次代の天災 作:名前が思いつかぬ
2341発以上のミサイルが日本に向けて発射されたらしいが、搭乗者不明のIS『白騎士』が大半を迎撃したそうだ。
IS、正式名称『インフィニット・ストラトス』と呼ばれる篠ノ之束が開発した、宇宙開発のためのマルチフォーム・スーツらしい。
「ふふ、私が知らなかっただけで、世の中にはちゃんと天才が居るんだ」
予想していない天才の発見に嬉しくなり、篠ノ之束が発表したISについて調べる。
流石に天才が作り出しただけあり、子供の私ではほとんど理解できなかった。
しかし、それが余計に嬉しく、それから数年の間、私はISの技術に関して勉強を続けた。
幸い両親が、IS開発関係の仕事を携わる会社の社長と言うこともあり、ISの技術の勉強はとてもやりやすかった。
しかし、楽しみが出来たせいで、小学校で過ごす時間が余計に退屈になってしまった。
授業の時間は基本的に寝て過ごしていたが、外見が整っているせいか、男女問わずよく絡まれる。
そんな退屈な学校生活も一人の少女を見つけて大きく変わった。
名前は姫宮澪、最初は少し変わっているだけだと思っていたが、すぐに違うと分かった。
それに気づいたのは、体育の時間だ。
ほとんどサボっていたため、気づくのが遅れたが、小学生とは思えない身体能力を持っていた。
その上、近くの剣術道場に通っているようで、かなり強いそうだ。
「貴女が、姫宮澪?」
「誰?」
本当に人間なのかと思うほど、無表情だ。
外見は整っていて、間違いなく美少女だ。
「私は、蓮見蓮華。同じクラスだし、これからよろしくね」
「よろしく」
私が差し出した右手を握り返してくれた。
そんな彼女の鳩尾を狙って左拳で殴りかかるが、受け止められてしまった。
それなりの速さで殴ったのだが、思ったより簡単に受け止められて頬が緩む。
「何?」
「澪ちゃんが、どれだけ出来るか試しただけだよ」
突然殴りかかられても無表情のままだ。
握っていた右手を離し、左拳を引いて両手を広げる。
「澪ちゃん、これから仲良くしようね!」
澪ちゃんに正面から抱き着くが、相変わらず何の反応も示さない。
「離れて」
「ええ、いいじゃん」
「熱い」
あまり力を込めてなかったため、力任せに引きはがされた。
まあ、これから小学校での遊び相手が出来たし、それだけで十分かな。
それにしてもあんまり喋らないな、澪ちゃん。
抑揚のない声で単語程度にしか喋ってくれない。
「澪、どうしたんだ?」
「何かあったのか?」
澪ちゃんと話していると、二人の男女が近づいて来た。
どうやら澪ちゃんの知り合いみたい。
「友達」
「…………新しい友達ってことか?」
私を指差して一言しか話さない澪ちゃんに男子が少し考えてから確認する。
男子の確認に対して澪ちゃんは頷いて返す。
「わーい!澪ちゃんに友達って言われたぁ!」
もう一度、澪ちゃんに抱き着くが、また引きはがされる。
私達のやり取りに二人はどこか呆れたような顔をしているが、気にしない。
「えっと、俺は織斑一夏だ」
「私は、篠ノ之箒だ」
「そうなんだ」
「澪とは箒の家の剣術道場で知り合ったんだ」
「なるほど」
剣術道場の知り合いだったんだ。
まあ、私は通う気ないし、あんまり関係はないかな。
「それで、澪ちゃんはいつもこうなの?」
「ん?ああ、基本的に単語くらいしか喋らない。長くて三単語くらいだな」
「え?なんて言ったの?」
「『初めまして、姫宮澪、よろしく』と、道場に入った時の自己紹介で言っただけだ」
「自己紹介の三単語が一番長いってすごいね」
日常生活でそれ以上に長く話したことが無いって、本当に凄い。
「ちなみに、澪ちゃんって笑ったりするの?」
「いや、未だに表情が変わったところを見たことが無いな」
「私もだ」
それから澪ちゃんのことで、一夏と箒の二人としばらく話したが、その間澪ちゃんは一言も喋らなかった。
なんだかんだ二人とも仲良くなり、箒の家の剣術道場に誘われたが、ISの技術を学ぶことに忙しかったため断った。
それから学校では四人で遊ぶようになったが、学校から帰るとISの研究をする日々が続いた。
四年の時に箒が転校してしまったが、五年の時には鳳鈴音が転校してきた。
遊ぶメンバーが少し変わっただけで、大した変化はなかった。
そんな鈴も中二の時に中国に帰国してしまった。
中三の時に私は、父親の会社を手伝った代わりにISのコアを貰い、ISを一から作りテストパイロットの専用機としてもらった。
澪ちゃんは、一夏の姉である千冬さんの紹介でISパイロットの養成所に通い、いつの間にか代表候補性になっていた。
聞いた話では、性能がかなりピーキーで欠陥機と呼ばれていた専用機を貰ったそうだ。
私と澪ちゃんはIS学園の入学試験に無事に合格して入学が決定した。
問題は……
「一夏も入学するとは思わなかったなぁ」
男でISを動かすという大事件を起こして、IS学園に強制的に入学することになったそうだ。
「IS学園でも楽しく過ごせそうで良かった」