ラブライブ!スーパースター‼︎・響きの記憶の戦士 作:ニントという人
というわけで再投稿。
…大変もうしわけない
前回の、ラブライブ!スーパースター!!・響きの記憶の戦士!
「前回、葉月さんの尾行を始めた俺たち。途中すみれがアレ扱いされたものの、何とか葉月さんの家を突き止めた。」
「アレ扱いって言うな!……ともかく、メイドさんに案内してもらったんだけど…」
「おっきい犬に追い回されたんだよね。」
「それは何とかかのんの機転で何とかなったんだけど、続いて…」
「とんでもないこと知っちゃったよね…」
「ってわけで、第36話、どうぞ。」
◆◆◆◆
「神宮音楽学校の生徒だった母は、再び同じ場所に学校を創りたいと願い続けていました。」
葉月さんは、その言葉から、現状について話し始めた。
「それで結ヶ丘を…」
かのんの言葉に葉月さんは頷くと、言葉を続けた。
「しかし、海外での仕事が決まっていた父は反対し、家を出ていったのです。それでも母は、頑張って創立までこぎ着けたのですが、無理をしたこともあり、二年前、帰らぬ人に…」
そうだったのか……そういえば、さっきの写真に葉月さんに似た人が写ってたけど、あれってもしかして…
口を閉じた葉月さんに、千砂都と可可が聞いた。
「じゃあ、一人っていうのは本当に?」
「はい……」
「お金が、無いというのも…?」
「恥ずかしながら、本当です。」
うーわ、思ってもなかった現状。そりゃあんな態度にもなるわ。
「お父さんと暮らす気はなかったの?」
かのんの問に対して、葉月さんは芯の通った……でも、どこか震えている声で言った。
「はい。海外で一緒に暮らそうと言ってくれましたが、断りました。母が遺した学校を、この街で一番の学校にしたい。より多くの生徒を集めなければ、その目標を達成することは出来ません」
そう言う葉月さんの言葉は、俺たちには口出しできるようなものではなかった。
◆◆◆◆
それから数分後。俺たちは葉月さん、サヤという名前らしいメイドさん、そして白犬改めチビに見送られ、葉月邸を後にすることにした。
「勝手に押しかけちゃってごめんね?」
「いえ、今までの私の態度を考えたら、仕方がないことです。」
あ、そういう態度って自覚はあったのか。
かのんがチビに舌で顔中舐められる中、葉月さんはこちらを見ること無く言った。
「あの……」
「「「「「?」」」」」
「……今日話したことは、一切口外しないでくれませんか?」
葉月さんの言葉に呈して、解った、誰にも言わない、と素直に言えるほど、俺たちの人はできていない。…というより、この状況を一人で抱え込んでいるという現状を打開するためにも、事情を知る人を増やしたほうがいいのではないか…
「でも…!」
かのんが反論しようとするも、それを遮るように葉月さんは、
「結ヶ丘に入学したことを、後悔してほしくないのです。お願いします…」
その声を聞いていると、俺たちが反論したとしても、彼女は絶対に引かないという意思を感じた。
「……解った。」
かのんが代表して言い、俺たちも頷く。
そうして、俺たちはその場から立ち去った。
◆◆◆◆
side葉月
あの5人が立ち去って、何分が立ったのだろう。
私は、5人の足音が聞こえなくなっても尚、門の傍に立ち続けていた。
「お嬢様…」
サヤさんが私に心配そうな声をかけてくるが、私はそれに頑張って作った笑顔で言った。
「大丈夫です。むしろ、みなさんが理解してくださっただけでも良かったです。」
「……」
サヤさんは何も言うこと無く、そのまま私の傍に立ち続けていた。
そして、私もまた、その場を動くことはなかった。
………でも、その後に起きることを考えると、この行動は間違いだったかもしれない。
「………ッ!?お嬢様!」
サヤさんは不意に叫ぶと、いきなり私を突き飛ばした。
「サヤさん、何を……」
したのですか、と言おうとした私の口は、現実を認識した瞬間急速に閉じていった。
「お嬢様……逃げてください…」
……私の視界には、腕や足から血を出すサヤさんと、その腕でサヤさんに足を掴まれている怪物の姿があった。
「サヤ…さん……?」
私はあまりにも現実離れした様子に、頭の理解が追いつかなかった。
…でも、今までの経験、そしてサヤさんの表情から、何が起きたかを一瞬のうちに理解した。
……きっとあの怪物は、最初は私を狙っていたのだ。いままさにその怪物は私に向かって来ようとしているし、それをサヤさんが必死に掴んでいることからも明らかだ。
そして、その怪物から私をかばって、サヤさんが負傷した。
「…お嬢様……早く逃げてください!」
「で、ですが……」
「早く…!」
「…ッ!どけ!邪魔だ!」
サヤさんの鬼気迫る声と表情、そして今にもサヤさんの腕を振り切りそうな怪物の姿を見て、私は走り出した。
………後ろから、サヤさんの悲痛な声が、聞こえても尚。
◆◆◆◆
side圭人
葉月さんの家を去ってから数分、俺たちは今すぐ家に帰る気にもなれず、家と言って練習する気にもなれずで、俺たちはただなんとなく道を歩いていた。
「まさか、葉月さんの家があんな事になってたなんて…」
「たぶん、学校の誰も想像してないでしょうね…」
「まあ、俺たちも想像してなかったしな…」
「それに、学校の存続が怪しいっていうのも……」
「みんなに伝えたいけど…伝られないよね…」
俺たちは、いつになく暗い空気を纏わせながら話していた。傍から見ればお通夜とも取られかねない空気で、ほぼ無音の世界の中に。
一筋の、人の声がした。
「キャァァァァッ!」
「……!?」
俺は思わず、その声のした方を振り返った。
そして、俺は意識すること無く走り始めた。
……ついさっきまで、俺が通った道を。
◆◆◆◆
俺が走ること数分。
つい先程とは比べ物にならないスピードでたどり着いた先には、一人の女性が。
彼女のことは知っている、なぜなら…………
「……ッ!サヤさん!」
……………さっきまで会っていたのだから。
いきなり名前呼びもどうかと思ったが、今このタイミングで名字を聞きなおすわけにも行かなかったので、そのまま呼びかける。
俺がそんな状況になったのは至極単純。
……そのサヤさんが、腕や足、体から血を流していたからだ。
「圭人くん、なんで急に………ッ!?嘘っ!?」
「大丈夫ですか!?」
俺を追って来た4人が衝撃を受ける中、俺はサヤさんの様体を確認した。
「一体何が……しっかりしてください!」
見る限りでは、腕と足の傷は浅くなく、胴体の傷はもっと深い。
俺が必死に呼びかける中、サヤさんのか細い声が聞こえた。
「お嬢様が……怪物に……」
「…………え…?」
「あっちに……逃げていって…」
息も絶え絶えな中、指をある方向に指すサヤさん。
「お願い……お嬢様を………助けて……」
その言葉を最後に、サヤさんの体から力が抜けた。
「…サヤさん…?……サヤさん!?しっかりしてください!」
かのんが必死に呼びかける中、俺は手をサヤさんの首に当て脈拍を確認する。
手には弱々しくはあるが、命が刻むビートが、しっかり残っていた。
「大丈夫だ、まだ脈はある……。」
俺はサヤさんを下ろすと、4人に、
「……後は頼む。」
そう言い残してから、全力で走り出した。
……彼女にとっての、希望を守るために。
◆◆◆◆
side葉月
私は必死に走っていた。後ろから襲い来る、訳もわからない悪意に怯えながら。
………嫌だ。まだ何も出来ていない。終わりたくない。
そう必死に願うのに、私と怪物の間には決定的な差があって。
終わりが来るのは、時間の問題だった。
「(意外と…短かったですね……)」
頭の中で、そんな事を考えた時。
「オラっ!」
……後ろから、怪物とは違う声が聞こえた。
それと同時に、何かが吹き飛ぶ音も聞こえ、背後の悪意を纏う気配も消える。
何があったのかと、思わず後ろを振り向くと。
…………そこには、一人の男が居た。
目は緑の複眼で、体は全体が赤い。腰にはアルファベットのLを斜めにしたようなバックルがついていて、バイクに跨ったまま、奥にいる怪物を見つめている。
以前一度……いや二度、私の眼で見たことがある。
「…仮面……ライダー……」
確かその名前は、仮面ライダービート。
彼はこちらに向き直ると、私に叫んだ。
「はづ……君は逃げろ!」
「は…はい!」
私は彼の声にどこか安心するものを感じ、彼に任せることにして、全力で走り出した。
◆◆◆◆
side圭人
────危ねえ危ねえ危ねえ危ねえ…!
俺は神津島の時以上にギリギリな状況から、何とか最悪の結末を回避できたことに安堵しながら、俺はこの惨状を引き起こした張本人を見つめた。
体は紫色で、腕には…何か、グリスパーフェクトキングダムの腕の装備を湾曲させた物っぽいやつが付き、背中には先が尖った尻尾が覗く。
先程俺が
俺はこの間にバイクから降り、ロッドを外して戦闘態勢を取る。
…俺の戦闘態勢が整ったのと、奴が立ち直ったのは、ほぼ同時だった。
「……っ!」
俺たちは何も言うこと無く、互いの獲物をぶつけ合う。
俺がロッドで打撃を繰り出せば、奴はそれを腕の装備で防ぎ、奴が腕の刃で突き技を繰り出せば、俺がロッドで軌道をずらす。
俺が一度飛び上がると、奴は逃さんと言わんばかりに尻尾を伸ばして俺を追う。
その尻尾をロッドで払っておいて、俺は着地すると、そのままの勢いでロッドにサイクロンメモリを装填する。
「cyclone! maximum drive!」
「らあっ!」
俺は下からロッドで切り上げ、竜巻をドーパントに放つ。イメージとしてはグリッタートリガーのエタニティボンバーだ。
奴はそれに、尻尾で巻き上げた砂塵で対抗した。
竜巻と砂嵐は拮抗し、最終的には互いのエネルギーを使い果たしたのか、ほぼ同時に消えた。
その残滓を掻き分けながら、俺たちは再びぶつかり合う。
互いの獲物を互いが回避し、一進一退の勝負が繰り広げられるものの、いつしかドーパント側の動きが鈍くなっていく。
「(……疲労が来たのか…?でもドーパントに変身してるわけだし、いくらなんでも早すぎる…変身前がよっぽど体力ないのか…?)」
俺の思考の一部が割かれる中、それでも大半の思考は戦闘に使い、この膠着状況を打破する方法を模索する。
だが、相手のメモリも分からず、特殊能力が尻尾ぐらいな事もあって、俺は具体的な対抗策を見いだせず……
───ブスッ。
一度の回避ミスで、俺の敗北は決定的なものとなった。
両腕の刺突ユニットで攻撃、それを俺が回避した瞬間に尻尾で追撃する、シンプルながら有効的な戦術で俺に一矢報いたドーパントは、俺には眼をくれることもなく走り去っていく。
俺は急いで追跡しようとするも、足が動かない。いや脚だけじゃない。体全体が、力が抜けたかのように動かせない。
起立体勢を維持することも俺は困難となり、そのまま地面に倒れ込んだ。
ロッドを取り落とし、強制的に変身は解除される。
奴が逃げた方向は葉月さんを逃した方向と真逆で、襲われる心配は減ったと思うが、次に問題になったのは俺だ。
……まさか……毒……?
俺の思考は、それが最後となった。
次回、ラブライブ!スーパースター!!・響きの記憶の戦士!
「これもしかして……救急搬送…ってコト!?」
ボッロボロの少年と
「なにやっとるんだおどれは!」
久々の兄貴と
「ここまで来たら…」
行動を起こす時。
第37話 Sの本心/消えない溝