月の姫君が異世界から来るそうですよ?   作:二色蝶

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申し訳ありません。
最初に投稿した第6話『月VS太陽』なんですが、あまりにも赫映がギフトを使わなさ過ぎたので、7話が書きにくくなり、新たに第6話を書き直しをさせてもらいました。
此方の不手際で、この様な事を……本当にすいませんでした…



月VS太陽 前編

水平線上に浮かぶ太陽と月。

互いの格が激しくぶつかり合う中、白夜叉は双女神の紋が入ったカードを取り出し、輝く羊皮紙を取り出す。

 

 

 

 

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ギフトゲーム名 【星々の闘い】

 

 

 ・プレイヤー一覧

 葉月 赫映

 

 

 ・クリア条件

 ホストマスターの打倒

 

 

 ・クリア方法

 ホストマスターを倒すかホストマスターに降参と言わせる

 

 

 

 ・敗北条件

 降参もしくはプレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

 

 宣誓

 上記を尊重し、誇りと旗印とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します

 

 

                              【サウザンドアイズ】印

 

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「ルールはこんな感じでよいか?」

「そうね…別に死闘をするわけでもないし、これでいいわよ」

「うむ。 ならば…そろそろ始めるとするかの」

 

そう言うと、赫映と白夜叉は臨戦態勢をとる。

先程までとは比べ物にならない程の格がぶつかり合い、死闘をするわけではないと言いながらも、大地が悲鳴をあげる程の殺意を互いに向ける。

 

「初のギフトゲームじゃし、先手は譲るぞ」

「あら気前がいいのね。なら…遠慮なく先手をいただくわ」

 

赫映の右手の周りの空間が少し歪み始め、少し立つとその手には死神が愛用する、黒く不気味な大鎌があった。

月の姫君が大鎌…黒ウサギ達は意外そうに見つめるが、白夜叉だけがその大鎌に宿る力を感じ驚愕する。

 

「…なぜ。七大天使が1人〝熾天使サリエル〟の力を!?」

「なぜって…そんなの決まっているでしょ?」

 

一瞬にして、白夜叉の視界から消える。

それに驚きはするが何かを察知した白夜叉は、扇子に太陽のプロミネンスに匹敵する程の炎を纏わせ剣を作り、後ろから振り下ろされる攻撃を防いだ。

 

「私のギフト…〝月の全権支配者〟の力で、あの馬鹿男(サリエル)の力が使えるのよ」

「なん…じゃと……!?」

 

ガチガチと鍔迫り合いながら、赫映は自身のギフト名を白夜叉に告げた。

赫映のいった『月の全権支配者』とは、月に関わる全ての者が持つ『繋がり』『ギフト』『人権』を自身の思い通りに出来る、月の姫である赫映が持つに相応しい最高位のギフト。

その気になれば、白夜叉と相性の悪い力すら行使できるのだが…赫映はそんな事はしない。

一体それは何故か?

理由としてはとても簡単―――楽しみたいから。

 

「いいわぁ……2487年と240日14時間39分51秒ぶりに生命体と出会い、3549年と25日2時間8分44秒ぶりに強者と出会えた……なんて素敵なのかしら!!」

「2487年と240日14時間39分51秒ぶりに生命体と出会いだと? おんし、それは一体―――」

「そんな事など今はどうでもいいではないか!! さぁもっと私を楽しませなさいな!!」

 

そう言ってものすごい速度で白夜叉に近づき、なぎ払うように切りかかる。

白夜叉は赫映がなぎ払った大鎌に、炎の剣を使い直撃を避ける事に成功したが…予想以上に攻撃が重い。

このままでは防御が崩れ、あの刃の餌食になってしまう。そう考えた白夜叉は、赫映を蹴り飛ばし距離をとる。

 

「ッ!!!!」

「さて…お返しだの」

 

本気で放たれた蹴りだったせいか、赫映の表情が歪み、僅かな隙を作った。

その隙を見逃すことなく、一気に近づいては炎を纏わせた剣で赫映の大鎌を切り裂いた。

赫映はそれを見ても眉1つ動かさず、空を軽く蹴り、白夜叉から離れる。

 

「へぇ…星霊の力で本物よりも性能が上がっているサリエルの大鎌を切り裂くなんて……流石は私と同じ星霊の格を持つ太陽さんね」

「ふふふ。今度はかぐや…おんしを切断してやろう」

「………へぇ」

 

白夜叉の素敵な挑発に笑みを見せながら、赫映は先ほどよりも強度・切れ味を上げた大鎌を再び作り出す。

互いに数秒ほど見つめ合い……そして同時に動き出した。

赫映が大鎌を右からなぎ払うと白夜叉はそれを剣で受け流し、返しで切り上げる。だが、赫映はそれを上体を少し逸らす事で回避。

そのまま勢いを利用し左手を地面につけてバク転。さらに大鎌から長刀に〝形だけ〟を変えて、バク転の勢いを利用して斬りつける。だが、白夜叉は後ろに飛ぶ事でそれを回避した。

次に赫映は長刀の形から6本の投擲用の黒鍵に変え、それを白夜叉に向けて投げた。白夜叉はそれを横に軽く飛ぶことにより回避するが、投げた瞬間に移動していた赫映は白夜叉のそばに現れ、蹴りを放つ。

白夜叉は飛んできた6本の黒鍵を飛ぶことで回避していたため後ろに飛ぶなどの動作で蹴りの威力を軽減できないと悟った瞬間、腕を交差させた。

赫映の蹴りはその交差された腕に当たるも、白夜叉を数百mほどふっとばし、白夜叉が地面に当たるとその場に小さなクレーターを作った。

 

「どうしたの? 私を切断するんじゃなかったのかしら?」

「……まさか、サリエルの大鎌を長刀や黒鍵に変えるとは、意想外なことをするものよ」

「馬鹿ねぇ。言ったでしょ?私はあの馬鹿男の〝力〟が使えるって……馬鹿男が持つ大鎌を使えるなんて一言もいってないわよ?」

「……なるほど。 コレは酷い思い違いをしたものだ」

「全くその通りよね。 まぁコレで〝月の全権支配者〟の力の〝一部〟は理解したでしょうし……そろそろ本番と行きましょ」

 

そう言って赫映は、なんとも不気味な笑みを見せる。

残された〝月の全権支配者〟の力を完全に解放すると、赫映の真横に巨大な魔法陣が現れ、そこから一匹の巨大な狼が出てきた。

 

『オオオオォォォォォォオオオオオオンッ!!』

 

綺麗な灰色の毛並みをした狼。

その遠吠えは、広大な面積を誇る白夜叉のゲーム盤の遠くまで轟く。

 

「天と空に血を塗る者……スコル。北欧神話に登場する〝天空で太陽を追う狼〟といえば分かるわよね?」

 

赫映は巨大な狼を優しく撫でながらそう言うと、全員が驚愕した。

特に、白夜叉、黒ウサギ、十六夜の三名は特に驚いている。

 

「フェンリルじゃと!?」

「あり得ません! 姫様が太陽殺しの魔狼と呼ばれる星獣クラスの神獣を従えるなんて!!」

「ヤハハ…規格外とは分かってたが、想像以上すぎるぞ」

 

黒ウサギと白夜叉の驚きは並大抵のモノではない。

魔狼フェンリルと鉄の森の女巨人との間に、『天空で太陽を追う狼スコル』と『月を追う狼ハティ』の2匹の魔狼が生まれた。

どちらも、天空に浮かぶ者を捕食し、天と空に血を塗ると言う意味では同じ存在なのだが…その程度の関係性では『天空で太陽を追う狼スコル』を〝月の全権支配者〟の効果で召喚することはできない。

では、なぜ赫映は『天空で太陽を追う狼スコル』を召喚できたのか……その謎の答えは太陽付近に光の斑点が現れる現象〝幻日(げんじつ)〟だ。

この気象現象は北欧では一般的にみられ、民俗的な呼称は『太陽狼』あり、アイスランドの農民はこの現象を『太陽が狼の挟みつけに遭う』つまり…『両側から狼に襲われる』と表現をしている。

太陽狼は1匹しかないのに、両側から…と言うことは『天空で太陽を追う狼スコル』と『月を追う狼ハティ』は同一視(・・・)されている。

実際のところ、同一視されているのか不明だが、何十万人の人々がそう〝表現〟しているのならば、赫映の〝月の全権支配者〟の効果は有効となる。

月と太陽を喰らう者…マーナガルムとスコルの力を持った魔狼相手に、『太陽』と弱体化の為に『神格』を宿している状態の白夜叉では、下手をしたら殺される。

これ程までに巨大な力を持つ魔狼は、それと同等かそれ以上に誇り高い。それを〝飼いならす〟など、全盛期の白夜叉でも不可能なことだ。

 

「(なんて事だ…異世界の月の姫は化物か!? 死んだ〝かぐや姫〟は、1人で閉鎖世界(ディストピア)退廃の風(エンド・エンプティネス)と対峙し、封印出来る程の実力者であったが……異世界の〝赫映姫〟は、箱庭の〝かぐや姫〟の数千倍の実力を持っておるだと!? しかも……これでもまだ手加減を……)」

 

目の前で対峙している存在が、とてつもなく恐ろしい存在に見える。

例え…足枷である『神格』を返上し、全力全開で挑もうとも、半分の力も出させる事もできず、白夜叉は敗北する。

本来はこの時点で敗北を認め、ゲームを終了するべきだろう。

 

だが―――

 

「私は、この東区画の階層支配者! たかが〝犬っころ〟1匹に、恐れる私ではない!!!!」

 

箱庭のかぐや姫が殺されたあの日から、どんな事があっても立ち向かうと誓った白夜叉は、天敵と呼べる存在を前にしても逃げない。

瞳に覚悟と言う名の炎を灯し、今だせる力をありったけ解放。

すると、白夜叉の頭部に立派な角が2本生え、周りには14個の小型太陽が出現。

夜叉としての力と太陽としての力をフルで使う白夜叉を見て、赫映は嬉々とした視線を向ける。

 

「(嗚呼…強者のみが発す事が出来る、この威圧(プレッシャー)。 何て素晴らしいのかしら……)」

「んっ?なにやら嬉しそうな顔しておるが…どうかしたのか?」

「ふふふ。アナタが発する威圧(プレッシャー)が、とても素晴らしくて、嬉しくなっちゃったのよ」

「そうか…なら、そんな余裕が無くなるほどに滾らせてやろうぞ!!!」

 

そう言って白夜叉は、夜叉としての身体能力をフルに使い、神速と呼ばれる速度で赫映に近寄り、最高の一撃をお見舞いしようとするのが…

 

『オオオオォォォォォォオオオオオオンッ!!』

「!!!!!!!!!!!!」

 

赫映の傍に居たフェンリルによって、攻撃を阻まれてしまった。

 

「くっ! 流石は天と空を血に染めし者……神速で移動しても、それについていける程の足は持っておると言う訳か!」

「四速歩行動物は、二足歩行の人型と違って、全身のバネを使って動くから、切り替えし(ターン)は二足歩行の比じゃないのよ……しかも、それをしているのは魔狼……神速程度、出来て当たり前よね」

『ウォォォォオオオオオンッ!!』

 

遠吠えを上げ、白夜叉を丸呑みにしようと襲い掛かる魔狼。

当然、白夜叉は襲い掛かる攻撃を避け、14個の太陽を剣の形に変えて反撃するのだが……圧倒的な切り替えし(ターン)のスピードに、カスリもしない。

何とも厄介な相手だと内心舌打ちし、魔狼をどうやって対処していくか思考を加速させていくのだが…

 

 

それ故に、致命的なミスを犯してしまった。

 

 

自身の天敵である魔狼の対処を考えるのは別にいい。

だが、このギフトゲームは〝誰と〟のギフトゲームだったのか……その対戦相手は今、どうしているのか……

それを忘れてしまっている白夜叉の右肩に、死を齎す銀の矢が刺さった―――




【作者のリアル事情-その①】

明日07月28日から8月9日まで、仕事の関係上で朝8時から夜11時(時間外)まで仕事をすることになりまして……
お盆が終わるまで死体状態になっている可能性が大なため、8月下旬か9月上旬まで7話は待って下さい。
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