司と別れた俺は予定通り天馬邸へと辿り着いた。辿り着いてしまった。途中で野菜ジュースとスポーツドリンクを買いに寄り道したけど。
「くっ鎮まれっ。たかがインターホンを鳴らすだけなのに、なぜこんなに緊張しているんだっ!」
腕がっ!腕が震えて狙いが定まらないっ!このままでは突き指をしてしまう。
「う、うおおおおっ!!」
――― ピンポーン
お、押してしまった。もう後には引けない。よしまずは呼吸を整えて精神を集中させ―――
『ちょっと咲希!まだ熱下がってないんだから寝てて!』
『そ、そうだよ咲希!私がかわりに出てくるから……!』
……精神を、集中―――
『いっちゃんはお客様だもん。大丈夫、アタシもう、元気だから……』
『そんな顔色で大丈夫なわけないでしょ!一歌、わたしが抑えとくから早く出てきて』
『う、うん!』
……集、中―――
「す、すみません!遅くなりまし―――え?朝比奈、さん?」
「ごめんなさいごめんなさいすみませんでしたごめんなさいごめんなさい」
アア、アアアアアアアアア!俺が来てしまったせいで妹様にご無理を……!情けない!自分が情けない!司に見舞いの品を渡しておくべきだったんだ!
天馬邸の玄関から出てきたのはご両親でも妹様ご本人でもない、星乃一歌嬢であった。
というか、中から聞こえてきた声で察しがついていた。
「お、落ち着いてください!どうしたんですか?司さんなら留守ですけど……」
「いや、今日は司に用があったわけじゃなくて妹様……咲希さんが体調を崩したって聞いたからそのお見舞いに……」
「あ、そうだったんですか!どうぞ入ってください。咲希も喜びます」
本当に?ねえ実は迷惑とか思ってない?俺ってお邪魔虫じゃない?メチャクチャ不安だ……。
「お、おじゃましま~す……」
なぜだろう。いやホントなぜだろう。今の俺にはこの家がラスボス前のダンジョンに見える。ああ友よ、なぜ俺を置いて行った。
玄関で靴を脱ぎ、スリッパへと履き替え妹様の部屋へと向かう。一歩踏み占めるたびに体が重くなっていくように錯覚する。
「こ、ここが……」
やっとの思いで部屋の前まで来た。司の部屋へは何度か入ったことはあるが、妹様の部屋は一度も入ったことがない。というか女子の部屋に入ったことがない。まふゆは勿論例外とする。
「咲希~朝比奈さんがお見舞いに来てくれたよ~」
ちょっ!?まだ心の準備がっ!部屋に入るときはまずノックしないと……!
「えっ?……あ、はるきさん、いらっしゃい。ごめんねいっちゃん、かわりに出てもらって……」
「?……誰?」
ベッドの上で横になっている妹様。その顔はほんのり赤みを帯びており、確かに体調が悪そうだ。と、”体調が悪い妹様”という超・異常事態に対して一周どころか五周ほどして逆に冷静になった。
「お邪魔させていただいております。体調を崩されたとお兄様から伺いましたのでお見舞いに参りました。本来であればすぐにでも参上したかったのですが遅れてしまい申し訳ございません。ですが、聞いていたほど体調は悪くないご様子。この調子であれば快癒までそうかからないでしょうが、治りかけが一番危うい。どうかお体を大切に、お大事になさってください。一日も早く御快復されることを切にお祈り申し上げます」
「――――」
「――――」
「……どうしたの二人とも。そんな鯉みたいに口を開けて」
ん、何か変な事でも言ってしまっただろうか。いや思い当たる節はないな。
「こちらはお見舞いの品でございます。どうぞご家族の皆様とお召し上がりください」
「―――――」
「―――――」
「だからどうしたの。ずっと口開けて」
む、反応がない。もしや体調が悪化したのだろうか?それはいかん。
「体調がすぐれないときは野菜ジュースが一番です。これさえあれば人生は豊かになります。少し多めに買ってきたのでお一つどうぞ」
「あ!よかったいつものはるきさんだ!」
「うん!一瞬別人かと思っちゃった!」
「え、本当に?これでいつも通りってヤバ……」
おっ、よかった元気になった。やはり野菜ジュース。野菜ジュースはすべてを解決する。だから大好き。
「ってそんなことより咲希。ちゃんと休まないとバンドを組む話、無しだからね」
「え、ええー!?そんなー!」
「それが嫌ならはやく治す。バンド、やるからには本気でやるって言ったよね?」
「うう~……」
ふむぅ。妹様、やはり体調が優れないのだろう。ここは俺も心を鬼にしなければ。
「妹様、彼女の仰る通りです。今は風邪を治すことを先決にしましょう。……はやく治して、やらねばならない事があるのでしょう?」
「……はるきさん、その呼び方やめてって言ったよね」
まあまあまあ。まあまあまあまあ。
「むぅ……でもわかった。ごめんねいっちゃん、しほちゃん。少し休むね」
「何言ってんの。咲希が謝る必要なんてないでしょ」
「そうだよ咲希。私達の事は気にしないでゆっくり休んで」
◇
その後少し時間が経ち、妹様が眠りについたので俺達は天馬邸を出た。そう俺達。俺と、一歌嬢、そして―――
「さてさてさて、紹介が遅れて申し訳ない。神山高校二年A組、朝比奈春樹です。好きな
「はあ?」
ヒエッ。あ、あれ?このネタ通じない?ならば次だ。
「ちなみに好きな
「はあ?」
ヒエッ。これもダメだったか。てかこの子恐いな。
彼女―――日野森志歩嬢が冷たい眼差しでこちらを見てくる。ハッキリ言おう、恐くて腰抜かしそう。キミ本当にアイドルの妹なんだよね?
「……どうして私の名前知ってるんですか?」
志歩嬢が苛立たし気に問いかけてくる。なぜこんなにも警戒されているのかと思ったらそういうことね。ふっ、俺も日々成長しているのだ。こういう時の返答くらい事前に考えてきてある。
「司から聞かされた事があるから」
「……………」
なぜだ。警戒心が全く解けないぞ。おかしいな司の名前を出せば納得すると思ったのに。
「と、というのは冗談で、以前星乃さん達から聞いたんだよ。ね?星乃さん」
話を合わせてくださいお願いします。焼きそばパン奢るから。
「え?……あ、そういえばこの前咲希と一緒に話したかも。よく覚えてましたね」
「……一歌も咲希ももっと警戒心をもってよ」
まったくである。俺が言えた義理じゃないけど。
「はあまったく。……日野森志歩です、よろしくお願いします」
「志歩、そんなに警戒しなくても大丈夫だよ……?朝比奈さんって
「そうですあの朝比奈先輩のお兄さんです。つまりキミから見たら
「まったくの他人じゃないですか」
うん、自分でもそう思う。
「うーん、なら
逆に遠くなったまである。
「普通に友達でいいんじゃ……」
「なるほど、じゃあ司の友人Bってことでお願いします」
「あ、そういう風にとらえるんですね……」
他にどういうとらえ方があると?お兄さんちょっとわからない。
「それよりも、日野森さんがいるって事は例の作戦は成功したんだな。すごいなぁ、俺は楽器の類は全然できんし」
「いえ、完璧に弾けるように練習したんですけど演奏中に咲希が倒れてしまって……」
「なし崩し的にバンドを組むことにしました」
「そんなことってある?」
うそやん。なし崩し的って、えぇ……。考えないでおこう。そうだ結果オーライじゃないか、良きかな良きかな。
「まあそんなこともあるよネ!結果オーライ、結果オーライ!」
「冗談ですけど」
……もう何も信じられない。
「年下の女の子に弄ばれた……グスン」
「えっ……あ、その、す、すみません。そんなつもりじゃ……」
「冗談ですけど」
「……なっ!」
ちょっとした仕返しである。許したもう、許したもう。
「ははは、ゴメンゴメン。いやぁそれにしても仲がよろしいようで本当に良かった。この調子なら望月さんとの仲直りも問題なさそうだね」
「はい!穂波のことも諦めないって決めたので!」
「ねえ、本当にどこまで話したの一歌」
そんな大した話はしてないので安心なされよ。キミが本当は可愛いものが大好きだなんて、これっぽっちも知らないから安心なされよ。ふっふっふ。
「……なんですかその笑みは。なんか嫌な感じがするんですけど」
「まあまあそんなにカッカしなさんな。ではこれをあげよう。限定『さすらいのフェニーくん』。なんか景品で当たったヤツだから貰ってくれ。ぶっちゃけ俺の趣味じゃない」
こんなのが当たるのなら宝くじの一等を当てたい。そもそもなんだフェニーくんって、これのどこが不死鳥?もうペンギンってことでいいじゃん。
「あと星乃さんにはこれ、限定『悲しみのフェニーくん』。他のと違って涙を流している特別版、らしい。これを限定にする理由がわからんけど、まあどうぞ」
「えっ。……あ、ありがとうございます」
「ふふっよかったね志歩。ありがとうございます春樹さん。それにしてもよく当たりましたね。確かこれってくじ引きの一等を当てないと貰えないんじゃ……」
そうなのである。本当は二等の『温泉旅館宿泊チケット』が欲しかったのだが、何故か五回も一等が当たってしまった。一等は『限定フェニーくん一種類プレゼント』だった。全部で12種類あるらしい。温泉?当たりませんでしたが何か?
あの時の冬弥くんの尊敬の眼差しは心地よかったなぁ……。
「他にも『在りし日のフェニーくん』、『大天使フェニーくん』、『泳げるフェニーくん』があるよ。『大天使フェニーくん』は妹様の部屋に置いて来たけど」
喜んでもらえるだろうか『大天使』。天使の羽が生えた白いフェニーくん、もう不死鳥には見えない。
だが一番の謎は『在りし日のフェニーくん』とかいうやつである。なんだ在りし日って。まるで手の届かない遠い過去に耽っているような表情のフェニーくん。こいつ本当にヒナなんだよね?限定品にする価値あった?
「あ、そうだ。この『在りし日のフェニーくん』望月さんに渡してもらえる?さっき渡しそびれたから代わりに渡しておいてほしいんだ」
「はあ、それは構いませんけど。……え、穂波に会ったんですか!?いつ、どこで!?」
「さっき、駅前のアップルパイ専門店で」
お?なになにそれどういう感情の顔?
「穂波、相変わらずだね」
「うん。そういえばこの間もアップルパイを大量に買ってたっけ……」
「あっはっは!気持ちのいい食べっぷりだったよ。さっき妹様に渡したのも望月さんに選んでもらったんだ」
よく食べる子はモテるって聞くけど、ありゃ本当だね。……これってセクハラになります?
「まあそういうわけで、代わりに渡してあげてよ」
「わかりました。すみません、こんな貴重なものを……」
いえいえ、俺は別にいらないんで。このペンギンモドキ達に興味ないんで。どうせなら可愛い子たちに貰われたほうが彼ら(?)も喜ぶんで。
後なんだったかな。何か彼女たちに伝えようと思ってたんだけど―――ああ。
「それと余計なお世話かもしれないけど、仲直りはなるべく早めに。司の奴が首突っ込もうとしてたからさ。俺達みたいな第三者に首突っ込まれても迷惑なだけだろう?俺が司を押さえ込んでおくからその間に頑張ってください」
「つ、司さんも相変わらずですね……」
「ていうか司さん事情知ってるの?咲希が教えたとは思えないんだけど」
「あいつ、時々妙に勘が鋭いことがあるから……」
本人も先日まで人間関係に悩んでたし、その経験から来たのかもしれない。
言いたいことも大方伝えたし、そろそろ解散にしよう。
「そうだ。最後に一つ聞きたいんだけど」
「?なんですか?」
いやほんと大したことじゃないんですけどね。
「“25時、ナイトコードで。”って知ってる?」
◇
「お出かけするならポカってGO!ポカ〇スエット!」
ここは“セカイの狭間”。なぜだかわからないが妙に安心する空間。だからこそ、本当は無視したいのだが仕方なく聞いてみた。
「アレは、何をしてるんだ?」
「現世のコマーシャルにはまってるらしいよ」
ああ、そういえば初音ミクとコラボしてた気がする。……正気か?
「初音ミクのマネをする初音ミクとか、もはや狂気だな」
「いつから僕達が正気だと錯覚していたんだい?」
やかましいわ。
隣に立つ、青いマフラーが特徴的な青年に心の中でツッコむ。
どうやらミクだけでなくカイトまでおかしくなってしまったようだ。
「あっ春樹いらっしゃい!ちゃんとポカってる?」
「バグかな?とうとうバグっちゃったのかな?叩けば直るか試してみよう」
「まあまあまあ」
止めないでくれ。ウチの初音ミクがバグってしまった、なんとかして直さねば。
「なんだか久しぶりに会った気がするね。春樹が最近来てくれないから……」
「なに言ってんだ、数日前に来たばかり―――そういえばお前、この間呼んでも来なかったよな?代わりにメイコが来たときは驚いたぞ」
「……あっ!レンが呼んでる気がする!ちょっと行ってくるね!」
は?何言って―――速ッ!足速ッ!
「えっ、もしかして俺、嫌われてる…?」
「ははは、そんな事はないと思うけどなあ」
あの速度で逃げられて?本当に?
「ハア…じゃあカイトの方から皆に渡しておいてくれ。お土産のアップルパイなんだけど」
「わあ美味しそうだね。みんな喜ぶよ」
そうかそうか、みんな喜ぶか。
「悪かったな!アイスじゃなくて!」
「え!?」
と、まあ彼を苛めるのはこの位にしておこう。
「そ、そういうつもりじゃ…!」
「ジョーダンだって。ジョーダン」
他に揶揄う相手がいないから暇なんだよ。恨むならこの場にいないミク達を恨んでほしい。だからそう睨むなって悪かったよ。
「……はあ。別に気にしてないよ」
「ははは、それはよかった。……ところで気になってたんだけどさ」
俺は
「アレ、なに?」
俺が指を指している方向にあるもの、否、恐らくは生物であろうソレは複数で群れになっていた。先ほどから少し観察していたが、どうも行動の節々から知性を感じる。
白い身体にクリッとした瞳、なぜか鼻も口も耳もないが両手にペンライトを持った珍生物。……何かに似ていると思ってだが、まるで豆腐のようだ。他にも服を着ている者や帽子を被っている個体もいる。なあに?アレ。
「おや、キミは見るのは初めてだったかい?おかしいな、彼らはずっとこの“セカイの狭間”に居たんだけど……もしかしたら照れて隠れてたのかもしれないね」
「うん。で、あの生物なに?本当に生物?ペンライトを持った豆腐とかソレなんてホラー?」
「あはははは!」
何笑ってんだお前。笑いごとじゃないぞ。見ろよあの豆腐、ジッとこっちを見つめてくるんだけど。とりあえず目を合わせない様にしよう。
「ふ、ふふふ。ごめんごめん。ええと彼らの事を一言で言うと、キミの同胞だね」
「馬鹿にしてんのか」
何が同胞だ。俺が豆腐だと言いたいのかコイツ。豆腐の角で殴ってやろうか……。
「一言じゃなくていいから、詳しく説明してください」
「彼らはキミと同じ“上”の世界の住人さ」
――――。
「ふ~ん……」
「あまり驚かないんだね」
「……前々からなんとなく考えてはいたんだ」
初めてセカイの狭間に来た時、否もっと昔、俺がこの世界に『朝比奈春樹』として誕生した時からのくだらない疑問。
つまり、
俺が第二の生を手にしてから、元居た世界とは異なる世界だと理解するまでに時間はかからなかった。だって周りの人たち全員、髪がカラフルだったし……。
最初は髪を染めるのが流行ったのかと思ったが、ピンクや紫の髪をした赤ん坊たちを見て考えが変わった。
さらに俺が生きてた年代とも離れていたことを知り、いわゆる異世界・別世界に転生したのだと悟った。
そこで真っ先に考えたことが『なぜこの世界に転生したのか?』である。幸い、というか他にすることがなかったから時間だけはあった。
なぜ、前世の記憶が残っているのか?なぜ、元の世界ではなく異世界なのか?それらには何かしらの理由があるのではないか?なぜ、なぜ、なぜ、なぜ………。
そして俺は一つの仮説を立てた。いや、仮説と呼ぶのもおこがましい。ただの妄想だ。
「上に登るのは難しくても下に落ちるのは簡単だからね。つまりそういう事さ」
ガシガシと頭を掻く。とても重要なことを話しているが、今はもっと優先すべきことがある。
「その話はまた今度ゆっくりとするとして、だ。アレが俺と同じ世界から来たというのは納得できない。あんなもの見たことないぞ」
「それは仮の肉体だからだよ。彼らは精神だけで
「いやもっとマシなものはなかったのか?いくら何でも可哀想すぎる……」
ああよかった。人間に生まれてホントよかった!
「それに彼らはキミのいた世界よりもう一階層上の住人かもしれないよ?そう思うとワクワクしないかい?」
「おお!その発想はなかったな。よし、ちょっとコミュニケーションをとってみるか……」
まるで宇宙人と接触したかのような気分である。最初の一言が肝心だ。えーっと――。
「ヘローヘロー。マイネームイズハル――(バシンッ)……痛い…」
なんかいきなり殴られたんだけど……え?ペンライトで人を殴ったぞコイツ。しかも脛を狙いやがった。
「(ブンッ!ブンッ!ブンッ!)」
「え、恐い恐い恐い。なんで急に素振り始めたの?まだ殴り足りないの?その瞳から何も感じ取れなくて怖いんだけど……」
「どうやら彼はキミの事を褒めてるみたいだよ?」
「は?……え、カイト兄さんわかんの?コミュニケーション取れんの?すげぇな」
今の動作のどこからそう読み取ったのか理解できんが、カイトが言うならそうなのだろう。俺も頑張ろう。
「(ブン!ブブンッ!)」
「えーっと『此処からずっと見てたぜ。頑張ってるじゃねぇか春樹、その調子で他の子等も支えてやりな』」
「……え?」
今のにそんな長文が込められてんの?しかも顔に似合わず男らしい喋り方。
「(ブブンッ!ブンッブンッ)」
「『かと言って自分の事を疎かにするなよ?お前が周りの人間を大切に思う様に、周りの人間もお前を大切に思ってんだ)』
「………。」
「(ブンッ!ブンブン)」
「『あとお前の妹だが、特別なことはしなくていい。お前はただ寄り添ってやればいいんだ。人はそれだけで安心を憶える生き物だからな』」
「…………。」
「(ブンッブブブンッ)」
「『この体じゃ碌に喋ることもできねぇが、愚痴程度ならいつでも聞いてやるよ。辛くなったらいつでも来な!待ってるぜ』」
「……………。」
「(ブンッ!ブンッ!)」
「『これだけは忘れんな。俯いてちゃ何も見えない、なにがあっても前を向け。辛くなったら上を見上げろ。そうすりゃ希望なんてものは転がり込んでくるさ。お前は独りじゃない、他人に頼ることを恐れるなよハル坊。俺からは以上だ』」
「豆腐先輩カッケェェェェ!!!!」
マジかこの人!メチャクチャイケメンじゃねぇか!小さいはずの体がデカく見えてきた……。
「先輩!一生ついていきます!」
今日という日に感謝を。俺は心の底から尊敬できる先輩と出会えた。
カイトから豆腐語解読のコツを教わらないと。
水が上から下へと流れる様に、リンゴが地面に落ちる様に。
止めようとして止まるものではなく、起こそうとして起こせるものでもなし。