ラブライブ!スーパースター‼︎・響きの記憶の戦士 作:ニントという人
スパスタ一期最終盤です。
…どうぞ。
2前回の、ラブライブ!スーパースター!!・響きの記憶の戦士!
「前回!テーマ決定ッ!」
「星かぁ……いいねえ!」
「さすがかのんデス!この学校のみなさんも最高デス!」
「………ってとこで、まさかまさかのドーパントが……」
「やっぱり、圭人くん行ってたんだ…」
「ニュースで見たときから、まさかとは思ってたけど…」
「しっかし逃げられちまったなあ……目的もわかんねえし……とりあえず、第64話行っちゃって!」
◆◆◆◆
あの事件からも数日達、俺たちはこの日を迎えた。
俺が目を覚まし窓の外を見れば、そこには白銀の光がいくつも天から降り注いでいる。
「…………雪……」
幸か不幸か、今日の天気は雪。激しく降っているわけではないようなので、パフォーマンスにそれほど影響を与えることはないだろう。
「………いよいよ今日、か。」
手に取ったスマホのスリープ画面を見れば、時刻表示の上に今日の日付が。
────12月25日。ラブライブ!東京大会、当日。
5人の少女が夢を胸に進んできた道の、新たな分岐点。
この道をどちらに進むかで、彼女らの旅先は変わる。
────新たな光を追いかけるのか、道を最初から歩み直すのか。
「…………本番は夜……とりあえず飯食べるか………」
俺は体を起こし、足をキッチンの方へと向けた。
◆◆◆◆
side third
彼が朝食を作っている間、他の少女たちも各々様々な動きを見せていた。
「ん………っ!」
一人の少女───澁谷かのんは目を覚ますと、顔のそばにあったスマホを持ち上げ時刻を覗いた。
「まだ6時20分……本番は夜………まだ全然眠れる……」
と、再び夢の世界へインザゴーしようとしたところで。
「駄目!起きよう!」
と、意志力を振り絞って窓をバン!と開けると同時に意識をドン!と覚醒させた。
「うぅ〜〜!さっむぅ〜〜〜っ!」
…………意識が覚醒したのは、周囲に漂う冷気も関係していたのかもしれない。
だが、少女はその寒気によって得られるものにも気がついた。
「…?………わぁ……!」
別の場所でも、もうひとりの少女が同じことに気がついていた。
「
外を見つめる彼女らの目には、一面白銀の世界が広がっていた。
その世界の中で、白く輝く物たちをかき分けている少女が一人……いや、二人。
「なんでよりによって今日みたいな日に…!」
「おねえちゃん、サボっちゃ駄目。」
「……はーい。」
巫女装束に身を包んだ少女──平安名すみれと、その妹がほうきでパタパタ地面を掃いていると。
「すみれ〜〜〜〜〜〜!」
結ヶ丘の制服に身を包んだ少女──唐可可が、何かを頭の上に抱えながらすみれへと走ってきていた。
「こんな時間に何?本番は夜よ?」
「ヴェァー………」
すみれの問いに可可はまず文字起こししにくさMAXの疲労回復音を挟み、そして答えた。
「他に場所がないノデ、仕方なく来まシタ。コレを一日だけ、預かってくだサイ!」
「あんたの宝物じゃないの?」
すみれが疑問を抱いたのも最もで、可可がもってきたのは額縁に入れられた一枚のポスター…………言うまでもなく、彼女が推し、尊敬するサニーパッションの巨大ポスターだったからだ。
「しかし、今日だけはライバルデス!今日だけは、ファンをやめマス!」
可可が、いつにない眼光で決意を示せば。
「ぅぉっ……?」
「これ。」
すみれは、いつから持っていたのか。いつか見た覚えのあるお守りを、可可の鼻先に押し付けた。
「一応渡しておくわよ。………これからも一緒に、続けられるように……。」
……一応という言葉の真意は、語るまでもないだろう。
木々に囲まれたとある空き地では、一人の少女がこの季節に似つかわしくない、半袖に半ズボンの少女が立って……いや、踊っていた。
彼女はしばし踊り続けると動きを止め、地面を見つめた。
「ふぅー、バッチリ!」
彼女───嵐千砂都は、地面を向いたまま横に向きを変えると、その先に浮かぶ4つ……己の真下にあるものを足せば、5つとなる円………丸を見つめた。
「……大きなマルになったねぇ………」
とある豪邸という言葉がふさわしいであろう家の一室では、一人の少女と、彼女に給仕することを示す服を纏った女性が、互いに笑顔を浮かべながら会話していた。
「お待たせしました。」
給仕服を来た女性───サヤが青いラインの通った白いティーカップに注がれた紅茶を、椅子に座っている少女───葉月恋の前に差し出した。
「サヤさん、またあなたと暮らせて幸せです。」
恋が、いつにも増して柔らかな視線と共に言えば。
「こちらこそ。お母様の作った学校を守ろうとする恋様を、再びお手伝いできることを、誇りに思います。」
サヤもまた、柔らかな笑顔を浮かべて返した。
再び、視点をかのんのものに移そう。
あれから彼女は制服へと着替え、開店前の準備か、はたまた純粋に家事の最中であろう母親がいる店舗スペースへと姿を見せた。
「おはよー。」
「あら、早起きね。」
「朝ごはん、学校に持っていってもいい?」
「勿論!」
少し二人が会話を交わしたところで、二階から一階へと降りてくる足音と声が同時に。
「お姉ちゃーん!」
姿を見せたのはかのんの妹であるありあで、その手には白のヘッドホン………かのんが今まで、登校の際には必ず付けていたものが。
「忘れてるよ、ヘッドホン。」
「───もう大丈夫!」
「…おぉ?」
彼女が覚醒し切るまでの、時間はもうわずか。
◆◆◆◆
side圭人
「うぎぎぎぎぎぃっぃぃぃぃっ!?」
………いきなりこんな音が入ったのは、すみれが可可の手を借りてストレッチ中だったから。
……というか、Liella!全員が絶賛、本番前のストレッチ中だ。
「ステージ、進んでるのかなぁ…」
「どうでしょう…」
伸脚しながらのかのんの問いに、腕を伸ばしながら恋が続け。
「楽しみデス!」
「誰か状況知らないの?」
「驚かせたいから、夜まで待って、って。できたら呼びに行くから…って。」
可可の期待の声に半ば被さるように、濁音混じりの声ですみれが再度問えば、千砂都が現状聞いている情報を伝える。
「手伝ったほうがいいんじゃない?」
「同意デス!」
珍しく、すみれの意見に可可が同意し、伸ばし方を変えた恋が提案した。
「この雪ですしね……体調を優先して、練習も早めに切り上げましょう。」
「じゃあ、一通り振り付けおさらいしたら、手伝いに行こうよ。」
「良いですね。」
かのんと恋の提案に皆同意し、とりあえずはこの方向で行くことになった。
………え?俺?………ずーっとスポドリ作ってる。てかこの前の戦闘のせいで体がまだ痛えんだ。
◆◆◆◆
で、やってきました体育館。あんまりガラッ!と行くのもアレなので、かのんを先頭とし、そーっとドアを開けているわけだけれども……
「………あれ?………あれれ?」
………なんか……殺風景じゃない……?
「…………あれぇぇぇぇぇぇぇ……?!」
…いや待って、殺風景っていうか……
「ステージがぬぁぁ゛ぁ゛ぁ゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!゛?゛」
あー……………え゛え゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?
「酷いよ!酷すぎるっ!こんな仕打ち!」
いくらなんでもこれはないだろ!?空!?マジの空!?空っぽ!?
「かのんちゃん!」
……この状況で、一名体育館へご入場。
その声を捉えたかのんは目を通常の数倍ツリ目にすると、そちらの方を睨みつけ。
「───ッ!」
「ヒエッ!?」
「あ゛ん゛ま゛り゛なんじゃない……?」
……まあ、こうなるわな。流石にこれは俺もキレ───
「違うの!」
………ほえ?
「すごく良いステージができそうだよ!ここよりもっと素敵な場所!」
ヤエがそう言えば、向こうからはココノが駆け寄って来ていて。
「………?…」
………えぇっと……どういうこと…?
◆◆◆◆
彼女らの案内で進めば、そこには。
………オレンジ色の、暖かい光に照らされた道が、どこまでも続いていた。
光を発しているのは、同じような……いや、全く同じ服に身を包んだ少女たち。その服装は、今のLiella!のそれとも同じ。彼女らが手に持つろうそくから、仄かな熱を帯びた光が放たれ、彼女らの並びと同じ様に、どこまでも伸び続けている。
「これって…!」
「この道を抜ければ…!」
「かのんちゃん達のステージが待ってる!」
「結ヶ丘の皆で用意した、最高のステージが…!」
5人が、明かりに照らされた光の道を見つめる中。
「「「───頑張れ!Liella!」」」
「恋ちゃーんっ!」
「千砂都ちゃーん!」
「すみれちゃーん!」
「可可ちゃーーんっ!」
「かのんちゃーーーんっ!」
「「「「「「頑張れーーーーっ!」」」」」」」」
……………やっぱり、最高だ。この学校は。
………さて、後は……彼女らが、足を進めるだけ。
「「「「「…………っ!」」」」」
彼女らは校舎口前の階段を駆け下り、目の前に広がる光へと身を投じた。
「いっけーーっ!」
「ファイトー!」
右から、左から、Liellaの5人を、どこまでも信じぬき、力になろうとする声が響き渡る。
「急がなくても大丈夫!」
「足元気をつけて!」
彼女らの足元には、走るたびに、サイズも形も様々な跡が残る。
それは今ついた足跡でもあり、今まで彼女らが歩んできた、様々な道の足跡でもある。
「もうすぐだよーっ!」
その声で、5人の足は更に、速度を増す。
ふと気がつけば、彼女らの目前には、青く輝くステージが見えていた。
「建ってマス!」
「見えて来たわよ!」
もはや定番となった二人が叫べば、かのんも、千砂都も、恋も、目に宿す光を、更に輝かせる。
そして彼女らは、最後の数メートルを走りきり────
────彼女らの前に広がるのは、青を基調に、白が所々差し込まれた、正しく夜空に輝く星のステージ。今日の状況も重なって、それはどこか結晶にも見えた。
「すごい………」
「学校の皆で、街の人に頼み込んだの。そしたら、この時間だけは自由に使ってもいい、って。」
「ここで歌えるの……?」
千砂都が呆然と呟いた声に、ナナミが答えた。
「うん!街の人も協力してくれたんだ!」
「私達だからできる、私達にしかできないステージ!」
「さあ、見せて!Liella!5人の、最高のライブを!」
……………さあ、とうとう、最後の一歩だ。
「─────うん!」
◆◆◆◆
───白。
それが、今の彼女たちを表すものだった。
全員が白を基調とし、その中にそれぞれのメンバーカラーを合わせた衣装。ふわふわの丸い帽子など、どこか妖精に近い雰囲気も感じさせる。
「皆さんはじめまして!私達は、結ヶ丘高等学校スクールアイドル!」
「「「「「──Liella!です!」」」」」
かのんの声を始まりとし、カメラの先にいる大勢のラブライブ!視聴者へと、本番前のメッセージを寄せる。
「このステージに立って、この景色を見て、私は胸を張って言えます!」
「………結ヶ丘の生徒になれて、よかったって!この学校が一番だって!」
かのんの心から紡ぎ出す言葉が、ここ一面に…世界中へ、結晶となって届く。
「私達の歌を……………聞いてください!」
小さく瞬いた 胸の奥でまた
叶えに行こうよって 憧れが騒ぐ
この学校のスクールアイドルの……Liella!の始まりとなった二人から始まったこの曲は、星の様に、雪の様に、キラキラ輝く5人の少女を歌った曲。
でも次は僕から
彼女らの歌は、今まで彼女ら自身が歩んだ歴史を、振り返るもの。
………また、新たに作り出す、そんな歴史へのプロローグ。
彼女らの歌は、世界に響き渡る。海を越え、ネットという世界をも越え、遠く、遠くへと伝わっていく。
更に多くの人に、彼女らの歌が広がっていく、伝わっていく。
信じる 気持ちが揺らぐ時は
一人の少女を囲む4人が歌い上げ、舞台は…スポットライトは、オレンジ色、マリーゴールド色へと変わる。
そしてその光は、同じ色を纏う、その少女の元へ。
これが、彼女らの……最高のライブ。
◆◆◆◆
……全グループの演目が終了して、数十分が経過した。
俺やLiella!の5人をはじめとする結ヶ丘の生徒たちは、街のモニターに映るラブライブ!東京大会の結果発表へと、すべての心を向けていた。
5位、4位、3位。
着々と、バックミュージックのみが流れる空間に、現実を伝える映像が流れる。
そして2位…………………Liella!…。
…続いて映った一位は、Sunny Passion。
画面に写ったあのMCが何事か言っているようだったが、俺の聴覚野に、その言葉が届くことはなかった。
…………しばしの、静寂。
「………もう!なんなのよったらなんなのよ!」
…静寂を打ち破ったのは、やはりというか、意外と言うべきか、すみれだった。
……………Liella!は、負けた。
感情を噛み殺すような表情で、地面へと視線を下げ、ひたすらにこらえるかのんたちの後ろに、3人の人影が。
「………かのんちゃん……」
「………駄目だった…。……ごめん……」
ナナミが、どう接するべきかわからない様子ながらも絞り出した言葉に、かのんはかつての歌えない時以上に暗い表情で呟いた。
「ううん………ありがとう。最高のステージだったよ。」
「私、すごく誇らしくて、感動した。」
「ごめんね……勝たせてあげられなくて………」
ココノ、ヤエが続ける中、5人の表情が晴れるようなことはなかった。
「みんな、すぐ片付けないと……」
「そっか、街の人にもお礼言わないと……」
…彼女らが足早に作業に取り掛かる中、衣装の上に青いコートを羽織った5人は、ただそれを見つめた。
「………かのんさん。私達も…」
「片付けまショウ……」
恋と可可に促されたかのんは、一歩踏み出しかけたものの、そのエネルギーを音へと変換した。
「そっか……こういうことなんだ…」
「…かのんちゃん……?」
「……ちぃちゃん……」
「……ん…?」
「…私……悔しい………」
「………ぁ……」
今までにないかのんの表情に、千砂都の表情もまた変わった。
「せっかく皆が協力してくれたのに…何もお返しできなかった…!…皆が協力してくれたのに、何も返せずにおしまいになっちゃった!」
「かのん………」
「また、全力で挑みましょう?」
「そうです……」
彼女らの声は、かのんの新たな心を……夢を呼び覚ました。
「…勝ちたい……」
かのんは歩き出し、結ヶ丘の生徒全員のちょうど中央の位置に立った。
「───私、勝ちたい!」
「勝って、ここにいる皆を笑顔にしたい!やったって、皆で喜びたい!」
「私達の歌で、Liella!の歌で!」
「結ヶ丘の歌で優勝したい!………いや………」
「………優勝しよう!」
……俺は、無言で頷いた。
「当たり前でしょ……?」
「Liella!は、こんなところで終わりまセン!」
「私は最初からそのつもり!」
「結ヶ丘は一番の学校です……!」
………皆、ピースサインを、星の形になるように合わせた。描かれた星は、6つの光を放っている。
「……結ヶ丘高等学校スクールアイドル、Liella! これから、もっともっと沢山の人に歌を届けよう!」
「Song for me! Song for you!」
「「「「「「Song for all!」」」」」」
…えーっと、お知らせです。
ここまで一年間ちょっと週一投稿してきたんですけど、実は最近体が持たなくなってきまして……
一応の意味を込め、ここから無期限で、三週間ペース投稿にしようと思います。
なので、来週と再来週はお休みにさせていただきます。どっちにしろテストなのでね。
…というわけで、次の投稿は7月9日…遠いな。
とりあえず、それまではこれを読んでてください。予告です。
次回、ラブライブ!スーパースター!!・響きの記憶の戦士!
「お前たちの青春は終わる」
光を消し去る悪意は
「みんなが作るなら、俺はそれを守り抜く!」
一人の少年と
「勝って!圭人くん!」
彼を信じる、心と激突する。
第65話 永遠のL/青春を賭けて