宵咲 奏の幼なじみ   作:もち

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奏と幼なじみ(♀)のお話。ちなみに幼なじみにも闇はあります。


幼なじみ兼お世話役

「奏! 生きてる!?」

 

「お腹……空いた……」

 

「奏ぇぇぇ!?!?」

 

 宮益坂女学園1年A組、終夜(よもすがら) 永遠(とわ)の放課後は、作曲しか興味が無い、女の子として終わってる幼なじみのお世話から始まる。

 

 ──望月さんヘルプ!! 

 

 

 

「奏、キッチン借りるよー」

 

 空腹でぶっ倒れてた幼なじみをどうにかすべくとりあえず何か作る。勝手知ったる奏の家のキッチンから調理道具やら食材やら調味料やらを使ってパスタを作る。

 

(まったく、あの音楽バカは……)

 

 そんなことを考えつつも、料理する手は止まらない。

 食べ終わったカップラーメンは机に置きっぱ、作曲のための資料は床に散らばってて換えのジャージは脱ぎ散らかされてる。うーん汚部屋。

 ただまあうちも掃除は苦手だから手出しが出来ない。こればっかりは望月さんに何とかしてもらうしかない。というか望月さんウチにも来てくれないかな。割と切実に部屋の掃除をお願いしたい。

 

 うちの部屋はゴミとか脱ぎっぱなしの服はないけど本が積み重なってたり色々印刷したやつを片付けなくてそのまま放置してたり……まああれだ。出したものを片付けられないってやつだ。

 

 そんなことを考えながらも完成したパスタを皿に盛り付けて作業部屋に持っていく。ドアを開けるとぶっ倒れてたはずの奏が復活してて「待ちきれません!」みたいな顔で待機してる。おまえそのフォークどっから出した。

 まさか転がってたのを使おうと……? いや、拭いたから大丈夫じゃないでしょ。ダメだから。フォーク持ってきたから。ったく、さっきまでぶっ倒れてた癖に……。

 

「ほら、そんな顔されなくてもちゃんとあるから」

 

「ありがとう。もうすっかり永遠に胃袋握られちゃってるよ」

 

「あはは、ありがと。レシピ教えようか? 紙にまとめるよ」

 

「いや、別にいいかな。ほら、わたし……料理とか、出来ないし」

 

「確かに。奏に包丁持たせるのはあまりにも危険だからね」

 

「ちょっと、それどういうこと」

 

 ちょっとムスッとした様な雰囲気で奏がそんなことを言う。ちょっと見合ったら、堪えきれずに二人で笑う。笑い出すタイミングが同じなのが、幼稚園の頃から……奏のお母さんが亡くなる前から、ずっと仲が良かったんだと感じさせる。

 

「ねえ奏、そういえば例の音楽サークルはどうなったの? 作詞の人を探したってのは聞いたけど」

 

「ほかにもいい感じの人を見つけたよ。ファンメイドでMV作ってくれてた人と、イラスト描いてる人。その人たちと4人でやってる」

 

「……そっか。奏が見つけて選んだ人なら間違いないよね」

 

「……それはさすがにわたしのことを信用しすぎじゃないかな」

 

「そう? ずっと一緒にいたんだから別におかしくもないと思うけど。奏だってうちのことだいぶ信用してくれてるんじゃない?」

 

「まあね。……多分連帯保証人にもサインするんじゃないかな」

 

「えっ、そこまで? それは……不安になるよ」

 

 反射的そうは言ったものの多分うちも奏の連帯保証人くらいにはなるだろう。ただ、音楽に関しては奏のことを信じるということと連帯保証人とはかなりの差があると思うんだ。

 そもそも音楽はその人がどう感じるかだし、その上でうちは奏の音楽が好き。だから間違いなんてない。うん、連帯保証人には飛躍し過ぎだね。

 

「あ、奏。作詞の人、曲作ってたんでしょ? うちも聞いてみていい?」

 

「わかった。今動画再生するね。……すごい曲なんだ。私は、これが助けを求めてるように感じた。永遠も一回聞いてみて」

 

 そう言って聞かされた曲への感想は、圧巻の一言だった。全てを見下し、拒絶し、自分の殻に篭もり続けるような、そんな曲。聞き終えた頃にはうっすらと汗をかいていた。

 これが助けを求めてる……? うちにはそう感じられなかった。ただ、

 

「奏は、この曲が、作者が救いを欲してるって感じたの?」

 

「うん。上手く言語化出来ないけど、必死にもがいて、足掻いて、誰かが手を差し伸べるのを待ってるけど、不器用だからそれをつっけどんに跳ね返してる。そんな感じがするの。……変かな?」

 

「変じゃないよ。それにさっき、音楽に関しては奏を信じてるって言ったでしょ?」

 

 奏が感じたその思いが、間違っているわけが無い。私も奏に救われた。だから、奏が助けたいというのならそれに間違いない。うちは全力で応援しよう。

 

「あと、救けるのはいいけどちゃんとご飯食べてね?」

 

「う゛っ…………善処します」

 

 この幼なじみには私生活をちゃんとして頂きたいものだ。




独自の設定があるので説明を。

望月さんと言っていますがこれは穂波ではなく穂波のママです。何故かというと、穂波の歳は奏の一つ下です。この時のほなちゃんは高校なったらママもやってる職場にアルバイト行きたい!って思ってるだけです。職場体験に行ったのもそれが理由です(公式設定じゃないですこの作品のことです)本人もたまにママにくっついて行くので(おばあちゃん、奏両名了承済)面識はあります。原作より顔合わせが早い。
え、料理ができるはずの永遠がいるのになんで家事代行を雇ったのか、ですって?
永遠は掃除ができません。永遠は、掃除ができません!!
奏より酷いです。本人は同じくらいと思ってるけどそんなことはない。望月さんが善意で清掃してくれはいるが……って感じ。
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