最近、アプリでビワハヤヒデが当たったのでブライアン共々育成頑張ってます!
・数日後 トレセン学園 レーストラック場
トレーナーとドゥンケルストームが契約し正式にパートナーとなって数日後。トレーナーの指導の元、ドゥンケルストームはトレーニングを行っていた。
「いいぞ、ストーム!タイム更新だ!」
「…ああ!」
身体中、汗だくになりながらトラック場を真剣な表情で走るストームとストップウオッチを片手にそれを見守るトレーナーの姿があった。今から八ヶ月後に開催されるメイクデビューに向けて二人はトレーニングに励んでいた。
(気にいってもらえるか心配だったけど…よかった)
ストームほどの高い実力を持つウマ娘ともなると、生半端なメニューでは彼女を納得させることは難しい…そう考えたトレーナーはこれまで学んだ知識とテストで収集したストームのデータを元に徹夜でトレーニングメニューを考案し、やっと思いで完成させたメニューをストームに見せたのだ。
どんな反応をするのか内心、緊張していたのだがストームの反応は以外なものだった。
『…これはいいな、このメニューで早速やってみるとしよう。私のためにありがとなトレーナー』
トレーナーが考えたトレーニングメニューをいたく気にいったようで、それからストームはそのメニューを従順にひたすらこなしているのだ。
高い実力を持つウマ娘ほど我が強くプライドや走り方などに拘りを持っていることが多く、トレーナーの考えや指示に意見したり反論したりする者も少なくないのだ。
「トレーニングメニュー、気にいってもらえてよかったよ。てっきりダメ出しされるのかと思ってたんだ」
「…?ダメ出しする点など何もないぞ。…このメニューは私の欠点の改善と長所を鍛えるためにしっかり考えられている。特に欠点の"走る際の姿勢の悪さ"と"自身の高いスタミナに頼り切るあまりスタミナの管理が雑になっている"というのは指摘されるまで気付かなかった」
実はストームは頭も切れ、トレーニングメニューの真意をすぐさま理解するなど頭脳にも優れているのだ。特に数回自身の走りを見ただけで長所と短所を把握した上に、ここまでのメニューを一晩で考えられるとは大したものだとストームは驚いていた。
「…あんた本当に新人トレーナーなのか?…実はベテラントレーナーでした、なんてドッキリか?」
「あはは…これぐらい普通のことだ。それを言うなら君だって本当にデビュー前のウマ娘なのかって疑ってしまうよ」
「…ふふ、お互いに只者ではない、というわけだな」
ストームは改めて彼と出会えたことに心から感謝していた。彼と二人でならきっと高みを目指すことができる…と思ったのだ。
「…さて、次は坂道ダッシュだな…行ってくる」
「足の向き、姿勢にも気を配るんだぞ。脚の筋肉と蹴り出す力を鍛えるんだ。頑張れ!」
「…ああ!」
こうして本格的トレーナーの指導の元、デビュー戦に向けて本格的なトレーニングが始まったのだった。
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・数日後 トレセン学園 体育館
「感謝ッ!メディア諸君、トレーナー諸君、そして生徒の皆、よく集まってくれた!静聴ッ!このたびはここにいる皆に重大な発表がある!」
あれから数日後のこと、トレセン学園のトレーナーと生徒たち、そして多くのメディアたちが学園の体育館に集められていた。理由はトレセン学園理事長・秋川やよいから重大な発表があるとのことだ。
「提言ッ!トレセン学園理事長の名において…新レース、『URAファイナルズ』の開催を宣言するッ!!」
(ざわっ……!!)
「『URAファイナルズ』…?」
「新しいレースを作るのか…?」
会場内がざわめきに包まれる中、秋川理事長は真剣な眼差しで新レースの詳細を語り始めた。
「『URAファイナルズ』とは言うなれば"全てのウマ娘にチャンスを与えるレース"…あらゆるウマ娘が己の全力を以て、頂点を!最強を!トップの座を競うことができるレースなのだッ!!」
距離適性が合わずに実力を発揮できなかった者、強くなりたい…最強の座を目指したくとも届かず夢を叶えられなかった者…そんな全てのウマ娘が輝ける世界を目指したい…と秋川理事長は自身の夢を力強く語っていた。その言葉に多くのウマ娘やトレーナーが感銘を受け、食い入るように聞いている。
「刮目ッ!URAファイナルズにおいては、"全ての距離"、"全てのコース"を 用意する!」
「全ての距離と…全てのコース…!?」
「参加資格を得られるのは、『有馬記念』『宝塚記念』同様、ファン投票で選ばれたウマ娘だ!」
トゥインクル・シリーズで大きな功績を残し、多くのファンたちに支持される代表的なウマ娘…まさに選ばれし者だけが舞台に立てるレースと言ってもいいだろう。しかも、どのウマ娘にもその舞台に立つチャンスが平等にあるというのだ。
これを聞いて心が躍らない者がこの会場にいないわけがない。
「さあッ!!皆、3年後新年の初開催に向けて、ファンを集め、己の才能を磨き、ファンを集めスターウマ娘を目指してほしい!!激励ッ!!期待ッ!!わたしは…諸君の活躍を待っている!!」
「「「……」」」
ワァアアアアアア……!!!
会場内を震わせるほどの大歓声と拍手の嵐が沸き起こる。秋川理事長の演説を聞いていたトレーナーたちとウマ娘たちが大いに奮い立ち、中には涙を流す者もいた。当初は不安や疑念もあったが新レース・URAファイナルズの開催は無事に受け入れられたのだった。
(URAファイナルズか…俺にできるだろうか?彼女を…ストームをスターウマ娘に…)
(…全距離、全てのコースか…そのレースに出られれば名も上がりそうだな)
(ええやん!そのレースならうちの力をみんなに見せられるわ!やったるんやさかい!)
(選ばれし強者だけが出られるレースか…フッ、面白い!)
様々な思惑が入り乱れる中、秋川理事長による演説は終わりを迎えた。その日から秋川理事長の主導でURAファイナルズ開催に向けたプロジェクトが本格的に始動し、学園内は活気に溢れトレーナーと生徒たちのやる気も大いに上がったのだった。
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○デビュー前 六月 前半
・数ヶ月後
秋川理事長の演説から数ヶ月。あれからストームは勉学とトレーニングに励む日々を送っていた。数ヶ月前の新レースの開催が宣言された日からどの学年の生徒もやる気があがりレーストラック場も毎日、生徒たちで溢れている。
「お疲れ様、今日はここまでにしようか」
「…そうか」
本日もトラック場にはトレーニングを終えたストームの姿があった。充実したトレーニングができたのかストームは上機嫌のようだった。
「…明日はどうする?」
「そうだな、フォームも整ってきたし次は基礎トレーニングで体力と身体能力を強化しつつスタミナの管理とペース配分を学んでいこう」
「…分かった」
トレーナーが指導するようになってから我流で荒削りだったストームの走りは目に見えて安定するようになっていたのだ。トレーナーの指導に反論することもなくストームのトレーニングは順調に進んでいた。
「もう遅いし、早く帰って身体を休めるんだぞ」
「…ああ、また明日な」
その後、トレーナーと別れたストームは日が暮れ、暗くなり始めたトラック場を後にしようとした時、ある光景が目に写った。
「…あれは」
トラック場を凄まじい速度で走っていたのはナリタブライアンだった。最近、姉のビワハヤヒデの紹介で腕のいいベテラントレーナーのスカウト受けたブライアンもまたメイクデビューに向けてトレーニングに励んでいたのだ。元々、高い実力で学園で噂になっていたブライアンのデビュー宣言はメディアやトレーナーたちの間でも大きな話題になっている。
(…相変わらずいい走りをするな、また彼女と走ってみたいものだ)
「おや?君は…」
「…ん?」
じっとブライアンを見ていたストームに声をかけたのはその姉・ビワハヤヒデだった。同じくブライアンの走りを見ていたようでこの時間ではあまり見かけないストームがいたことが気になって声をかけたのだ。
「ドゥンケルストーム君だな。こうして言葉を交わすのは始めてになるか?」
「…お疲れ様です。トレーニング終わりですかハヤヒデ先輩」
「……!!」
ハヤヒデを見たストームは丁寧に会釈する。その不良のような外見とは裏腹に礼儀正しいストームの返答にハヤヒデは驚いていた。
「…どうかしましたか?」
「い、いや…!すまない、気を悪くしないでもらいたいのだが、君はもっと荒々しい喋り方をするものだと思っていたものでね…」
「…構いません、いつも言われることですので」
「突然、声をかけてすまない。先ほどからブライアンのトレーニングをずっと見ているようだから気になってね」
「…はい、相変わらず彼女の走りは見事です」
ハヤヒデもストームの模擬レースを見ていたこともあり彼女の実力は知っている。第一印象からガラが悪く人付き合いも悪いのではないかと思っていたがこれなら妹と仲良くできると感じたのかハヤヒデは姉として提案した。
「では、併走トレーニングを頼んではどうだ?君との併走ならブライアンも嫌とは言わないだろう」
「…しかし、彼女は私を嫌っているのでは?最近、よく私のことを睨んでくるのですが」
「ふふ、そんなことはないさ。ここだけの話だが、ブライアンは君を超えようと躍起になっている。鋭い視線を向けているのも睨んでいるのではなく君の走りを見極める為さ。妹にレースで勝ったのは私以外じゃ君が最初だからね」
「…なるほど」
「少し無愛想だが根は優しくいい子だ。友人が少ないのが悩みの種なんだが…同級生で実力も近い君なら親しくなれると思う」
ハヤヒデとしてはストームにブライアンと友人になってもらいたいと思っているようだ。まだコスモスと数人の同級生しか友人がいないストームも友人が増えるのは有り難いと考えていた。
「…分かりました。いい助言をありがとうございます」
「ああ、ブライアンのいい友人になってくれると私も嬉しい。頼むよストーム君」
「…ハヤヒデ先輩、またお話を聞かせてください」
こうしてハヤヒデと別れたストームは早速、ブライアンの走るトラック場へと歩いて行く。ちょうどトレーニングが終わったのか簡単なやり取りの後、ブライアンのトレーナーはトラック場から去っていった。
「……」
一人残ったブライアンはじっとトラック場にじっと立っている。凄まじい威圧感の前に普通なら話しかけるのも躊躇してしまうのだがストームは気にもせずに遠慮なく声をかけた。
「…精が出るな」
「…!!アンタは…」
「…トレーニングは終わりか?」
「…ああ」
ハヤヒデの言うとおりストームに話しかけられても嫌な素振りや不機嫌なったようには見えなかった。
「…あんたの走りを見ていた」
「…そうか」
「…まるで獰猛な猛獣ような走りだ、"怪物"と称されるのも納得がいく」
「何を言っている、化け物はアンタの方だろう」
「……」
「アンタと初めて走った模擬レース…あの時、私は持てる全て力を出して全身全霊で走った。だが、アンタには届かなかった…」
以前の模擬レースでの勝負を気にしているのか、ブライアンは険しい表情でストームを睨めつけるように見る。だがその瞳は憎しみではなく純粋に自身を超えようと挑戦する者の眼だった。
「必ずオマエをブッ倒す!待っていろ…!アンタは私の獲物だ」
「…望むところだ。そう簡単には抜かせないぞ」
「…チッ!余裕でいられるのも今のうちだ、すぐに追いついてやる…!」
「…すぐにでもトレーニングしたいと考えてるそんなあんたに提案があるんだが」
「……なんだ?」
「…私と併走トレーニングでもどうだ?あんたが嫌じゃなければだが…」
するとブライアンの耳がピンと反応する。しかし、ライバル宣言したばかりで啖呵を切った手前、その本人と一緒にトレーニングをするのは少し複雑なのかブライアンはなかなか首を縦に振らない。
「……」
「…そうか、気が乗らないか。お互いの走りを研究できるいいチャンスだと思ったんだがな」
「……」
「…あんたみたいな強い奴と一緒に併走できればいい経験が積めるし、一汗かいた後の夕飯もより美味くなると思ったんだが…仕方ない、邪魔して悪かった。じゃあな…」
「……チッ!おいッ!待て!」
「…ん?なんだ」
「併走トレーニング…付き合ってもらおうか。そこまで言っておいて逃げられると思うなよ…?」
(…ふふ、うまく釣れたな)
その後、ストームとブライアンは門限ギリギリまでトラック場で併走トレーニングを行った。後に数々のレースで幾度となく相まみえることになる二人の怪物がライバルになった瞬間だった。
他にもオグリやタマモクロスなども登場させようと思ってます!
一応、年代を気にしているのでスペちゃんら黄金世代やダスカなどはまだ入学していない設定にしてます。