納豆こねこねウマ娘 作:TAKE
「ん?」
「あ…。う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛ん゛!゛!゛タ゛イ゛シ゛ン゛じ゛ゃ゛な゛く゛て゛知゛ら゛な゛い゛青゛毛゛の゛娘゛だ゛っ゛た゛よ゛お゛お゛お゛お゛!゛!゛!゛ち゛ょ゛っ゛と゛納゛豆゛く゛さ゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛!゛!゛!゛」
「ぶっ飛ばすぞおめー。」
うわぁ…素敵ぃ…。
いいなぁスタイルもよくて、カッコよくて強くて!
フジ先輩!一緒に写真いいですか!?
あ、ずるーい!私も!
「はいはい。大丈夫だよポニーちゃんたち。慌てなくても、私はいつも君たちのそばにいるよ。さぁ、いらっしゃい…。」
その甘い言葉に、鼻血を出して昇天するウマ娘多数。
きゃあきゃあと彼女を取り巻く、甲高いサウンドは、途切れるをことを知らない。
そんな大衆の隅をアズキとチームメンバーの娘は通りかかる。
「さわがしーナ。」
「そうだねぇ…あ!フジキセキ先輩だ!わ!すっごい勝負服で!」
「レースの帰り?」
「うーん。今日は何もないハズだけどな…あ、そっか!今日学園に取材が来るって言ってたから、それか!」
「なるほ。」
「それにしても…ホント素敵。あんなカッコいいウマ娘、憧れちゃうなぁ。」
タキシードのようなスーツ姿をイメージした勝負服。
凛々しく品高い引き締まったその服だが、胸元が大きく開くという意外なアクセントが、また見るものたちの情を大きく揺るがす。
「…いーな。」
「あんたが羨ましがるなんて珍しい。あの勝負服とか?」
「いや。胸。」
「…アンタってほんと正直だね。」
そして彼女はその群衆の中へと割って入っていく。
「ちょ!ちょっとアズキ!」
そろりそろりと流れる水のように、ウマ娘たちの間をすり抜けてたどり着く。
普段は面倒見のいい優しい寮長。しかしひとたび勝負服を身にまとえば、足を竦ませるほどの覇気に満ちた勝負師。
アズキはその彼女の前に立つ。
「ん?やぁ。ポニーちゃん。キミも写真かい?」
「いや。」
そういってアズキは財布をごそごそ取り出し、千円札を取り出す。
「?」
フジキセキを含めた周りの娘たちが彼女の動きに疑問を寄せる。
そしてアズキは取り出した千円札を三重に折って長方形の形を作る。
それを片手で持って…フジキセキの胸元のネクタイをずらし、谷間へそっと…。
「…なに、してるのかな?」
「死ぬまでに一度やってみたかった。」
「…感想はどうだい?」
「思ったほどじゃなかった…じゃ。」
そういってアズキはフジキセキに背を向ける。
「ちょっと、このお金どうするんだい?」
「オジサンからのチップ。」
「そういうのは、30年後にやりな…ってかやらなくていいよ。」
―――――――――――――――――
「ふんふんふっふーん。ゴルシちゃんのーポーケットにはチーズフォンデュが一つ、もひとつたたくとタッカルビが二つ…ふざけんじゃねぇ!!マリトッツォの憲法第564条を忘れたか!?…世界はラブ&ピース。失った5円チョコは二度と戻らねぇ…なんて残酷な世界なんだ!」
そんな彼女は青毛のウマ娘の背中を見つける。
「お!おーい!!豆介!!ドラゴンフォースごっこやろうぜ!お前ハーマン・リーな!」
「誰がイケメンギタリストだ。」
「それよりなぁ聞けよ!!エアグルーヴの野郎!!こんな善意に満ちたゴルシちゃんを2時間も説教しやがったんだぞ!?」
「なにしたん。」
「いや…校内のガラスにヒビが入ってたからよ。ブロークンウィンドウ現象を恐れたゴルシちゃんが学園内のガラス全部ステンドグラスに交換してやったってのに…。」
「あれアンタのせいだったんだ。」
「ってなワケで、今から奉仕活動だってんだよ…アタシの他にもう一人いるらしいんだけどよ。」
「ソレあたしだ。」
「うぉ!?まじかお豆!?お前なにしたんだ!?」
「いやー。食堂で納豆が在庫切れとかぬかしやがったから、一時間立て籠もった。」
「…生徒会緊迫の突入劇…トレーナーの必死の説得。…ゴルシちゃんあれ感動しちまったぜ…。」
そんなこんなで二人は生徒会室へとたどり着く。
「生徒会室のドアって押すんだっけ、引くんだっけ?」
「ああ?押すにきまってんだろ!?なんのための生徒会だって思ってんだよ!?どけ!」
そしてゴルシは目いっぱいの力でドアを押す。
その際バキィ!!っと何かが壊れる音がしたが、まぁ二人は気にしない。
「よっしゃああ!!ボーナス突入だ!!」
「ドアとれたよ。」
「うぉ!マジか!取り外し式だったのか!?」
「ブっ壊れてるっぽいな。…でも心配すんな。アタシ、タミヤの接着剤持ってるから。」
「頼りになるぜ!相棒!」
アズキは小さい接着剤のハケでドアをペタペタヌリヌリ。
「この辺甘いんじゃねえか?」
「つけすぎるとダマになんのよ…それで一回インプレッサのプラモダメにしちゃって。」
そんな彼女らの背後に…禍々しいほどの黒い影が。
「何してる…貴様ら…!!」
そこにいた副生徒会長の眉間には、もう隙がないほどに皺という皺が寄っていた。
「お、師匠。」
「だれが師匠だ…このたわけども!!!」
..............................
「「ごめんなさい」」
「ったく、本当に貴様らときたら…!今月入って何件目だと思っている!?」
「ゴルシちゃんは6件だ!」
「勝ったあたし7件。」
「はぁ!?ふざけんな!!チキショウ!!今すぐ二件なんとかして!!」
これ以上私を怒らせたいか?
「…いえ。」
ゴルシは青ざめた表情でヘタっとその場に座り込む。
「…はぁ、会長がお戻りになる前でまだよかった。兎に角貴様らには、告知通り奉仕活動をしてもらうぞ。」
「何すんの?」
「学園内の花壇の手入れだ。今育ててる花があるからな。やり方は教えるから…夕方までに全部やってもらうぞ。」
「「…」」
返事をしろ
「「はい!」」
.............................................
「そう、鉢とレンガも綺麗に磨くんだ。おい、アズキ!水をやりすぎるな!枯れる原因になるぞ!そしてそう…こんな風に育ち切れそうにない花は、間引いてくれ。」
「いいのかよ!こいつらだって生きてるんだぞ!?」
「仕方のないことなんだ…。私だって可哀そうだとは思う。だから、この育ち切れなかった花の為にも、他の花たちには元気になってもらう必要があるんだ…。」
そしてエアグルーヴは腰を上げる。
「私は会議があるから先に戻る。貴様らもその綺麗な花々に教えてもらえ。情と道徳を。それじゃあ、サボるなよ。」
そういってエアグルーヴは二人に背を向ける。
「はぁ~。ったくやってらんね。」
「ダイズとかって生えてないのかな。」
「あるわけねぇだろ!ゴルゴル星じゃあ特定外来種だぞ!」
そしてアズキも花壇に腰を下ろす。
「えっと間引きだっけ。…どれ間引くの。」
「確か、育ってねぇ花とか言ってたろ。この辺とかハゲ頭みてぇになってるし全部ダメなんじゃねぇの?」
「そっかそっか。」
そういって二人は花をブチブチ…。
結構な量を抜き終えたところでアズキが言う。
「…一帯の花が全部死滅ってそんなことあるか?」
「いやーゴルシちゃんもうすうす疑問に感じてたんだけどよ、もうここまで来たら後に引けねぇじゃん。」
「これ、普通に育ってる最中だったりして。」
「バッカやろ!んなわけ!」
そういってスマホでその花の情報を調べる…そしてゴルシの顔面はその鬣に負けず劣らずというほどに真っ白になる。
「ま…豆蔵。これ…。」
それを見たアズキも。ムンクの叫びみてぇな作画になる。
『この花の成長途中はこんな感じです!ちょっと元気がないように見えますがこれでもすくすく育ってる最中なんですよ!間違って間引かないように気を付けてください!』
「やべぇ…やべぇぞ。今度こそエアグルーヴに殺されちまう…。」
「土の肥料にされるな。」
「冗談じゃねぇ!!こんな歳で牛糞と同じにされてたまるか!!チキショウ代わりだ!代わりの花埋めるぞ!豆物語!」
「イエッサー。」
........................................
「この辺です。会長。」
「うん。ちゃんとやっているみたいだな。…しかし、肝心の二人は?」
「そういえば…終わったらこの辺に居ろと指示したはずなのですが。」
「まぁ、やるべきことをやっているというのなら、これ以上は言及するまい。」
「…会長は優しすぎます。」
そしてシンボリルドルフはきれいに整理された花壇に腰をかがめて、その懸命に生きる小さい花々を愛でる…。
が。
「?…エアグルーヴ。君がここで育てていた花はこんな花だったかな?」
「え?」
エアグルーヴは腰をかがめて、その花をまじまじと…。
「…だだ茶豆の花だこれ。」
ゴールドシップとオグラアズキのバカはどこにいる!?
暮れのトレセン学園にエアグルーヴの絶叫グルーヴが鳴り響く。
「…ダダ茶豆か。育てば食えるのか?」
とナリタブライアンが腰を屈めていう。
「いや…出所のわからない花だからな。食べないほうがいいだろう。その茶豆、食べちゃ
「…」
―――――――――――――――――――――
ダッダッダッダと地響きを立てて、一人の長髪青毛のウマ娘がかけてゆく。
しかし、その軸はふらふら。…走りにも引き締まりがない。
そしてゴールラインに戻ってきたところでヘタッと膝をつく。
「はぁ…はぁ…すみま…せん。トレーナーさん。この程度で…ヘバって…。」
「いや、ブランク…君ぶっ通しで20週走ってるよね?」
「バケモノ並のスタミナだな。」
「まだ…やれます…!」
そういってブランクは立ち上がろうとする。
「いやいやいや!!そんな無理されて壊れても困るって!…ってか何その鬼根性!?」
そういってトレーナーはなんとかその娘をなだめる。
顔色の悪さはもう死人寸前のようだった。
「オグラさん…私の走り…どうですか?」
そしてブランクの視線はアズキに。
「…走れ。」
「ひッ!?」
「誰が休んでいいって言った?走れ。」
「アズキお前…!ここぞとばかりに先輩風を…!」
「G1ウマ娘である私の意見が聞けないか?…走れ。」
「ひいぃ!」
「こいつ…後輩の前だからって調子に乗ってやがる…!ってダメダメ!ブランクがどうするかは俺が決める話だ!」
「ちぇ。」
ブランクコード。その顔色はすこぶる悪い癖にその走りは非常にいい。
並みのステイヤーたちを軽くあしらえるほどのスタミナ…。
最後の追い込みも申し分ない。
ただ、走ってる途中で死ぬんじゃないかってくらいハラハラさせる顔色の悪さ。
トレーナーは画板に挟んだ紙を持って、ブランクの前へ。
「ブランク。今日はここまでにしよう。次の重賞君には頑張ってもらいたい…が。君の弱点を一つ俺は見つけてしまった。」
「弱点…?この私に弱点があると仰るんですか…?」
(うわ、見た目によらず傲慢なとこあるなこの娘)
「まぁ、パワーだな。君には覇気がない。もっとこう…相手をビビらせるくらいの覇気がこう…。重賞ではほしいんだ。相手を威圧することも、戦術の一つだからな。」
「覇気ですか…えっと…こう出すんですか。」
「…覇気ってより死相が出てるぞ。」
うーんとトレーナーは眉間をポリポリ。
「どうするアズキ?」
「アタシに任せろ。」
「え?」
「その覇気…あたしが身につけさせてやるさ。可愛い後輩の為さ…。」
「アズキ…
お前に覇気なんてない癖に。」
「ふざけんなし。」
「アズキ、あんた後ろ襟に千円札刺さってるよ。」
「え?…あ、ホントだ。手紙までついてる。」
『お金は大切にしなよ。 フジキセキ。』
「いつの間に。」
「フジ先輩のマジックだ!」
「…逆にしてやられたワケか。」