吹き荒れる砂塵
元は人が住んでいたと思われる大小様々な人工物が残っている砂漠
辺り一帯は命が枯れたかのように閑散としており、緑はなく、人気はなく、
その中に一人の男だけが、◼️◼️を求め、歩き続けていた
その足どりは重く、今にも崩れ落ちてしまうのかと思える程弱々しく
身なりは服と思えるものを纏ってはいるものの幾度の戦場からか擦りきれ、何度も縫い直したかのような後がある
何もない砂漠を男は歩き続ける
自分の目指したものに疑問を思いながらも
その人生は悔いのなかったものだったのかを
大地を踏みしめる度に自問自答を繰り返す
だが答えはでない
代わりにそれを否定するかのように砂嵐が男を包む
砂は男の視界を曇らせ、惑わせる
嵐は男の進行を阻むかのように吹き荒れる、
それでも彼は足を止めない
頼りないが一歩、また一歩と確実に前に進む
果てしない道を、正解などとうに失ったであろう
蜃気楼のようなゴールを目指して歩き続ける
(・・・・)
最初はそれでも前を向き歩いていた
だが今ではとても前などみれない
あのときの憧れは、今ではそのあり方に疑念を感じていた
だが自分にはこれしかない、強迫観念にも似たような感情で歩み続ける
だがそれは憧れ、そのような、あの人のような正義の味方になりたかった、、、
故に自身から零れ落ちた感情などない、
始めから救う手段を持たず、
救うべき相手もわからず
何をするべきかもわからず
ただそれになるために走り続けた
その結末がこの何もない荒野
それはある種の必然の結末だったのかもしれない
故に男は何も手にすることはない、
全てを犠牲にしても、
自身すらなげうっても、
その手には何もなかった
それでも男は歩き続ける
これ以上の結果などないと知りながらも
乾燥しひび割れた大地を越え
灼熱の生命が絶えた砂漠を越え
緑が枯れ、堕ちた枯れ葉は大地に還元されることはなく
極寒の冬、全てが消滅したかのような白紙の真っ白な雪原にたどり着いた
男は立ち止まる
その顔には雪原と同じに見えるほど色がなかった
燃えるような赤髪は今では見る影もなく
燃え尽きた灰のような白髪になっていた
凍傷になった四肢は白というよりも青く、壊死していた
男は膝をつき、雪原を見渡す
「ハ、ハハハ」
思わず笑いが零れる
皮肉にもこの雪原と、自分という人間の最後にピッタリだと思ったからだ
結局何も手にすることなどなかった
間違っていたのか?
今でも鮮明に思いだせるムカつく顔を思いだす
もう意識もハッキリせず霞む視界のなかその男は幻影のように彼の前に現れた
それは夢のようなもの
だが夢であっても、、、
その赤い外套の男は蔑むように、そして悲しそうに彼から見ても情けない顔をしていた
夢であってもこの男が何を言いたいのかはわかった
「だから言っただろう、、」と
それは影法師、死ぬ間際の走馬灯のようなもの
幻覚のような者の言葉にもならない幻聴であっても
それだけで十分だった
「うるせぇ、」
死んだ腕に足に、力を籠める
腕で大地を支え、足で蹴りあげる
その行為に意味などない、これ以上の先伸ばしに意味はない
男には何もない、
それでも
未だその生涯は果てず
何もない雪原を歩き続ける