悪役令嬢はカードで世界を征服する   作:Red_stone

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第28話 アイドル絶唱

 

 

 先に敵の相手を始めたスカーレッドを横目に見て、アニーもまた戦いを始める。

 彼女は誰かに笑顔を届けるためにアイドルになった。ならば、魔の者はアニーの不倶戴天の敵だ。奴らは人々から笑顔を奪うことしかしない。

 

 ――だから、奴らと戦うと決めたのだ。

 

・1ターン

 

「アニーちゃんの先攻!」

 

 相手は幾多の刀剣が突き刺さったような人型の魔物。凄まじい血臭が漂ってくるが、さっき確認した限り生徒たちに負傷はない。スカーレッドが守ってくれた。だから、それは奴の体臭。

 存在そのものがおぞましい人類の敵、”邪神の落とし仔”。魔物とも呼ばれるそいつらを排除しない限り人々に笑顔は戻らない。

 

「手札から『Live☆Twin リィラ』を通常召喚、〈キスキル〉モンスターが場にいないとき、デッキから『Live☆Twin キスキル』を呼ぶ! さあ、オープニングライブの始まりだ!」

 

 二人の歌姫が高らかに歌声を届ける。

 

「『リィラ』と『キスキル』でリンク召喚! 華麗な歌声でファンの心をわしづかみ! リンク2『Evil☆Twin キスキル』」

 

 そして、歌声はさらなるボルテージへと。

 

「効果発動! リィラモンスターが居ないとき、墓地の『Live☆Twin リィラ』を蘇生!」

 

「さあ、本番の始まりだ! 『Live☆Twin リィラ』と『Evil☆Twin キスキル』でリンク召喚! 玲瓏たるダンスで視線を釘付け! リンク2『Evil☆Twin リィラ』!」

 

 そして揃うユニット。歌声は最高潮へと昇華した。

 

「キスキルモンスターが居るときに特殊召喚されたため、1枚ドロー! 【イービルダンス】!」

 

「まだまだライブは終わらない! リンク2『キスキル』とリンク2『リィラ』でリンク召喚! 売り切れ注意! 満員御礼! 武道館ライブスタートだ! リンク4『Live☆Twin トラブルサン』!」

 

 そして限界を越えた先、最強のアイドルが空から舞い降りた。

 

「このカードはリリースすることで墓地の『キスキル』と『リィラ』モンスターを蘇生するよ。さらに、さっきは使えなかったけど『リィラ』の方は相手のカードを1枚破壊する能力を持つ! カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

場:『Live☆Twin トラブルサン』

魔法+罠:セット1枚

 

・2ターン

 

 人影が重々しい仕草でカードを引く。どことなく、戦傷者のようなその動きに生徒たちは気圧されてしまう。へたりこんで、動けない。

 

「そのモンスターが居る限り、蘇生によって我がカードを破壊してくるか。対策のカードを引かなくてはならんな。俺のターン、ドロー」

 

「……」

 

 しばし、考え込む。安心などできはしない、何が飛び出してくるのやら。

 

「手札から魔法『手札断殺』を発動。互いに手札を2枚捨て、2枚引く。俺が捨てるのは『進化する人類』と『不意打ち又佐』」

「アニーちゃんが捨てるのは『Evil☆Twin’S キスキル・リィラ』と『クリッター』だよ!」

 

 一挙手一投足が相手の神経を削る邪神の落とし仔。だが、アニーは恐れずして立ち向かう。

 

「さらに手札から『リンクアップル』を墓地に送り、モンスター効果を発動、EXデッキからカードを1枚除外する。当然、融合モンスター。よって、カードを1枚ドローする」

「さっきから手札交換ばかりじゃないか。事故? 大したことないね」

 

 それどころか、アニーは挑発すらする。

 

「そうだな。だが、必要なカードは引けた。私は、貴様の場の『Live☆Twin トラブルサン』をリリース」

「……なんだって! チェーンブロックを作らずリリースする召喚ルール効果か! これじゃ『トラブルサン』の自己リリース効果を使えない」

 

「さあ、貴様の場にプレゼントしよう。『壊星壊獣ジズキエル』」

「……でも、攻撃力3300! 次のターン、貰ったカードで君を粉砕してあげるよ!」

 

「次のターンが、あると思っているのか? ”後の先”、武の極致……敵を一刀の元に斬り伏せるのが我がデュエル、我が武道! 二の太刀など要らず、ただ一寸切っ先をめりこませれば人間は死にような」

「……来るか!」

 

「手札から『重装武者ーベン・ケイ』を通常召喚。手札から『流星の弓ーシール』を装備、攻撃力を1000ダウンさせて直接攻撃を可能とする」

「攻撃力……0?」

 

 彼の姿にそっくりなモンスターだ。尋常ではない血臭を漂わせ、そして油断すれば一瞬で首を刈られてしまうに違いない。

 

「さらに装備魔法『魔導師の力』を装備。このカードは俺の場の魔法・罠の数の500倍攻撃力をアップする」

「けれど、それでも攻撃力はたったの500!」

 

「最後の装備魔法『サイコ・ブレイド』を発動。ライフを2000払い、攻撃力を2000アップさせる」

 

◆『重装武者ーベン・ケイ』 ATK:3000

 装備魔法:『流星の弓ーシール』、『魔導師の力』、『サイコ・ブレイド』

 

〇 ライフ:8000ー2000=6000

 

「うそ……! 攻撃力3000の、3回攻撃できるダイレクトアタックモンスター! アニーちゃんの場に強力モンスターが居たって、何も意味がないじゃない!」

「その通り、貴様に未来はない。『ジズキエル』に縋ろうが、それは元を辿れば我のモンスター。何も意味がないな。……ただ一刀のもとに死んでいけ」

 

「このままダイレクトアタックを受ければアニーちゃんの負け……」

「……対抗手段は、ない」

 

「なんて、ね!」

「何だと……!」

 

「私だって警戒を怠ってたわけじゃないのさ! 伏せていたトラップ『Evil☆Twin チャレンジ』を発動! このカードは墓地のキスキルかリィラモンスターを特殊召喚できる! おいで、『Evil☆Twin キスキル』!」

「いまさら雑魚モンスターを呼んだところで……! いや、前のターン。貴様の言っていた!」

 

「そうさ。『キスキル』の効果で『Evil☆Twin リィラ』を復活! ツインライブ効果発動、あなたの『ベン・ケイ』を破壊する! 【イービルシャウト】!」

「おのれ……! 我が後の先の切っ先さえ砕いてみせたか、人間よ……!」

 

 攻撃できていれば、ライフを0に出来ていた。だが、メインフェイズ中に破壊されてしまえばどうにもならない。

 しかも、この魔物の手札は0。反撃の手段もない。意気消沈し、うなだれた。

 

・3ターン

 

「諦めたデュエリストにターンは来ない! アニーちゃんのターン、ドロー!」

 

 勢いよくカードを引き、とどめのために動く。

 

「墓地の光属性モンスター『Live☆Twin キスキル』を除外して『暗黒竜コラプサーペント』を特殊召喚!」

 

「『リィラ』と『コラプサーペント』でリンク召喚! 汚れなき一角獣よ、乙女を夢の舞台に連れて行って! リンク3『トロイメア・ユニコーン』!」

 

「さらにリンク3『ユニコーン』と『キスキル』でリンク召喚! アイドルは命がけ! 武道館に駆けあがるため、どんな手段でも使うのよ! リンク4『アクセスコード・トーカー』!」

 

「『アクセスコード』はリンク素材にしたモンスターのリンクマーカーの数×1000ポイント攻撃力をアップさせる。アニーちゃんはリンク3の『ユニコーン』を選択、攻撃力を3000アップする。【パワー・ディグレーター】!」

 

 聖獣のいななきが、電子の戦士を強化する。手に持つ槍の切っ先が光り輝く。

 

「あなたのくれた『ジズキエル』でダイレクトアタック! 【大怪獣スタンプ】!」

 

◆『壊星壊獣ジズキエル』 ATK:3300

 

〇 ライフ 6000ー3300=2700

 

「……がはっ!」

 

 魔物は自ら与えたモンスターで踏み潰される。

 

「そして『アクセスコード』でダイレクトアタック! 【ジ・エンド・オブ・ストーム】!」

 

◆『アクセスコード・トーカー』 ATK:5300

 

〇 ライフ 2700ー5300=0

 

「うおおおおおおお!」

 

 アクセスコードの起こした風により魔物はばらばらになり、瘴気に帰った。

 

「さあ、どんどん来なさい! あなたたち全員、アニーちゃんのライブでメロメロにしてあげる!」

 

 まだ残る魔物へと宣戦布告した。

 

 見れば、スカーレッドも順調に魔物を倒している。被害は免れないが、混乱は確実に収束に向かっていると実感できた。

 

 

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