やはり俺のVR青春ラブコメは間違っている   作:青鬼ちゃん

17 / 24
というわけで17話目です。

いつも応援して下さったり、読んでくださる皆さんのおかげで投稿することが出来ました!
というか、本当にモチベーションが上がりますね。自分でもビックリですよ

というわけで、今回もお目汚しにはなりますが、お付き合い下さいませ。


二章 五部

 

 

 キリトたち“月夜の黒猫団”の凶報を聞いてから数日が経った。

 

 未だにキリトとの連絡はつかないままだが、フレンド登録の名前は消えていないことから、生きてはいるんだろう。

 

「ハー坊も可愛い弟が気がかりでたまらない、って様子だナ」

 

「…別にそんなんじゃねえよ。アイツには貸しがあるから、返して貰わないとってだけだ」

 

「しかし、わざわざ来てくれたのに悪いナ、ハチマン」

 

 情報屋であり、キリトとの付き合いが俺よりは幾らか長いアルゴならキリトの行方が判るかもと思ってはいたが、どうやらアテが外れたようだ。

 

「いや、それは全然。…というよりも、俺の方こそ急に訪れて悪かったな」

 

 こうなると仕方ないな。追跡スキルを使おうにも時間が経ちすぎて足跡を辿ることも出来ない。となれば探しに行くしかない。行くしかない、のだが……。

 

「はぁ…。めんどくせぇな…」

 

 そう、ぶっちゃけ面倒臭い。どれくらい面倒かというともうアレだ。寝る体勢に入っているのに電気消し忘れてて、どうにか足を伸ばして電気のヒモを引っ張れないか試してみるくらい。

……ちがうか。そもそも俺の部屋、ヒモ付いてないし。

 

「と、なんだかんだとボヤきながらも可愛い弟分を心配するハー坊なのであっタ」

 

「なんでちょっとちび〇子ちゃんのナレーション風なんだよ」

 

 なに?キートンさんなの?キートンアルゴさんなの?

 長寿アニメの声優変わると見る気が失せてしまうのは俺だけなのだろうか…。

 否、他にもたくさんいるはずだ。

 

「マ、キー坊のことは任せたゼ、ハー坊。オレっちも色々な方面から探してみるヨ」

 

「あぁ、まあよろしく頼む」

 

 結局キリト捜索は振り出し。まあ地道に足をつかって捜しますかね。

 なに、時間は…あるはず。多分……。

 いくら絶望したからって自らーーなんて事はしないタマのはずだ。

 

 一先ずアルゴに礼を言ってその場を後にすることにした。

 

 

 

 

 

 しかし、いざ捜そうとなるとなかなか見つからないものである。

 各階層の居住エリアはしらみ潰しに探したし、雪ノ下や由比ヶ浜、アルゴにも声をかけているから捜索漏れ、なんてことはないだろう。

 そうなると残りはフィールドか迷宮区なわけだが…。

 

「……念のため行ってみるか」

 

 心当たり、と言うには信頼度の低い俺の直感を頼りに、とある場所へと足を運ぶことにするーーー。

 

 

 

 

「ーーーやっぱりここだったか」

 

 迷宮区内に鳴り響く剣戟の音の元はすぐに分かった。

 アルゴから聞いていた情報を頼りに歩みを進めていたが、どうやら正解だったようだ。

 

 しかし、その剣戟の音の主の表情は、どこまでも暗く、そして冷たいものだった。

 

「ーーーっ」

 

 声を掛けようとした。が、なんと声を掛ける?

 たしかにキリトとはもう半年近い付き合いがある。

 親密…とまではいかないだろうが、こんなクソッタレなデスゲームの最序盤から知り合った、まあ、なんだ……。友だち、と呼べる仲…だとは思う。

 

 だけど、今の彼に対して掛ける最適な言葉を、俺は持ち合わせいるのか?

 大丈夫か?元気出せよ?辛かったな?

 

 空虚だ。どの言葉もキリトに響かせることはできないだろう…。

 

 それなら俺にできることはーーー。

 

「ーーーよお、キリト」

 

 よし、噛まずに言えた、声も裏返ってない。偉いぞ八幡!成長したぞ!

 

「……ハチマン、か」

 

 言葉には反応したものの、こちらを見ることはない、か。

 

「おう、ハチマンさんだぞー。なんだ、聞いてたより元気そうだな」

 

 ーーピクッ

 

「……元気そうか。そう見えるか…?」

 

 キリトの生気の失われた瞳がこちらをようやく捉える。だが、その視線はどこまでも虚ろで…。

 

 違うだろ。そうじゃないだろ。

 お前の眼はもっと輝いていたはずだろ。

 

「いや、どう見たって元気そうだろ。こんな迷宮区の奥深くに潜って、剣振り回してんだ。元気以外のなんだって言うんだよ」

 

「そう、だな…。なんでもいいけど、一人にしてくれ…。特に用事があるわけじゃないんだろ」

 

「まあ、特に用事ってわけでもないけどな。まあ、なんだ…こんな薄暗いとこでなにをしこしことやってるのか、とな」

 

「そうか…悪いけど、今は放っておいてくれないか」

 

 そう言いながら、キリトはmobを狩る手を止める気配はない。

 

 やれやれ、これは相当に重症だな…というのも当たり前か。

 つい先日あんな事があったばかりだ。俺には計り知れない辛さ、痛みがあるんだろう。

 そんな俺がコイツに掛けてやれる言葉なんてどんなものだろう。

 

「……ちょっと面かせよ、キリト」

 

 湧いて出てきたmobに短剣で切りつけトドメを刺して狩りの切り上げさせて、キリトに付いて来るように促す。

 予想外にもキリトはすんなりと付いて来てくれた。まあ、ただ面倒くさい目の前の輩を満足させて帰そう。そんなとこだろうか。

 

 

 

 薄暗い迷宮区を目的地に向かって歩いて行く。

 お互いにの足音以外、響く音もない。

 

「……なあ、どこまで行くんだよハチ「これは俺の友達の友達の話なんだがな」…」

 

「ソイツはちょっとした下らないことで妹とケンカをしたんだ。アレはたしか…そう、冷蔵庫のアイスを勝手に食べてしまったんだ」

 

「……ハチマン、友達いないんじゃなかったのか」

 

 うぐ…。こいつ、気落ちしてる癖に目ざといじゃねえか。

 

「…まあ最後まで聞けよ。

 で、妹に怒られたソイツはな、新しく同じアイスを買ってきたんだ。でもな、結局妹と口をきけたのはそれから1週間後。耐えきれなくなって土下座で謝ってからだ」

 

「…その話になんの関係が……」

 

「っと、着いたな」

 

 キリトを連れて来た部屋の前で立ち止まる。彼にとっては最悪の思い出が過ぎる場所。例の事件が起きたモンスタールームだ。

 

「ここは…っこんな所で何を…っ!」

 

「まあ見てろよ」

 

 そう淡々と告げてメニューを開き、手早く装備を解除する。

 初期装備、どころかインナーと装備している短剣のみだ。

 

 そのまま何事もないかのように、教室の扉を潜るかのように部屋に入る。いや、教室の扉をくぐるのは何事もないことも無いか。あの瞬間はどうあっても気が重いものだからな。

 とは言え、今、この瞬間も気が重いものには相違ないから、あながち誤用ではない、と言えるだろう。

 

 部屋の中心へと足を運び、歩みを進める。キリトもそれに続く。いや、来てくれなかったらどうしようかと思ったけどさ。

 

「なあ、ハチマン…ほんとに何を…」

 

「おっ、あったあった。この宝箱だな」

 

 無造作に宝箱を開く。当然中身は空だ。

 そしてけたたましく鳴り響くアラート音、それに赤暗くなるモンスタールーム。トラップ発動のサインだ。

 

 次々とポップされるmob。おーおー慌ててるねえキリト。だけどな、キリトにはこれを乗り越えて貰わなきゃいけないんだ。

 この先、そのトラウマに引き摺られないように。

 

「そーいうことで、キリト。後は頼んだ」

 

 短剣を左手に構え、勢いよく…右腕を切り落とす。

 

「っつぅー…!」

 

 自傷ダメージとは言え、結構ダメージ食らうもんだな。

 

「な、何やってんだハチマンっ!」

 

「何って…。言ったじゃねえか。後は頼んだって…ちゃんと守ってくれよ?」

 

 右腕切り落とした以上、時間経過で再生されるまでメニューは開けないからね。

 

「くそったれ!何がしたいんだよ一体!」

 

 ほんとに、何がしたいんだろうな俺は…。こんな方法しかとれない、そんな自分に嫌気が刺しそうだ。

 ……由比ヶ浜やアスナに知られたら怒られるかな。うん、絶対怒られそうだから黙っとこう。

 

 既にポップを終えたmobは、罠にかかった俺とキリトを排除せんと攻撃を開始している。

 

 ……にしても予想以上に敵の数が多いな。こりゃ食らう攻撃は選ばないと不味いかもな…。

 

 いくらステータス的に余裕があるとはいえ、こちとらAgi特化型。武器もクナイも無いこの状況。自分で引き起こしたとはいえ、ちょっと…いや、かなりヤバいな。

 

 

 

 

「はあぁぁっ!ーーっはぁっ、はぁっ」

 

 最後の一体のmobをキリトが切り捨てて戦闘は終了した。

 

「おう、お疲れさん、キリト」

 

「っぐ…なんのつもりなんだよ!ハチマンっ!!」

 

 ぬぐぉっ…。く、苦しいですよ、キリトさん。こんなに勢いよく胸倉を掴まれたのは、文化祭の時の屋上以来だな。

 

「さ…さぁ、な。それより…はなし、てくんねえか…」

 

「ーーーっ!くそっ!」

 

 乱暴に胸倉を掴んでいた手を離すキリト。こりゃあ相当にご立腹だな…。それもそうか…。

 気持ちの整理もつかない内に無理やり嫌な記憶を思い出させられた挙げ句、訳の分からんことに付き合わされてるんだ。そりゃ怒りもするか…。

 

「…俺がさっき話してた話、覚えてるか?」

 

「…ハチマンと妹の話だろ、それがなんだよ」

 

「俺じゃねえっ!友達の友達だ!」

 

 …おっといかんいかん。俺が熱くなってどうするよ。

 

「…コホンっ。まあいい、話の続きだけどな……。

 結局、1週間経って土下座を敢行して、ようやく許されたんだ。あの時はホントに辛かった…死ぬか永眠するしかないとすら思えたね」

 

「やっぱりハチマンの話じゃないか…。結局なんなんだ。遅くなっても謝れば許してもらえるってことか?

 そんなこと、もう許してもらえる相手もいない俺には関係な…」

 

「関係なくないな」

 

 まったく…話を聞かないやつだ。

 

「いいか、この話のミソはそんなところじゃない。何が言いたかったかって言うとだな……あぁ、くそっ。つまりだ!

 お前が信頼して、お前を信頼してくれた人たちってのは、そんな悩み、苦しんでるお前を見て喜ぶような性悪なのか?

 ちがうだろ!確かにお前は、彼らに本当のステータスを明かしていなかったかもしれない。

 でもそれは悪ではないし、そもそも友達だから、仲間だからなんでも明かさないとその関係は偽物なのか!?

 お前の本物は…、信じたもんは……!ココにあるだろ…っ」

 

 残った左手でキリトの胸をたたく。

 これで、何とか伝わってくれればいいが…てかそうじゃないとただ俺の黒歴史が増えただけになっちゃう…。

 

「……俺の、ほん、もの…」

 

 え、キリトさん?蹲ってどうしたのん?もしかしてクリティカル入っちゃった?ご、ごめんね、そんなつもりじゃ…。

 

「うっ……うぁっ……あ゛ぁぁあっ!」

 

 ……まあ、泣いてる姿なんて、そんなに見られたくはないよな。ソースは俺。黒歴史なんてレベルじゃないからな。

 

 だからね、キリトくん。その掴んでる手を離してはくれないかなー?蹲りながら裾を掴むなんて、女の子にされたらキュンとしちゃうシチュエーションだよ?

 

 仕方ない…今だけは貸してやるか……。

 

 このVRの中では涙はガマンできない、らしいからな。

 

 

 

 

「はあぁーーーーっ…」

 

 お、身動きがとれず、仕方なく座り込んで数分、ようやく落ち着いたみたいだな。

 

「ーーハチマン」

 

「おう」

 

「今日のことは…内緒だからな」

 

「…おう」

 

 まああんなに泣いてたらそりゃ恥ずかしくもなっちゃうよね。分かるわかる。なんなら経験済みまである。

 だが安心してくれ、俺はそれをネタにイジったり強請ることもないからな。どこぞの年下生徒会長様と違ってな。

 

「…さて、俺の用は済んだし、この辺でお暇することにしようかね…キリトはどうする?」

 

 キリトが落ち着くのを待っている間に、体力の回復も右手も治ったことだしな。

 

「……あぁ、俺も帰ることにするよ」

 

「んじゃ、行きますか」

 

「ハチマン…」

 

 っと、なに?行かないのん?まだ何か言い足りないことでも…

 

「ありがとな…」

 

「……おう」

 

 なんか俺、さっきから“おう”しか言ってないな。

 こういう時、気の利いた言葉が出てこないのが俺という男というもの。自分、不器用なもので…。

 

 

 

 

 

 さしあたって、街に戻り次第適当な宿屋にキリトをぶっ込んで、俺も自分の泊まっている宿屋に戻ることにした。

 

「…あー、疲れた」

 

 ベッドに倒れ込んで、今日あったことを思い返す。

 

 いや、ほんとに疲れたよ。ぶっちゃけ下手したら死ぬ可能性もあったかもしれないしね。

 そう考えたらけっこう無茶をした…のかもな。

 

 まあ何にせよ、一応は大丈夫…なのか?

 あ、そういえば…。

 

「アイツらにキリトのことを伝えるの忘れてたわ…」

 

 奉仕部のやつらにキリトの捜索を手伝うように頼んだのは俺だしな。やっぱ報告くらいはしなきゃ、だよな…。

 あー、でも面倒くさいなあ…。明日じゃだめかな…?ダメですね、はい。まあ、こういうことは早めに処理するに限るね。

 

「とりあえず…『キリトは無事。27層の宿屋にぶち込み済み』と…」

 

 とりあえず報告完了。さてと、もういい時間だしそろそろ寝るかな。

 

 ピコン♪

 

 え、早くない?誰だよ…って大体予想はつくけどな。

 

『よかったー!キリトくん見つかったんだね(*ˊ˘ˋ*)安心したよーo(^▽^)o

ヒッキーもお疲れ様(*^^*)今日はゆっくり休んでね(˘ω˘)』

 

 いや本当に返信早いよ。もはや定型文作って待機してたのかと疑うレベル。

 ……まあいいや。返信は…どう返信すりゃいいんだよこれ…。

 特に返信するようなこともないから放置でいいか…。いいよね?

 

「うん、寝よう、そうしよう」

 

 ピコン♪

 

 またかよ、勘弁してくれよ…。とはいえ、一応の礼儀として見るだけ見ておくか。返信はしないけど。

 

『拝啓、夏の暑さが感じられる好季節、身体の腐敗がお気になられる頃かと存じます。ゾンビ谷様、平素より腐った性根と視線を周囲に振りまいていていただき、大変不快にはございますが、奉仕部をお心に掛けていただき、誠にありがとうございます。

 さて、この度はキリト様の捜索にご尽力をいただいたとのことでしたが、私共も大変気にかかっておりました故、解決をしていただき、ありがとうございました。

 ご依頼をいただいておりました身といたしましては、当方にて解決を出来ませんでしたこと、大変に残念には思いますが、無事を確認でき、大変安堵いたしました。

 まずは、略儀ながら書中をもちましてお礼かたがた申し上げます。それでは、いよいよ階層攻略も本格的になる時期ですが、どうかご自愛専一にお過ごしくださいませ。 敬具』

 

 ……いや、堅いし長いよ、ゆきのん。

 別に一々随所にdisを入れる必要なくない?もしかして、最近奉仕部に顔出してないのを暗に怒ってらっしゃるのかしら?

 そんなこと言ったってしょうがないじゃないか(えなり風)

 

 要約するとあれか。依頼を出しておきながら自分で解決してんじゃねえよ。でもとりあえずは安心したわ。っことでいいのか?

 なんか微妙に負けず嫌いも入っている気がするけど…。

 まあ、雪ノ下なりのユーモア…なのか?

 

 とりあえず、これも返信はいらないだろ。

 てか、こんなメールに返信していたら日付けが変わっちまうよ。間違いなく寝落ちする自信がある。

 

 ……よし、寝る。今度こそ寝る!

 もうメールが来ても読まないし、開かない!

 

 コンコン

 

「ひえっ!」

 

 びっくりした!いや、素で「ひえっ」とか声に出ちゃったよ。

 そしてこのパターンは…。

 

「ヨっ、ハー坊。お邪魔するゼー」

 

 なに扉開けた瞬間にナチュラルに室内に入っているんですかね。そしてお邪魔だと思うんなら帰ってくれませんかねえ。

 

「…なんの用だよ。俺はもう寝るとこなんだが」

 

 というか、なんで毎度俺の泊まっている宿屋が知られているのん?ストーカーなの?俺のファンなの?プライバシーってどこに売ってるんだろ…。

 

「まあまあ、そう言うなヨ。オレっちとハー坊の仲じゃないカ」

 

 俺とアルゴの仲…?金ヅルってことか?

 

「そんなことより、キー坊の捜索お疲れ様だったナ。オレっちも気になってたから一安心だゾ」

 

「…まあ、解決したかどうかは知らんけどな。とりあえずは大丈夫なんじゃねえの?」

 

「ハー坊が説得したって言うんなら大丈夫ダロ。キー坊もこれ以上早まったことはしないはずダ」

 

 なんなの、その信頼感。

 俺的には、俺が手を出したからこそ一番信用ならないんだけど。むしろ余計に不安要素が増えるまである。

 

「…で、用件はそれだけか?」

 

「うんにゃ?ハー坊がお疲れだろうからオネーサンが一緒に添い寝でもしてやろうかと思ってナ」

 

 だからなんなの?そのベッドでウェルカムポーズは…。

 

「はぁ……。出てけ」

 

「いやん♪」

 

 首根っこを捕まえて部屋の外に放り出す。まったく…余計に疲れちまったよ…。

 

 しかし、これでようやく寝れる。

 待たせたね、オフトゥンちゃん…もう君を離さないよ…。

 

 別にアルゴの残り香でドキドキなんてしていない。

 あいつめ、しっかり匂いを付けて行きやがって…。

 

 

 

 

 気がついたら、眠っていたようだ。

 だからこれは夢なんだろう…。

 夢、というより過去の回想、なのかもしれない。

 なんだか意識が妙にふわふわしている。

 

 あそこに居るのは…アスナ、か?

 なんでこっちを向かないんだ。…まあいいか。

 

「ーーーっ」

 

 声をかけて、近づいて、その肩に触れようとするも、まるで石にでもなったかのようにこの身は動かない。否、動こうとしない。

 体は動かせるはずだ、なのに、どうしてかピクリとも動いてはくれない。

 

「ねえ、ハチマンくん……私を護ってくれるって、言ってくれたよね」

 

 ああ、言った。言ったさ。小っ恥ずかしい黒歴史を増やしながら言ったさ。

 それなのになんで振り返ったアスナは、こんなにも悲しそうな表情をしているーーー?

 

「約束、したのに…。どうして護ってくれなかったの…?」

 

 何を言っている…?何から守れなかったんだ……?

 

「だから私、“こう”なっちゃうんだよ」

 

 その言葉とともに、アスナは無数に切りつけられた後に光るエフェクトを残して消えた。

 

 大丈夫だ。これは夢。夢だろ。

 だから動揺なんてするな。落ち着け…。

 

「ーーーハチくん」

 

 なんだよ、今度はユナか?

 いったい、俺に何をさせたいんだ…っ!

 

「どうしてずっと傍で見守ってくれなかったの…?」

 

 またかよ…。いい加減にしてくれ…っ!

 

「わたし、夢を叶えられなかったよ…。もう、こんなになっちゃったから…」

 

 振り向いて、こちらを向いたユナには無数の傷が見え、アスナと同様に光るエフェクトを残して消えてしまった。

 

 やめろ…、やめてくれ……っ!

 

 

 

 

 

 

 ……最悪な寝起きだ。

 

 

 




お目汚しを失礼いたしました。

というか本当に一字下げができないんですが……
本当になんでですか……

修正でき次第修正いたしますので、見づらいかもしれませんが今しばらくお付き合いいただければと思います。





次回予告的なもの


「ハチくん遅い!遅刻だよ!」

「別に遅れてはいないだろ。ほら見てみろ時間ちょうどだろ」

「目的地は35層、迷いの森だったな」

「あんたのそういう余裕そうな態度が気に食わないだ…っ!」

「…噂には聞いていたけれども、実際に見ると凄いわね」

「そんな適当な反応しちゃユナっちが可哀想だよ!」

「…まあ、今度はこっちからアイツらを誘ってもいいかもな」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。