仮面ライダーローサー   作:夜野千夜

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まだ、私は

ヴィードは何かを囲むようにして群れていた。瀧さんの言っていたことが正しいなら、恐らく群れの中心に瀧さんが落としたリバイブファクトがあるのだろう。

 

ヴィードは自分達の方に突っ込んできた私達に気づくと、襲い掛かってきた。

 

「皇、無理はするなよ!」

「言われなくてもわかってます!瀧さん早くリバイブファクト見つけてくださいよ!道は私が切り開きます!」

「すまない、頼んだ!」

 

向かってくるヴィードを次々と斬り伏せる。瀧さんはカミセンのボディーガードを務めていると言うだけあって、丸腰でも十分動けていた。まるで相手の動きが予測できてるみたいに的確に避けては、ヴィードの体に蹴りやパンチを次々と打ち込む。

 

「皇!」

「はい!」

 

弱ったヴィードに剣を突き刺せば、それだけで植物のように枯れていく。瀧さんが弱らせたヴィードに私がとどめを刺すこの流れは、コンビネーションと言うにはあまりにお粗末だろう。なにせ瀧さんの動きが素早すぎて、私はサポートに回らざるを得ないのだから。

 

(サポートされてどうすんだよ……!この場で武器を持ってるのは私だけだってのに!)

 

自分の不甲斐なさに、思わずいらだってしまう。

 

「皇!」

「ぐっ……!」

 

苛立ちに気を取られ、ヴィードの攻撃をもろに食らってしまった。怯んだ私にヴィードは追撃しようとしてきたが、瀧さんがそれを防ぐ。

 

「大丈夫か、皇」

「平気です、これくらい……けほっ」

「皇、あまり無理はするな。なんなら俺一人でもーー」

「私も行けます!!」

 

思わず語気が強くなっていた。目を丸くした瀧さんから目を逸らし、私は立ち上がる。

 

「とにかく、大丈夫ですからーー」

「皇」

 

瀧さんは優しく私の肩に手を置いた。

 

「お前は肩肘を張りすぎだ。一度深呼吸をしろ。ーーそして、考えるんだ。ローズカリバーがお前を認めた意味を」

 

瀧さんの手には、いつの間に取り戻したのか蓮の蕾を模した矢尻が印象的な弓矢のキーホルダーがあった。

 

「それ、まさか」

「あぁ。これが俺のリバイブファクトーーカマルダッタだ」

 

弓を引く手のような装飾が施されたバックルを腰に装着すると、ベルトが瀧さんの腰に巻きつく。私の時同様にキーホルダーをバックルの穴に刺せば、キーホルダーが巨大化する。

 

『アーティファクションキー認証。コード:KD起動』

 

「変身」

 

普通の大きさになった弓矢を引き放てば、瀧さんの体は巨大な蓮の花に包まれた。放たれた弓矢がカーブを描き、蓮の花を裂けば中から変身した瀧さんが現れた。

 

頭部は七分咲きの蓮の花の形に似ていた。蓮の花びらを模した布が右肩から垂れ下がり、全身にストールに似た布が巻かれていた。インドの民族衣装にありそうな模様が全身にあしらわれたその姿はーーとても優雅だった。

 

「瀧さーー」

「違う」

「え?」

「今の俺はーー仮面ライダーラータスだ」

 

瀧さんーーラータスは空に向かって弓矢を構えると、限界まで引き絞ってから矢を放った。一本だったはずの矢は何本、いや何百本に分裂し流星群のように落下していきヴィードの群れを一瞬で枯らしていった。

 

「すごい……」

 

私は無意識のうちにそう呟いていた。私一人の時はあんなに苦戦していたのに、こんなあっという間に群れを倒してしまうなんて。

 

「皇、弟を探して来たらどうだ?後はこちらで片づける」

「……すみません、お願いします」

 

不甲斐なさを改めて実感しつつ、変身を解く。その瞬間、私は地面に膝をついていた。

 

「あ、れ?」

「どうした、皇!?」

「な、なんか……力が、入らなくて……」

「神瀬さん、これは一体?」

『そうなっても仕方がないと思うよ。瀧くんと違って、彼女はまだ戦う体作りができていないんだから。むしろここまでよくもったものだ。迎えに愛華くんをよこそう。瀧くん、皇くんを支えてあげなさい』

「でも、橙弥がーー」

「姉ちゃん!!」

 

声のした方を見ると、橙弥がこっちに駆け寄って来ていた。見たところ、怪我も見当たらない。無事なようだ。

 

「よかっーー」

 

その瞬間、私の意識は途切れていた。

 

 

 

「……?」

 

目が覚めると、見たことのない部屋にいた。

 

「あれ、ここは……」

「深紅様起きられたのですねー?」

 

傍から聞き覚えのある声が聞こえたかと思うと、ベッドの横で愛華さんがリンゴの皮を剝いていた。

 

「……どうやって剝いてるんですそれ」

「企業秘密ですー」

 

愛華さんはリンゴを高速で回転させながら皮を剝いていた。……いやこっちの方が早いのでー、じゃないんだよな。色々ツッコみたいところはあるけど、それは一旦置いておくとして。

 

「ここどこですか?」

「昨日お連れした神瀬様のアジトの一室ですよー。深紅様の家よりこちらの方が近かったので、ここに運びましたー」

 

そういえば部屋いくつもあったっけ、と昨日アジトに足を踏み入れた時のことを思い出す。

 

「なんなら一室使っても良いとのことですよー。私との共用で良ければですがー」

「え、良いんですか?」

「というより、使わざるを得ない状況にあると思いますがー」

「……え?」

「おっとー、ここから先は神瀬様に聞くのが良いかとー」

 

愛華さんが剝いてくれたリンゴを食べてから、私は部屋を出てカミセンを探すことにした。

 

「カミセンは一体どこにいるんだろ?」

「……」

「ん?なんか声が……」

 

もしかしてカミセンだろうか、と部屋をノックしてから入ると。

 

「…………」

「くっ、う、動けない……!!」

 

……瀧さんが服に巻きつかれて転がっていた。

 

「あの、瀧さん?」

「皇?いや皇だとここに二人いるからややこしいな。これからは深紅と呼ばせてもらっても良いだろうか」

「それは構わないんですけど……何してるんです?」

「見ての通り、着替え中だ」

「……なんか詰問に遭っているのではなく?」

「俺は服を着るのが下手なんだ。よく愛華にも『ここまで来ると才能ですねー』と言われる」

「いやそこでキリッとされても」

 

私はひとまず瀧さんを服から脱出させた。今まで生きてきた中で聞いたことがない日本語だけど、そうとしか言いようがないから何とも言えない。

 

「よくこれまで生きてこれましたね……。服着れないってなかなかに致命的じゃないですか?」

「あぁ、そうだな。今までは簡単に着れる服を着ていたからなんとかなっていたんだが、今日はそういった服を全部洗濯されていてな……。仕方ないから他の服を着るのにチャレンジしていたんだ」

「はぁ……」

「それで、深紅は何か用か?」

「カミセンを探してまして。どこにいるか知りませんか?」

「それなら俺も一緒に行こう。その対価として、着替えるのを手伝ってくれ」

「構いませんよ。あんな状態にまたなったら大変ですからね」

 

私は瀧さんの着替えを手伝ってから(途中なんでこうなるんだよ!!って何度キレそうになったかわからない)、また部屋を出た。

 

「カミセンのいそうなところに心当たりありますか?」

「ないが、深紅一人で探すよりは俺がいた方が良いと思ってな。ここの構造なら頭に入っているからな」

「……本当に大丈夫ですか?」

「なぜ疑う」

 

二人で色々と探索していると、最初にアジトに来た時に通されたリビングのような部屋にたどり着いた。そこには橙弥も愛華さんもーーそしてカミセンもいた。

 

「あ、カミセンいた!」

「おや、皇くん!元気そうで良かったよ」

「姉ちゃん!!」

 

私と目が合うなり橙弥は私に抱きついてきた。

 

「良かった、何ともなくて……。姉ちゃんが倒れてから、オレずっと気が気じゃなくて……」

「心配かけてごめんね、橙弥。でも私は大丈夫だから」

「それに家は爆破されるし……」

 

…………

 

「……ん?橙弥、今なんて……?」

「?家は爆破されるし……?」

「なんで!?」

 

説明を求めようとカミセンの方を見ると露骨に目をそらされた。……まさか。

 

「カ~ミ~セ~ン~?ちょっとお話しません~?」

「うぐっ、わかったわかったから!首根っこをつかむのはやめたまえ!」

 

私はカミセンから手を離し、とりあえず説明を聞くことにした。

 

「いや~、その、ね?皇くんが倒れた後、本当は君達を君の家に運ぶつもりだったんだよ。でもどうやら鼻の良いヴィードが、君のにおいを覚えていたみたいでねぇ。君の家はヴィードに占拠されていたんだ。それで追い払おうと思って、ちょっと……ね?」

「いやそれがなんで家を爆破することにつながるんです!?」

「その~……。……爆弾投げた時にね?ちょうど強い風がぴゅーっと吹いてね?それで君の家に直撃して……ね?」

「ね?じゃねーーーーーー!!なにさらっと人ん家爆破してんですか!?犯罪以外の何物でもないんですけど!?てかなんで瀧さんも愛華さんも止めなかったんですか!!」

「すまない、気づいたら爆破されていた」

「右に同じですー」

「頼れる大人が一人もいないこの状況……!!」

 

私はさらに頭を抱えたくなった。ほんとなんでこんな人が先生やってんのか不思議でままならない。

 

「ま、まぁまぁ皇くん。ほら、ここなら好きなだけいて良いから。ね?」

「それくらい当然でしょ人ん家爆破しておいて追い出すとか言ってたら殴ってましたよ」

「ヒエッ」

「はぁ……頭がくらくらしてきた。また休ませてもらって良いですか?」

「もちろんさ。ゆっくりお休み」

「姉ちゃん、何か必要になったらオレ呼んでね」

「ありがと、橙弥」

 

私は一人リビングから出て、またさっきの部屋に戻ることにした。

 

ーーーーー

 

深「またこのコーナーやるんですか?」

 

失「もちろん!私の素晴らしい発明はまだまだあるからね!というわけで、今回はこれだよ!」

 

深「何ですか?これ。なんかでかくないですか?」

 

失「その名も『オムレツがキレイにできる機械』だよ!」

 

深「名前そのまんまですね。てか……」

 

(無駄感が半端ない……)

 

失「使い方はとても簡単だ!材料を全部この中に入れると……あ~ら不思議!綺麗なオムレツができている!」

 

深「お、本当だ」

 

失「ためしに食べてみたまえ」

 

深「良いんですか?じゃあ……お、美味しい」

 

失「そうだろうとも!綺麗なだけじゃなく、味も完璧なのさ!」

 

深「でもカミセン。こんなでかいのどこに置くんですか?」

 

失「それなんだよねぇ。ついつい高性能にこだわるあまり、大きくしすぎちゃったんだよね☆」

 

深「いや☆じゃなくてですね」

 

失「今回はここまで!また次回!」

 

深「話聞いてくれません!?」

 




カミセンの無駄発明ネタ募集してます。
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