今回はトレーナーと絡みと夢の中の存在である絶影との絡みがメインですよ!
〇故郷と家族
・トレセン学園 ストームのトレーナー室
ドゥンケルストームとトレーナが契約を結んで数ヶ月経った頃のこと。トレーナー室でストームとこれまで記録したデータを元に自身の最も得意な走法や戦法、これからどの分野の能力を重点的に伸ばしていくのかを話し合っていたのだが、トレーナーは目の前にいるストームを見て気になることがあった。
(そういえば…俺はあまりストームのことをよく知らないよな)
契約を結んでしばらく経つがストームのことをよく知らないことにトレーナーは気がついたのだ。普段から口数が少なく自身のことをあまり話さないのだ。トレーニングメニューは従順にこなすしぶっきらぼうだが決して悪い子ではないことはこれまでの彼女を見て分かっている
(彼女と信頼関係を築くためにも…いろいろストームのことを知りたい)
「…ん?どうかしたのかトレーナー」
「あ、ああ、ふと思ったんだけど俺は君のことをまだよく知らないんだよな」
「…そうか、すまない」
「いや、謝らなくていいよ。君は自分のことをあまり話さないからね」
現時点で分かっているのは彼女は他のウマ娘と比べて抜きんでた実力の持ち主であることと、地方の田舎から才能だけでトレセン学園に推薦で入学した秀才であることぐらいだ。
「よかった君の故郷のことを話してくれないかな?」
「…私の故郷か」
「ああ、どんなことでもいいんだ」
「…いいのか?特に面白い話はないが」
少し不安そうな表情でどこか遠慮しているストームにトレーナーは笑顔で聞きたいと言葉を返す。すると、ストームが淡々と自身の故郷について語り始めた。
(…トレーナーになら話してもいいか)
「…私の実家はウマ娘のジュニアスクールを経営している。規模はそれほど大きくないが小さな牧場と合併した構造になっていて、子供のウマ娘たちに走りの基礎に加えて牧場体験や畑作りの体験ができる」
「へえ、なんだか楽しそうだな」
「…私のおふくろと親父が造ったスクールでそのおふくろが昔有名なウマ娘だったんだ」
「有名なウマ娘…?よかったら名前を聞いても?」
「…”ドゥンケルダイナ”だ。十数年前にマイル路線で活躍していたんだが」
その名前を聞いたトレーナは少し考えるとハッと思い出した表情になる。そのウマ娘が活躍していた時トレーナーはまだ小学生ぐらいの年齢だったがトレーナーとなって様々なこと学ぶ中でその名前は印象に残っていた。
「ドゥンケルダイナって…”暴れウマ”の異名で知られたあのダイナか!?トリプルティアラを達成し、長くマイル路線を戦い続けたあの…!」
「…暴れウマ…?あのおふくろが…?想像がつかないな」
「あ、ああ、小柄だけど炎のようにアツい性格でパワフルで印象に残る走りをするウマ娘だったって聞いてるよ」
「…言われてみれば、確かにアツい性格かもしれないな。ヒシアマさんみたいな性格だ」
「なるほど、あんな感じなんだね…」
「…だが、身長は私の肩ぐらいしかない」
写真でしか見たことがないがストームとダイナはとてもよく似ており彼女があのダイナの娘であるとは間違いないとトレーナーは確信していた。ストームの並外れた才能はダイナの血統と彼女の指導の賜物なのだと思った。
「引退して行方が分からなかったんだけど、そんな田舎の方へ行ってたんだな」
しかし、なぜ中央で見事な成績を残したドゥンケルダイナがそんな地方の田舎に行ったのかトレーナーは不思議に思っていた。
「君の両親はどうして地方の田舎にウマ娘スクールを造ったんだろか?」
「…親父が地方出身のウマ娘のトレーナーだったからだ」
聞けばストームの父親は地方から中央に移ったトレーナーでありトレセン学園で妻であるドゥンケルダイナと出会い契約を結んだのだ。トリプルティアラを成し遂げたウマ娘を育てた彼はトレセン学園で多くのウマ娘から指導を懇願されたが彼が担当したのはドゥンケルダイナただ一人だった。
「…親父は言っていた。”地方には中央に行くチャンスを掴めず埋もれていくたくさんのウマ娘がいる…そんな子たちが夢に飛び立つ手助けがしたい”とな。だから故郷におふくろとウマ娘のジュニアスクールを建てたんだ」
「そうだったのか…」
「…私の故郷や家族についてはこんなところだ」
「いろいろ聞かせてくれてありがとう、君のことを一つ知ることができた」
「…そうか、それはよかった」
ーーーーーーーーーーー
◯絶影とドゥンケルストーム
・???
トレセン学園に来た初めてストームが走った模擬レースの夜。夢の中でストームは"ゼツさん"こと絶影と言葉を交わしていた。場所はいつものように地平線まで広がる草原の上だった。
「…ゼツさん、聞いてくれ。実は今日トレーナーにスカウトされたんだ」
『…そうか、おめでとう。君をスカウトするとはそのトレーナーは見る目があるね』
「…スカウトしてもらえるか不安だったんだが…こんなに早く声をかけてもらえるとは思わなかった」
『…ふふ、君の才能を見抜いてくれた彼に感謝しないとな。これから君の走りをサポートしてくれる存在だ。君とトレーナーがどれだけ心を通わせられるかが君の強さの鍵になる』
「…やはり、強くなるにはトレーナーの存在が必要なのか?」
『…もちろんだとも、ヒトとウマ娘は不思議なものでね。努力と訓練では到達できない境地も互いの絆を深め心から同心すればそれも可能になる。未知の力を引き出せる…だが、それは容易ではない、言うは易しだが成し遂げられる者は一握りしかいないからね』
何処か達観したように絶影は語る。魂としてストームの中に存在する絶影だが数千年の歴史を見てきた絶影でもその理由は詳しく分からない。
「…ゼツさんもトレーナーがいたから強くて速いのか?」
『…ふふ、私の時代にはトレーナーという者は存在しないよ。他の軍馬たちと同じく決まった訓練を受けていただけさ。…でも、私には背中を預けられるかけがえのない人がいたからね』
「…その人がいたから?」
『…そうだよ、自分の命を賭けてでも…燃やし尽くしてでも彼を守り共に戦場を駆けたい…そう思ったからこそ私はここまで強くそして速くなれたのさ』
彼を語る時、絶影はとても嬉しそうに誇らしげに話すのだ。ストームもまた絶影が尊敬した英雄と呼ばれた彼の話を聞くのが好きだった。そんな話の途中に絶影があること思い出しストームに話した。
『…そういえば、君と走っていたあの子…ナリタブライアンと言ったかな?』
「…ブライアンか?ああ、今まで走ったウマ娘の中で多分、ゼツさんの次に速い奴だった」
『…あの子は伸びるよ。君と同じくまだ未知なる才能を秘めている。まだまだ未熟だけどきっと君に追いついてくる。何よりあの激しい闘争心は強い武器にもなるが欠点にもなるね』
模擬レースで競ったナリタブライアンに可能性を感じたのか絶影は興味深そうに語っていた。これまで様々な馬を見てきた絶影は才能あるウマ娘を見るとついつい気になってしまうのだ。
「…ああ、ブライアンは強い。きっといいライバルになってくれるはずだ」
そう語るストームは輝き誰が見ても嬉しそうな表情をしていた。実はブライアンと似たような悩みを持っていたストームは自身と競い合えるライバルと呼べる相手を探していたのだ。
『…ふふ、嬉しそうだね。君のそんな表情を見るのは久しぶりだ』
「…ああ!ゼツさん以外で戦ってみたいと思ったのは彼女だけだ。…もう一度走ってみたいな」
『…それじゃ今夜も訓練してくか?どうする…?』
「…いや、今夜は遠慮しておく。それよりゼツさんに悩みを聞いてほしい…」
『…悩み?…いいよ、何でも言ってごらん』
「……同級生が私を怖がって近寄らないんだ、ゼツさん…どうしたらいい…?」
『…はっはっは!…その険しい顔で相変わらず可愛いらしい悩みを持っているね』
「…笑わないでくれ、こう見えてかなり気にしてるんだよ」
『…ごめんごめん、そうだね…私でよければ力になるよストーム』
その後、絶影から笑顔のコツを教えてもらったストームは寝る前に必ず笑顔の練習をするようになったのだった。
勝負服も描いてますがまだできてません…
完成するか分かりませんが頑張ります!!