やはり俺のVR青春ラブコメは間違っている   作:青鬼ちゃん

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お久しぶりでございます。

楽しみにしていてくれていた方々、お待たせすることになってしまい大変申し訳ないですm(_ _)m

携帯が壊れたんで買い替えに行ったんですが、案の定データのサルベージができなくて萎えておりました(´;ω;`)

これからまたぼちぼち更新していくんで、よろしくお願いします。


二章 三部

 

 

 眠りから目を覚まして視界に映る時刻を確認する。なんだ、まだお昼じゃねえか・・・今日はゆっくり寝かせてくれ・・・。

 

 コンコンっ

 しかしその平穏は無常にも崩されてしまう。いや、出ないけどね。オフトゥン君が俺を離してくれないんだ・・・。ははっ可愛いヤツめ。

 

 コンコンコンっ

 そもそもだ、ボッチの俺を訪ねてくる奴なんているのだろうか。答えは決まっている、否だ。

 それならばこのノック音は空耳、幻聴、まやかしである。QED証明完了。ふぅ、また一つ世界の真理を解き明かしてしまったぜ。

 

 コンコンコンコンっ

 それにしてもうるさい幻聴だ。ここはトイレでもなければ、親しい友人の部屋でも無い。そもそもそんなものは存在しないし、であれば面接会場や初めて訪れるような場所であるかと言われればNOだ。

 

 コンッコンココッコンっ

 ゆきだるまつくーろー♪ドアは開けなーい♪って本当にうるせえな、いい加減に目が覚めてきたぞ。こんな残酷な嫌がらせをするのはどこのどいつだ!

 

 体を起き上がらせ、半ばキレ気味に扉へと向かい、半開きにして外を確認する。

 

「・・・誰だ」

 

「あ、ハチくん起きてた?」

 

「いや、寝てる」

 

 そう言って扉を閉める、“ナチュラルクローズ”。効果、相手は何事もなかったかのように帰る。はっはっは、これで訪問販売も撃退できるな。専業主夫を目指す身としては必須スキルだな。

 

「なに閉めようとしてるの」

 

 ドアの間に足を入れてドアが閉まるのを阻止される。“フットインザドア”だと・・・っ!?こいつ、いつの間にこんな高度なテクニックを・・・っ!

 

「・・・なにしに来たんだよ、ユナ」

 

 というか何で俺の部屋知ってるの?教えてないよね?

 

「だってメッセージ送ってもハチくん全然返してくれないから、来ちゃった♪」

 

 いやなに、そのてへぺろ。あざといんだけど、あとあざとい。まさか素でやってないよね?

 というかメッセージ・・・。あ、ホントだ。昨日の無視してたメッセージともう一通別に入信していたみたいだ。

 

「んで、用件はなんだよ」

 

「んーとね・・・買い物?」

 

 オーケー分かった。要するにただの暇つぶしなんだな。

 ドアを再び閉めるため、ユナの足をドアの隙間から外すべく、互いに足での圧し合いをして領土争いをしながら、昨日無視していたメッセージの内容を確認する。

 差出人は・・・キリトか。『話したいことがあるから時間を作ってくれ』って・・・なんだろうな。皆目見当もつかない。

 

「ハチくん、開けてよー!」

 

 キリトとはボス攻略の際にちょこちょこ顔を合わせてはいるし、最後に会ったのだってつい4日前くらいだ。思えばここ最近のキリトは様子が少し変だったかもしれない・・・。まさか・・・っ!

 

「ハチくん・・・なんで意地悪するの・・・?」

 

 彼女ができた・・・?相手は誰だ?アスナか・・・?いやいや、雪ノ下・・・は無いな。アルゴも無いだろうし、由比ヶ浜はもっとありえなさそうだ。

 

「うっ・・・ぅぐっ・・・グスッ・・・」

 

 何も可能性は奉仕部のメンツだけじゃない。俺の知らない交友関係だってあるだろうし、うん、きっとそうだな。

 

「開けてよぉ・・・いい子にするからぁ・・・」

 

「おっと悪い」

 

 というかなんでそんなにグズってるの?

 

「わ、悪い・・・考え事しててボーッとなってたみたいだ。そんなに痛かったか?」

 

「うぅ・・・ひどいよハチくん・・・」

 

「悪かった。買い物?にも付き合うからよ、機嫌なおせって、な?」

 

 なんとかあやしつけることを試みるも、どうやら難しそうだ。どうしろっちゅうねん。

 女子の機嫌の取り方なんざ俺にはハードルが高すぎて分からんぞ。小町だったら甘いものでも買ってきてやれば収まるんだがな・・・。

 

「分かった、それじゃあ買い物に加えて一つ言うことを聞く。それでどうだ?」

 

「ほんとに・・・?」

 

「あぁ本当だ。ハチマンウソツカナイ」

 

 どうやら少しは効果があったようだ。小町にも偶に使用する『なんでもするから』の一言。

 まぁ、ユナは小町みたいに無茶振りはしないだろう。多分・・・しないよね?

 

「・・・カタコトなのが気になるけど、まぁ今回はそれで許してあげるっ!」

 

 なんかハメられたような気がしないでもないが、とりあえずは機嫌が治ったなら一安心だ。

 というか、なんで俺が他人のご機嫌を伺わなければならないのか・・・。我ながら謎ではあるが、まぁなんだ・・・。ユナには笑顔が似合うってことだな。

 

 

 

 

「それで、何を買いに行くんだ」

 

 宿屋にいつまでもいても仕方ない、というわけでとりあえず街に出てきたのはいいものの、ただ無為にブラつくだけ。しかし、それでは折角俺がオフトゥン君と涙ながらにサヨナラした意味がないので、ユナに目的を聞いてみると思ってもみない返答だった。

 

「えーっと...未定?」

 

 ミテイ・・・なんだそれ。新手の武器か?それとも限定のアイテムか、はたまた食べ物か?

 ってそんなわけないだろ。所謂“未定”。ようするに何も決まってないってことね。

 

「それなら何も今日無理に出かけなくても・・・」

「あっ!ハチくん、あれ美味しそう!」

 

 俺の言葉に被せるようにして声をあげたユナの指差す方向にはアイスクリームの屋台。ようするに食べたいってことね。

 

「おーいハチくん!はやくはやくぅー!」

 

 ってもう屋台のとこまでいるし。なんなのその行動力・・・凄まじすぎない?あと外で大きい声で名前を呼ぶのはやめてね?恥ずかしいから。ほら、めっちゃ周りの人も見てるじゃん・・・。

 

 そういえば俺が小さいころ、母ちゃんもスーパーなんかで俺が逸れたりしたら、やたらとでかい声で名前呼んでたな・・・。アレなんなんだろうな。すごい恥ずかしいんだけど...。自分に子どもができたりすれば分かるんかな。まぁ俺は絶対大きい声は出さないけど。というか出せないね。

 

「もーハチくん遅いよ!」

 

「へーへー、そいつはすいやせんでしたね」

 

 いや、ただでさえ白昼から町の中で大きな声で名前を呼ばれて目立っちゃってるのに、その上走っていくなんて無理。無理無理無理のかたつむりよ。

 

「で?どれにするんだ?」

 

「んー・・・ハチくんは?」

 

 俺かよ、質問を質問で返すんじゃねえよ。大体ユナが食べたいって言ったんじゃねえのかよ。

 

「・・・じゃあミルクで」

 

「じゃあわたしはチョコで!」

 

 お互いに無難なチョイスだよな。いや、無難が悪いってわけじゃないけどね。ヘタにチャレンジ精神でも出してハバネロ抹茶とか頼まれたらリアクションに困るし。

 

 代金を支払おうとするユナを手で制して、屋台の店主に代金を支払う。一個500colって、ちょっと高くない?始まりの街なら宿二日分だよ。

 しかし、その金額もこの階層まで来れば、さした金額には感じられない。いや違うな。多分慣れてきているんだろうな。このゲームの世界に・・・。それが良いことなのか悪いことなのかは俺には分からんけど。

 

「んー、やっぱりハバネロ抹茶にすればよかったかも・・・」

 

「だから、そういうチャレンジ精神はやめときなさいって」

 

「え?そんなこと言ってたたっけ?」

 

 あれ?言ってない?・・・言ってないな。俺が勝手にモノローグしてただけだわ。

 

 なにはさておき、せっかく買った甘味だ。鉄は熱いうちに、アイスは冷たいうちにってね。・・・言わないか。

 

「ん・・・美味いな」

 

 一口食べて分かる。これは美味いやつや。濃厚なミルクの味が口いっぱいに広がり、それでいてくどくない。サッと消えてしまいそうな味を見失わないよう、一口、また一口と舌が欲しがっているのが分かる。

 隣を見やればユナも大層美味しそうにアイスを食べていた。なんだろうね、この他の人が食べていると美味しそうに見える現象。

 

「ハチくんのも一口ちょーだい♪」

 

 そう言うが早いかユナは俺のアイスに口を付ける。ねえ、そこ俺が口付けてたとこなんだけど。気付いてないの?

 

 あくまでもナーヴギア越しに脳に送られる電気の信号。もちろんリアルに分泌される唾液などここには存在しないことは理解している。

それでも、こんなん嫌でも意識しちゃうでしょ。あんまりボッチをおちょくるなよ?うっかり『 こいつ、俺に気があるんじゃね?』とか勘違いしそうになるだろ。いや、俺くらい訓練されたボッチはそんなことないけどね?エリートですから。ボッチの。

 

 だから今ドキドキしているのも、慣れない女の子とのやり取りに緊張しているだけ。だって小町とこんなことしててもドキドキなんてしないもんね。

 

「・・・お前、そういうの男に軽々しくするのやめろよ」

 

「?ハチくん以外にはしないからだいじょーぶだよ」

 

 ・・・っ!こいつは・・・。そういう言動が純情な男子心を揺さぶってるって気づいてる?多分素で言ってるであろうとこが尚更質が悪いな。ノー君も苦労しそうだ。

 

「ハチくんも食べる?」

 

 そう言って自分の食べているアイスをこちらへ差し出してくる。全く意識なんてしていなさそうだな。一人で頭の中でてんやわんやしてるのが馬鹿らしくなる。

 

「・・・・・・なら一口だけ」

 

 比較的まだ手を付けていられないように見える外周部。コーンの少し上を齧る。・・・うん、やっぱチョコも美味いな。

 

「えへへ、まるでカップルみたいかな?」

 

「バカ、どちらかと言えば兄妹だろ」

 

 決してカップルなんて色気のあるようなもんではないだろ。そんなラブコメ展開は俺には縁遠いものだ。

 

「それじゃわたしが妹ってこと?」

 

「そりゃそうだろ。ユナが姉なんて想像するだけでも勘弁してくれ」

 

 姉みのあるユナ・・・なしだな。うん、なしなし。

 

「なんか納得いかない物言いだけど・・・たしかにハチくんの方がお兄ちゃんっぽいもんね。自然とお兄ちゃんが板に付いてるって感じ?」

 

「そりゃ生粋のお兄ちゃんだからな」

 

 なんなら約16年お兄ちゃんしてますし。お寿司。・・・ますしお寿司はちょっとばかり古いか?もしかしなくても死語認定されてないよね。

 

「わたしもハチくんみたいなお兄ちゃんだったら欲しかったなぁ」

 

「ユナは一人っ子だったか?」

 

「うん、お父さんが結構歳をとってからの子どもなの。だからかな・・・お父さん少し過保護すぎるところがあるんだよね・・・」

 

「・・・父親なんてどこもそんなもんじゃねえの。ウチも親父は妹を溺愛してるしな。おかげさまで、俺はこんなにしっかりしたお兄ちゃんになれたってわけだ」

 

 まぁ、しっかりしてるかどうかは知らんけど。少なくとも一人でも色々できるようになったのは、そういう環境があったおかげだな。そういう意味じゃ俺も一人っ子。いや、独りっ子か。 

 

「またハチくんがバカなこと考えてる顔してる・・・」

 

「え、なに?顔に出てた?」

 

「うん、ハチくんがそういう顔してる時は大体下らないこと考えてるか、バカなこと考えてるって。ゆきのんさん達に教えてもらったよ」

 

 ええ・・・まじか。あんまり顔に出ない方だと思ってたのに・・・。自分じゃ分からないもんだな。

 

「・・・ちなみどんな顔だ」

 

「んー・・・。秘密っ」

 

 なんじゃそりゃ。一生謎のままじゃねえか・・・。最悪アルゴから情報を買うことにするか。

 そう決意してアイスの最後の一口を口に入れる。大変美味でした。また今度買いに来ようかしら。

 

「それじゃハチくん、行こっ」

 

「は?」

 

 行くってどこによ・・・。もうアイス買ったから買い物は終わったんじゃないの?

 

「買い物の続き!レッツゴーショッピング、だよ」

 

 なにその“Let's Go Camping”みたいなノリ。中学生の英語の教科書かよ。

 

「へいへい・・・」

 

 とはいえ、俺に拒否権なんてモノは存在しないことはわかっている。ここはガンジーもビックリ、無抵抗主義で大人しく従うことにしますかね。

 

 

 

 それからは、ユナと目的もなくブラブラと色んな階層を見て周り、ショッピングをすることにした。正直、階層を見て回るだけでもそれなりに楽しいものではあった。

 一層の攻略以降、加速度的に攻略速度が上がっていたせいか、ロクに見て周れていない階層もあったしね。

 

「そろそろ良い時間だし、帰らないとな」

 

「うん・・・・・・。ねぇハチくん、最後に一つ、付き合って欲しいんだ」

 

 まぁ、ここまで来たら一つも二つも大差ないだろうから別にいいけどさ。

 

 そう言ったユナに連いてきた場所は、いつぞや二人で訪れた噴水のある広場だった。いつぞやって言っても、つい最近なんだけどね。

 

「ハチくん、わたし歌うね。今日、ここで・・・」

 

「ユナ・・・?」

 

「だから見てて欲しいんだ。最初のお客さんは、やっぱりハチくんがいいから」

 

 ユナはそう言うと、軽やかに噴水の段になっている所へ飛び乗り、深く深呼吸をする。

 おいおい、無理はするなよ。足震えてんじゃねえか・・・。

 

 しかしそれでもーーー目を開いたユナの瞳には、強い意志のようなものが感じられた。

 

 そしてユナは歌い出す。メロディに乗せた想いを、言葉を紡ぐ。

 決して声は大きくはない。しかし、張りのある声に全意識を持っていかれてしまう。

 

 周囲を見れば、一人、また一人と足を止めて流れてくる旋律に耳を傾けている。初めは興味半分だったやつ、冷やかし半分だったやつも、漏れなく全員がだ。

 

 しかし、曲も終盤へ差し掛かろうとしている頃には、そんな周りを気にする余裕もなくなっていた。どうしても視線がユナに釘付けにされてしまう。

 

 やがて歌は終わり、静寂が生まれる。今はその余韻すら曲の一部なのではないかと錯覚してしまいそうだ。

 

 ぱらぱらと、拍手を叩く音が聞こえる。ユナ・・・やっぱりお前は凄いやつだよ。

 俺も含めて、これだけの人間の心を揺さぶり、感動を生み出せるんだからな。

 

「あ、ありがとうざいましたっ!」

 

 そう礼をして噴水の壇上より飛び降りて、こちらへと駆け寄ってくる。いやいや近い近い。他の人も変な目で見てきてるから。誤解されちゃうから!

 

「・・・・・・どうだった?わたしの歌・・・」

 

「まぁ、良かったんじゃねえの・・・」

 

 違うだろ。本当の感想は他にあるだろ。こんな時にまで捻くれてんじゃねえぞ、俺!

 

「いや、その・・・なんだ。うん、まぁ・・・すげぇよかった・・・と、思う。多分・・・知らんけど」

 

 結局素直には伝える事なんてできない。それでも、ユナは俺なんかの言葉に満足してくれたのか、満開の笑顔を見せてくれた。ごめんね?ロクな褒め方が出来なくて。

 

「ハチくんに良かったと思ってもらえたなら、わたしも良かったよ!」

 

 そうかい、俺もそんなユナの歌を聞けてほんとに良かったよ。あ、今の八幡的にポイント高い。

 

「・・・そんなことより、ここは目立つから移動しよう」

 

 さっきから注目の的になってるみたいで、すっごい落ち着かないんですけど・・・。もしかしなくても変な目で勘違いとかされてないよね?違うんですよ、この子とはそう言う関係じゃねくてね、保護者的な立ち位置なんですよ。いや、俺がね。

 

 人目を避けるため、ステルスヒッキーを発動させるも、ユナも居るためか不発に終わってしまう。そもそも俺の存在感が薄いってだけで、スキルでもなんでもないんだけどね。

 

 なんとかユナを連れて早歩きで路地の方へ退避する。ここの路地は入り組んでるからな・・・なんとか人目は撒けただろう。

 

「ハチくん・・・手・・・痛いよ」

 

「おっと、わりぃ」

 

 いつ間にやらお手てを繋いでいたみたいだ。それもそうか、ユナを連れてるって意識はあったんだもんな。ってことは確信犯?いや、それも違うだろう。多分無意識に、小さい頃に小町の手を取って歩いてた感覚と一緒だな、うん。よって俺は無罪。

 

「・・・もう時間も遅くなっちゃったし、帰ろっか」

 

「・・・・・・おう」

 

 いや、別に変な空気になんてなってないからね、いやほんとに。

 

 

 

 

 ユナと別れた俺は、キリトの話とやらを聞くべく、キリトの泊まっているという宿のある25階層にあるバーを訪ねている。

 店内に入ると、カウンター席の端の方に黒ずくめの剣士の姿を確認できた。

 

「来てくれたのか、ハチマン」

 

「あぁ、まぁな・・・」

 

 キリトに返事をして隣に座る。マスターいつものを、なんて言っても伝わらないんだろうな。NPCだしね。

 一先ず注文したジンジャーエールを口に含んで、口内を潤す。

 

「ーーーで、話したいことってのは何なんだ」

 

「あぁ・・・。実は俺、ギルドに入ることにしたんだ」

 

「なんだ、そんなことか」

 

 てっきり彼女ができたとか、お先に大人の階段昇っちゃったとか・・・。やばい、そんな話だったら血涙流していたかもしれない。

 

「反対はしないのか?」

 

「する理由もないだろ・・・。というより今更だな。何を悩んでたのかは知らんが、こんなデスゲームでソロプレイを好んでやる奴なんて余程奇特な奴か、生粋のソロぼっちくらいだろ」

 

 ちなみに俺は後者な。選ばれしスーパーエリートぼっち戦士だからね。

 

「そっか・・・。俺が入るギルド、“月夜の黒猫団”っていうんだけどさ、まぁ悪い奴らじゃなくてさーーー」

 

 それからキリトは、加入したギルドのメンバーのことについてや、どんな話をしていただの、サチって女の子の声がゆきのんに似ているだの、タッカーて奴の声が俺に似ているだの・・・誰だよそれ、知らないやつの話ほど盛り上がれない話はないぞ。

 それでもキリトは、まぁ楽しそうに話ていた。

 こうも楽しそうな様子のキリトを見るのは、なんだか久しぶりかもな・・・。

 

「ーーーっと、悪いな、俺ばかり長々と話してて・・・」

 

「いや、別に構わねえよ」

 

「俺、ほんとはハチマンが作るギルドに入りたかったんだよな」

 

「は?なんだそれ・・・」

 

 俺がギルド・・・?なんだその面白くないジョーク。というか、2階層攻略の時にはっきり言ったよね?『ギルドを創る気はない』って。

 

「・・・ギルドを創る気は無いって言っただろ」

 

「・・・・・・均衡を保つために、か」

 

 今の現状は攻略するためには理想的な状態ではある。・・・このままの状況が続くようであれば、いずれは手を加えてやる必要があるかもしれないが・・・・・・まぁそん時はそん時だな。

 

「ギルドとして活動する“奉仕部”も楽しそうだと思ったんだけどな・・・」

 

「それはないだろ、もしあったとしても・・・・・・」

 

 はたして、そこに俺は“いる”のだろうか。

 

 ・・・・・・考えたところで仮定の話だ。まさしく杞憂というやつだろう。

 

「ま、俺からしておきたかった話はそんなところだ。悪いな、わざわざ呼び出しておいて・・・」

 

「いや、俺も久しぶりに話せて・・・まぁ、良かったよ。攻略組には今まで通り参加するのか?

 こう言っちゃなんだが、聞いた限り今のギルドのレベルじゃ・・・」

 

「あぁ、分かってる。攻略組の方には今まで通り、ソロで参加するつもりだ」

 

「まぁ、せっかく仲間が出来たんだ。しばらくは参加が難しいこともあるかもしれないからな。ムリに参加する必要はないんじゃねえの。知らんけど。

 もし助力が欲しい時にはメッセでも送るだろ。アルゴが」

 

 ギルドに入ったんなら、キリトにも付き合いがあるだろうし、ムリに付き合わせるのもよくはないだろうしな。

 

「ハチマン・・・今日は話せてほんとによかったよ。胸のつっかえが取れたみたいだ」

 

「そうかい、そりゃよかったよ・・・」

 

 俺なんかみたいなやつは話聞き上手だからな。聞き上手の比企谷さんとは俺のことよ。ただ自分から発信の会話が苦手だから相槌打ってるだけなんですけどね。どうでもいいけど、相槌って鍛治の言葉なのな。ナタクが言ってたわ。

 

「ハチマンは最近奉仕部に顔出してるのか?」

 

「いや、出してないけど・・・」

 

 なんなの?そんなにみんなして俺が奉仕部に寄ってるかどうかが気になるの?確かに最初の頃を知ってれば気になるかもしれないけど、リアルの俺はぼっち人間なんだから。あ、SAOでも変わらなかったか。

 なんなら一人の方が動きやすいしね。

 

「この前、久しぶりにゆきのんとユイユイに会ったんだけどさ、少し元気がなさそうだったぞ」

 

 それ、俺関係ある?いや多分ないよね?とはいえ、全く気にならないわけではない、ということもないこともないわけではない。もうこれ分かんねえな。

 

「ま、時間がある時にでも顔出すわ」

 

 うん、時間がある時にね。行かないとは言ってないから。ただ忙しくて行く暇が中々無いだけ。あー忙しい忙しい。

 

 

 

 それからキリトの話を再び一頻り聞いた後、解散する流れとなった。

 まぁ、なんだ。どうしたらいいか分からないながらも楽しんでいるみたいで何よりじゃねえの。

 

 別れ際に「ハチマンもがんばれよ」と言われたが、何を頑張れと言うのだ。俺はいつでも頑張ってるだろ。主に俺が楽するために頑張ってる。

 楽をするために働くって・・・それ楽できてなくね?本末転倒だわ・・・。あー誰か養ってくれねえかなぁ・・・。

 

 そんなことを真面目に考えつつ、宿屋のベッドで横になりながら静かに目を瞑った。

 

 




できるだけ考えてた内容に近づけるようにはしてみましたが、正直微妙かもです…

ぼちぼちやってくんで、よろしお願いします!



次回予告てきなもの

「ハチくん、お待たせ。今日もボディーガードお疲れ様」

「…おう、久しぶりだな。入っていいか?」

「3ヶ月ぶりだし!ヒッキーのバカ!なんで連絡返さないし!」

「比企谷くん…?なぜ今彼の名前が出てくるのかしら」

「……いい?由比ヶ浜さん。彼はもう居ないのよ…。消えてしまったのよ…」

「これからそうなる予定があるのかよ爆散しろ」

「思考回路がテロリストじゃないか…」

「うん、ハチマンさんもまた、ね」
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