とりあえず今月号をあと5回ほど読み返してきます。
単行本も買わなくちゃ……。
昨日は大変だった……。俺は何もしていないのにドッと疲れたのは何故だろうか。
セカイの狭間から『その後』を見ていたレン(ミクとカイトは他のセカイを見ていたらしい)によると、まあ一言で表すとケンカをしたそうだ。そして類は司とはショーをしない宣言をした……と。やっぱり残っているべきだったのだろうか。いや、俺がいたところで類の考えは変わらないかもしれない。
けれどこの事に関してあまり心配はしていない。レンは心配していたが俺は『天馬司』がどういう男か知っているから。
パンッと自分の頬を叩く。切り替えよう。今日は冬弥くんたちのイベントがある日だ。
こはね嬢にとって初のライブイベント。正直昨日の二番煎じになりそうで不安だがそこは杏嬢がなんとかするだろう。
もう問題さえ起きなければ何でもいい…。
後は冬弥くんたちのボーカルユニット……何て名前だったっけ。『犬が嫌い』とかそんな感じの名前だった気がするが、まあそのうち思い出すだろう。
荷物を持って部屋を出る。今から向かえばちょうどいい時間につくかな。
「どこかいくの?」
「……やあまふゆ。日曜なのに勉強してたのか?友達と遊んでくればいいのに」
気配を消して現れるのは止めてほしい。心臓が一瞬止まったぞ……。
「俺はちょっと後輩に会いに行ってくるよ。……まふゆも来るか?」
「……いい。知らない人ばかりだろうし」
いや俺だって直接話したことがあるのは一人だけだけどさ、それを言っても始まらないし?
「なら今度どこか一緒に出掛けよう。行きたい場所考えとけよ水族館とか水族館とか……あと水族館とか」
「水族館に行きたいの?」
違うんだ、他に何も浮かばなかっただけなんだ……あ!動物園はどうだ!?
「……わかった。考えておく」
「……うん、まふゆがどこを選ぶのか楽しみにしてるよ」
最後に頭を撫でる。う~んちょうどいい高さ。
「じゃあ行ってくる。土産話には期待しててくれ」
◇
今回のイベント会場は神山通りにある。だからそろそろ着くハズ……あ、いた。
「やあやあ冬弥くんこんにちは。昨日ぶりだね」
「朝比奈先輩来てくださったんですね。それで司先輩は……」
「あー司は昨日の一件でゴタゴタしてて今日は来れそうにないな」
「……そうですか。残念です」
う~ん冬弥くんに犬の耳が生えているように見えてきた。幻覚かな。
「ところで……」
冬弥くんの後ろを見る。正確には後ろに立っている人物を、だが。
「こうして話をするのは初めてだね。二年の朝比奈春樹です。よろしく東雲くん」
「いえ、こちらこそいつも冬弥がお世話になってます。一年の東雲彰人です。よろしくお願いします朝比奈センパイ」
東雲彰人。『ストリートのセカイ』を生み出した4人の内の一人。冬弥くんとコンビを組んで……思い出した!『BAD DOGS』だ!そうだそうだ、あー思い出したらスッキリした。
「まるで小骨が取れたかのような爽快感……」
「……え?何がですか?センパイ」
おっと口に出てしまった、反省反省。
「いや何でもないよ。……ああそれと、どうか素で話してくれると俺も助かるな。明らかに猫かぶってるのバレバレだから」
「……へぇ」
……あ、あれ?どうしてそんな怖い顔をするんだ?俺はただ気軽に素で話をしたいだけなのに。
「朝比奈先輩、彰人は初対面の相手にはいつもこうなんです」
むむむ。いやまあ、人は多かれ少なかれ偽りの仮面を持ってるものだけどさ。
「よしわかった。けど本当に素で話してもらっていいよ。正直違和感がスゴイ」
「……はあ、センパイがいいならそうしますけどね」
ん~まだ少し違和感があるが……なんだ?遠慮でもしてるのか?
「……彰人。白石たちも揃ったみたいだ」
「ああわかった。ではセンパイ、イベント楽しんでいってください」
「ん……ああ期待してるよ。頑張って」
やっぱり遠慮してるのか?もっと気楽にいこうぜ少年。
◇
冬弥くんたちと別れライブハウスに入った俺なのだが……。
「人が、多すぎる……」
なんやねんコレ。いくら何でも多すぎ……痛ッ!おうコラ今肘ぶつかったんですけど。肋骨折れたんですけどぉ!……顔は憶えたからな、夜道に気を付けろ。
それにしても観客たちの熱気が凄い。どうしてそこまで熱中できるのか。
『次は
謙さん?とやらが誰かは知らんが……
「おい!来たぞ、謙さんの娘!!」
「私、聞くの初めてなんだよね!楽しみ!」
おおう、会場がざわつき始めた。そんなに凄いのか謙さんとやら。……ああ、そういえば杏嬢の父親がそんな名前だったな。となると例の『イベント』の……それならざわつくのも納得だ。
「誰も白石杏という人間を見てない証拠でもあるな」
けれど本人はまったく気にしてない。それどころか嬉しそうに見える。それは生来の性格なのか純粋に父親を褒められて嬉しいのか。
誰も自分を見てくれないという状況に対して『私たちから目を離せなくしてやる』という自信を感じる。そこはまふゆ
そうして彼女たち
『ウオオオオオオオオオオ!!』
ビクッ。
うお、びっくりした。急に叫ばないでくださいます?皆さん。心臓が止まったら慰謝料請求しますよ?
でもまあ郷に入っては郷に従え、だ。俺もこのノリに乗ってみるのも一興かもしれない。
『ウオオオオオオオオオオ!!』
「ウオオオオオオオオオオ!!」
やばい!これ明日は喉ガラガラ確定だ!
『ーーー♪ーーーー♪』
彼女達もしっかり歌えている。この調子なら心配はいらなそうだ。やはり俺は自分の喉を心配しよう。
『ーーー♪ーー♪………』
「……え?」
え?
『曲が止まった?』『おい、どうなってんだ!機材トラブルか!?』
いやなんで!?なんでいつもトラブルが起こるの!?何事もなければそれでいいって言ったじゃん!ええい誰の仕業か知らんが見つけたらミンチにしてやる。
本当にただの機材トラブルなら仕方がないが……あ。
「あ、やべ……」
……オマエカ。
機材からケーブルを抜いたと思われるモブAがいた。誰だお前は!見た事ない顔しやがってこのモブ野郎が!
「小僧、お前がやったのか。答えろこのモブがぁ!」
「は、はぁ!?いや俺じゃねぇよ!」
噓をつくなこのモブめ!現在進行形でケーブルを握っているだろうが!……二度と野菜ジュースを飲めない体にしてやる。
「とりあえず来い。話は署で聞く」
「署!?アンタどう見ても高校生だろ!?」
うるせぇ!口ごたえしてんじゃねぇぞモブ!
「おい!どういう事だコレは!」
「朝比奈先輩、なにがあったんですか!」
ああん!?次は誰だ!……ああ、なんだ君達か。
「冬弥くん、東雲少年。君達も来い。外でコイツを尋問する」
「……尋問?」
「まさかさっきの……お前がやったのか」
「それは……」
……おい、誰がここで話せといった?
「もう一度言う、付いて来い。俺は今気が立っている。話は外に出てからだ」
◇
まったく、どいつもこいつも俺の胃に穴を開けようとしやがって。何の恨みがあるというのだ。
ライブハウスを出た俺たちは現在このモブAを取り囲むようにして立っている。
「まずは名前を聞こうか……いや、いい。君の名前はモブAだ。今日からそう名乗るといい」
「え?いや俺の名前は三田「なにかなモブA君」……イエナンデモ」
よ~し尋問だ尋問だわーいわーい。地獄を見せてやる。
「今から君に質問をしていく。嘘を吐いているとわかり次第キツイお仕置きがお前を襲うだろう。では、クエスチョン
「なんだこのノリ……」
「彰人、静かに」
なにから聞こうかな。……よし。
「あなたは自分の意志で犯行に及びましたか?」
「……YESだ」
ほう素直だな。つまり誰かに唆されたわけではない、と。では次いってみよう。
「クエスチョン
「……前者だ」
はいダウト。
「冬弥くん、東雲少年。彼を拘束してくれ。お仕置きを執行する」
「なっ!俺は嘘なんか吐いてない!」
いやいや君嘘が下手すぎるよ。目が泳ぎまくってたよ。本当に誤魔化す気あったの?
クックック、最強最悪の尋問を見せてやろう。そう『くすぐり』という名の尋問を。あの自来也先生も使っていた方法だ間違いない。
「おい!どういううつもりだ!!」
……え?俺?今の俺に言ったの?
「……どうもこうもねえよ。お前らも、あいつらが気に入らなかったんだろ!?」
ねえ今から尋問を……待て、お前たちも噛んでるのか?お仕置き対象が増えちまった。
「お前のくだらねえ嫉妬と一緒にするんじゃねえ!イベントが台無しになっただろうが!」
「ふたりとも、落ち着け……!」
「そうそう落ち着こうぜ東雲少年。素が出てるじゃないかその調子で俺にも接してくれよ」
「今その話関係ないだろ!?」
いやだって猫かぶっている君は違和感が凄くて背中が痒くなるんだよ。
「彰人が言ってたんじゃねえか、あいつらを潰すって!だから音止めて、お前らを手伝ってやったんだよ!」
はいギルティ!東雲少年ギルティ!君には『人参たっぷり野菜炒めの刑』を処す。
いやぁ少年たちよそんな事する暇があったら己を磨きなさいよ……。
「音を止めたって……どういうこと?」
……あ。この子たちの事忘れてた。
次回『喧嘩するほど仲がいい理由を説明せよ』