悪役令嬢はカードで世界を征服する   作:Red_stone

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第7話 邪神の胎動

 

 そして、次の日もファニマは森の前に来ていた。

 

「――感じるわ、闇の胎動。日に日に高まっている……これは弾けるのも近いわね」

 

 前に来た時はあの『天魔神ノーレラス』を使う邪神の落とし仔と戦った。

 奴のような存在が多数うろついているのを感じる。三幻神の加護か、森の外には出て来られないようだが……

 

「通称稼ぎ場、ゲームではここでカードを生み出す魔力を補充するのが定石なのだけどね……私が欲しいのは特殊な魔力が必要なものばかりね」

 

 この悪霊共は放っておいて問題があるかと言えば、なかったはずだ。ただただ邪神の漏れ出た力に影響されただけの彷徨う魂、学園に侵攻するような知恵はない。

 ここでボランティアをする意義はないが、しかし暇つぶしにはなるだろう。学園の凡百よりはよほど歯応えのある相手だ。

 

「さて……あら?」

 

 何度かデュエルするのも悪くないと思って不法侵入しようかと思っていると、騒がしい声が聞こえてきた。

 

「だから、チアは【魔の森】に残ってるんだって! 助けに行かなきゃならねえんだよ!」

「でもよ、森には何か居たぜ。先生に言うわけにはいかねえしよ」

「そーだそ-だ、絶対危ないよ。それに、チアだって家に帰ってるかもしれないじゃんか」

 

「チアの家に電話かけたけど、帰ってきてないって言われたんだよ! 大体よ、ハンド。お前が肝試しに誘うからこんなことになったんじゃねえか!?」

「い、いやさ。だって、こんなことになるとは思わねえじゃねえだろ……」

「昼なら大丈夫だって思ったけど、ぜってェやばいってココはさあ! もう帰りたいよお!」

 

「なら、俺だけでも行ってやる!」

 

 一番前に居る彼。どこかエビを思わせる赤毛の彼は、しかし二人の男が後ろから抱き着いて止められている。

 どうやら昨晩肝試しにこの森に入ったところ、一人だけ帰って来られなかったという話のようだ。

 夜は亡霊どもの活動が更に活発になる。亡霊を知らないとはいえ、本来ここは進入禁止の地区に指定されている。自業自得と言えばそれまでだった。

 

「すっとこ3人組、ね。この先は立ち入り禁止よ」

  

 ファニマが前に立ち塞がった。

 

「ゲッ! 見つかっちまったか」

「おい、あれはファニマ・ヴェルテじゃねえか!? 告げ口されて退学にされちまうよ!」

「ひぃ! お、お助けを~」

 

 三者三様、しかし頼りないことこの上ない。この三人では森に入ったとしても無事に帰って来られることはないだろう。

 だが、エビみたいな髪の彼は立ち上がってファニマに向かって指差した。

 

「なら、デュエルだ。俺はチアを助けに行かなきゃならねえ! そこを通さねえって言うんなら、あんたを倒してでも俺は先に進む!」

 

 デュエルディスクを掲げた。勇敢な男の子だ。だが、仲間を助けるためというなら好感が持てる。

 ……以前のファニマであれば、ルールに歯向かう愚か者としか見れなかっただろう。

 

「そう、ならその勇気を試してあげるわ……デュエル!」

 

 しかし、彼が掲げたそれもやはりノーマル。そんなものかと思いながら、ファニマはハサミと鎖で出来たデュエルディスクを構えた。

 本物の実力者などそう居ないが、少しは楽しませてくれることを願って。

 

「な、なあ――やっぱりヤバイって」

「あの人、相当の実力者だろ? オノマ、お前じゃ勝てねえって……」

 

 二人の男の子はもう負けた気になっておろおろと取り乱している。

 

「ね、ねえ。お嬢様、彼らと戦う必要はないんじゃ……」

 

 後ろについてきたメイも同じように慌てふためいている。

 

「勝てねえだと? そんなの、やって見なくちゃ分からねえ。俺のターン!」

 

 勢いよく5枚のカードを引いた。彼だけは諦めていない、真っ向から勝負を挑んでいる。焦りもせず、5枚のカードを眺めて戦略を立てる。

 ファニマとデュエルするとなれば、緊張か忖度かモンスターを裏守備で出してエンドする者も多いと言うのに。

 

「俺は手札の『ガガガマジシャン』を召喚! そしてガガガモンスターが居る時、こいつは手札から特殊召喚できる。来い、『ガガガキッド』! そしてキッドの効果発動、レベルをマジシャンと同じレベル4にする」

 

 レベル4が2体。ファニマの専門ではないが、戦ったことはある。同じ星のモンスターをフィールドに揃える召喚法、エクシーズ。

 しかもランク4には強力なモンスターも多い。

 

「お嬢様、これは……!」

「ええ、来るわね。融合ではない別の召喚法。彼はエクスと同じくエクシーズ召喚の使い手なのね」

 

 現れるは銀河のごとき召喚サークル。コートを纏った不良のようなモンスター、そしてそれに憧れたみたいな小さい子版みたいな男の子の二人が吸い込まれていった。

 

「俺はマジシャンとキッドでオーバーレイ! 現れろ、荒野の技巧者。その早撃ちで敵を撃ち抜け! エクシーズ召喚『ガガガガンマン』! 守備表示!」

 

 現れたるはボロボロのコートの下には、西部劇そのものの仮装をした男。両手をクロスさせて防御態勢になっている。

 だが、その眼光はファニマを鋭く睨んでいる。

 

「ガンマンは表示形式によって効果を変える。俺はエクシーズ素材を一つ取り除き、相手ライフに800ダメージを与える効果を発動だ!」

 

 影すら見えない早撃ちがファニマの身体を貫いた。く、と呻いて。しかし、不敵な笑みを浮かべる。

 

〇 ファニマライフ:8000ー800=7200

 

「そして魔法・罠カードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

場:『ガガガガンマン』 DEF:2400

魔法+罠:セット1枚

 

「よし! 相手にダメージを与えた上に守備力2400のモンスターだ! 上々の滑り出しだぜ!」

「これならあの悪役令嬢にも勝てるかも!」

 

「何を言ってるんですか! お嬢様をこのくらいで何とかできると思ったら大間違いです!」

 

 外野は外野で火花を散らす。だが、ファニマは委細構わず目の前の敵を睨みつける。これはただの試合……儀式でもなく殺し合いでもない。

 だが、負けたときに限って本気でなかったなどと言い出すことほど格好のつかないことはないだろう。

 

「凡庸な1ターンね。私のターン、ドロー! ……この1ターンで終わりかもね」

 

 ふ、と笑い――叩きつける様にカードを発動する。倒すのすら無駄な凡百ではないと認識した。ならば、こちらも本領たる融合を見せてやろう。

 

「私は手札から魔法『魔玩具補修』を発動、『融合』と『エッジインプ・チェーン』を手札に加える! そして『ファーニマル・ドッグ』を召喚、その効果でデッキから『ファーニマル・ウィング』を手札に加える!」

 

 怒涛の手札増強、これこそがファーニマル、そして融合の持ち味だ。そして、その真価は。

 

「手札から『融合』を発動、『チェーン』と『ウィング』で融合、『デストーイ・ハーケン・クラーケン』を融合召喚。墓地に送られた『チェーン』の効果で『デストーイ・ファクトリー』を手札に加えるわ」

 

 2対の大鎌、さらに足の一本一本にまで鎌を携えた蛸が現れる。そして、口らしきものの奥に怪しい眼が光った。

 

「『クラーケン』の効果発動! その小賢しい守備表示モンスター『ガガガガンマン』を墓地へ送ってやりなさい、【オクトプレッシャー】!」

 

 その口の中から発射された大量の水流が放たれた! クロスした両腕に力を籠めて『ガガガガンマン』が必死に耐えようとするが、破壊されてしまう。

 

「永続魔法『デストーイ・ファクトリー』を発動。このカードは墓地の『融合』を除外し、融合を行う。場の『クラーケン』と『ドッグ』で融合! 深淵に潜みし悪魔、今こそ小さき牙を贄とし現れ出でよ、『デストーイ・サーベル・タイガー』! そして、効果によって『デストーイ・ハーケン・クラーケン』を墓地より蘇生する。【リターン・フロム・リンボ】!」

 

 今まさに宙の大渦に吸い込まれていった悪魔の蛸が、渦より現れた虎の咆哮により地から目覚めさせられた。

 カッと眼を見開いて、二重の咆哮が鼓膜を揺らす。

 

「大型モンスターが2体……ッ!?」

「『クラーケン』は効果でモンスターを墓地送りにした場合、ダイレクトアタックが出来なくなる。けれど、その誓約は墓地に置いてきた! さらに『タイガー』の効果、デストーイの攻撃力を400アップする!」

 

 咆哮が更に大きくなる。戦意を挫く悪魔の鬨の声、凡百には決して見せない悪魔の姿。それは、これに対面すればプロに憧れるだけのデュエリストでは心が砕かれてしまうほどの威圧感。

 

「さあ、これでお終いよ。タイガーの攻撃、【サーベルダンス】!」

 

 だが、サレンダーしないのならば、その覚悟を見せろとファニマは己のシモベに攻撃を命ずる。虎の頭に生えた刃がオノマの腹を串刺しにした。

 

「ぐああ……っ!」

 

〇 オノマライフ:8000ー2800=5200

 

「『クラーケン』の連続攻撃! 【ハーケンダンス】2連打ァ!」

 

 これが通ればちょうど8000のダメージだ。鎌が振り下ろされる直前……

 

「まだだ! 俺はチアを助けるんだ! 罠カード発動、『ハーフアンブレイク』! あんたの『クラーケン』は戦闘で破壊されず、その戦闘ダメージは半分になる!」

 

 鎌に泡がまとわりついて切れ味を半減させる。だが、それでも2連撃はオノマに大きなダメージを与えた。

 大きく吹き飛んだオノマは頭から落ちて地に伏せた。

 

〇 オノマライフ:5200ー1300―1300=2600

 

「……へえ、その罠がなければこのターンで終わりだった。でも、『ガンマン』を戦闘で破壊しようとしていたら『ハーフアンブレイク』に防がれていたわね。加えて、それは元々自分のモンスターに使うカードよね。凡百よりは機転が効く、そこそこのタクティクスと認めてあげましょう」

 

 ファニマの笑みが濃くなる。次のターン、力を示してみろと挑発的な笑みを浮かべている。

 

「あの男にも見せなかった、『クラーケン』の隠されし効果を見せてあげる。戦闘を行ったバトルフェイズ終了時にこのカードは守備表示になるわ。……さあ、この二体を超えて私にダメージを与えることができるかしら? ターンエンド」

 

 悪魔の蛸は不気味に笑いながらもその触手を引っ込めた。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 オノマは立ち上がり、引いたカードを勢いよくディスクに叩きつける。そう、諦める訳にはいかないのだ。

 あらゆる力を尽くして彼女を倒して見せる。……仲間を助けるため!

 

「手札から魔法『オノマト連携』を発動、デッキから『ドドドバスター』と『ガガガシスター』を手札に加える!」

 

「そして『バスター』を手札から特殊召喚! このカードは相手フィールドにのみモンスターが居る時に特殊召喚でき、このカードのレベルは4になる。さらに『シスター』を通常召喚、効果でデッキから『ガガガリベンジ』を手札に加える」

 

 鎧を纏い、槌を持つドワーフ。そして幼く可愛らしい女の子が現れた。少女が鍵のような杖を振るうと1枚のカードが飛び出てくる。

 レベル2とレベル4、レベルが違うとエクシーズはできない。だが、彼がまだ諦めていないのだから更にモンスターが展開されるはずだとファニマは見守る。

 

「ガガガと名のつく『ガガガシスター』が居るから、『ズバババンチョーーGC』を手札から特殊召喚! こいつもまたガガガコートの名を持つガガガモンスターだ!」 

 

 鎧纏う番長が現れ、女の子を肩に乗せた。もう片方の肩はノコギリのような大剣を掲げている。

 

「そして手札から『ガガガリベンジ』を発動、墓地から『ガガガマンサー』を特殊召喚!」

 

 これで場には4体のモンスターが揃った。代わりに手札が0だが、彼の反撃はここからだ。

 

「『バンチョー』を選択して『シスター』の効果を発動、2体のレベルは合わせた数字になる。これでレベル6が二体揃ったぜ!」

 

 ふわふわのコートを纏った女の子を、刺付きの剣を持つバンチョーが肩車して二人そろってむふんと腕を組んで見せた。

 メイは「あ、かわいい」と頬をほころばせる。

 

「俺はこの2体でオーバーレイ! 人が希望を超え、夢を抱くとき、遥かなる彼方に、新たな未来が現れる! 限界を超え、その手につかめ! 『No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ』!」

 

「ビヨンドの効果発動、相手のモンスター全ての攻撃力を0にする! 喰らえ【ホープ・ブレッシング】!」

 

 剣が生えた円環を背後に背負う戦士。その円環が光り輝き、デストーイの闇を払い弱体化させる! 悪意で出来た人形は力を失いへなへなと崩れ落ちて動けない。

 

「けれど、私の『クラーケン』の守備力は3000! 『ビヨンド』では倒せない! 次のターン、そいつも墓地送りにしてあげるわ」

「俺の本気はこんなものじゃねえ! 『ドドドバスター』と『ガガガマンサー』でオーバーレイ、現れろ、武道の求道者。鍛え上げた刀で悪を討て! エクシーズ召喚、『ガガガザムライ』!」

 

 大渦をバラバラに切り裂きながら侍が現れる! これがオノマの全力全開、手札の全てを使いつくした反逆劇。

 

「この時、装備対象がいなくなったことで『ガガガリベンジ』は墓地に送られる。そして効果発動だ、全てのエクシーズモンスターの攻撃力を300上げるぜ! これでビヨンドの攻撃力がクラーケンを上回ったぜ」

 

 うまい。侍の方を先に召喚していれば発動のタイミングがずれて『ビヨンド』は攻撃力3000のままだった。

 

「けれど、『クラーケン』は守備表示。2200のダメージは大したことないわ」

「慌てんなよ。『ガガガザムライ』の効果発動、素材を1枚墓地に送ることでこのカードは2回攻撃できる」

 

「――2連続攻撃はアンタの専売特許じゃねえんだぜ。さらにエクシーズ素材として墓地に送られた『ガガガマンサー』の効果発動、ザムライの攻撃力をさらに500ポイントアップするぜ!」

「攻撃力2700の2回攻撃……!」

 

「まずはクラーケンからぶっ潰すぜ! ビヨンドの攻撃【ビヨンド・ザ・ホープ剣スラッシュ】!」

 

 円環に生えた剣が一つの大剣となり、蛸を叩き切った!

 

◆『No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ』 ATK:3300

 VS

◆『デストーイ・ハーケン・クラーケン』 DEF:3000

 

「さらに『ガガガザムライ』でサーベルタイガーを攻撃、【ガガガ剣・スラッシュ】!」

 

 ガガガザムライの一刀が立ち上がれないサーベルタイガーを切り裂いた。

 

◆『ガガガザムライ』 ATK:2700

 VS

◆『デストーイ・サーベル・タイガー』 ATK:0

 

〇 ファニマライフ:7200ー2700=4500

 

「連続攻撃だ! 【ガガガ剣・スラッシュ】、第二打!」

 

 そして、もう片方の刀でファニマを袈裟切りにする。爆発が起きた。

 

「ぐ……っ!」

 

〇 ファニマライフ:4500ー2700=1800

 

「すげえ、あのファニマ・ヴェルテに大ダメージを与えちまった!」

「このまま勝っちゃえ、オノマ!」

 

 外野二人が調子を増した。

 

「ファニマ様!」

 

 メイは焦っている。いくら儀式ではないとはいえ、これほどデュエルを重ねたうえにダメージも大きい。

 ここまでの連戦はプロでもしない。身体が心配になってくる。

 

「……メイ、心配ないわ。私は強いもの」

 

 黒い煙が晴れた後、ファニマは二本の足でしっかり立っている。その強い瞳でオノマを睨みつけた。

 

「ええ、少しは楽しめたわ。『ハーケン』が守備表示になっていなければ。そして『タイガー』に破壊耐性を与えていれば集中攻撃を受けて、私は敗れていた」

 

 手札にある『エッジインプ・サイズ』で融合素材にしてしまえばどうにでもなったのだが、そこは言わない。

 それを言うのは酷と言うものだろう。初めてこんなに楽しいのだ。

 

「だからこそ、私こそが最強なのだと教えてあげるわ! 私のターン、ドロー!」

 

 轟、と風が鳴った。

 

「私は手札から『融合』を発動、手札の『エッジインプ・サイズ』と『ファーニマル・ペンギン』で融合、現れなさい『デストーイ・クルーエル・ホエール』!」

 

「さらに手札から『魔玩具融合』を発動、墓地の『エッジインプ・チェーン』と『ファーニマル・ドッグ』を除外融合。今こそ真なる闇の(しるし)の元に降臨せよ! その名を冠し、我が前へ『デストーイ・デアデビル』!」

 

 瞬く間に、またもや2体の融合モンスターを揃えてしまった。あれだけ苦労して倒したのに、もう元の木阿弥だ。

 それどころか、オノマのライフは残り少ない。

 

「まずはそこの侍から消してあげましょう。ホエールで『ガガガザムライ』を攻撃! 【ホエールインパクト】!」

「……来い!」

 

◆『デストーイ・クルーエル・ホエール』 ATK:2600

 VS

◆『ガガガザムライ』 ATK:2200

 

〇 オノマライフ:2600ー400=2200

 

 クジラが侍を押しつぶし、その衝撃がオノマにまで届く。足を踏ん張って倒れるのを我慢する。

 

「これがあなたに引導を渡す一撃。ホエールの効果を発動、デビルの攻撃力を1500アップするわ【マックスホエール】。そして『デストーイ・デアデビル』で『ホープ』に攻撃【デビルズジャベリン】!」

 

 悪魔の持つ3つ股の矛が巨大化する。デアデビルは大きく振りかぶってそれを投げた。

 ビヨンドは防御しようと剣を構えたが、それすら叩き折られ串刺しになりオノマの隣へ刺さった。衝撃波がオノマを蹂躙する。

 

◆『デストーイ・デアデビル』 ATK:4500

 VS

◆『No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ』 ATK:3300

 

〇 オノマライフ:2200ー1200=1000

 

「だが、俺のライフはまだ残ってるぜ! 手札が1枚もなくても、次のドローに賭ける! デュエリストは決して諦めない!」

 

 転がり、倒れてもなお膝をついて立ち上がろうとする。まだ眼には輝きが残っている。次のターンがあればもしや、とファニマにすら思わせた。だが……

 

「そう、そうね。デュエリストとはそういうものだったわね。ならば、止めをくれてあげてましょう」

「……何!?」

 

 オノマの横に刺さる矛が不気味に胎動する。

 

「『デストーイ・デアデビル』が相手モンスターを破壊した時、1000のダメージを相手に与える。【ブロークンジャベリン】」

「そんな……! ぐああああっ!」

 

 矛が爆発し、オノマを吹き飛ばした。今度こそ、立ち上がれはしない。

 

〇 オノマライフ:1000ー1000=0

 

「……」

 

 ファニマが倒れ伏したオノマに近寄って。

 

「すいませんでしたァァ!」

「ごめんなさい、もうしませんンンン!」

 

 仲間がオノマを背負って逃げ出してしまった。

 

「……」

 

 ファニマがため息を吐く。別に止めを刺そうなんてつもりはなかった。それどころか、手を貸してやろうと思ったのだが。

 

「あの、お嬢様。どうします?」

「愚か者が森に入ってしまったのでしょう? まだ間に合うのなら、助けなくてはね」

 

 森に足を向けた。

 

 

 




 ちなみにライフ8000ピッタリのダメージは作者も驚きました。デュエル内容については実際そこまで凝っているつもりはないのですが、構成を練っていると時間が秒ですぎますね。

 また、マスターデュエルでNRフェスが始まりました。案外ファーニマルでも勝てるものですね。ペンギンランク4みたいなデッキになりましたが。
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