ラブライブ!スーパースター‼︎・響きの記憶の戦士 作:ニントという人
作者っす。
今回一万超えてます。
どぞ。
前回の、ラブライブ!スーパースター!!・響きの記憶の戦士!
「ぜぇぇぇんかい、結ヶ丘の新入生である桜小路後輩の事情を知った俺達。」
「端的に言っちゃえば、迷子だったんだよね。」
「北海道から来たらしいし、しょうがないといえばしょうがないね…」
「ともかく、なんとか俺とかのんで送り届けられて一安心……今年は男子生徒がゼロ人っていうことがわかっちゃったわけだけど。」
「……どんまいデス。」
「……本編行こか。」
「だねぇ……」
◆◆◆◆
時は流れて翌朝、俺はいつものように目を覚ました。
時刻を見ればギリギリ早朝といえる時間で、俺は無言で朝食を作りにキッチンへと向かった。
調理を終えて食事を始めれば、つけていたテレビから何度も聞いたアナウンサーの声が響く。
「……いよいよ、新学期か……」
気がつけばもう2年生。…実感が全くわかない。だってマネージャー的なことしてドーパントと戦ってってやってたら一年経ってたんだよ?そりゃ時の流れもわからんわ。
「…ま、今まで通り頑張りますかね。」
…それしか道ないしな。
◆◆◆◆
またまた時が流れて数時間後、俺は入学式兼始業式に出席するために結ヶ丘の校門まで来た…んだけども…
「完成ーッ!」
……校門って…こんなデカかったっけなあ……そしてこんな盛られてたっけなあ………
「なにこんなバカでかいもの作ってんのよ!」
……すみれが突っ込んだのも最もで、俺とすみれの目の前には、いつぞやの抗議用リヤカーレベルにデコられた校門があった。ちなみに『第二回入学式!!』の文字付きで。
……で、予想通りというかなんというか、それの制作者はうちのワクワクゥクゥさんこと可可だった。
「他校に負けてないと、伝えるためデス!」
「だとしてもこう…あったろ、もうちょっと。」
俺も思わず、可可の行動力と創造力に突っ込んでいると。
「あの…!」
不意に、俺達の右方から声が。
「すみれさんですよね…?」
「ええ。」
どうやら声の主である少女二人の目当てはすみれの様で、俺はなんとなく一歩後ろに。
「ファンです!サインください!」
「……〜〜!」
……ファッ!?
………俺は知り得なかったことだが、他のスクールアイドル部の面々も、似たようなことが起きていたらしい。
◆◆◆◆
【同時進行してるから回想じゃないけど回想っぽいあれだよ。】
「一緒に、写真いいですか!?」
「これにサインを!」
「応援してます!」
「あっ…ありがとう……」
…かのんは、中庭の壁際で多くの生徒に囲まれ。
「握手してもらってもいいですか!?」
「髪のお団子いいですか!?」
……恋と千砂都は、ちょっとよくわからないリクエストを受けつつ、校舎内で壁際に追いやられ。
「ご入学、おめでとうございます。」
「新入生にファンがいっぱい…!」
「びっくりです…!」
……ん?俺?
……来るわけ無いだろうよ一般人なんだから。
◆◆◆◆
【ってわけで回想的なアレはおしまい。】
「はぁー……人多すぎやろ……てかほんとに男の子いないじゃん……」
無事巻き込まれた人の濁流から逃れ、下駄箱前の道で一息ついていた頃。
「にゃは〜!オーニナッツー!あなたの心のオニサプリ〜!鬼塚夏美ですの〜!」
………なんだありゃ。学校内で撮影して……
……もしや。
「今日は、ぬぁ〜んとぉ………私、高校入学をガチ決めましたの〜!プライベート大公〜〜開!」
あー間違いねえわ。ユーチューb……じゃなくてエルチューバーだわ。
………あい、スレニキたちに解説ね。
エルチューバーとは、簡単に言えばさっき言いかけたように元の世界で言うYouTuberのことだ。メタ的に見れば、YouTubeの名前をそのまんま使うのはアレだったので名前を変えたのだろう。名の通り、動画配信サイト『Lチューブ』で活動する配信者を指すわけだが、彼女は多分本名でやっているのだろう。てか個人情報よ。めちゃめちゃ晒すじゃん学校とか。
……って、あり?後ろの子……
「……ん?何か?」
ユーチュー……じゃなくてエルチューブ撮影に勤しんでいた彼女……アレが本名なら鬼塚後輩も後ろの人影に気づき、表情をスッ…と変えて振り向いた。あらやだ芸能人の闇。
「いや……もしや、エルチューバーっすか!?」
…北海道にも、エルチューブはあるのね。…失礼かこれ。
「……学校の撮影許可取ってるのか?新入生さん?」
「…あ!圭人先輩!」
「よっ。昨日ぶりだな。…んで、そこのエルチューバーさん、うちの理事長怒らせたらアレだから後から許可取っといた方がいいぜ。」
「…………」
……あり?固まってる?
「……あなた、なんでここにいるんですの?」
……あーちょっとまて、そうだったそうだった。
「……俺もここの生徒だからだよ。」
「……!…男子生徒…この学校にいたんですの……!?」
「いやそんな驚く?確かに今年ゼロらしいけど。」
「そりゃ入試で一人も見かけず、パンフレットにも写ってなければ気づきませんの……実質女子校と言われて来たわけで……」
中学教師ィィィィ!下調べしてから言ってくれませんかね!
「……ま、アドバイス感謝するですの!この動画は明日公開、チャンネル登録して待っててほしいですの!」
彼女は表情を変えると、ぴょんと飛んで俺と桜小路後輩の後ろに回った。
「毎週日曜はライブ配信実施中、投げ銭追い銭プレゼント…なんでも結構ですの!では〜〜!」
……彼女は俺達に小さい紙を渡すと、宣伝をきっかり済ませて去っていった。
「「……C、E、O。」」
…彼女の残した紙はいわゆる名刺で、そこにはこんな文字が。
『株式会社オニナッツ 代表取締役社長 CEO
鬼塚 夏美 』
………社長…?
思ってもいなかった彼女の素性に、俺と桜小路後輩は、ポツポツとした声を出した。
◆◆◆◆
side third
あの二人がエルチューバー系新入生に出会っている時、新一年生のとある教室では、隣同士になった赤髪の少女と青髪の少女が話し……というより、赤髪の少女が青髪の少女を問い詰めている、という形が近いのだろうか。
「………四季……」
「おはよう、メイ。」
四季と呼ばれた青髪の生徒が、赤髪の少女に挨拶すれば、何故か赤髪の少女───メイの方は一層訝しげに。
「なんでお前がここに?」
「平等なランダム配置によって導き出されたもの。つまり偶然。」
「ったく…これじゃ中学と変わんねぇ。」
どうやら二人は中学時代からの知り合いの様で、以前も同じクラスにいたのだろう。
………赤髪の方は、やけにツンツンしているが。
所変わって、一階、階段側の掲示板。
一年前のように多くの部活動募集ポスターが張り出される中、その中にある一枚のポスター……他とは違い、とある部活動の功績を記したものを見つめる、一人の少女がいた。
『結ヶ丘スクールアイドル Liella! 東京大会進出!!』
そう記されたポスターを見る少女──かのんの表情は徐々に険しくなり、眉も下がり……
「ま〜ゆっ。」
「あっ……ちぃちゃんっ!」
その下がっていた眉を、後ろから上げた一人の少女が。
「もう、怖い顔して〜。」
「うそぉ……」
「…あんまり根詰めないほうがいいよー。次勝てば良いんだし。明るく行こ?」
「ぁ……ふふ……」
幼馴染の声は、かのんにとって心を解きほぐすにあたって最も効果的なものだったようだ。
◆◆◆◆
side圭人
社長系新入生と出会ってから数十分、俺達結ヶ丘の生徒は体育館へと来ていた。目的は言うまでもなく、新入生が経験する最初の行事……入学式に出席するため。
……うん、最後の希望をかけて出席したけど、どうやら真面目に男子生徒がゼロ人らしい。今年も引き続き、結ヶ丘の男子はただ一人、俺だ!状態とのことで。
…………ウソダドンドコドーン!
……もう嫌や……今年余計に他の生徒からジロジロ見られるやんけ…
俺が絶望に囚われている中、生徒会長として恋が体育館ステージに登壇していた。
「結ヶ丘は、去年開校したばかりです。これから、みんなで作り上げていきたいと思っています。……素敵な学校にしましょう。」
……重みが違えなあ…恋が言うと……
◆◆◆◆
153:スレ主
ってわけで無事入学式終わりましたよ……
154:英雄学園の黒の剣士
…あの、スレ主?
155:平行世界移動系ゼロワン
…やけに久々だけど、何かあった?
156:スレ主
…久しぶり…?昨日寝る前スレ皆さんいましたよね?
157:名無し
いや、その…そうじゃなくてね?
158:名無し
平成ニキカモーン!最後の俺達の出番は!?
159:平成の化身
…第58話以来だな。
160:平行世界移動系ゼロワン
…10話前……?
161:名無し
…ゼロワンニキ後で迎えきて。一緒にあのバカ作者ボコそうぜ。
162:英雄学園の黒の剣士
俺も行くわ。最近習得したナイトメア・レインの餌食にしてやる……
163:名無し
死亡確定の作者に、黙祷。
164:スレ主
……これ僕触れちゃまずいやつですかね?
165:平成の化身
多分駄目だな。お前が良いのはあらすじだけだ。
166:スレ主
……そういうメタ発言やめてもらえます?
………とりあえず2年の教室ついたんで、一旦抜けます。
167:名無し
……これ、大丈夫かなぁ……
◆◆◆◆
「すばらしい席順ですコト〜〜〜!」
俺が意識をスレから現実に引き戻せば、可可が手を組んでくねくねしながら喜びに打ちひしがれているところだった。
「可可ちゃんかのんちゃんの後ろ!」
「最高デス!」
ナナミの声に可可が再度喜びの声を上げる中、彼女から5列離れた位置にいるすみれが。
「席順ぐらいで…子供ねぇ…」
「ま、モチベにつながるなら良いんじゃね?」
「ま、そうかもね。」
ちなみに千砂都はそのすみれの隣、かのんはさっきも言ったように可可の前、そして俺は千砂都の前だ。
さらにちなむが、唯一クラスが違う恋が教室外から可可の様子を微笑ましく見守っている。お母さんかな?
◆◆◆◆
クラス分け、及び席順発表から数十分、多分来年もあるであろう先生の話を聞くだけのHRを終えた俺達スクールアイドル部は、こんな時でも…というかこんなときだからこそ、いつものように部室へと来ていた。新戦力を探してくる、と叫んで行った可可とすみれを除いて。
「普通科が三クラスに増えた分、今年は音楽科の設備を普通科に開放することにしました。」
ほぁ、もう去年の対立構造も見る影無いな。しかもそれを恋の口から聞けるとは……昔の俺、見てるか。あん時かばったこと無駄じゃなかったぞ。
「新しい部活も増えるんでしょ?」
「ええ。今までよりも多様な活動を行って貰えたらと。」
恋が千砂都の声に答えるも、少々表情を落として続けた。
「とは言え、他の高校に比べたらまだまだこれから。部員集めは、みんな苦労しているようです。」
へぇ……あ、それでアイツラ………
ピンと来た俺があの二人を探していると、音楽科側の校舎の入り口前で、コソコソしているあの二人を見つけた。
「ん〜……どう?逸材はいそう?」
「…全員、すみれよりは上デス。そもそも音楽科なのデスよ。」
「音楽科だからって関係ないでしょ?」
…まーたやってるよアイツラ……ハイストップストップ…
「私はショ〜ウビジネスで「グソクムシ。」…!」
あー……やっべー………
「言うなぁぁぁぁぁぁ!」「ぁ危ないデスぅぅぅ!」
あーガシガシやめろ!可可の方外れる!てか隠れてない見えてる見えてる!
「あいストップストップお前ら!見てるから向こう側が!ハイ撤収!」
「ちょっと圭人サン!ここで新入部員を集めないト「だとしても一旦立て直しじゃ!この
ままやと漫才部と思われるぞ!」「誰が漫才よ!」お前らじゃ!」
「…あの人達…リエラの?」「だよね?」「…あの男の子は?」「……さあ?」
………こりゃ前途多難だわ………
◆◆◆◆
side third
あの二人…三人が最早漫才じみた活動をしている中、一人の新入生が一枚のポスターに目を輝かせていた。
「はぁぁぁぁぁ〜〜〜…………」
そのポスターは、デフォルメされた5人の少女が描かれており、その下には……
「スクール……」
「アイドル……」
「おわぁぁぁっ!?」
…部、と書かれているもの。もちろん最後の悲鳴はなしだ。
その悲鳴を上げた赤髪の少女──メイこと
「これ、かのん先輩がやっている部活っすよね!?」
「ッ!?澁谷さんと知り合いなのか!?」
驚きの声を上げたメイに、きな子はいい笑顔で続けた。
「はい!家まで送ってもらって、スクールアイドル部にも誘ってくれたっす!」
さも当然と言わんばかりの発言に、メイは驚きに満ちた表情と声を上げた。
「スクールアイドルに…誘われた!?」
「ええっ!?」「嘘ッ…!?」
…周りにいた生徒たちの反応に、当のきな子本人はいまいちついていけてないようだった、
◆◆◆◆
side圭人
あの二人を連れ戻し、かのんたちと合流した後。
…………かのんは中庭で、乾いた笑いを上げていた。
「は、ははっ……あははっ………」
すみれ、俺、かのん、可可の順で用意した椅子に座り、目の前には公民館などでよく見る机、サイドには『結ヶ丘 スクールアイドル部』と書かれた看板が置かれ、可可の背後には一年前にも見たことのあるあのプラカードが。
そして、今ここにこの4人、そして俺達の視界の先の恋と千砂都しかいないという現状を踏まえ、かのんさん、どうぞ。
「……誰も、来ない…………ええっ?ええっ!?どうして?どうしてっ!?」
……なんでやろうねえ……
「すみれが音楽科の校舎で騒ぐからデス。」
「はぁ?あんたもでしょ?」
「あー喧嘩すんな喧嘩すんな……」
今年入ってからホントコイツら目と目が合ったらバトルしかしねえな……
「まあまあ、落ち込むのは早いよ。」
「でも、他の部はそれなりに新入生が集まっているようです。不思議ですね……」
うーん……スクールアイドルってのもメジャーではあるけど始めるのに勇気いるタイプのやつだからなぁ…
「ンンッ!ここで考えていてもしょうがないデス!気を取り直して…!」
…あーちょっと待て、なんか嫌な予感がひしひしひし……
◆◆◆◆
「あの!」
「「ん?」」
「そこの道行く新入生タチ!」
「うえっ!?」
「スクールアイドルに興味ハ!?」
「「失礼しますーーーーーっ!」」
………そりゃ、こうなるわ。てかいきなり壁際追い詰めの半脅迫はどうなのよ。
「…やはり、すみれが問題デスね…」
「どうしてそうなる…」
…その通り、すみれ。
「とにかく、行動あるノミ!」
俺達の静止も聞かず、可可は部室と屋上へとつながる階段を駆け上がり。
「ハァッ!」
ドアを思いっきりバン!と開け。
「これでヨーシ!」
……いつにもまして、バカでかい横断幕を引っ提げた。
………『Liella! Welcome』と、文字を記した。
「どうしてこんなもん次から次へと作り出せるのよ!」
…うん、その通り、すみれ。
「これで新入生の注目を集めること、間違いなしデス!明日なれば、きっとたくさんの人が集まりますヨ!」
「…だといいけど…」
うーん、かのん…メッチャ分かるぞ、その気持ち。
…………ん?
「…なんだ……?」
「…どしたの?圭人くん?」
「いや、向こうの校舎に変な影あったから…気の所為かな…」
「…あんたのいう変って、ほんとに変なことしか無いわよね…」
「そりゃ偶然だって…流石に今回は俺の気にし過ぎ…」
と、そこまで俺が言った時。
……その地点を中心に、バカうるさい音が響き渡った。
……平たく言えば、爆発音に近い音が。
「「「うわぁぁぁっ!?」」」
横の女子三人が体勢を崩し、俺も思わずふらつく。
「圭人くんこれ!」
「ああ!最近おとなしいと思ったらこれだよ!しかも入学式に…!」
俺は昨日感じた嫌な予感がバッチリ的中したことにキレながら、口と手を動かした。
「みんなは残ってる人たちの避難を!新入生に関してはこのことを一個も知らない子すらいるかもだからそっちを重点的に!もちろん2年の奴らも!」
「わ、分かった!」
「……いや待って圭人!あの爆発が起きたのって一年生の!」
「…っ!マジかよ…!」
俺は現実を認識すると直様走り出し、頭の中に開いた校舎の立体マップをもとにして現場への最短距離を探った。
◆◆◆◆
sideきな子
……なんて、今日は最悪な日なのだろう。
数時間前には思ってもいなかったような考えが、不意に頭の中で弾けた。
朝、目覚めたばかりの頃は、今日ほど最高な日は、そう訪れることは無いだろうと思っていた。
夢にまで見た東京、しかも優しい先輩たちがいる高校に進学した、最初の一日。
そんな素晴らしい日になるはずだった今日は、突然起きた爆発…そしてそれを引き起こした怪物によって、容易に壊された。
「…大丈夫っすか…米女さん……」
「桜小路さん…?…そっちこそ…肩…」
「大丈夫っすよ…実家じゃ動物たちとじゃれて怪我なんて日常だったっす…」
「無理…すんなよ…ちょっとだけど…血…出て…」
スクールアイドルのことで、米女さんに話を聞こうとしていた時、不意にあの事故…いや、事件は起きた。
米女さんは爆発で起きた突風に巻き込まれ、きな子も直撃はしなかったけれど、その衝撃で吹き飛ばされて肩を強く打った。
「……早く逃げろ…私…ちょっと全身打って…」
「なら…なおさら逃げられないっす…今日できたばかりのクラスメイトを…見捨てるなんて…」
……でも実際、このままじゃ二人一緒に………
私が最悪な結末を想像してしまった時、目の前にこの悲劇を作り出した元凶が現れた。
「……ぁ……」
その姿を見た途端、私の口から言葉にならない声が漏れた。
怪物は、頭に歪んだテンガロンハットのような物を被っていて、手には大きなツルハシみたいな武器を持っている。
左腕の側面には玉を飛ばすパチンコのような物があって、左腰にそれで射つであろう小さい爆弾が袋に入って吊られている。
………私がこんなにあの怪物のことを認識出来ているのは、ついさっきそれを使うところを見たからだ。
……むしろ、あの爆弾のせいで私達は今こうなっている。
あの爆弾が一発校舎の壁に放たれ、そこで弾けただけでこんなことになってしまった。
「…なんで……なんで………」
怒りや悲しみよりも先に、私の中には純粋な疑問が浮かんだ。
どうして、この学校を襲ったのか。
どうして、私達を襲ったのか。
どうして、
「……おい……なんでここに戻ってきてんだよ……」
米女さんが唖然とした声を出す中、あの怪物は私達の方へと歩み寄ってきた。
「……桜小路きな子……米女メイ………」
「……………え…………?」
…どうして………私達の名前を……
「……あのバケモノ……なんで私達の………」
米女さんも同じことを考えたらしく、彼女の口からまたしても唖然とした声が。
もし、もしも。あの怪物が私達を探していたのだとしたら。
………その過程で、この学校を壊そうと………言い換えれば、探そうとしている私達が死んでも構わないのだとしたら。
………探している目的そのものが、私達を殺すことなのではないか。
自意識過剰、考え過ぎと今この場で誰に言われようと、その考えが消えることはなさそうだった。むしろ、今まで感じたことも考えたことのなかった自身の死という事象が脳裏に焼き付き、どれだけ剥がそうとしても離れそうにない。
私の後ろで倒れる米女さんの表情にも、本来の日常で感じるわけがない程の恐怖が張り付いている。
「……桜小路さん……あんただけでも逃げろ………」
「そんな…そんなことできないっす!」
「そんなこと言ってる場合かよ!どうせ今日はじめましてだろ!?私なんかより自分の命を──」
「私なんかって言うんじゃないっす!これから一緒に色々やっていく仲間を見捨てるなんて出来ないっす!」
私達が会話する様子を見て、あの怪物がボソリと呟いた。
「…美しい友情だな………だが………あの方にとっては不要なこと。……………消えろ。」
──消えろ。その言葉が意味することは、どうやら私が思っていたことと同じだったらしい。
ツルハシを振り上げるあの怪物を見て、せめて最後だけは目を開けていようと思っていると─────
「────オラッ!」
不意に声が響いたかと思えば、眼の前にいた怪物が廊下の壁へと叩きつけられた。
この事象を起こした当本人であろう人物は、怪物への飛び蹴りから器用に着地し、私達の方へと駆け寄ってきた。
「君たち大丈夫?」
「け…圭人先輩!?」
てっきり警察官辺りだろうと思っていた人物は、私のよく知る人物───スクールアイドル部の圭人先輩だった。
「桜小路後輩…!?…ああまあ良いや!驚くのは後!立てる!?」
「わ、私はなんとか……でも……」
私が米女さんの方を見れば、圭人先輩はその状況に気づいたようだった。
「…わかった。…君、怪我は?」
「…全身を打った…ちょっと立てそうにない………」
「そうか………しょうがねえ、まさか入学式早々とはな……」
「……?」
圭人先輩の言う言葉が、どこか私達の理解を超えていることに、私は思わず首をかしげた。
「……先方も起きそうだし……二人とも、今から見たことは1年生には秘密な!」
「いまからって……」
「一体何を………!?」
私がなおも疑問を浮かべる中、米女さんは圭人先輩が取り出したものを見て共学の表情を浮かべていた。
黒いベースに、銀と赤で塗装された何か。表側と思わしき方には窓があって、それがある場所には何か細長い物が挿せそうスロットが。
圭人先輩はそれを右手で持つと、左手には赤いクリアの……USBメモリのようなものを取り出した。
右手のものを腰に当てると、そこから黒いベルトが伸びて圭人先輩の腰に巻かれて、右腰側には何か黒いものがカチャカチャと作られる。
圭人先輩は起き上がる寸前の怪物の方を向くと、左手のUSBメモリを顔の側で構えた。
「beat!」
「………!?」
メモリから音声がなった瞬間、私も米女さんが驚いた理由に行き着き、私もまた、同じように驚愕した。
腰にあるバックルが大型のベルト、怪物、そして…………ビート。
私の記憶に、去年見たニュースの映像が再生された。
…………そして先輩は、短くも強さを持った声で、一言叫んだ。
「────変身!」
先輩は手に持ったメモリをベルトのバックルに差し込むと、スロットの部分を右側に倒した。
「beat!」
その瞬間ベルトから先程と同じ音が鳴り、先輩の周りに突風と粒子が浮かび上がった。
先輩の顔に複雑なラインが浮かび上がり、風が止むと同時に粒子が先輩の体を包み込み、その体を光沢のある赤色へと変えた。
「………仮面……ライダー………」
その姿は、私がかつてニュースで見た、怪物から人々を守る、ヒーローの姿だった。
◆◆◆◆
side圭人
爆発音がしてから数分、ダッシュで現場まで来た俺はぶっ倒れている知り合い一人と多分その同級生一人、そしてこの事件の元凶であろう怪物………ドーパントを視認した。
最初はその場にいた生徒をある程度逃してから変身しようと思っていたのだが、ドーパントの側に動けない生徒が一人いるとなってはそうも行かない。
……ということで、まさかまさかの新学期そうそう後輩二人に正体を明かすという事態になってしまった、というわけだ。
まあそれは後でスレニキたちと話すとして、今は──
「俺の後輩に手出したこと…………今から後悔させてやんよ!」
俺は立ち上がったドーパント相手にそう啖呵を切ると、背中からロッドを抜いて奴へと突きつけた。
「…邪魔だ……消えろ!」
奴も俺へ切り返すと、手に持ったツルハシ風斧っぽいアレをこちらに振るってくる。
避けても良かったが、こちらにはまだけが人が二人。避ければその二人に斬撃が飛んでしまうため、ロッドで奴のツルハシと打ち合う。
軽い衝撃波が広がる中、俺は奴と斬り合っているロッドにメモリを差し込んだ。
「builder maximum drive!」
「ハァァァァァァァッ!」
俺はロッドにドリル状のエネルギーを集めると、奴のツルハシを無理やり弾いて、ロッドを奴へと突き立てた。
「吹っ飛べぇぇぇぇッ!」
エネルギーが奴の体をえぐる中、俺はロッドを横に振って、奴の体を窓から校舎の外へと突き飛ばした。もちろん、下に人がいないことは確認済みだ。
「ぐあああっ?!」
奴が地面に叩きつけられたのを確認すると、俺は振り向いて桜小路後輩に伝える。
「救急車呼んでてくれ!後で迎えに来るからそれまでその子を頼む!」
「わ、わかったっす!」
俺は話を終えると、奴の後を追って窓から飛び降りた。
着地の瞬間に音波を放って衝撃をなくし、ちょうど今立ったところらしい奴へと向かってロッドを振るう。
「オラッ!」
俺が振り下ろしたロッドに向かって奴はツルハシを振り上げ、その接地点で激しい火花を散らす。
しばし拮抗状態が続くものの、俺が左足で奴を蹴り上げた事によってその状態は解消され、それと同時に奴は、ほんとに一瞬だけだが宙に浮く。
俺はその瞬間前蹴りを繰り出し、校舎の壁際へと奴を蹴り飛ばす。
「があっ……舐めるなぁッ!」
奴は腰にある袋から黒い玉を取り出すと、左腕にあるギャンブルじゃない方のパチンコのようなもので打ち出した。てかギャンブルの方も球打つのか。
「っと!そんなもん!」
と、俺はその玉をロッドで弾こうとしたの……だが。
「よっ…どわあああっ!?」
俺のロッドとその玉がぶつかった瞬間、その点から火花……どころの騒ぎではない爆発が起きた。
「爆弾ってわけかよ……だいぶ派手なやつだな……」
この感じ、最初に起きた爆発もこれのせいか…
「ったく……ツルハシと言い爆弾といい………発掘作業なら山奥でやってろ!自分の土地のな!」
俺は新たなメモリを取り出すと起動し、右腰のマキシマムスロットに差し込んだ。
「boost!」
「boost! maximum drive!」
「さーて…………テンポ上げて行きますか!」
俺は体中に高音波をまとわせ、奴へと急接近。
「そんでもってこう!」
そのまま跳び上がって後ろに回りながら上空で一発ロッドで打ち、着地してから更に前蹴りで吹き飛ばす。
「がっ……」「まだまだぁ!」
吹き飛んだドーパントに追いつくスピードで俺は走り…というか跳び、ロッドを突き出して奴の腹に一発。
「おぉぉ…………らぁぁぁッ!」
そのままロッドをぶん回して奴を反対側の床に叩きつけ、浮いた奴の体に左手でのストレート。
「がああっ!?」
「さぁ………ラスサビだ!」
俺はブーストメモリを抜き差しし、スロット横のボタンを叩いた。
「boost! maximum drive!」
「ハァーッ………ハァッ!」
校舎を超えるほど高く跳び、足を奴の方へ。
背中を音波で叩いて加速し、エネルギーを纏った右足を奴の体へと叩き込んだ。
「ビート・ハレーションストライク!」
「がああああっ!?」
低音波を纏った強力な蹴撃は奴の体を的確に打ち据え、吹き飛んだ体は爆発した。
…………俺の背後に、いくつかの黒点を残して。
「っ!?やべえ!」
俺の背後…つまり先程まで俺とこいつがいた校舎へと飛んでいった黒点数発は、吸い込まれるように壁へとぶつかり…爆発。
「間に合え…っ!」
俺は足の向きを即座に変えると、爆炎と瓦礫に包まれた校舎の中に飛び込んだ。
◆◆◆◆
「大丈夫か!誰かいる!?」
返事が一個もない……急げ……探せ………っ!
「きな子!大丈夫か!」
「先輩………私はなんとか…でも……」
きな子が指を指す先には、先程一緒にいた赤い髪の少女が目をつぶって倒れていた。
「…!君!しっかりしろ!…とりあえず…!」
「ocean! maximum drive!」
俺はオーシャンメモリのマキシマムを発動し、溢れ出た水を辺りに揺らめく炎へと当てる。
大洋の記憶の力は自分でも驚くほど強力で、俺の周りにあった炎はほとんど無いと言っていいほど消えた。
「そんでもって…」
「builder! maximum drive!」
「ハァーッ……」
ビルダーメモリのマキシマムを発動し、手に集った黄色い光を損傷箇所へと当てる。
すると、瞬く間に壊れた箇所へ瓦礫が集まり、その傷は修復されていく。正しく建設者の記憶にふさわしい力だ。
「…よし…きな子立てる!?」
「ちょっときついっすけど…掴まって行けばなんとか……」
「おけわかった!俺はこの子を運ぶから先行っててくれ!」
「わ…わかったっす!」
「よし……もう大丈夫だからな……持ってくれよ……!」
俺は彼女の体力が脱出する前に切れないことを祈りながら、俺は彼女を抱えて階段を駆け下りた。
◆◆◆◆
「…っ!けい……仮面ライダー!」
「かの……君ここの生徒!?この子頼んでいいか!?」
校舎から離れ、正門前の通路に出たところで、避難していた多くの結ヶ丘生徒と遭遇した。
かのんが危うくボロを出しそうになりながらも俺に駆け寄り、俺もボロを出しそうになりながらも抱える赤髪の少女を彼女に託す。
「わ、分かった!そっちは!?」
「俺はあの校舎をギリギリまで修復する!あぶねえからこっち来んなよ!後ちょっとで救急車来るはずだから!」
俺はそう行って校舎へ戻ると、オーシャンメモリで炎を吹き消し、ビルダーメモリで修復するという作業を数分ほど続けた。
……それから数分後、ある程度は修復された校舎を横目に、俺はバイクを呼び出して学校の正門から出、仮面ライダーは帰りましたよアピールをしておいてから裏門で変身を解除し、結ヶ丘の2年生木島圭人としてあの仮避難所へとコソコソと戻った。
「…!圭人くん…」
「……校舎はなんとかなった、後はプロがちょちょっとやればまた元通りになるはずだ。」
「…よかった……中にいた人たちは…!」
「治ってから全部見て回ったけど、俺の見た限りじゃもう人はいなかった。瓦礫とかもないから見えるはずだしな。…ま、後は警察だなぁ…アイツのメモリも壊れてたし。」
「そうね……とりあえず今日は一斉下校かしら。」
「そうだろうね…」
「全く…こんな入学式という日ニ…!」
……しっかし……なんであのドーパントはあの二人の名前を………
「………まさか………」
俺は不意に脳裏に浮かんだ嫌な予感という四文字を、無理やりかき消した。
読了お疲れ様です。
…えー、それから報告です。
僕高校生で、この前模試受けたんですけど、あの成績がFランも行けねえなこれってレベルだったんすよ。
…なんで、これから更に更新頻度落ちます。申し訳ないです。
多分次は三週間後…かな。
ってわけで、こんなやつのモチベのために評価とか感想とかよろしくです。
ってわけで、予告どうぞ。
次回、ラブライブ!スーパースター!!・響きの記憶の戦士!
「ともかく!これで明日にハ…!」
少女の希望は
「いくらなんでもおかしいですよね?」
打ち砕かれる…
「そんなことも知らないのか?」
のか、否か。
第69話 Aな時代/力ある故