ラブライブ!スーパースター‼︎・響きの記憶の戦士 作:ニントという人
side圭人
「な……何故だ!?何故貴様がここに!?」
俺の前で、スタッグビートル・ドーパントが目に見えて動揺しているが、この状況で何故と聞かれても、答えは1つしかないだろう。
「簡単さ、やっと眠りから覚めた、それだけのことさ。」
「な……ありえん、あのメモリのダメージを一日足らずで回復するなど……!」
「それがありえてるから今いるんだっての。体だけは若いんでね。」
「…ダァッ!もうこうなりゃここで止めを刺してやる!そうすりゃ関係ねえ!」
「ええ!ここはあなたに乗っておきましょう!」
奴らが動揺からなんとか立ち直ろうとする中、俺は病室に残されていたドライバーとメモリを取り出し、バックルを腰に装着。ベルト部分が俺の腰に巻き付き、右腰にマキシマムスロットが形成される。
「beat!」
ビートロッドを構え起動すると、俺は昨日ぶりに叫んだ。
「変身!」
「beat!」
俺の周囲に風が吹き、周りに浮かんだ欠片が俺へと集まり体を変えていく。
最後に、背中にスピーカーが鍔となった警棒が装着され、俺は赤い戦士へと姿を変えた。
羽を広げ向かってくる奴らに対し、俺はロッドを取り外して構え、二度目となる戦いへと身を投じた。
◆◆◆◆
「ハァァァァッ!」
俺と二人のドーパントは互いの武器をぶつけ合い、中央で激しい火花を散らす。
俺はボロボロの体をおしながら奴らの武器をロッドで押し込み、体の全背面から音波を発生させ、自力を超えた力を発揮する。
「「グアッ…!?」」
奴らは俺の勢いで数メートル吹き飛び、俺はその隙きにブーストメモリを…………
「……………待てよ……」
俺…あの時取り落としてから………拾ってない……
「……おいおいおいおいここでこんなしょうもないミスかよ………」
…しゃーない、ここは持ち合わせで何とか…!
俺はやらかしに気付きながらも、ブーストとは異なる青色のメモリをロッドに差し込み、トリガーを引く。
「ocean! maximum drive!」
「ハァァァァッ!」
ロッドを突き出して水流を発射し、奴らの羽をびっしょりと濡らす。
「くっ……飛びにくいんだよこの野郎…」
「飛ばなきゃいい話ですよ!」
カブトムシ野郎が毒づく中、クワガタは飛行を止め、ダッシュで俺へと向かってくる。
「シャッ!」
「ラァッ!」
奴が振り下ろす曲刀を俺はローリングで回避すると、その勢いでロッドを左から右へと水平に打つ。
「ぐっ…」
奴は脇腹に感じる痛みで少々苦しむが、クワガタ由来の硬い外骨格で行動を続ける。
濡れた羽を乾かすことを放棄したカブトムシが俺の背後から、クワガタが俺の前方から突撃してくるが、俺は足裏に音波を発生させて跳躍しギリギリ回避。
空中でサイクロンメモリを起動し、ビートロッドへと差し込む。
「cyclone! maximum drive!」
「ラッ!」
俺がロッドを振るうと同時に、竜巻が地面へと向けられ、その風圧で彼らは地面に押し付けられる。
「今だ!」
俺は奴らが無抵抗である隙きに、俺はロッドにビートメモリを装填、必殺準備へと入った。
「beat! maximum drive!」
俺はそのまま急降下し、ロッドを左腰に構え、右へと振り抜いた。
「ビート・ミュージックブレイク!」
音波を纏った俺のロッドは、地に伏す奴らの胴体を打ち据え、そのままメモリを砕き……
「「フンッ!」」
………と、一瞬前までは思えていた。
奴らは何故か急に使えるようになっていた羽を羽ばたかせ、地面すれすれを飛行して俺の打撃を回避。ロッドは、地面を激しく打ち据えただけでエネルギーを使い果たした。
「くっそ、なんで急に飛べるように………」
俺はギリギリ着地しながら考えたが、その直後に結論は出た。
「そうか……さっきの俺が起こした風………あれで乾いちまったのか……!」
だとしたらとんでもない凡ミスだ、自分で敵に塩を送るとは。
「ったく……体疲れてるからってしっかりしろ、俺…」
俺は自分を律し……たかったが、戦闘中であるがゆえそれは後回しだ。
「くっそ……だったらもう一度…!」
「させるとでも!?」
「くっ!」
俺がメモリを再度装填しようとするものの、そうはさせまいとスタッグが曲刀を突き出してくるので、ロッドで軌道をずらす。
俺は横に回り込み、体の中心にロッドを引いてからの一突きを食らわせようとするが、奴は後ろに飛んで回避。
突き出した隙きを狙って迫ってきた長槍を俺は身を縮めて回避するものの、その長槍の持ち手側にある足で上へと蹴飛ばされる。
「がっ……」
俺はその勢いで数メートル宙に浮き、一瞬の間完全無抵抗に。
俺の視界の端に銀色の光が写ったかと思うと、俺の体を激しい痛みが襲った。恐らく周りからは、俺の体に無数の刀傷がついているのが明らかだっただろう。
「相変わらずのコンビネーションだな…少しは手加減してもいいんだぜ…」
「そうした結果前回醜態を晒しましたからねぇ、容赦はしませんよ…っ!」
「そういうこった!」
スタッグに切り裂かれた俺は再び地面に伏すが、奴らがこちらへ向かってくるのを見て体に鞭打ち立ち上がる。
「くっそ……まだまだぁ!」
俺は再び、ロッドを構え奴らへと向かっていく。
◆◆◆◆
sideかのん
「圭人くん……」
私達が見守る中、圭人くんとドーパントたちは私達の知識と認識を超えた激しい戦いを繰り広げる。
ただ、素人目でも圭人くんが不利なのは解った…いや、解ってしまった。
「どうしよう……あのままじゃあまた……」
「やっぱり2対1じゃあだめだよ………それをなんとかして覆さないと…」
「でもどうやっテ……よっぽど圭人さんが強くならなイト……」
と、可可ちゃんの一言で。
「「「「「……………っ!」」」」」
私達は、あるものを思い出した。
「かのんちゃん、たしかあれってかのんちゃんに!」
「うん、今も持ってる!」
「だったら……それを何とかして圭人に渡せれば!」
「でもどうやって………あの状況で私達が割り込むのは危険すぎるのでは…!」
「……だったら行かなきゃいい話だよ!……………圭人くん!」
私は圭人くんに向き直ると呼びかけ、制服の内ポケットからあるものを取り出し、
「───────これ!」
圭人くんへ向けて、出せる全力を絞り出して投げた。
◆◆◆◆
side圭人
「……まさかあれ!」
俺はかのんが投げてきたものの正体に勘付き、俺の周りに居た二人を無理やり押しのけ、飛び上がりながら
着地すると同時にロッドに音波を纏わせて切り払い、ドーパントたちへ強烈な音波を放つ。
「ぐあっ!?」
「どああっ!?」
奴らはその衝撃で吹き飛び、俺はその隙きに手に持ったUSBメモリ…………ブーストメモリを起動する。
「boost!」
「フッ!」
俺はマキシマムスロットにブーストメモリを装填すると、そのままスロットのスイッチを入れる。
「boost! maximum drive!」
俺の体を、黄金の粒子が包み込む。
その光は俺の体の部分部分に付着すると、俺の体自体を黄金のものへと変える。
胴体、肩、前腕、脛が黄金に変わり、顔が黄金となると同時に複眼が赤色へと変わる。
「コレが新しい俺………そうだな……ビートブースト……………仮面ライダー…ビートブーストだ!」
◆◆◆◆
sideかのん
「圭人くんが……金色に……!」
「あれが圭人くんの言ってた……強化…フォーム……!」
「すごい……」
「金ピカで……すっごいギャラクシー……」
「語彙力なくなってるデスよ……すみれ…」
私達が新しい圭人くんの姿に驚く中、対峙するドーパントたちが動き出した。
「なんだあれ……あれは何なんだよ!?」
「知りませんよ!姿が変わろうと関係ありません!我々は使命を果たすのみ!」
彼らは各々の武器を構えると、少し離れたところへ立つ圭人くんへと突き進んでゆく。
「だああああっ!」
カブトムシのドーパントは長槍を圭人くんに突き出し、その体を貫き………
「─────ハッ!」
…………貫くことはなかった。
圭人くんは槍が己の体に届く寸前、その先端を自身の拳で握った。それだけでなく、カブトムシの動きも完全に止まっている。
「なっ…!?何故だ!?」
彼は気づいてないようだが、よく耳を澄ますと圭人くんから重低音が響いている。
「今まで聞いたことのない音……圭人くんってあんな音出したことなかったのに…」
「…それが……あの力ってこと…?」
唖然とする私達とカブトムシの前で、更に圭人くんは拳に力を込めると。
バキッ!
そのまま、槍を粉砕した。
「なっ……」
その衝撃でカブトムシが吹き飛ぶ中、その横をぬうようにクワガタが飛んできた。
「シャッ!」
その目にも留まらぬ斬撃を、圭人くんはその体に受けることはなかった。
「ハァッ!」
響く音が急に高くなったかと思うと、圭人くんの姿がかき消えた。
「なっ!?どこに─────」
ドーパントが急に消えた圭人くんを思わず探すが、その一瞬のうちに、
「──────こっちだよ。」
……金色の影は、彼の背後にあった。
「なっ───ぐあっ!?」
「ハァァァァッ!」
圭人くんは超高音の音波を纏いながら、文字通り目にも留まらぬ速度でドーパントを攻撃する。
手に持ったロッドの残像が一度に二桁も見えるほどの速度で繰り出される攻撃は、今まで素早さで上位に立っていたクワガタドーパントを圧倒する。
「────ハッ!」
「ああああああああっ!?」
クワガタは攻撃の勢いのまま吹き飛ぶと、地面へと叩きつけられる。
「まずはお前だ!」
圭人くんはそう叫ぶと、右腰に装填していたブーストメモリを抜き、手に持つロッドへと差し替えた。
「boost! maximum drive!」
「ハァァァァ………ハァッ!」
圭人くんは少しの溜めの後、高音を発しながら高速で正面へと駆ける。
そのまま手に持っているロッドのトリガーを引き、立ち上がったところのクワガタに金色の光を纏ったロッドを叩き込む。
「ビート・ハレーション…………ブレイクッ!」
その勢いで圭人くんは多少進むものの、ブレーキを掛けて急停止する。
だけれど、ドーパントは慣性に従ったまま吹き飛び、重力に負けて地につくと……爆発。
圭人くんはそれから目を外すと、素手で殴りかかろうとしているカブトムシに向かい合った。
「ダアアアアアアアッ!」
向かってくる拳を、圭人くんはロッドをしまってフリーになった右手で掴む。
「な……」
「ハァッ!」
「ぐあっ!?」
圭人くんから再び重低音が響いたかと思うと、カブトムシの手を回し、彼を地面へと叩きつける。
彼が立ち上がると、再び殴りかかってくる拳を前腕で防ぎ、もう片方の拳を叩き込む。
「ハァァッ!」
「ガアアッ!?」
その衝撃で倒れたドーパントを見ると、圭人くんは腰のスロットのメモリを素早く抜き差しする。
「boost! maximum drive!」
「ハァァァァッ………………ハッ!」
圭人くんは高音を発して上空へと飛ぶと、片足を前へと突き出す。
彼の背中で空気が大きく震えると、その振動に押されるかのように、圭人くんは地面へと突き進む。
カブトムシは立ち上がるけど、目の前に向かってくる黄金の光を見て、とっさに右拳を突き出した。
「ハァァァァッ!」
「ダアアアアアアアッ!」
その力は拮抗しているように見えて、でも実際は全く違った。
「ビート・ハレーションストライク!」
黄金の光は、琥珀色の影とぶつかると、そのまま影を吹き飛ばし………
「ああああああああああああっ!?」
……影は、炎となって消えた。
◆◆◆◆
side圭人
双方向に浮かんでいた爆煙と炎が晴れ、視界がクリアとなった。
俺の前後には二人の男が倒れ込み、その横にはそれぞれのUSBが砕けた姿で落ちている。
「……あっ……うっ………ッ!」
俺の体が急に倒れたかと思うと、俺の周りで風が吹き、姿を人間のものへと変えた。
「…やっぱり時間制限あり…か……しかも過ぎたら変身解除……結構賭けだったな…」
コレ使うのは最終手段だな………
俺が内心でそう思っていると。
「圭人………くん…………」
……不意に、後ろから声がした。
俺は一瞬振り返ろうとしたが、向きを変えかけた足を制し、そのまま歩き出した。
「圭人くん!」
再度呼びかけてきた声は、俺の反応を待つこと無く続いた。
「圭人くん……今回の事件、圭人くんは関係ないの!単純に、あのドーパントたちが結ヶ丘を襲ってきて……だから……その………」
「………今回はたしかにそうだったかもしれない。でも……次以降、俺をアイツラが狙わないとも限らない。」
俺は淡々とした口調で返し、対して彼女は詰まらせた声で話す。
「でも………圭人くん………」
「もし万が一、俺のせいでまた皆に危害を加えることがあったら…………俺は耐えられない。だから……」
…俺は最後まで言い切ること無く、再び歩き出し……
……不意に、腹の周りが暖かくなった。
思わず下を見ると、俺の腹には細く、白い腕が回されていた。
「かの……ん……?」
その腕の主である少女の名を、俺は呼んだ。
「お願い……………行かないで……………」
かのんは目に今まで見たことのない色の光を浮かべ、それは複雑に屈折しながら揺らめいている。
「やだよ………一緒に居てよ…………お願い………私達を守ってよ……………」
「かのん…………でも………俺の力なんかじゃあ…!」
「そんなの関係ない!圭人くんと一緒にいたいの!圭人くんだから一緒にいたいの!…………お願い……もう……別々はいやなの……お願い……」
………止めてくれ……そんな目で見ないでくれ………俺が居たらだめなんだよ………
「圭人くん………お願いだよ………一緒に居てよ……」
………………だめだなぁ、俺………守りたいとか言っといて、本質に何も気付け無くて……
「……………ごめんな………かのん……みんな………」
…俺は、俺を包む腕を包み返した。
「…………あ………」
「ごめん…………俺が馬鹿だった………ごめん……ごめん………」
「圭人…くん……?…ちょ………」
俺は振り向き、かのんの腕だけでなく、彼女そのものを抱きしめた。
「ごめん………本当にごめん……」
気がつけば、俺の目にも揺れ動く光が浮かんでいた。
「…ううん、私だって………圭人くんが苦しかったことに気づいてあげられなくて………」
俺たちは、人生で初めて本音の本音で話し合ったかもしれない。
…………次の日、結ヶ丘の全校生徒が、一人だけ増えた。
………………いや、元に戻ったと言ったほうがいいかもしれない。
次回、ラブライブ!スーパースター!!・響きの記憶の戦士!
「始まりマス!」
いよいよ再開の学校生活
「すっとこ!?」
いつもどおりの掛け合いは
「どうしてだろう……」
する暇がどうやらないようで。
第48話 Eな名前/色々切り替え