ。ちなみに妻帯者で、カミさんもいる」

 

 なんだ、それなら一安心だ。

 てかなにが“残念ながら”なんだよ。ちっとも残念じゃねえよ。むしろ喜ばしいよ。

 それと肩をバシバシと叩くのは止めてもらえませんかねえ・・・。

 どうしてこうスキンシップは痛みを伴うのか。それなら俺は一生、誰ともスキンシップをとらなくていいよ。

 

「話は逸れたが、要件だったな。実は頼みたいことがあるんだが・・・」

 

「え、嫌だよ。断る。」

 

 必 殺 ! 内容を聞く前にお断りします!効果、相手は折れる(精神的に)。

 だって、内容聞いたら頼みごとを聞くかどうか悩んじゃうかもしれないじゃん。それじゃすんなりと帰れそうにないじゃん。

 

「まあそう言わずによ。ハチマンにとっても悪い話じゃないはずだ」

 

 俺にとって良い悪いは俺が決めることである。とか、悪い話でないだけで良い話とは限らない。とかいうツッコミはさておき、どうやらこの場の選択肢にNOは存在しないようだ。

 

「・・・聞くだけは聞いてやる。頼みとやらを引き受けるかどうかはそれからだ」

 

「そう来なくちゃな!でだ。頼みというのもとあるクエストを手伝って欲しいんだ。」

 

 ーーー話を聞けば、このエギルも今度参加するボス攻略に参加をするようで、そのために装備を整えたいそうだ。

 しかし新しい武器を新調するのに、そのクエストのクリアが必須になるようで、今のところ難航しているため手伝って欲しい。ということだった。

 

「いくつか聞きたいんだが、他の仲間はいないのか?」

 

「生憎と、今のパーティのメンバーではどうしようもなくてな。本来なら門の前で臨時のパーティを募ったりってのも考えたんだが、ボス攻略のためにみんな忙しいだろ?」

 

 なるほど、それなら少しは合点がいく。

 とはいえ全てに納得して油断をするわけにはいかない。ここは慎重に行かなくては・・・。

 とはいえ、今後のためにエギルの人となりを知っておくのもメリットの一つになり得るのも事実。もしかしたら頼み事をする機会もあるかもしれないし、恩を売っておくのもいいだろう。

 

「分かった。ひとまずは引き受けることにしよう。そのクエストに時間の指定なんかはあるのか?」

 

「いや、それは無いか・・・。いいのか?」

 

「なにがだ?」

 

「話に聞いた限りでは、奉仕部ってのは直接手を貸したりそういうのはしないって聞いていたもんだからな・・・。それに俺は未だハチマンに対してのメリットを挙げていない」

 

あぁ、そういうことか。

メリット、メリットねぇ・・・。あるにはあるんだよな。

 

「今回は奉仕部としてでは無く、俺個人で引き受けるだけだ。それとメリットに関してだが、そうだな・・・。

 今後、もし俺がバカなことをした時は、殴ってでも止めてくれ。できればその場にいる誰よりも早く、な。

 もしそんな機会がないようなら、いざという時助けて貰えるように、少しでも信用できそうな人間に恩を売りつけられる。とでも捉えておいてくれ。」

 

「・・・ハハっ。ハチマン、あんた最高だ!ますますファンになっちまったよ。

 そういうの、ツンデレっていうんだろ?」

 

「ちげーよ。ツンした覚えもデレた覚えもない」

 

 大体俺のツンデレなんて誰得なんですかねえ。

 べ、別にアンタのために手伝ってあげるわけじゃないんだからね!か、勘違いしないでよね!

 

 そんなベッタベタなツンデレがいたら是非拝んでみたいものだ。

 

「とりあえず、俺は一旦奉仕部へ戻る」

 

「おっ、それなら俺も一緒について行ってもいいか?」

 

 ・・・まあ、いづれ顔を合わせることになるかも知れないし、今のうちに顔合わせしておいてもいいかもな。

 

「まあ、構わないけど、別に面白いもんなんかないぞ?」

 

「それこそ構わねえよ。案内よろしく頼むぜ、ハチマン」

 

 

 

結局、エギルを連れて奉仕部へ向かうことになったのだがーーー。

 

「へえ、ここが奉仕部か?いい雰囲気じゃねえか」

 

「そうかい、それについては中のヤツらを褒めてやってくれ」

 

 扉を開き、最早聞きなれたベルの音を鳴らす。

 

「あら、おかえりなさい。・・・そちらの方は?」

 

「俺はエギルっていうんだ。よろしく頼む。ハチマンをこれから少し貸して欲しいんだが、いいだろうか?」

 

「それは構わないのだけれど・・・。

 申し遅れたわね。私はゆきのん、この奉仕部の部員よ」

 

「はい!アタシはユイユイっていいます!エギルさんは外人さんですか?」

 

「ゆ、ユイユイ。外人さんって言い方は失礼だよ。

 あ、私はアスナって言います。エギルさんですよね。攻略会議の時、見てました!」

 

「ねえゆきのん。なんで外人さんが失礼なの?」

 

「それはね、ユイユイさん。外人という呼び方には確かに“外国人の人”という意味もあるのだけれども、他にも“仲間ではない人”や、“敵視すべき人”などの意味もあるの。

 外国人の人、という意味合いが一般的ではあるのだけれども、そう言った差別的なニュアンスが含まれているのも否めない、ということよ。」

 

「ほえ〜、そうだったんだ。ごめんね?エギルさん」

 

「なに、気にしちゃいねえよ。言われ慣れてるってなもんだ。

 それよりも、そうやって気遣って貰えた分、嬉しいってもんよ」

 

「そう言って頂けると助かるわ」

 

「それにしてもハチマン、やるじゃないか。え?

 これだけキレイどころが揃っているのはSAOの世界はおろか現実でもそう見ないぜ?」

 

 うぜえ・・・。早速連れてきたのを後悔してきたぞ。

 とはいえ、エギルの言っていることももっともかもしれない。俺だって奉仕部に入っていなかったら、こうして美少女と呼ばれる彼女たちと話をすることなんて、一生無かっただろうしな。

「・・・自己紹介は済んだみたいだな。アルゴとキリトは?」

 

「アルゴさんとキリトくんなら奥の方にいるよ。呼んでくる?」

 

 そうだな、アイツらにも全くの無関係な話ってわけでもないだろうしな。

 

「ああ、それじゃあ頼むわ」

 

 そう言うとアスナは奥の部屋へキリトとアルゴを呼びに行くと程なくして二人を連れて戻ってきた。

 

「帰ってたんだナ、ハー坊。それとエギルじゃないカ。久しぶりだナ」

 

「おう久しぶりだな。やっぱりお前さんもここの人間だったわけだ」

 

 え、なに?二人とも知り合いだったの?

 ちょっとそれ俺聞いてないんですけど。あっ、いつも通りですね。納得です。

 まあアルゴは情報屋だし、顔が広いのも頷けるというものだが。

 

「まぁ、色々あってナ。それよりもエギルはこんなところでどうしたんダ?ハー坊と一緒ってことは攻略会議の件カ?」

 

「それもあるんだが、お前さんに紹介してもらったクエストの消化をこのハチマンに手伝って貰うことになったんでな」

 

「へー、ハチマンが納品や採取以外のクエストを受けるなんて珍しいな。

 あ、悪いな。自己紹介が未だだった。俺はキリトだ。よろしくな。

 よかったらだけど、俺も同行していいか?久しぶりにハチマンとクエストを受けたくてさ」

 

「おう!それは願ったり叶ったりだが、そこそこ難易度の高いクエストになるが、大丈夫か?」

 

 黙っていれば人手が勝手に増えるというのにお優しいんですね。それならなんで俺にはその忠告は無かったのかしら?

 忠告する価値もないと思われてたんですかねえ。

 

「まあハチマンと同じくらいには・・・とはいかないまでもそれなりには戦えるし、いざとなったら自分の身くらいは護れるから大丈夫だ」

 

 いやいや、なんでそんな自己評価低いんだよ。

 多分俺よりキリトの方が剣の扱いに、プレイヤースキルも上だからね?俺のことを過剰評価しすぎじゃない?あんまり持ち上げられると俺、高所恐怖症だから。震えちゃうよ。

 

「それなら私もついていっていい?今後に備えて戦闘経験とか他の人との連携の経験も積んでおきたいし、一応私もそれなりに戦えるようになっておきたいから」

 

 たしかにな。アスナはおろか俺たちも奉仕部の人間以外では連携して戦った経験はなかったかもしれない。

 ま、俺には連携なんて言葉は程遠いものですけどね。

 

「アルゴは行かないのか?」

 

「いんや。オレっちは今回パスダ。会議の内容ものんちゃんと話しておきたいし、今回はお留守番しておくヨ」

 

「そうか、ならこの4人のパーティでいいのか」

「ああ、よろしく頼む。日が暮れる前に終わらせたいから早速行きたいんだが。・・・みんなは大丈夫か?」

 

 エギルの言う大丈夫、とは準備のことだろう。

 ストレージの中を確認する。

 ・・・うん、必要最低限のものは揃ってるな。別に舐めてかかったり、油断している訳では無いが、今回はキリトもアスナもいるんだ。エギルがどれだけの腕前かは知らないが、それなりに楽させてもらえることだろう。

 

「アスナ、回復ポーションと転移結晶はちゃんと持ってるか?回復結晶の数は足りてるか?足りてないなら俺のを渡しておくけど・・・」

 

「もうっ、ハチマンくん過保護すぎ!大丈夫だよ。以前にハチマンくんがくれた分もまだ十分に残ってるし、この前ゆきのんたちと買い出しした時に買い足しておいたからね。

 ・・・でも、心配してくれてありがと」

 

 別に心配していたわけじゃないんだが・・・どうにもお兄ちゃんスキルが発動してしまったようだな。

 小町が居ないせいで、俺の中で高まるだけ高まったお兄ちゃんスキルの発散ができなくて暴発してしまう・・・。非常に深刻な問題だな。

 

「ん、まあ準備ができているならいい。それとアルゴとキリト、ニヤニヤするんじゃない。

 エギルはそのままでいいのか?」

 

「ああ。元々会議の後に直接行く予定だったからな。こっちのことはオーケイだ」

 

「それじゃあサクッといくかどうかは分からんが、さっさと終わらせてしまうか。

 そういうことでゆきのん、ユイユイ。アルゴと留守番は任せたぞ」

 

「ええ、そっちもアスナさんのこと、よろしくお願いね」

 

「みんな気をつけてねー!」

 

 まるでこれからボス戦にでも向かうかのようじゃねえか。そんな大袈裟なものでもないんだがな。

 

 4人で奉仕部をあとにする。

 目指す目的地は西の森の奥にある洞窟だ。

 

 

 

 

 

 フィールドへ出て数分歩いたところで、ふと疑問に思ったのであろうキリトがエギルに問いかける。

 

「そういえばエギルの武器はその大斧なんだな?」

 

 エギルの背に掛かっている、人の大きさ程はあろうかと思われる大斧。

 道中何度かmobとエンカウントした際に戦っている姿を見たが、あれはなかなかにダイナミックだったな。

 俺なんかが使おうと思ったら、逆に振り回されるまであるな。

 

「コイツな。両手剣なんかも悪くは無かったんだが、コレが一番しっくりきてな」

 

 確かに、体格が大きい分、あんまり小ぶりな得物は向かないのかもしれないな。

 短剣や細剣を握るエギル。

 いかん、笑いそうだ。ガマンガマン・・・。

 

「でもそれだとこれから行く洞窟なんかじゃ、振り回し憎いんじゃないか?

 何度か行ったことあるけど、あそこなかなか狭かったよな?」

 

 へえ、そうなのか。未だ洞窟の方には行ったことがなかったから、俺は知らんかったけど。

 

「そうなんだよな。だからこそ、今回同行をお願いしたんだ。この武器でも振れないわけじゃないんだが、どうも動きを制限されちまってな」

 

「なるほどな、それなら俺みたいな短剣使いを誘ったのも納得できるな」

 

「それなら私も少しは役に立つかな?細剣なら振るっていうより突くのがメインになるし」

 

 たしかに、直剣や短剣でも突くことはできるが、メインは振るうことにあることを考えると、最も適しているのかもしれないな。

 

「まあ、それでも油断はしないように、な。

 ーーーそれよりも、ほれ。着いたみたいだぞ。」

 

 目の前には岩肌にぽっかりと空いた洞窟がある。ここが目的地だろう。

 中は暗くなっているが、鷹の目スキルのおかげで思ったよりも視界は悪くないみたいだ。

 

「相変わらず真っ暗だな・・・。エギル、松明は持ってきているか?」

 

 え、そうなの?キリトの言葉を聞いて、試しに鷹の目スキルを解除するとなるほどたしかに。明るい外から見ているせいもあるかもしれないが、見通せてせいぜい3m程か。

 奥に行けばもっと視界は悪くなることだろう。

 

「松明なら予備も含めて持ってきてるさ。ハチマンとアスナも使うかい?」

 

「いや、俺はいい。アスナは?」

 

「んー、私もいいかな。手が塞がると動けなさそうだし」

 

 まあ、二人も照らしていれば十分だろ。自分の視界はスキルで確保できることだしな。

 

「それじゃ、洞窟探索と洒落込むかね」

 

 エギルの言葉に一様に頷いて洞窟の中へと足を踏み入れた。

 

 洞窟内で遭遇したmobはケープウルフとコボルトの二種類だが、いかんせん数が多いな。

 

「これは確かに一人じゃ厳しいな・・・」

 

 思わず愚痴が零れてしまう。・・・だがしかし、そんな暇はないようだ。

 

「ハチマンくんっ!そっち、二体!」

 

「あいよ・・・っと」

 

 絶賛戦闘中である。

 洞窟の中程までは楽々のイージーモードだったのに、どうしてこうなった。

 エギルの目的の物のある洞窟の最奥にある水晶の間まであと少しだというのに。

 

「倒しても倒してもキリがねえ。無視して突破する訳にはいかないのか!」

 

 俺だってそうしたいんだがねえキリトさんや。

 

「そうすると間違いなく挟み撃ちになるな。こんな狭い通路で挟み撃ちなんてゾッとするわ」

 

 兎にも角にもこの状況を打破しないといけないようだ。

 

 

 

「はぁ、はぁ・・・。終わった・・・のか?」

 

 息を切らしたエギルがどかっと腰を下ろして声を漏らす。

 

「どうだろうな・・・。もしかしたらただのインターバルかもしれないし、早めに先に進んだ方がいいかもな。」

 

 また帰りに同じことになるのはホントに勘弁だぞ。

 ・・・いや、フリじゃなくて本当のホントにね。

 

「そんなことよりも事前に聞いてた情報よりmobの数が多かったみたいだが、キリトはどうだ?」

 

「そうだな・・・。なんとなく、βテストの時よりクエストの難易度が高く調整されている気がするな。」

 

 となると、βテストからの調整は、このクエストに限ったことではないのかもしれないな・・・。

 βテストの情報を鵜呑みにしないよう、アルゴに注意喚起を促してもらった方がよさそうだな。

 

「さて、目的地はすぐそこだ」

 

 

 

 

 

 水晶の間は名前の通り、壁面や床、天井のいたるところに水晶が散りばめられており、現在エギルが部屋の奥の方で、クエストアイコンの出ている箇所で採取を行っている。

 

「なあハチマン、少し戦い方変わったか?」

 

「ん、そうか?」

 

 確かに変わった・・・と言われれば変わったのか?

 最初、デスゲームに閉じ込められていた時ほど体感時間がゆっくり流れる現象がなくなっている気はするが。

 それでもパリングをするには、なんら支障はないし、体の動かし方も、より洗練されたと思うんだがな・・・。

 

「いや、気の所為ならいいんだ」

 

「なんの話?」

 

 今まで水晶に見蕩れて、意識を飛ばしていたアスナがようやく帰ってきたようで、話に加わる。

 

「キリトがな、俺の戦い方が変わったっていうでな。少し考えてたんだ」

 

「うーん・・・どうだろ?私も目の前の戦闘にいっぱいいっぱいであんまりわからないなも」

 

 そりゃそうだな。周りを気にして戦えるほどここは甘くはないし、アスナもまだ戦闘慣れしてないだろうしな。

 

 水晶を眺めながら少し待っていると、部屋の奥からエギルが戻ってくる。

 

「待たせたな、こっちの用事はこれで完了だ」

 

「クエストはこれで完了なの?」

 

「ああ、後は俺が街に戻って報告をするだけだ」

 

「それなら早いところ退散しよう。またmobに湧かれたならたまらんからな」

 

そう言って俺たちは洞窟をから抜け出し、街への帰路につく。

 

 

 

 

 時刻は夕方を過ぎ、日も落ちたころにようやく街へと帰り着いた俺たちは、西門の前で別れの挨拶を交わしている。

 

「それじゃ、依頼は完了ってことでいいか?」

 

「おう、ありがとうなハチマン。それに、キリトにアスナも。ボス攻略の当日はお互いに頑張ろうぜ」

 

「あ?キリトとアスナは知らねえけど、俺はボス攻略には参加しないぞ」

 

「「「え?」」」

 

 え?なんでそんなに驚いているんですかねえ。俺が参加しないのがそんなに意外かね?

 そんなに攻略に乗り気に見えてたの?

 

「いやだって、攻略会議の会場ですら40人近くいたんだぞ。そこから会議に参加してなかった連中も引き連れてくるなら、それなりの人数になるだろ。

 そうなると、誰ともパーティを組んでもらえない俺なんかが入ろうとでもしてみろ。

 え、なんでコイツ一人で来てんの?とかパーティで来いって言われたじゃん。とか、誰かパーティ空いてる?いや、ウチは空いてないわー。誰か入れてあげろよ、可哀想だろ。とか、そんな事でも言われてでもしてみろ。目も当てられないような惨事になることは分かりきってるからな」

 

「分かりきっちゃってるんだ・・・」

 

 アハハ、と呆れたように笑うアスナ。なんでそんな呆れ顔されちゃうんですかね?

 八幡だから、で納得できる八幡クオリティ!なにそれ悲しい。

 

「というか、お前らはそもそもツルんでパーティ組んでたんじゃないのか?」

 

「俺は大体ハチマンと組むのが多いかな。基本はソロ同士だし、あんまり気遣わなくて楽だしな」

 

「私もパーティを組むならハチマンくんとが一番安定・・・というか安心できるかな」

 

「それならお前ら三人で組めばいいんじゃないか?」

 

「いや、そんなことしたら二人に迷惑かかるだろ。俺なんかと一緒に行動なんかしたりしたら・・・」

 

「ハチマンくん?怒るよ?」

 

 え、なんで?アスナさん、怖い。笑顔が怖いよ!せっかくの可愛い顔が台無しになっちゃうよ!

 

「あー、なるほどな。これがゆきのんやユイユイが言ってたやつか」

 

「は?アイツらがなんか言ってたのか?」

 

 なにそれ、陰口ですか?陰口ですね、分かります。

 それとも俺の黒歴史を公開されちゃった?

 頼むからアルゴにだけは言うのやめてくれよ。アイツのことだから情報を売りかねん。いや、誰が買うんだよって話だけど。

 

「ハチマンくんはやたらと自己評価が低いし、一人になりたがる。って」

 

「いやいや、俺は正当に自己を評価しているぞ。むしろ自己評価高すぎるまである。

 それに俺が一人になりたがるのは、周りの空気を読んでののことだ。

 キャッキャウフフで盛り上がってる所に、俺なんかを投入してみろ。一瞬で場が冷める自信がある。」

 

「それなら一緒に居て欲しいってお願いされたら?」

 

「そりゃお願いまであれたら吝かじゃないからな。」

 

 そんな奇特なやついないけどな。

 なに、アスナさん。どうして得意げな、勝ち誇ったような顔をしているんです?まるで鬼の首でもとったような・・・。

 あぁ、お前なんかと一緒に居たがるやつなんかいるかよバーカ。ていうマウント取りですね。

 

「それならハチマンくん、お願いです。私たちと一緒にパーティを組んでボス攻略に付き合ってください」

 

 ・・・・・・oh。そう来たか。

 つまりは、体のいい肉壁役を押し付けられたってわけね。

 

「・・・まあ自分で言ったことだからな。」

 

「それじゃあ決まりね!エギルさんは?」

 

「悪いが先約のパーティがあるんだ。ボス攻略戦の時は時はそっちで参加するからよろしくな。キリトはどうだ?」

 

「そうだな、俺も今のとこ溢れ者だし、ハチマンのとこに入れてくれないか?」

 

「俺は別に構わねえよ」

 

 というかアスナの勘定の中にはもう入ってるだろうしな。さっき“私たち”って言ってたし。

 

「それじゃあ私たち、三人パーティの結成だね!よろしくね、ハチマンくん、キリトくん!」

 

 眩しいよ、眩しすぎるよその笑顔。

 いかん、アスナの眩しすぎる笑顔を見てつい一句詠んでしまったようだ。多分、効果音には“ペカーッ”って書いてある。

 

「この三人なら連携もとりやすかったしな。よろしく、ハチマン、アスナ」

「ああよろしく頼む」

 

 なし崩し的にパーティを組んでしまったが、まあいいだろう。

 こいつらなら奉仕部の連中とも上手くやれるだろうし、今後のために今のうちに関係を築いておいて損はないだろうしな。

 

 こうしてパーティを結成した俺たちはエギルとはそのまま別れて奉仕部へと帰ることとなった。

 

「キリトはどうする?今日の攻略会議でのこと、まだアルゴと話し合えてないだろ?」

 

 そういえばと思い、キリトに聞いてみる。

 エギルの依頼が上から被ってしまったが、本来は攻略会議のことについて話し合う予定ではあったのだ。

 

「んー、そうしたいけど、今日はもう遅いしな。あんまり遅くなってもゆきのんたちに迷惑かかっちまうだろ?」

 

「あ、それなら一緒にご飯も食べて行ったら?一人分増えるくらいならゆきのんも許してくれるだろうし」

 

 それもそうだな。俺もたまには女子ばかりに囲まれた食事じゃなく、男とも話したい。

 というかあの空間を誰かに共感してほしい。

 いや、決して自慢的な意味では全くなくてね、あのどうしようも女子色の空間を少しでも緩和できるなら、と思う次第でね。

 

「まあひとまずは奉仕部に帰ってからだな。キリトはそれでいいか?」

 

「もちろん!ゆきのんの飯が食えるなんて願ったり叶ったりだ!」

 

 なんか順調に餌付けされてません?この子。

 

 

 

 

 場所は変わって俺たちは現在、宿にいる。

 結局「話し合うのなら時間も遅いことなのだし、一緒に食事でもしながらで、ということでいいのではないかしら。」

 という雪ノ下の一言でキリトを伴って食事をしながらの話し合いをしようということになった。

 

「それじゃ、今日の攻略会議について話し合いをしようカ」

 

 アルゴの音頭で話し合いがはじまる。

 ちなみに雪ノ下は夕食の準備、そして由比ヶ浜がまさかの書記。まあ料理に手を出せない以上、何かやりたいと駄々をこねたからからなのだが。

 俺の左にはアルゴ、キリト。右側にアスナ、由比ヶ浜が座っている。

 いつもより席が一つ分多いためかアスナとアルゴの距離が近いような気がする。

 ・・・いやほんとに近くね?肩と肩が触れ合いそうだよ?ほら、反対側にもスペースに余裕はあるんだし、もう少し距離を空けてもいいんじゃないですかね?

 まあ俺に発言権なんてないから黙っているけどさ。

 お願いだから肩が触れても嫌そうな顔で払うのはやめてね。八幡、泣いちゃうから。

 

「つっても、疑問や怪しいと思った点を洗い出すだけだけどな」

 

 それでもいざと言う時の警戒を怠らないためにも意味のあることではあるだろう。

 一瞬の油断が命取りになりかねないこの世界では特にだ。二重、三重に警戒しておいて損はない。

 

「あのディアベルってヤツ、どう感じた?」

 

「俺は昼間にハチマンに話した通り、特に感じなかったかな。少し胡散臭い感じはしたけど。」

 

「えー、そうかな?爽やかそうでいい感じじゃなかった?いかにもリーダーやり慣れてます!って感じで」

 

「ほォ〜?アーちゃんはああいうのがタイプだったのカ?」

 

「ち、違うよ?私はもっと心の奥に強さを持っていて、普段は素っ気ないけどとても仲間想いで、時折優しくしてくれるような人が好きなの。・・・ってなに言わせてるのアルゴさん!」

 

「アルゴ、あんまりアスナをからかうなよ。それよりもアルゴはどう思った?」

 

「あぁ、ディアベルナ。あんまり他人の情報をホイホイタダで出したかないんだガ・・・。

 オレっちの調べだと、ありゃβテスターだナ」

 

「やはりか・・・」

 

 それならば数々の言動にも納得がいく。

 まあ、あの焦り具合はそれだけじゃないんだろうけどな。

 

「お待たせしたわね。話し合いの途中で申し訳ないのだけれど、ユイユイさん、アスナさん、手伝ってくれるかしら。思ったより料理の数が増えてしまって・・・」

 

「あ、うん。分かったよゆきのん!」

「こ、こら。今引っ付かないで頂戴ユイユイさん。危ないわ 」

 

 まるでじゃれついてる子どもと母親だな。

 いや、じゃれつく犬か?

 

「うはあぁー!美味そうだな!」

 

「そう喜んで貰えると作り甲斐もあるわね。そこの誰かさんと違って」

 

 目を爛々と輝かせるキリトに対して礼を言ってからこちらをジト目で睨みつける雪ノ下。なんだよ・・・。

 

「俺だって毎日美味いって言ってるだろ。むしろ美味い以上の感想が俺のボキャブラリーの中にないんだよ。

 むしろこんだけ美味い飯を毎日食ってたら舌が肥えてお前の料理以外に満足できなくなったらどうしてくれるんだ」

 

 ほんと、この先が心配だ。・・・あれ、俺も着実に餌付けされてない?

 

「そ、そう。そうなのね・・・。それならいいのよ、それなら」

 

 俺が何か言って、何も言い返さない雪ノ下も珍しいな。なんて考えてたらアスナと由比ヶ浜が残りの料理を机に並べて席に座った。

 

「そ、それじゃ頂くとしましょうか」

 

「だな。いただきます」

 

「「「「「いただきます!」」」」」

 

 それから至極平和な食事に舌鼓をうつ。

 うん、相変わらず美味い!

 

「ハチマンがホントに羨ましいよ。こんな美味い料理を美少女に作って貰えるんだからな」

 

「そうは言うがな、この生活もそれなりに大変なんだぞ」

 

 特に風呂な。あの夜の一件以来余計に気を遣うようになってしまった。

 

「そんなことより、今日の攻略会議はお疲れ様だったわね。アルゴさんに聞いたわよ、例のスピーチ」

 

 例のスピーチ・・・今日のアレのことか。・・・あんまり思い出させないでくれ。

 

「ああ、ハチマンの奴がな、それはかっこよかったぞ。親友である俺を庇うためにあんなことを・・・」

 

「言っておくが、お前のタメだけじゃないからな。俺の今後の安全のためにああやって前に出たんだ」

 

「ふふっ、そうね。でも以外だったわ。あなたがそんな自己の犠牲を厭わない方法以外の解決方法ができたなんて」

 

 なんだよそれ。俺がいつも自己犠牲の解決方法しか出来ないみたいな言い方してくれて。

 俺は最善、最短の思いつく方法をとってるだけだ。それに・・・。

 

「・・・まあ約束したしな」

 

 隣を見るとアスナが優しく微笑みをこちらへ向けてくる。やめて!そんなことされたら八幡勘違いして告白して振られちゃう!

振られちゃうのかよ。

 

「あら、私たちとの約束はロクに守れなかったあなたがどういう心境の変化なのかしら?」

 

「そうだよヒッキー!学校の時はアタシたちとの約束守ってくれなくて、心配ばかりさせてたのに!」

 

「今は状況が違うだろ。俺はその場に則した行動をとったにすぎん。約束を破る、守るはその結果であって大きな意味はない」

 

 多分な。

 由比ヶ浜は未だにブーたれながら料理を口にしているが、その表情は怒りではなく穏やかなものに見えた。

 

「まあ、あれだ。俺もこれからはやり方を考える必要があると思っただけだ」

 

 ただの高校の学生一千人足らずを相手にする訳ではない。

 ゲームの中とはいえ、狭いコミュニティの中に8千人近く居るのだ。

 生き死にが懸かっている以上、誰もが隣人に無関心ではいられないだろう。下手に動いた結果、敵を増やしてこいつらに牙を剥かれたものならたまったもんじゃない。

 

 それに、ここで活動しているのは俺たちみたいな学生だけじゃない。エギルのような大人も当然いるんだ。

 自分になにかできるなんて自惚れてはいないが、それでもやり方を変える必要があるのは確かだろう。

 

「そんなことよりだ、ゆきのんは攻略会議の話を聞いてどう思った?」

 

グラタンを口に運ぼうとしていた雪ノ下はそのスプーンを持つてをピタリと止めてこちらを見る。な、なんだよ・・・。

 

「・・・驚いたわ。あなたがこの手の話で私たちに意見を求めるだなんて・・・。以前までのあなたなら間違いなく一人で消化してしまって、いたはずだもの」

 

「言っただろ、やり方を変える必要があるって。必要だと思ったから実行しているまでだ」

 

 特に他意はない、と言外に含めて少し冷めかかったスープに口をつける。うん、美味いな。

 

「・・・そうね、私がアルゴさんに聞いて感じたのは例のキバオウさん、だったかしら?彼がまたやらかさないか少し不安があるといったところかしらね」

 

 キバオウな・・・。まあ悪い奴ではないんだろう。身内にとってはな。

 実際アイツの主張はともかく、怒りの感情は分からないでもない。

 

「そうだよねー。謝るだけならまだしも、土下座とかお金やアイテムまで要求するのは流石にやりすぎかなっては思うよね」

 

「私もあんまり好きじゃないかな、ああいう、皆で不幸になりましょうって考え方。

 現にハチマンくんにアルゴさんやキリトくん達が提供してくれた攻略本のおかげで被害は抑えられているわけだし」

 

「オイラたちのおかげかどうかともかくとしてダ。それでも被害が少なからず出ている以上、事情を知らない彼らからしたら怒りの矛先が必要なのサ」

 

 そう、誰かが担わなければならないヘイトの集中。

 今はそれがβテスターに向こうとしている。が、それは危ういと言わざるを得ないだろう。

 今は未だ大丈夫だが、今後必ずそういう役割が必要になってくる状況が出てくるはずだ。それならその役目を負うのに効果的なのは・・・。

 

「・・・ハチマンくん。あなたが何を考えているのかは大体分かるのだけれど、それはやめて頂戴ね」

 

 え、なんでそんな簡単に俺の思考を読んできちゃうの?やっぱりエスパーなの?エスパータイプなの?

 

「なにを言っているのかは分からんが、今日もゆきのんの美味しい料理を食べられる幸せを噛み締めていただけだぞ」

 

 俺がそう言うと雪ノ下は顔をそっぽ向けてしまう。ふははは、さすがちょろのん、ちょろい。

 

 その後は攻略会議のことについての話は終わり、アスナとキリトとの戦闘中の連携のことを話しながらの食事の時間は終わる。

 

 雪ノ下たちは入浴するとのことなので、キリトを表まで送りがてら、俺もそのまま外へ出ることになった。

 

「ふぅー。食った食った。ご馳走様、ハチマン」

 

「飯を用意したのは俺じゃないしな。ゆきのん達に言ってやってくれ」

 

「ああ、今度そうさせてもらうよ。ボス攻略は4日後か・・・。それまでは連携の訓練なんかしておくか?」

 

「そうだな。レベルアップも兼ねてやっておいて損はないだろ。依頼がある時は難しいが、やるんなら明日奉仕部に来てくれ」

 

「そうさせてもらうよ。それじゃあな!ハチマン」

 

「おう、またな」

 

 背を向けて歩き出すキリトを見送りながら、またなと再開を願う挨拶をしたことに自分で驚く。

 思っていた以上にキリトに対しても心を許しているみたいだ。

 それはまるでーーー。

 

「友だち、ってやつなのかもな。」

 

 こんなVRの、デスゲームの、偽物の世界で得られた友人。

 それは果たして本物になり得るのか、それを考えるには未だ時期尚早と頭を降って偽物の月を見上げる。

 

「アイツのとこにでも行くか。」

 

 女子の風呂が終わるまで時間はまだまだある。

 既に日課になりつつある歌を聞くべく、彼女のいるであろう林へと足を向けた。

 

 

 

 

 

 いつもの林の奥の少し開けたスペース。そこの切株に彼女は腰をかけていた。

 

「よっ。今日もいるみたいだな」

 

「あ、ハチくん。今日も来てくれたんだね」

 

 

 ユナとはここで出会った日からほぼ毎日のように顔を合わせている。

 ほぼ毎日、というのも別にここで会うことを約束しているわけでもなく、俺も依頼の都合で日を跨いで帰ってくるようなこともあるし、ユナも来られない日が当然あるからだ。

 それでも、ほぼ毎日と言えるくらいに顔を合わせているからには、ユナももしかしたら相当な暇人なのかもしれない。

 

「そういえば今日攻略会議だったんでしょ?どうだったの?」

 

「どうって言われても、そんな面白いもんじゃねえぞ?」

 

 その後ユナに攻略会議の様子をキバオウの件は伏せながら説明した。まあ聞いたところで面白いような話でもないしな。

 一頻り話を聞いたユナは満足そうだ。

 

「ボス攻略かあ、私も行ってみたいなー」

 

「まあ頑張ってたらいつかは行けるんじゃね?」

 

 ユナは戦闘が下手だ、というかまるっきりダメだ。言い方は悪いがまるでセンスがない。

 多分、というか絶対に最初期の俺より酷いまである。

 

「そんなこと言ってハチくん全然フィールドに連れて行ってくれないじゃん」

 

「勘弁してくれ。お前になにかあったら俺がノーくんとやらに怒られちまう」

 

「ノーくんは別にいいの!」

 

 ノーくん、哀れなり・・・。

 聞けばユナは幼なじみのノーくんとSAOにダイブしていてこのゲームに囚われているらしい。

 ノーくん自身も戦闘が得意ではないということでどうしてもフィールドに出てみたいというユナに頼まれて外に連れ出したのだが・・・結果はさっきも述べた通り惨憺たるものだった。

 剣を振っても攻撃は当たらないし、mobの攻撃を避けた先には別の敵が待ち構えている始末。

 一応、一通りの戦い方を教えはしたものの、一人でフィールドに出るのは危険と判断して街の外から出るのを禁止したのだった。

 

「ボス戦が終わってないの落ち着いたらまた連れて行ってやるよ」

 

「ほんとに?約束だからね!」

 

 ほんとほんとハチマンウソツカナイ。

 だからそんなに前のめりにならないで?近い近い近いいい匂い近い!

 年頃の女の子がそんなに無防備になるもんじゃありません!

 

「そ、それよりも新曲作りの方はどうなんだ?」

 

 なんとかユナから物理的に距離を少し置いて仕切り直す。別に名残惜しいとか思ってない。思ってないったら思ってない。

 

「新曲ねー、ちょっと行き詰まってるんだ」

 

 そう言いながら切株に腰をかけ直し夜空を見上げる。その表情は少し憂いを帯びているようだった。

 

「なら今度息抜きでもするか」

 

「ほんと!?」

 

 本日二度目前のめりどアップ。

 だから近いって!

 

「あ、あぁ。たまにはそういうのも必要だろ。まあボス攻略が終わってからになるとは思うが・・・」

 

「うん!それじゃあ約束ね!」

 

「お、おう」

 

 そう言ってこちらへ向けてくる小指に同じように小指を差し出して絡める。なんだか小町を思い出すなあ・・・。多分、背格好から同じくらいの年齢だろうってことだと思うけど、そのせいでついついお兄ちゃんスキル発動させちゃうだよなあ。

 

 それからも少し話をしてから、そろそろ時間になるということもあり俺は宿へと帰る。

 

 

 

 宿に帰ってからはアスナに何をしていたのか聞かれたが、普通にユナと会っていた旨を伝える。

 初めのうちこそこんな時間に女の子と会うなんて!と言われたりもしたものだが、妹みたいな感覚だと伝えると納得してくれたようだ。

 妹は世界に平穏をもたらすのかも知れない。

 やっぱり妹ってすげー!

 

 そんなアホなことを考えながらも夜は更けていった。

 

 




ようやく話が進もうとした矢先にすぐ脱線してね、ほんと・・・
妄想が捗るから仕方ないね。しょんなし

というか読み直しながらいつも思うんですけど
文法とか話が面白くない、見辛い文章以前に
長すぎて読んでて疲れませんか?
多分、半分くらいの文量が丁度良い気がするのは私だけでしょうか・・・

半分の文量ににして、現在5日に1話投稿を、2日に1回の投稿にしようかと思うのですが、いかがでしょう

次の投稿までに要望なければそれでいきたいと思います




次回予告的なやつ


「まあ、怖いのは当然だ。多分、ここで逃げ出してもみんな許してくれる・・・」

「ハチマンくんが護ってくれるんなら私、怖くないよ。うん。戦える、大丈夫」

「ハチマンさんは面倒臭がりで高圧的で人を食ったような目が腐ってる人だと聞いていたので・・・」

「とりあえず全員ストレージを開いてくれ。ポーションを送る」

「それじゃあナタク。ボス攻略戦の時はよろしくな」

「すまないハチマンくん!ハチマンくんにしか頼れないんだ!」

 あぁ・・・俺のアホ毛レーダーがビンビンに反応してる
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