やはり俺のVR青春ラブコメは間違っている   作:青鬼ちゃん

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UA1000ありがとうございます。

妄想垂れ流しの設定ガバガバssですが、呼んでいただける方がいて嬉しい限りです。

これからもストック貯めながら更新していきます!


一章 四部

 

「そんなわけで、これから宿に行くんだが、どうしたもんかな・・・」

 

 時刻はすでに8時を回っている。おそらくアイツらももう起きているころだろう。

 当初の計画では俺が一人で部屋に帰り、その後訪ねてきたアルゴを何食わぬ顔で迎え入れるという完璧な作戦だったのだが、思った以上に時間が押してしまっている。

 

 こうなればプランEだ。

 

「アルゴ、すまないが余り時間が無いから説明を省くが、とりあえず俺の話に合わせてくれ」

 

「ン、分かったゾ」

 

 こくっと頷くもその表情は少し硬いように見える。

 ははーん?こいつ、さては緊張してるのか?

 

「あ、そうダ。ハチマン!」

 

 何かを思い出したかのように声をあげるアルゴに何事かと顔を向ける。

 

「さっきの狩りでのドロップアイテムダ。きちんと受け取ってクレ」

 

 そう言ってストレージを操作する。が、その手を制止させる。

 

「いや、回復アイテムは持っておけ。その代わりモンスターの素材をもらう」

 

 そう伝えてストレージを開く。

 イマイチ理解しきれていないままのアルゴが俺のストレージへモンスターの素材を送ったのを確認する。

 

「さすがに手土産の一つも無しに行くわけにはいかないだろ」

 

 その一言でアルゴは理解してくれたみたいだ。さすが、頭の良い奴は助かるな。

 回復アイテム、ポーションや結晶等を含めその数52個まで増えていた。

 

 これだけあれば俺の計画に当面は役立つだろう。

 

「それと、昨日俺とフィールドに出てモンスターと戦ったっていうのは口外しないでくれ」

 

「それはいいケド、なんでダ?」

 

「なんででも、だ。頼む」

 

「ン、分かったゾ」

 

 

 

 そうこう話しているうちに宿屋へと帰り着く。あぁ、早くソファで横になって惰眠を謳歌したいものだ・・・。

 

 しかし、その前にやるべき事はやらなければな。

 

 アルゴを連れて階段を登り、三階にある唯一の扉を開く。アルゴは多少なりとも緊張しているみたいだ。

 

「あら、おかえりなさい。昨日散々私を辱めておいて放ったらかしにしてロクなフォローもしないで朝帰りと洒落込むクズ谷くん」

 

 やはり雪ノ下は起きてるよな。テーブルに座ってこちらの正面に座りお茶を啜っている。

 おそらく俺が帰ってくるのをそこで待ち構えていたのだろう。

 

「別に朝帰りなんてもんじゃねえよ。少し早く起きちまったから偵察だ、偵察」

 

 苦しまぎれの言い訳だ。これが効くのはアホの子由比ヶ浜くらいなものだろう。

 

「・・・まあいいわ。とにかく入りなさい。それで、そちらの方はどなたなのかしら?」

 

 追求がないことに一安心して一息漏らす。

 その時寝室の扉が開いて中から由比ヶ浜とアスナが顔をだす。

 

「あれ、ヒッキーにゆきのんもいる。なんで?アタシの家に・・・」

 

「ユイユイ、ここはSAOの中だぞ、顔を洗ってこい。アスナすまないが連れていってやってくれ。」

 

「んふふー?あれー?ハチマンくんだー?なんでー?夢の中にも出てくるのー?」

 

アスナ、お前もか・・・。

 

「ゆきのん、すまないが・・・」

 

「ええ、分かってるわ。さ、二人とも、顔を洗いにいきましょう」

 

 まるで子どもを世話する母親だな。

 ゆきのんママ。案外世話焼きのいい母親になるのかもな。

 

「アルゴ、入れよ」

 

 そう言ってカードキー保持者の権限でアルゴに入室許可用のパスを発行する。

 おずおずといった態度でアルゴが、お邪魔します。と入ってくる。借りてきた猫とはこのことだな。

 

「猫っていうよりネズミっぽいけどな」

 

「なんか言ったカ?」

 

「いや、なんでも」

 

「・・・・・・ちゅー」

 

 聞こえてたんじゃねえか。いや、別にいいんだけどよ。

 口を尖らせてちゅーて言う姿が少し可愛いなんて思ってないだからね!

 

「なんだ、ハー坊。実はげっ歯類萌えだったのカ?」

 

「ばか、俺は生涯妹萌え一筋だ」

 

 猫より犬より鼠より、なによりも勝るもの。それが妹、というか小町。

 故に小町は最強。小町しか勝たん。

 

 考えに耽りふと隣を見ると、アルゴの姿は消えており、暇を持て余したのか部屋の中をウロチョロしている。やっぱりネズミだろ。

 

「まだ昨日入ったばかりだからそんなに面白いもんはないぞ」

 

「なーなー、ハー坊はどこで寝てるんダ?」

 

「そこのソファだ」

 

 部屋の隅に置かれているソファを指差す。寝ているというか、未だロクに寝れていないから、正確には“寝る予定の場所“だがな。

 

「なにしてんだ?」

 アルゴを見れば、ソファに寝転がり体を擦り付けている居るように見える。

 

「マーキングに決まってるだロ?」

 

 さいですか。やっぱネズミより犬かな。とか突っ込むのは無しだ。いい加減眠すぎて頭が回らなくなってきている。

 雪ノ下たちまだかなぁ・・・。

 

 ガチャ、という音に視線を向けるといつも通りの涼しい顔をした雪ノ下を先頭に二人がついてくる。

 気のせいでなく少し顔が赤いようだ。

 まあ、さっきのは少し恥ずかしいよな。教室で先生をお母さんと呼んでしまったみたいな。そんな感じか。

 

 無言のまま二人ともテーブルの席に着き、チラチラとソファで未だにマーキングを続けるアルゴを見やる。

 

「・・・お茶が冷めてしまったわね。待ってて頂戴、すぐに淹れなおすから」

 

「あ、待って、私も手伝うよ」

 

 アスナがそう言って席を立ちとてとてと雪ノ下の後を追う。

 昨日の夜のうちに敬語は抜けていたようだ。

 

「随分と仲良くなったんだな」

 

「うん、えへへ。ヒッキーのおかげでね。・・・それで、ヒッキー?その人は・・・?」

 

「まあ待て、全員揃ってから説明する」

 

 何度も同じ説明をするのはめんどくさいからな。

 

 そっか、と由比ヶ浜は呟き、またアルゴの方を見やる。

 

「おいアルゴ、いい加減こっちに来て座れ」

 

 アルゴをこちらに呼びつけ席に座るように促すと、当然のように俺の左隣に座る。

 まあ、アウェーの空間だし顔見知りの隣に座るというのは当然か。勘違いなんてしてないんだからね!危なかった。ぼっちの猛者である俺じゃなきゃ勘違いしちゃうところだった。

 それにしても近すぎやしませんかね?肩と肩が触れ合いそうですよ。

 この丸テーブルそこそこ大きいんだからもっとスペースを有効活用してくれませんかねえ。

 

 ほら、由比ヶ浜さんも冷めた目でこっちを見てくるじゃないですか。

 ちょっと、なんでジリジリとイスを近づけてるんですかね。

 

「お待たせしたわね」

 

 カチャカチャと子気味のいい音とともに雪ノ下とアスナがティーセットを持ってくる。

 盆の上には昨日も見た味の薄いクッキーも載っている。

 

 雪ノ下は由比ヶ浜の隣で俺の向かい側。その右側にアスナも着席する。

 

「それでは比企谷・・・ハチマンくん、説明してくれるかしら」

 

 全員分のティーカップにお茶を淹れたところで切り出す。

 こわいよ。なにこれ尋問なの?お茶の味がしない・・・。あ、もともと薄いんだった。

 

「あー、こちらはアルゴさんだ。小町の友だちでな、今朝散歩してたらたまたま見かけて困ってるみたいだから連れてきたんだ

 

「小町さんの?」

 

 ピクっと雪ノ下の眉が動く。明らかに怪しんでいる様子だ。苦しいか?

 でも小町関連なら俺が大抵のことをこなしてしまうくらいにはシスコンであることを雪ノ下と由比ヶ浜は知っているはずだ。

 

「なーなー、ハー坊。小町って誰ダ?」

 

 ピッシーン・・・

 

 場が凍りつく音がした。

 あれ?これってデジャブ?

 まさかこいつも絶対零度の使い手なの?エターナルブリザードなの?

 

「ハチマンくん?この私に虚言を吐くとはいい度胸をしているのね」

 

「ヒッキー、ウソはだめだよ。泥棒さんの始まりになっちゃうよ」

 

「私も、ハチマンくんには嘘は吐いてほしくないな。もちろん何かしらの理由があるのかもしれないけど・・・」

 

 そんな悲しそうな目で見ないで下さい。それならいっそ蔑まれた方がずっと楽だわ。

 それとアルゴ、お前はこの状況を楽しんでたいやがるだろ。にやけ面を隠せてないぞ。今すぐアイアンクローをかましてやりたいところだ。

 

 ケプコンケプコン。咳払いを一つ。仕切り直しだ。

 

※ここから先読まなくていいです

 

「あー、今のは無しだ。こいつはアルゴ。情報屋なんてのをやってるらしい。で、昨日の夜散歩がてら偵察をしていたら困っている様子のこいつを見かけてな。話を聞けば宿が無いってんでな。幸いにもうちの宿には十分な広さがあるし、未だ余裕もある。それに男が一人いるにしてもこれだけの女所帯なら少しは安心できるだろうと思って連れてきた次第だ。

もちろんお前らには事前の相談も了承も得ずに事を進めようとしたことは悪かったとおもっている。この通りだ。

だが、この右も左も分からない状態で仲間内に情報屋がいるというのは大きなアドバンテージになり得ると思うんだ。

現代社会において情報というものは最大の武器になるとまで言われている。

それにここにいる者はみんなVRゲーム、それどころかゲームというものにすら疎い人間ばかりだ。俺だって普通のTVゲームはよくやるが、VRゲームにはまだ疎い。もはや無知だと言ってもいいくらいだ。

そんな連中でこの先成り立っていけると思うか?否、答えは否だ。先ほども述べた通り情報という武器を持たずしてこのデスゲームに挑もうという俺たちは言わば水を持たずに砂漠を旅するようなものだろう。

だが安心してくれていい。俺たちは情報という名の水源を持った心強い仲間を得たんだ。聡明な諸君ならこの意味が分かるだろう?そう我々勝てるのだよ、このデスゲームという名の闘争に!誇りを持て!今こそ戦いの時なのだ!ジークジオン!」

 

 

 ふぅ・・・なんとか言い切ったか。

 見切り発信だから最後の方はやっつけでワケの分からないことを言ってたような気もするが、最高のプレゼン。演説だっただろう。

 説明の最中、とにかく空で轆轤を回しまくった。今なら傑作ができる気がする。

 

「ヒッキー?つまり、どういうこと?」

 

「つまりそのアルゴさん?が私たちと行動をともにすることはお互いにメリットがあること。という解釈でいいのではないのかしら」

 

 さっすがゆきのん。一番伝えたいことをピックアップして簡潔にしてくれたね。

 

「ハチマンくんが有益だと認め、信用しているのならいいでしょう。私は反対しないわ」

 

「そ、そうだね。ヒッキーが人を連れて来たから最初はなんだろうって思ったけど、うん。アタシもゆきのんに同意見だよ!」

 

「私は、ハチマンくん達に拾われた身だからみんなが良いって言うんなら。うん、良いと思うよ。」

 

 あっるぇー?いつの間にそんなに信頼度上がっちゃってるの?デスゲーム二日目にしてほぼカンストしてない?ギャルゲーならこのままエンディング直行して勘違い乙ENDだよ。って勘違いENDかよ。全然ハッピーでもトゥルーでもねえよ。

 

 でもなアスナ、それはダメだ。そうじゃないんだ。

 

「アスナ、みんなじゃない。お前の意見を言え。」

 

 その言葉にアスナはビクッと肩を震わせる。

 少し言い方はキツかったかもしれないが、これは大事なことなんだ。

 遠慮していて自分の意見を言えないままじゃこの先何かしらの要因で綻びが出てしまう。それは時が経てば経つほど大きな綻びとなるかもしれない。

 その前に手を打つなら今、早いうちに、なんだ。

 リアルの仲間内に飛び込んで遠慮があるのは理解るが、そんなものこのデスゲームを生き抜くためには関係ないと、打ち破るくらいじゃないとダメなんだ。

 遠慮という言葉を盾にして思考を放棄してほしくない。

 

「私、私は・・・」

 

 アスナはポツリと言葉を零す。自分の中の言葉を探り並べるように。

 

「私は正直、少し不安も、ある。と思う。まだアルゴさんのことも全然しらないから・・・。でもゆきのんやユイユイが言ったみたいにハチマンくんが信用していいって言うなら信用してみたい。アルゴさんのことはそれからいろいろ知っていけたらなって思う」

 

「そうか、ありがとうな」

 

 やっぱりな。その瞳を見た時から思ってた。アスナは芯の強いやつなんだろう。

 でもどこか遠慮して、周りの声や期待に応えようとして、自分に仮面を貼り付ける。

 

 俺はそんな人を一人知っている。

 異常なほど妹想いで、歪な愛情表現の仕方しかできないお姉ちゃん。

 幾重にも重ねすぎた仮面の取り外し方をいつしか分からなくなって、そのことを内心後悔して仮面の下で笑いながら涙を流す美しい女性。

 

 今のアスナならまだ間に合うだろう。

 こんな状況だけど。こんな状況だからこそ、仮面をとっぱらって笑ってあいつらと接してほしい。ゆっくり、少しずつでも・・・。

 

「ハー坊」

 

「なんだ?」

 

「・・・良い仲間たちだナ」

 

 そう言って彼女たちを見つめるアルゴにつられて、俺も視線をそちらへやる。

 由比ヶ浜はアスナに抱きついて頬ずりをしている。相変わらず距離感の近いやつだ。

 雪ノ下はそれを見ながら呆れたようにしているが、その目は実に優しいものだ。

 アスナ由比ヶ浜に抱きつかれて困惑しているように見えるが、仮面の外れた、年相応の少女の笑顔にみえた。

 

 でも・・・

 

「俺に仲間なんていねーよ」

 

 “仲間”という言葉が気恥ずかしくて顔を背けてしまう。

 

「アルゴがアイツらの“仲間”ってやつになってやってくれ」

「それはお願いカ?」

 

「いや、まあ・・・。そうだな、“お願い“だ」

 

 雪ノ下と由比ヶ浜。付き合いは短いがアスナも。笑っていてくれるならそれがいい。

 これはきっとそんな願いなんだろう。

 

「さて、そういうわけで、無事アルゴも仲間に加わったところで、改めて今後の指針について話し合いたいと思う」

 

 いつの間にか俺が仕切っちゃってるけど大丈夫かしらん?こういうのは雪ノ下さんの約目ではなくて?

 

「そうね、人数が増えた以上、できることも増えたわよね。いえ、それを踏まえた上でアルゴさんを仲間加えたのかしら?」

 

 ちらっと腕を組みながらこちらへ視線を送る。お見通しってわけですか、恐れ入りますね。

 

「まあ、そうだな。せっかくだし、引き篭っててもしょうがないからな。ーーーここに奉仕部アインクラッド支部を設立したいと思う」

 

 その言葉に由比ヶ浜はおおーと目を輝かせて雪ノ下は予想通り、といった表情だ。小憎たらしいやつめ!

 アスナとアルゴにいたってはなんのこと分からないとキョトンとしていた。それもそうだろう。

 

「その奉仕部ってのはエッチなサービスでもするのカ?」

 

 ・・・何を言っているんですかねえ。えっちぃのはいけないと思います!アスナもさっきまでキャッキャしてたのに顔真っ赤にして俯いちゃってるじゃない。

 とはいえ字面だけではどんなものか想像出来ないのもまた確かだ。

 

「アルゴさん、奉仕部というのは私たちの高校で行っていた部活動で、ただの慈善活動とは違い、飢えた人に魚を与えるのではなく魚のとり方を教える。といった理念のもと行われていた部活動なの」

 

 そう言って丁寧に部活動の行動理念を説明してくれる現奉仕部部長様。

 

「つまり、このアインクラッドで困ってる人を自ら解決出来るように手助けする活動、ってことなのかな?」

 

 さすがアスナはやはり地頭がいいな。

 アルゴも今の説明で納得できているみたいだが、由比ヶ浜。なぜお前が理解出来ていない顔をしているんだ。

 

「とりあえずアホの子は放っておくとして・・・。今このアインクラッドはデスゲームの最中だ。当然恐怖で身動きが取れなくなって動けない人や、外に出る勇気が出ない人もたくさんいると思う。しかしそれではいつまで経ってもゲームの攻略の目処はたたない。ーーーアルゴ、βテスト期間中に攻略できたのはどこまでだ?」

 

「・・・二ヶ月で8階層までだナ」

 

 二ヶ月で8階層、ということは・・・。

 

「100階層まで単純計算で25ヶ月。少なくとも2年はかかるわね・・・」

 

 そう、2年だ、それも死んでもリトライできるゲームの状態で、だ。

 

「おそらく慎重にならざるを得ない以上、もっと時間がかかると推測される」

 

 全員がこちらを見て無言で頷く。

 だからなんで俺がこんな進行をしなくちゃいけないのさー。もう慣れちゃったけど。・・・いやな慣れだな。

 

「だからこそ、動けない人間は無理に外に出して戦わせる必要はない。そんなことをしてもいたずらに犠牲者を増やすだけだからだ。俺とかとかな。・・・でも少しでも状況を打破したいと考えているやつの背中を押してやるくらいはできるんじゃないかと思う」

 

「それなら先ず必要なことは、宣伝かしら? 奉仕部ここにあり。のような・・・」

 

「・・・まあ謳い文句は任せるとして当面はこれだ。ーーーアルゴ、出してくれ」

 

 アルゴは頷いてストレージから回復アイテムをテーブルの上に並べる。

 

「これは、回復アイテム、かな?ポーションとか」

 

「そうだ。これはアルゴが早めに手を打ち、入手してくれていた物だ。昨日の夜偵察して市場調査をしていたんだが、どこも回復アイテムは売り切れ。露店で売ってるものに関しては市場価格の10倍以上の金額だ」

 

 後で覚えてろヨ・・・。と隣から黒いオーラを発してくる。こいつ、闇属性かっ!

 とはいえ、二人の成果を自分一人に押し付けられのだ。気分のいいものだと思えないタチなのだろう。

 

(悪いな、なにか埋め合わせする)

 

 ン、と一先ずは納得してくれたみたいだ。

 

「誰かが買い占めて転売してるってこと?」

 

 ほほーん。由比ヶ浜にしてはいい所に気がつくじゃないか。

 

「そうだ。もちろんそれだけじゃないんだろうが。しかしそういった輩が横行しているせいで、適正価格で購入出来なくて困っているプレイヤーがいることもまた事実だ」

 

「ゲームオーバー=死である以上、体力回復アイテムの需要が増し、値段が高騰するのは分かりきっていたことね」

 

 しまったわ・・・と頭を片手抑える雪ノ下。

 しかしこればかりは仕方の無いことだろう。昨日は俺たちもそれどころではなかった。むしろあの状況、心理状態でここまで悪知恵を働かせたやつらの精神力を褒めてもいいくらいだ。

 

「とりあえず、この回復アイテムはみんなで分けてくれ」

 

「・・・そのみんなには当然、あなたも入っているのよね」

 

 アルゴを除く三人がこちらを見る。

 相変わらず耳聰いやつだ。

 

「今までに俺が“みんな”の中に入っていたことがあるか?ないだろそんなこと」

 

 なんだよ「はーいみんなで四人グループを作ってー」って言われてるのに示し合わせたかのように除け者にしやがって。

 三人グループがあったから近づいたら「え?ウチに入るの?」みたいな空気醸しやがってさ。そんな迷惑がられたら肩身も狭くてグループ活動なんてトラウマしか残らねえよ。

 

「・・・そもそも俺は外には出る気がないからそんなもの必要ないしな。俺は街の中でやれることに従事するよ。もし外に出て少しでもレベルを上げておきたいならアルゴも同行してやってくれ。多分この中ではアルゴが一番レベルが高いだろう」

 

「ヒッキー・・・」

 

 そんな哀れんだ目で見ないで下さい、由比ヶ浜さん・・・。

 

「とりあえずレベルは最低限上げておくに越したことは無いだろ。生きていくために必要な金を稼ぐのも街でおつかいみたいなクエストを受けることもできるが、フィールドに出る必要がある場合もある。最終的に身を守れるの自分だけなんだからな」

 

「そうね。ハチマンくんの言うことも理解はできるわ。彼が言っていたように外に出て戦いに出たくない人間を無理やり引きずり出すような行為は意味がないものね」

 

 これはまた、意外なところから援護射撃がきたな。

 

「とりあえず彼には一番大変と思われる雑務処理をお願いしようかしら」

 

 あ、違ったわ。一番いい笑顔で的確なヘッドショットだこれ。

 とはいえ大方の指針は決まり、各々好きに意見を出し合う。

 

「な、なんか学校の部活だと思うと少し不謹慎かもしれないけど、ワクワクしてくるね」

 

「学校カ、なんだか懐かしいナ」

 

「は、何言ってるんだアルゴ。お前まだ中学生くらいだろ」

 

 シーン・・・

 

 え、さっきまで和気藹々と賑やかに話してたのに、なんで急に静かになるの?

 またしても絶対零度なの?

 

「ハチマンくん、あなた・・・」

 

「ヒッキー、それはないよ・・・」

 

「ハチマンくん。本気で言ってないよね?」

 

 え、え?

 また俺、なんかやっちゃいました?

 

 左隣からは大きなため息が聞こえる。

 

「・・・ハー坊。オレっちのこと、何歳だと思ってるんだ?」

 

「え、15、6歳くらいだろ?」

 

 全員からの特大のため息。

 なんなの?みんな幸せ逃げちゃうよ?みんなの幸せ独り占めっつって深呼吸しちゃうよ?普通にキモいからやらないけど。

 

「オレっちこれでも成人してるんだゼ」

 

「は?」

 

 は?

 周囲を見ると三人ともうんうんと頷いていた。

 え、俺だけ?気づいていなかったの。

 

「一応おネーサンだからナ」

 

 天を仰ぎ目を閉じる。

 世の中ってのは、不思議なことでいっぱいなんだなぁ。なんて。しみじみと思うのだった。

 

 かくして話し合いは俺を除いて着々と進むのであった。

 

 ・・・って俺除かれてるのかよ。

 

 

 




というわけで無事四話目です。

終わり方が半端になってしまったのは許してください。
これ以上繋げようとするとさらに長くなりかねなかったので...。

相変わらず設定がガバガバというかオリジナルぶっ込みすぎですね。
しかしまだまだ序の口...。設定やキャラを遵守しながら書いている作者様方には本当に尊敬します。

それでは、この次もよろしければまた見てやってください。


改善点やご指摘があれば批評、批判とともにお申しつけください。
私の可能な範囲で参考にさせていただきます。





次回予告てきなもの



「む、知らない天井だ...。」

「今のキミ、なんだかすごく怪しいよ。」

「ちょっと武具屋を覗いてみてもいいか?」

「なんだハー坊。ついに愛の告白カ?まだ早すぎるってなもんだゼ。」

「むしろ世界がもっと俺に優しくあるべきだな。」

その時ーー八幡に電流が走る。
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