末路(〆)
二人のギャングに向けて両手のアレス・プレデターVをぶっ放す。
狙いこそ荒かったが、セミオート・バーストで撃った銃弾は結構当たった。
咄嗟に遮蔽に隠れる。すぐ銃弾が上を通っていった。
遮蔽には鏡の破片があって、オレの顔が映っている。
金髪に眉や耳につけた金メッキのピアス。
女を引っ掛けるには困らないそこそこな顔立ちをしてると思ってるが、こういうコトをしているせいか未だにファックフレンドの数は少ねえ。
「ぐあぁっ!」
BLAMN!
そこに横でジェット機くらいやかましい銃声を鳴らしながら射出された弾丸が、ギャング一人にトドメを刺したようだった。
『ファック!うるせえよ』
『これも戦術さ』
サブボーカルマイク越しにそう言えば、空薬莢が地面に転がる音が聞こえた。
そちらを一瞥すると、西部劇トリッドの魅力に憑りつかれたエルフ”ウェスタン”ダラスがいる。
ヤツはわざわざ薬莢弾を使用するモデルのルガー・スーパー・ウォーホークをリロードしている最中だった。
それもわざわざクイックリローダーを使わず、一発一発だ。
バカの所業としか言えない。
「セリーナのヤツはどうしてる!」
「ウォーホー!」
そこに一秒も経たず、褐色肌にネオンの装飾がされたビキニを着たおっぱいのでかい女が現れた。
バカとしか言えないが、相変わらずホットな女。
彼女がセリーナだ。
ヤツはハッキングを主な仕事とするデッカーにも関わらず、外付けスマートガン・システムを付けたコルトM23を構えて乱射し始めた。
連続した射撃音が響く中、オレは咄嗟に遮蔽に隠れる。
「ぐあっ!?」「あがぁ!」「あ、あのクソアマを止めろ!」
状況は良くないが、戦況はまあまあ良かった。
依頼のブツはまだギャングどもが持ち去っていないし、何より先手を打ってオレが二人、ダラスが一人、負傷させられたのが良い調子に傾いている。
更にセリーナがギャングの持ってたグレネードを運よく起爆できて、くそったれギャングの数人はすぐにあの世に行った。
残るギャングはリーダー含めて6名ほど。負傷しているヤツも多い。
このまま血の海を作ってやれそうだ。
「ミリオンアイズ・ギャングは不滅だァっ!」
遮蔽から飛び出ながらイングラムを乱射してる男が一人。
そいつは頭をどでかい一つのサイバーアイで置換している。
このギャングのリーダー、”一つ目”クロプスだ。
やはり改めて見てもイカれた出で立ちだ。
「ウォーホホー!死ね死ねギャングぅー!」
セリーナの乱射とクロプスの乱射が合わさって、この倉庫内の天気は銃弾の雨になっちまってる。
しばらく降りやみそうにない。
といっても、そのしばらくは10秒にも満たないだろう。
その内にカタをつける。
BLAMN!
ウォーホークの銃声、そして悲鳴。
ダラスがやったか、残り5人。
そしてスマートガンのカメラ越しに、その内の1人が遮蔽から身を出してるのが見える。
「ぐあぁっ!」
アレス・プレデターVの射撃が命中。
それも頭部、即死だろう。残り4人。
「クソ!お前ら早く何とかしろ!」
クロプスが急かす。
その声に応えちまったカワイソウなギャングが一人、身を乗り出す。
だが身を乗り出した瞬間、セリーナの銃弾の雨がそちらへ向いた。
当然、一瞬で蜂の巣だ。
だがクロプスの方へ向いていた銃弾の雨は止んだ。
「クソアマ!」「行くぞ!」
雨が止んだ途端、クロプス付近にいたやつらが身を乗り出すなり、遮蔽から銃だけ覗かせるなりしてこちらを狙う。
予想通りだ。
アホなダラスも予想通りだったらしい。
プレデター二挺から銃弾を吐き出させれば、BLAMN!という音が響いてウォーホークも火を噴いた。
「ぐぁっ!」「ぎゃっ!」
今ので一人仕留めた。
残るはイカれポンチなクロプスと哀れなギャング1名。
遮蔽から飛び出て乱射してたクロプスの弾が遂に切れる。
勝った。
だがそう思った瞬間、背後から安っぽいバンが転がり込んできた。
そしてバンから吐き出されたのはミリオンアイズ・ギャングの構成員ども、6名。
こいつはヤバイ。
『セリーナ!遮蔽に隠れろ!』
『ヤバ!』
だがセリーナが遮蔽に隠れる前に、POPしたギャングどもの頭が吹っ飛んだ。
6名全員の頭が、一瞬でだ。
『マックス?』
『オレはあんなことできねえぞ!』
ダラスに応えた瞬間、ヤツは「あばっ」と声を上げて、ギャング同様に頭を吹っ飛ばされていた。
クロプスでもない。残ったギャングでも、セリーナが動揺してやったワケでもない。
バンが来た方向から、まるで特殊部隊みてえな恰好をした四人のチームが来た。
セリーナはそいつらに向けて銃を構える。
一人の屈強な男はそれを見てフッと嘲笑って、ショットガンでセリーナの頭を吹っ飛ばした。
世界からオレのファックフレンドが一人消えた。
オレは咄嗟に隠れていた。
クロプスと残ったギャングは背を向けて逃走。そこに二つの銃声。
クロプスもギャングも、一瞬で死んだ。
何もかもが一瞬で起こり過ぎた。
倉庫内は、再び静まり返る。
オレは遮蔽に身を隠して、そいつら四人を何とか見た。
紛れもない。
ヤツらはシャドウランナー……それもオレみてえな三流じゃなく、一流のプロフェッショナル。
そう感じさせる風格があった。
「ブツを回収しろ。もう少し穏便に片付けるつもりだったが……」
「まあ無理だね。だけど、むしろ楽になった。こういうイレギュラーは大歓迎」
「私はそうは思わん」
もう少し穏便に……ヤツらは最初からオレ達のターゲットのブツを狙っていて、オレ達を監視していたのか?
となれば、オレが隠れてることもヤツらにはお見通しの可能性が高い。
しかしそもそも、一流のランナーがこのブツを狙ってるなんて聞いてねえぞ?
第三勢力の可能性すらフィクサーのブッチャーのヤツからは聞いてない。
思えば、雑過ぎるミーティングだった。
コツコツとあの一流ランナーどもの足音がオレの方に近づいてくるのが分かる。
オレは咄嗟に駆けだした。ヤケだ。
銃声が聞こえた途端、オレの意識は投げだされた。