ラブライブ!スーパースター‼︎・響きの記憶の戦士   作:ニントという人

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どうもっす。作者っす。
原作11話って個人的に結構好きな話なんですよね。
というかあの終盤の挿入歌が入ったCDがほしい。
…もう出てたらごめんなさい。
ってわけで、本編どぞ。


Tは根深く/宿る場所へ

前回の、ラブライブ!スーパースター!!・響きの記憶の戦士!

「地区予選大会を終え、無事に東京大会へと駒を進めたLiella!の5人!」

「当然よ!私がセンター…そう!センターだったんだから!」

「直前まで逃げようとしてたグソクムシがよく言うデス!」

「うるさいっ!」

「あらすじ紹介で同じこと繰り返すんじゃないよ!ともかく、そんなときに理事長からの呼び出しが。恋が色々あってメンタルが最下層まで落ちてたものの…」

「内容は、私とかのんちゃん、圭人くんの母校の小学校からの依頼だったんだよね。」

「ああ。で、それを引き受けることになったんだけど………ってわけで、どうなる第58話!」

 

◆◆◆◆

 

俺たち4人は千砂都から呼び出され、学校から直通であのたこやき屋に集合した。

 

「それで、話とは何なのですか?」

 

たこ焼きを食べながら恋が千砂都に問い、すみれも抱えている疑念を発した。

 

「しかもかのんに内緒だなんて、千砂都らしくもない。」

「うん……………かのんちゃんの、小学校時代のことなんだけどね。」

「…どういうことですか?」

 

千砂都が小学校のことに触れる理由を知らないであろう恋、そしてすみれが再び疑問を呈したので、俺たちは簡潔に、ほぼあらすじといえるレベルに圧縮したそれを話した。

……かつて、かのんの心をあそこまで蝕んだあの出来事を。

 

「倒れた!?」

 

真っ先に反応したのは恋だった。

 

「それが、かのんちゃんが歌えなくなった最初の事件で…」

 

千砂都の言葉に納得したかのように、すみれが頷いた。

 

「なるほどね。それでまたそのステージに立ったら、ぶり返すんじゃないか、ってこと?」

「大丈夫だとは思うんだけど…」

 

まあ、気持ちはわかるわな。かのん、結構傷つきやすいからなぁ……

 

「そうデスよ!かのんは可可と同じステージに立って歌いました!あの時から一度だって歌えなくなったことはありまセン!」

 

可可が自信ありげに言えば、恋も続けた。

 

「むしろ、率先して歌っていると言うか。」

 

「…うん。…それは、解っているんだけど。………かのんちゃん、繊細なところあるから……」

 

千砂都の不安に対して、すみれは至極最もな意見を投げかけた。

 

「でもさ、それで歌えなくなっちゃうようだったら、ラブライブで歌っていくことなんてできないんじゃない?」

「同意するのは気に入りまセンが、すみれと同意見デス。」

 

可可がそれに同調し、千砂都も苦笑を浮かべながら返した。

 

「だよね…」

 

実際、その意見はそのとおりと言ってしまえばそのとおりなのだ。これからサニパを始めとして、東京大会・全国大会と駒を進めていく以上、いざという時歌えないということがあってはならないだろう。

…だが、それはあくまで理論上の話なのだ。現実はそう、うまく行くという確証は無い。

深い逡巡に囚われた俺と千砂都に、恋が話しかけた。

 

「……では、一度下見に行ってみたらどうでしょうか?そこでかのんさんの反応を見てみるというのは………」

「………下見………」

 

千砂都の声は、尚も迷いの中だった。

 

◆◆◆◆

 

354:スレ主

ってわけで、今週末に小学校に行くことになりました。

 

355:名無し

ほあー、スレ主って行くの何年ぶり?

 

356:スレ主

えーっと、ほんとに小学校卒業以来なので……4年ぶりですね。

 

………4年……?

 

357:平行世界移動系ゼロワン

あかん、スレ主が時間の流れに恐怖しとる…

 

358:平成の化身

4年か……どのぐらいだ……?

 

359:名無し

>>358 こっちはこっちで時間の流れわかってないぞ

 

360:名無し

>>358 時の王者なのに?

 

361:平成の化身

……『終焉の時!』

 

362:名無し

悪かった俺らが悪かった

 

363:名無し

死んじゃうって死んじゃうって

まだ原作も俺の方は終わってないのに

 

364:平成の化身

……冗談だ。

 

365:名無し

……危ねえ……

 

366:スレ主

……あ、そういや一つ良いですか?

 

367:名無し

ん?一つって?

 

368:スレ主

いや、この前……ラブライブ地区予選のときに現れたドーパントについてなんですけど…

 

369:名無し

その時のドーパントって言うと……あれか。壁ばっか建ててた奴。

 

370:名無し

……そして、エンジンブレードを持っていた奴……か。

 

371:スレ主

……はい。エンジンブレードは…皆さんご存知ですよね。

 

372:名無し

すまん、ワイ知らん

 

373:英雄学園の黒の剣士

上に同じく

 

374:名無し

ありゃりゃぁ……

 

375:名無し

おっしゃスレ主、説明求む

 

376:スレ主

了解っす。

 

・エンジンブレード

仮面ライダーダブルに登場する二号ライダー、仮面ライダーアクセルが使う専用武器。

重さ30kgの大剣で、中折ショットガンのようなメモリスロットを一本分備える。

エンジンギジメモリを装填することで、内燃機関由来の3つの能力を発揮、そしてマキシマムドライブを発動できる。また、サイクロンメモリを始めとする通常のガイアメモリも使用可能である。

 

……このぐらいですかね?

 

 

377:名無し

……ぐらいだな。

……んで、問題はなんでそんな剣を奴が持っていたか…ってとこだ。

 

378:スレ主

そうなんですよね……あれがダブル本編で……俺たちが元いた世界の地球で想像されたもので、しかもこの世界がダブルとのクロスオーバーとかじゃない世界線なので……

 

379:平成の化身

ああ。あの後も多少調べてみたが、あの女神を始めとする神たちからも、あの世界は純粋なラブライブ!スーパースター!!の世界だと言うことは確証は取れている。

 

380:名無し

なるほど……そうなるとますます謎だな…

 

381:名無し

だよなあ、奇跡的に同じ発想で同じメモリで同じ形になった…とかじゃないだろうしなあ…

 

382:スレ主

………どうすりゃいいんですかね。

 

383:英雄学園の黒の剣士

………悩めば、良いと思うよ。

 

384:スレ主

…そっすね。

……とりあえず、まだ戦うことはあると思うんでその中で理由も探ってこうと思ってます。

………後皆さん気になってるでしょうけど、あの時奴が持ってたエンジンブレードの行方なんですけど…

 

385:名無し

おん。

 

386:スレ主

……会場の屋根ぶっ飛ばしたときに、そのままどっか飛んでちゃったかも…です…。

 

387:名無し

……バカタレ。

 

◆◆◆◆

 

……スレで無事怒られてから数日、俺たちスクールアイドル部は、俺やかのん、千砂都の母校である小学校へとやってきた。

 

「わざわざ来てくれるなんて、ありがとうねえ…。」

「家も近いので。」

 

案内してくれている先生の声に、千砂都が代表して返す。まあ小学校なら近所の子が集まるわけだしね。通ってた俺たちはそりゃ近いわけだ。

 

「スクールアイドルっていうの?この学校の子たちの中でも、憧れてる子は結構居てね」

「本当ですか!?」

「嬉しい!」

 

かのんと千砂都が、先生の声に喜びの声をあげる。

 

「そういえば、今の子達の中で流行ってるものってあったりするんですか?」

 

俺がふと思い立って聞いてみれば、先生は少々考えた後に言った。

 

「そうねえ……最近だとあれかしらね、えーっと……仮面ライダー…だったかしら?あんなヒーローになりたいって男の子たちとか、あの人に助けられたいって女の子が多くててねえ……まあ、その逆でヒーローになりたい女の子とか助けられたい男の子とかも同じぐらいいるんだけどねぇ。」

「…なるほど……そうなんですね。」

 

……すまんな少年少女。それ俺や。夢ぶっ壊すようやけど、めちゃくちゃ普通の高校生や。てかこういうときってどういう反応したら良いんだろ、他の5人も正体知っちゃってるし………そのせいでどう反応すればいいかわかんねえし………

………聞かなきゃよかったぜ…………

俺の内心を知ってか知らずか気持ち静かめに俺たちは校舎を歩き続けた。しばらく進むと、俺の目に懐かしい風景が入り込んできた。

 

「「わぁ〜〜!」」

 

かのんと千砂都が感極まったような声を上げたのは、ちょうど俺たちがかつて居た教室が目の前にあったからだ。

 

「ここ、わたしとちぃちゃんと圭人くんがいた教室!」

「懐かしっ!こんなんだったこんなんだった…!」

 

まじで懐かしいなここ、数年ぶりに来たわけだし………というか、普通なかなか来ないよな、小学校って。

 

「机ちっさ!」

「小学生って、こんなに小さかったんですね…。」

 

俺たちの後ろから覗き込むすみれと恋が声をあげる中、かのんは不意に笑みをこぼすと、教室内へ入るとくるくる回りだした。

 

「ちぃちゃん、ここでいつもダンスしてたよねー!」

「かのんちゃんだって、いつも歌ってたよ。」

「そうだっけ?圭人くんは確か……」

 

………俺が小1の頃って……あー……待って待って待って

 

「………よくウルトラマンとかの変身してたよねー。」

「やめて?人の若さゆえの過ちを晒さないで?」

 

……懐かしいね。よく教室の後ろでエックスとかしてたね。

────そういえば、今まで言っていなかったかも。

なんとなく察している人もいるかもだが、この世界に仮面ライダーは存在しない。別に俺が居ないと書いというわけではなく、特撮番組としての仮面ライダーが制作されていないのだ。転生前の記憶が戻ってから不思議に思って調べてみたが、スーパー戦隊の名前もなかったあたりまさかとは思ったものの、どちらともの原作者である御大の名前で検索しようとかけらもヒットしなかった。……つまり、仮面ライダーもスーパー戦隊も生まれようがなかった、というわけだ。

平成ニキに聞いてみたところ、俺たちが行う転生の過程で、転生特典に関する作品などはその世界から消えるよう調整が入るらしい。戦隊はもともとライダーの没案を元に誕生したはずだし、そもそも最初の二作は原作者がライダーと一緒だ。そのため、ライダーと同じように消えたのだろう。こんなことをわっ座業する理由は、ニキ曰く「権利関係がめんどくさくなる」からだそうだ。そんな理由でええんか女神たちよ。

で、そんなわけでこの世界では仮面ライダーもスーパー戦隊もなく、ライダーとなってもなお特オタの俺からすればなんでなんだよーっ!と叫びたくなった……のだが。

そんな記憶を取り戻す前の土曜日、俺はになんとなしに某災害時の切替が一番遅いテレビ局を9時ぐらいにつけてみたのだ。するとなんということでしょう、光の巨人がテレビの中で戦っているではありませんか。

………ウルトラマンは、この世界でもやっていたのだ。ニチアサはなくとも、ドアサはあった。テレビの中に、特オタの未来を築く希望の光は煌々と照らされていたのだ。

そんなこんなで、俺は小1ぐらいからウルトラマンを見始めた。ちなみに、前世を含めればもう20年の大台に到達しようかというところだ。

………そういう経緯があってのウルトラファン経歴の中の1ページを、無事今公衆の面前で晒された、というわけだ。泣きたい。

 

「…大丈夫だよ圭人くん、趣味は人それぞれなんだから。」

「…………本当に変身したいなぁ………」

 

………してるけどねぇ……

 

「……ウルトラマン…って…何デス?」

「……可可、今度Blu-ray貸してやるから。とりあえずニュージェネイッキ見で。……とりあえず、とりあえず。……行こうか。」

「…うん。」

「そうだね。」

「行きましょう。」

 

俺たちは無理矢理に軌道修正し、教室を出て再び歩き出した。

…………だが、かのんは教室後ろの一点を見つめて、しばらく動かなかった。

………『合唱コンクール 目指せ!優勝!!』

かつて、あのようなことを経験したかのんの心境を理解することは、俺にはできないかもしれない。

 

「…………行こうぜ、かのん。」

「あっ……………うん。」

 

俺たちは、改めて歩みを進めた。

 

◆◆◆◆

 

続けて俺たちが訪れたのは、校舎を出たところにある大きな講堂だった。

 

「当日は、この講堂のステージで歌ってもらう事になります。」

大きな、というのは並の大きなではなく、異常なほどにでかいという意味の大きな、だ。市民会館とかそういうとこの大ホールぐらいはあるんじゃないか、と思えるほどの規模で、どう考えても小学校に置いていいレベルじゃない。どっから予算降りてきた。

 

「思ったより広い……」

「当然デス!生徒全員集まるのデスから!」

 

すみれが唖然と驚く中、可可がなんか違う気がする返答を返す。

 

「…かのんちゃん。」

「…へっ?」

 

……不意に、千砂都がかのんへ呼びかけた。

 

「………ちょっとステージ、上がってみる?」

 

◆◆◆◆

 

千砂都の発案で、かのんは勿論、俺たちもステージへと上がった。……冷静に、なんで俺も上がってんだろう。立たないのに。

 

「かのんちゃん!ちょっと歌って見てよ!」

「えっ!?」

 

再びの千砂都の発案に、かのんは思いっきり狼狽えた。………まあ俺たちからすれば、コレがある意味本題なんだけどね。

 

「練習です。せっかく来たことですし、しておいたほうが良いでしょう?」

「うん。」

 

恋の声にかのんは頷き、ステージの真ん中へと進んだ。

かのんは正面を向くと、そのまま大きく息を吸い、そして─────

─────そして、息を吐いた。

しばしの沈黙の後、かのんは口を開いた。

 

「………ごめん、ちょっと待って」

 

再び彼女は息を吸ったものの、そこから音が流れることはなかった。

………やっぱり、そうなのか………?

もし、未だ彼女の中にトラウマが根深く残っているのなら、それを取り除くのが俺たちの役目だろう。

 

「……かのんちゃん。」

「…!……ちぃちゃん…!」

 

真っ先に動いたのは、千砂都だった。彼女はかのんの手を握ると、そのまま微笑みかけた。続けて俺も向かい。反対側の手を握る。

 

「圭人くん……!」

「…かのん。」

 

残りの3人もこちらに向かってくると、同じようにそれぞれで手を握る。

 

「みんな………!」

 

かのんの心が、少し軽くなるのを、握った手を介して伝わった、そんな気がした。

そして、俺たちは揃って、新たなメロディを奏で始めた。




次回、ラブライブ!スーパースター!!・響きの記憶の戦士!
「発表されまシタ!」
明かされる道筋と
「ちょっとまってちょっとまって!」
そこを進む少女らを
「利用させてもらう。」
あざ笑う者たち。

第59話 Tは根深く/止まらぬ嵐
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