それはそれとして春樹のIFの物語を書いてみるのも面白そうだな、とは考えてます。
司たちと一緒にショーをする。そういうことを考えた事が無いわけじゃない。
だけど、
「いやぁ、俺は辞退するよ、悪いな司」
「なっ……!」
「へぇ?」
ホントごめん。けどこれだけは。
「何故だ!?類という演出家と推薦したいというメンバーも含めて四人だ!これで最高のショーができる!ショーならお前の
うーんそこまで熱心に誘われると照れるなぁ。
「別にショーが嫌いなわけでも、司たちと一緒にショーをやりたくないわけでもないよ。ただ、俺の方針とは違うだけさ」
「方針? どういう意味だい? それは」
類が尋ねてくる。
「方針なんてカッコイイ言葉を使ったけどぶっちゃけただの我儘だ。俺は同じステージに立つ『仲間』じゃなく、一人の『ファン』として天馬司を応援したい」
彼らの仲間として共にステージに立つ事ができたらどれだけ楽しい事だろう。だけどあの日、司に救われたあの日から俺の天馬司に対する『在り方』は確定した。
俺は、司がどんな過程を通りどこに辿り着くのかを見届けたい。
「だから……まあなんだ、悩みがあったら相談くらいは乗るしもしも文化祭の出し物がショーになったらちゃんと参加もするさ」
「……はぁ、お前は昔から一度決めると頑固だからな。今回はオレが折れよう。ただし! 今の言葉忘れんからな! 文化祭で扱き使ってやるから覚悟しておけ!」
いや文化祭の話はたとえ話のつもりだったんだけど……まあいいや。
「ふむ、どうやら話は終わったみたいだけど司くんこれからどうするんだい?」
「ああ、まずフェニランに行き類達のことを紹介しようと思う。だから推薦したいというメンバーを連れて一緒に来てくれ」
「わかったよ。……春樹くんはこれからどうするんだい?」
「俺? 俺はもう少ししたら帰るよ。ああそうだ、ショーの日付が決まったら教えてくれ。ビデオカメラとオペラグラス持って観に行くから」
そして撮影した映像を投稿する。タイトルはそうだな『天馬司 スターへの道』。……良きかな良きかな。まずは全国に、その後に世界にこの未来のスターを広めよう。楽しくなってきたぜぇ。
「クックック。クハハハハハ」
「ど、どうしたいきなり笑いだして。物凄く不気味だぞ」
おっと思わず表に出てしまった、反省反省。
「チケットのノルマとかってあるのか? あるならすべて買おう。何枚かね?」
「ない、ないから財布を取り出そうとするな。その手に持っているお金を今すぐしまえ!」
なぁいぃ? 本当はあるんだろう? 俺のバイト代の二割は趣味に使う、つまりこの時のために!
「フフフ、君たちはいつもこんな感じなのかい? やはり僕以上に変わった人たちだねぇ」
「「それはない」」
◇
「春樹くん、本当に良かったのかい?」
「ん……何が?」
司たちと別れた後、俺はセカイの狭間に来たのだが唐突にカイトから質問された。
「司くん達の事だよ。せっかくショーのメンバーに誘われたのに断ってよかったのかい?」
「そうだよ、ショーなんてとっても楽しそうじゃん!もったいないなぁ」
………。
「ああ、その事か。気にしないでくれ、司にも話したが俺は『ファン』として彼らを支える事に全力を尽くしたいんだ。それが俺自身に定めた『在り方』だから」
酷く自分勝手で我儘な理由だとはわかっている。だけど一度決めたことを『人に言われたから』変えるなんてことはあってはならない。そんな簡単に変えていいモノなら『在り方』なんて仰々しい言い方はしない。それだけ大事なことなんだ。
司が『天馬司』であるために。
類が『神代類』であるために。
俺が『朝比奈春樹』であるために。
誰しもが持つソレは軽々しく曲げていいモノじゃない。
「そっか、君はそれ程の覚悟で彼らと接しているんだね。なら僕からはもう何も言えないなぁ」
「……余計な気を使わせて悪いなカイト」
それにしても本当によく見ている。少し話しただけで理解する察しの良さ。こやつ、やりおるわ。
「ええ~! でもオレならやっぱり一緒にショーをしたいな。ねえ、カイトもそう思うでしょ!」
………。
「そういえばカイト、ミクはいないのか? さっきから見当たらないけど」
「え? あ、ああうん。ミクは少し離れたところでまふゆちゃんを見守っているよ。君の頼み通りね」
そうか、なら差し入れは後で持っていこう。今日は美味しいたい焼きを持ってきたのだ。
「まふゆと言えば朝に春樹がまふゆに言ってた言葉カッコ良かったよね!」
「あ、コラ! それは──」
………無視するのもそろそろ限界だな。
俺は少ししゃがみ、
「やあボウヤ、お母さんかお父さんは一緒じゃないのかな? ここは君のような子供が来る場所じゃないよ」
「ボウヤ!? オレはボウヤじゃなくて鏡音レンだよ!」
「お、やっとか。はいお兄さんは君が自己紹介してくれるまで六分も待ちました」
セカイの狭間に来たときからカイトの隣にいたブロンドヘアの少年。彼が誰なのかはすぐに察したが、なぜか親しげに話に入って来るものだから無視していた。
……まさかこうも立て続けにバーチャル・シンガーが増えるとは。何なの? ログインボーナスかなにかなの君たち。明日にはもう一人追加されちゃうの?
「……レアリティはコモン、☆1ってところだな」
間違いない。ログインしただけで手に入る配布キャラは大体最低レアリティなのだ(偏見)
「コモン? なんの話だい?」
「うんにゃ、何でもない」
まさか「お前たちのレア度だよ!」などと言える筈もない。適当に誤魔化すのが吉。
「それではレン少年、改めて自己紹介を。俺は朝比奈春樹、朝比奈春樹の朝比奈に朝比奈春樹の春樹で朝比奈春樹だ。よろしくぅ!」
なんかカッコ良く自己紹介しようとしたけど、無理だった。勢いで誤魔化しちゃえ。
「よろしく春樹! キミの事はミクとカイトから聞いてたよ。それに朝はすごか──」
レンが言いきる前に頭を鷲掴みにする。
「いいかレン少年。君は何も見ていないし聞いていない。そうだね?」
「…え?」
手に力を込めていく。YES以外の答えはいらない。
「リピートアフターミー。『オレは何も知らない』はい」
「い、いたい痛いイタイ!し、知らない知らない何も知らない!」
よろしい、物分かりのいい子でとても助かる。
「ハッハッハ、冗談だよ仲良くしようじゃないか少年!」
「ミ、ミクの言ってた通りだった、目が笑ってない…!」
そんな訳なかろう、笑っているのに目だけ笑っていないなんてまふゆじゃあるまいし。俺はそこまで器用じゃない、アッハッハ。
「あ! 春樹来てたんだねいらっしゃい」
「いらっしゃいました春樹です。おつかれミク、ずっとまふゆを見守っててくれてたんだろ?」
ミクも来た事だし皆に差し入れを渡す。しまった三つしか買ってない……仕方がない俺は我慢しよう。楽しみにしてた俺のたい焼き……。
「わ! これたい焼きだよね! 春樹ありがとう!」
「いいんだよレン少年、子供は我慢なんてしちゃいけないんだ、遠慮せずお食べなさい」
ミクもレンもとても美味しそうに食べている、カイトですら頬を綻ばせて。
……ふと考える事がある。もしも俺がセカイの狭間に来る事なく、ミクたちにも会わずそして司たちと同じユニットでショーをする。そんな
自然と口角が上がる。
この景色を見れただけ、良かったのかもしれない。
……俺の頬を伝う雫に関しては考えないものとする。俺のたい焼きが……。ぐすん。
オリ主のプロセカキャラへの印象
【25時、ナイトコードで。編】
朝比奈まふゆ:双子の妹。『誰もいないセカイ』を生み出した『想いの持ち主』。妹の現状には自分にも非があると感じている。まふゆを救うことができないなら『救える人間が現れるまで時間を稼ぐ』ことこそ自分の役目だと認識し、そのために文字通り『命を賭けた』。生殺与奪の権を(以下略)
宵崎奏:知らない。本当は望月穂波の記憶で知っているはずだが『話したことのない人のバイト先の人間』を憶えていろというのが無理な話である。それはそれとして個性的な人なので会えば10分ほどで思い出せるだろう。『ニーゴ』の作曲担当『K』である事はまだ知らない。
東雲絵名:知らない。本当は桃井愛莉・東雲彰人の記憶で知っているはずだが上記と同じ理由で覚えていない。そしてこれもまた同じ理由で思い出せるだろう。『ニーゴ』のイラスト担当『えななん』だという事はまだ知らない。
暁山瑞希:噂は聞いたことがある。司や類とは別の方向性で有名人。白石杏の記憶から『普通にいい子』という印象。『ニーゴ』の動画制作担当『Amia』だという事はまだ知らない。
春樹「まふゆ……昔は俺の後ろをトコトコついて来てたのに。子供の成長ははやいなぁ」