黒の剣士と紺の浮浪児   作:gobrin

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どうもです。

クリスマスに投稿しようとして、全く間に合わなかった作者を嘲笑ってください……(泣)

今回はリズベット武具店に行こうパート2です。
では、どうぞー。




第二十一話 謹慎三日目:武器が返ってくる!

 

謹慎三日目。

予定なら今日、リズが俺の武器を研ぎ直し投剣スキル用の武器も作り終わる。

まあリズは早くてもと言っていたが、リズの仕事はかなり早いからな。多分終わるだろう。

 

ちなみに昨日は特に何もしていない。

本当なら昨日リズへのお詫びとお礼の品を買いに行く予定だったんだが、一昨日買ったからすることがなくなった。

それでせっかくだからと、シリカと一緒に家でくつろいでたってわけだ。

 

というわけで、俺は今リズからのメッセージを待っている状況だ。

シリカの作った朝飯を食べて、食後の紅茶を飲んでいるが……お、メッセージだ。来たか?

 

 

「あ、メッセージですか?」

 

 

俺がメニューウィンドウを操作し始めたのを見て、シリカが予想を言ってきた。

 

 

「ああ、そうだ。……やった、リズからだ!武器ができたってよ!」

 

「ふふ、はしゃいでるカイさん可愛い。そういうことなら、早く行きましょうか」

 

「仕方ないだろ、ずっと物足りなかったんだから。おう、早く行こう」

 

 

俺はシリカと一緒に、リズベット武具店に向かった。

 

 

 

 

 

 

「おーい、リズー!来たぞー!」

 

「お邪魔します」

 

「あ、いらっしゃーい!ちょっと待ってね!」

 

「あれ、カイじゃないか」

 

「お、ケイタ。お前達もここを使ってるのか」

 

「うん、そうだよ。仕事も早いし、武器もいい武器が多いからね」

 

 

俺達がリズベット武具店の扉を開けると、リズとケイタが正面にいた。

リズはケイタに褒められて鼻高々といった様子だ。俺も腕がいいのは認めるが、ちょっとウザイ。

 

 

「そうだったのか。研ぎの依頼か?」

 

「うん。……あのトラップで、大分武器が損耗したから……」

 

「……ああ、俺も投擲武器を大量に消費したからよくわかるぜ……」

 

 

濁った目になった俺とケイタは、元凶をジロリと睨む。

その元凶は、視線を受けてたじろいだ。

 

 

「な、なんだよ……。あれは悪かったって、反省してるよ……」

 

「なあ、今までのトラップを踏む度に反省してこなかったのか?」

 

「そんなことあるわけないだろ!ちゃんと反省してるよ!いくらカイでも怒るぞ!?」

 

 

俺は今の発言で気になったことを訊いてみた。すると、聞き捨てならない言葉が返ってくる。

 

 

「おいおい、怒りたくなるのはこっちだぞ?毎回反省してあの体たらくか……?」

 

 

俺が軽く怒気を発しながらダッカーに詰め寄ると、奴は後ずさった。

が、すぐに壁を背にしてしまい、逃げ道がなくなる。

 

 

「え、えーっとですね?今のは言葉のアヤと言いますか何といいますか……」

 

 

俺は目がバタフライをし始めたダッカーの襟首を掴み、ケイタに向き直って尋ねた。

 

 

「なあ、ケイタ。俺のここでの用事が終わった後、こいつ借りていいか?ちょっと鍛えなおしたい」

 

「あ、カイ、ごめんね。僕達、このあとクエを受けるんだ。攻略を進めなきゃいけないから……」

 

 

俺やキリトは一時脱退が認められて、今は攻略に参加していない。

そんな俺がしっかりと攻略しているこいつらに何か言うのは筋違いだな。

 

 

「おっと、そうだったか。悪ぃな、無理言って」

 

「いや、気にしなくていいよ。僕らの予定を知っているわけもないんだし」

 

「だがまあ、ちょっと考えればわかる程度のことだった。やっぱり今のは俺が短慮だったよ」

 

「うーん、そんなことないと思うけど。まあ、カイがそう言うなら」

 

 

ケイタは、本当にこういう類のやり取りの引き際が上手い。

他人との距離の取り方が上手いってのもなんか違うな。言葉にしづらいが、コミュニケーション能力がとても高いんだ。

 

 

「んで?お前等の用は、すぐに終わりそうか?」

 

「うん、後は依頼していた武器を受け取るだけさ。――はい、終わり」

 

 

俺の目の前で武器のやり取りが行われる。しっかり耐久値が全快しているようだ。流石リズだな。いや、これに流石も何もないか。

 

 

 

 

「ありがとうございました!またの起こしをお待ちしておりまーす!」

 

 

ケイタ達が武器を受け取って店を去る。

リズは店長らしくケイタ達を送り出し、俺達――俺に向き直った。

 

 

「それで?武器を引き取りに来たのよね?」

 

「ああ、もちろん。なんでだ?」

 

「いやいや、シリカがいるからに決まってるじゃない。別についてくる必要もないし、この後デートって感じでもないし」

 

 

そう言われて、俺は納得した。そういう意味か。

 

 

「シリカは……なんだ?監視役みたいなもんか?俺の武器が揃ってない状態で俺がフィールドに行かないように見張ってるんだ」

 

「え……それって、どういう……」

 

「フィールドでは何が起こるかわかりませんから。万全じゃないのに行かせるわけにはいきません」

 

「まあ、シリカの言い分もわかるからな」

 

 

ちなみに、俺はシリカがどのくらい本気なのか見てみたかったので、ちょっと試したことがある。

 

最初に脱出を図った時はトラップを不用心に踏んじまったが、あるとわかってれば警戒できる。

俺は全身全霊で家からの脱出をしようとした。いや、本当に行くつもりはなかったけどな?ただ、シリカが仕掛けた罠が俺を本当に止められるのか知りたかったんだ。

 

結果は―――俺の全敗。確かに俺は、罠感知などの斥候系のスキルは一切取得していない。

だが、爺ちゃんから罠についても多少は教えられたから見つけられる自信もあった。

しかし、結果を見ればこれだ。シリカの本気度が伝わってきた。

 

 

「それなのに、カイさんはあんなことをして……。全くもう」

 

「悪かったって。あれの理由は説明しただろ?いやまあ身勝手な理由なことは認めるけどさ」

 

「あーはいはい、いちゃつくなら出てってね。ま、シリカがいる理由はわかったわ。それなら、カイ。はい、依頼されていた物よ」

 

「お、さんきゅー」

 

 

俺はリズから次々に武器を渡され、その度に言われる金額をリズに送りつけていく。

そのやり取りを九回繰り返した後、リズは満足そうに言った。

 

 

「……はい、まいどあり!」

 

「おう、こっちもありがとうな。あっと、そうだ。リズに渡したい物があんだよ」

 

「え、何?」

 

 

リズが一仕事完了させたためか満足げな笑みを浮かべる中、俺は唐突に切り出した。

リズは思い当たることがないのか首を傾げている。

 

シリカが俺の隣に並んだ。

それぞれが買ったアイテムをストレージから取り出し、リズに渡す。

俺がネックレスで、シリカがリングだ。

 

 

「ほい、これ」

 

「どうぞ」

 

「――?え、ちょ、ちょっと、何これ!?」

 

「お詫びの品だ。俺のせいでいらん心配をかけたみたいだからな」

 

「それと、日頃のお礼です。いつもありがとうございます」

 

「まあ、気に入らなかったら使わなくてもいい。それはもうリズの物だしな」

 

「そ、そんなことない!ちょっとビックリしただけよ。ありがとう!」

 

 

リズがボケっとしてたから気に入らなかったのかと思って言ったがそうじゃなかったらしい。

俺達に礼を言ってからすぐに装備した。

 

 

「《拙速の指輪》に《スピーディーネックレス》か……。どっちも敏捷が上がるのね。ありがとう、嬉しいわ」

 

「そうか、喜んでもらえたならよかった。さてと、俺の武器も戻ってきたことだし?早速どこかのフィールドに行こうか!」

 

「……やっぱり、こうなるんですね……。ついてきて正解でした……」

 

「……あんたも懲りないわね……」

 

 

俺がそう言うと、二人から同時にジト目を向けられた。ちょ、なんだよその反応。

 

 

「いやだって、鈍ったら困るだろ?」

 

「それはそうですけど……」

 

「ついこの前死にかけたってのに、よく行く気になるわね……」

 

「キリトさん達、ゆっくり休暇を満喫してましたよ?お二人ともすごく幸せそうでした」

 

「それに比べてあんたは……黒猫団と一緒に迷宮行って投擲武器全消費して、ダンジョンの最奥まで行って死にかけて……何がしたいの?」

 

「そこまで言われなきゃダメかな俺!?」

 

 

すげぇボコボコに言われてるよ、俺。俺が何かしたか。いや、結構やらかしてる自覚はあるが。

 

 

「仕方ねぇだろ!?最近戦闘してなくて身体が鈍っちまいそうなんだよ!」

 

「…………はぁ。シリカも大変ね」

 

「…………わかってくれますか?」

 

「ええ」

 

「ありがとうございます……」

 

 

くっ、なんだよこの空気……。まるで俺が悪者みたいな雰囲気じゃねぇか……。

 

 

 

と思ってたら、シリカが急にケロリとして言った。

 

 

「まあ、もう慣れましたけどね。それで、どうするんですか?」

 

「シリカがいいならそれでいいけど。あたしは……あ、そうだ。一つ面白いネタがあるわ」

 

 

…………この切り替えの早さにはついて行けねぇ……。

ま、今はリズの話だな。

 

 

「どんな話なんだ?」

 

「それが……今まで受けられた人がいないクエストがあるのよ」

 

 

お、面白そうな話来た。

 

 

 

 

 

 

 

リズの話をまとめるとこうだ。

 

六十八層のある村に、クエストアイコンが出ているジジイがいるらしい。

そのジジイを見つけた奴は、当然話だけは聞いてみようと話しかけたらしいが……こちらを一瞥してきただけで何も会話に応じなかったそうだ。

クエストアイコンが出ているのに会話ができないなんてありえない。もしかして、何らかの条件を満たしていなかったのではないか。

そう考えた最初の発見者は、このクエストの情報を最寄りの街で公開したらしい。

それを聞いて何人ものプレイヤーが話を聞きに行ったそうだが、ほとんどの者が会話すらできなかった。

しかし、中には少しだけ会話できた者もいた。そいつらは皆、「もっと精進するんじゃな」と言われたと証言した。

そこで、集まったプレイヤーの中で色々調べた結果……どうやら、投剣スキルが関わっているのではないかという仮定が出た。

 

言い方が曖昧なのは、プレイヤー達が情報を出し切っていないからだな。

自分のスキルスロットの内訳をみすみす他人に教える馬鹿はいない。当然だ。

 

というわけで、自称投剣スキルの熟練度が五百のプレイヤーが突撃したところ、「ふむ。もう少し精進せい」と言われたんだそうだ。

それで、投剣スキルが条件だというのがプレイヤー間でほぼ確定事項になった。

しかし、未だにクエストを受領できた者はいない────。

 

――というのが、そのクエストにまつわる話だ。

 

 

「んで?そのクエストはなんで放っとかれてんだ?」

 

「多分、投剣スキルを上げているプレイヤーが少ないからよ。六十八層にもなれば、前線付近。生半可なレベルじゃ死ぬだけだわ。

そして、そこに行ける実力を持っているプレイヤーはあまり投剣スキルを上げない。取っている人は多いけどね」

 

 

言われてみれば確かにそうだ。俺みたいに最前線にいるプレイヤーで投剣スキルを鍛えてる奴は俺の知る限りいない。

念のために取っている奴や、スキルスロットを開けとくのが勿体ないからという理由で取ってる奴もいる。キリトは後者だ。

プレイヤーが投剣スキルを鍛えない理由は単純、ぶっちゃけ要らないからだ。

フロアボスにはほとんど効かないし、Mobにも普通に殴れば事足りる。そんなものを鍛えるより、他のサポート系スキルや武器スキルを上げた方がいいって考えの奴が多いんだ。

ま、俺は飛び道具も使う機会があったから取っただけだが。案外使えるんだぞ、これ?

 

 

「なら、そのクエスト受けに行くか。リズはどうする?今日はまだ何か仕事があるのか?」

 

「いいえ、今日は何も残ってないわ。うーん、どうしようかしらねえ……」

 

「まあ、俺的にはどっちでもいいけどよ」

 

 

 

 

リズは十秒ほど唸っていたが、やっと決めたらしい。

 

 

「よし、決めた!あたしも行くわ!」

 

「ほう?これまたなんで?」

 

 

俺は興味本位から訊いてみた。

六十八層は、現攻略階層の中でも上の方に当たる。それなのに、リズが自分から行きたいと言うとはな。

 

 

「うーん、理由は三つかな。

一つは、もらったアクセサリの効果を実戦の中で確かめたいってこと。

もう一つは、ちょっとレベル上げをしたいって思ってたこと。

最後は、シリカが大変そうだからついてってサポートしようかなって」

 

 

ふむ。一つ目と二つ目はわからないでもない。

……だが、三つ目はなんだ?俺が問題児扱いじゃねぇか。

 

 

「ありがとうございます、リズさん」

 

「お礼なんていいわよ。その代わりと言っちゃあなんだけど、ちゃんとフォローしてね?あたしのレベルだと六十八層は余裕とはいかないから」

 

「ああ、それはわかってる。そうと決まれば、行くか」

 

「はい」

 

「ええ」

 

 

俺達はリズベット武具店を出て、リズが扉の札を裏返し、そのまま転移門広場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は六十八層のアスガムマクとかいう名前の村に来ていた。名前が変なのはもう気にしないことにした。

もちろん、目的は件のジジイだ。この村にいるらしい。

 

さて、どこだ……?情報だとここら辺らしいが……。

 

 

「……あの家か?」

 

「みたいですね」

 

「って話だったわね」

 

 

すぐそこにジジイがいるという家を見つけた。

俺がクエを受けるんだ。俺が扉を開けるのが道理だろう。

 

 

「開けるぞ」

 

「はい」

 

「ええ」

 

 

俺が扉を開けて中に入ると、白髪白髭のジジイが目を瞑って椅子に座っていた。

ジジイは扉を開けた俺を薄目かつ横目で見て、直後に目を大きく見開いた。

 

 

「お、お主……!!儂の、儂の話を聞いてくれんか!?」

 

 

食いつきっぷりがすげぇ!!これマジで無口なNPCって設定だったのか!?

いつのまにかアイコンもクエスト受けてることになってるし!なんだこれ!?

 

 

「おお……これでついに儂の悲願を達成できる……」

 

「ちょ、リズ!扉開けろ!逃げるぞ!このジジイなんか怖い!」

 

「あ、あたしもやってるけど開かないの!」

 

「なにぃ!?」

 

 

ジジイがなんか呟いてる隙に小声でリズに逃げ出すように指示するが、ダメらしい。これも強制クエストか!?多いな強制クエ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脱出がシステム的に不可能と悟った俺達は、諦めてジジイの話を聞くことにした。

 

 

「んで?話ってなんだよ?」

 

「うむ。儂はマサクアマ。儂は投剣の達人なのじゃ」

 

 

いきなり自分のことを達人とか言いだした。恥ずかしくないのか。いやまあ、NPCだから決められたことしか話せないんだろうが。

 

 

「かつて儂には多くの弟子がおった。しかし―――それも過去のこと」

 

 

そりゃあ「かつて」とか言うんなら予想はつく。そんな溜めなくてもな。

 

 

「儂の奥義を記されている秘伝の書を、モンスターに奪われてしまったんじゃ!!」

 

 

そこでジジイは拳で机を強く叩く。

 

 

「儂の弟子達は、儂から奥義を授かるために儂に師事しておったんじゃ。しかし、秘伝書がなくてはそれを教えることはできない――。

そのために、弟子達は儂の下を去って行った。頼む!奴から秘伝の書を取り返してくれんか!?」

 

 

いや、頼むもなにも、クエストは受領してることになってるんですが?

でもこの流れ、断れるのか!?

 

 

「いや、悪ぃが他を当たって……」

 

「おお、何ということか!!こんな年寄りが頭を下げて頼んでいるというのに、この若者は断ると言う!!

何と世知辛い世の中か!!今までここを訪れた者共は頼りにならんレベルで、やっと出会えた猛者だと言うのに!!何と薄情な!!」

 

 

そういうことかよ!!

これ受けるまで言われ続けるパターンだな!

わかったよ受けるよもう!!

 

 

「わかったわかった!取り返して来てやるよ!!報酬は!?」

 

「そうか、引き受けてくれるか。条件を聞かずに引き受けるとは、見上げた精神だの」

 

 

…………このジジイ……!張り倒してぇ……!!

 

 

「報酬は、儂の奥義を教えてしんぜよう。さて、儂の秘伝書を奪ったモンスターについて教える」

 

 

お、このクエストは敵の情報を教えてくれるのか。珍しいな。

 

 

「奴の名はスナッチスライム。奴にダメージを与えるには投剣でなければならん。

そして、奴には取り巻きがいる。そやつらの名はハードスライムじゃ」

 

 

今回は、スライム系統のモンスターが相手か。体術スキルが効き辛いので、苦手な部類に入る。

 

 

「話としてはこんなところか……。お主、投擲用のナイフとピックを五つずつ寄越せ」

 

「あん?何でだよ?」

 

 

俺から武器を取る?しかもボスを倒すのに必要だって言う投擲武器を?何考えてんだこいつ。

 

 

「それで新しく武器を作る。お主には、それで奴を倒してもらいたいのじゃ」

 

 

これは……また断れないやつだな。てことは、それらを所持してることも条件ってことか……。

 

 

 

俺はスローイングダガーとピックを取り出し、ジジイに手渡した。

 

 

「ほらよ、これでいいんだろ?」

 

「うむ。三分ほど待て」

 

 

ジジイはそう言って、奥の部屋に引っ込んで行った。

 

 

「ねえ、カイ……」

 

「リズ、色々言いたいことはあると思うが、後でだ。三分じゃ話しきれない」

 

「あ、そうね……」

 

 

 

 

 

 

三分後、ジジイは禍々しい形をしたナイフ――ククリナイフか――を手に出てきた。

 

 

「これで、奴を倒してくれ。頼んだぞ。奴がいるのは、ここから南に行った洞窟の奥じゃ」

 

 

ジジイはそれだけ言うと、もう何も言うことはないというように椅子に座って目を閉じた。

 

これで外に出られそうだな。

 

 

「よし、なら行くか」

 

「は、はい……」

 

「う、うん」

 

 

シリカとリズを促し、外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ちょっと話し合うか」

 

 

二人に声をかけ、三角形を描くように地面に座る。

 

 

「二人とも、こういうクエストを聞いたことがあったか?クリア報酬で技を教えてもらえるなんてクエスト」

 

「いえ、あたしは見たことも聞いたこともありません」

 

「あたしもないわ」

 

「俺もだ。可能性は二つか?一つは本当に技がもらえる。もう一つは報酬は別にある」

 

「二つ目じゃないでしょうか?」

 

「そうね。あたしも後者だと思うわ」

 

 

これも同感だ。多分、なにかが起きて奥義は教えてもらえないってことになるんだと思う。思うんだが……。

 

 

「何か気になることがあるんですか?」

 

「ああ。二人は知らないだろうが、投剣スキルに奥義技っていう物がねぇんだ」

 

「奥義技が……ない?」

 

 

リズが疑問を多分に含んだ声をあげる。

 

 

「そうだ。例えば両手剣スキルなら、《カラミティ・ディザスター》っていう奥義技がある。

ま、奥義技って言っても、俺がそう呼んでるだけだけどな」

 

 

そう、『奥義技』ってのは俺が便宜上そう呼んでるだけだ。

スキル熟練度がカンストした時に覚えた技だったから、そう呼んでいる。

そして、そういう技が投剣スキルには存在しなかった。

《ジャミングシュート》が最後に覚えた投剣スキルの技だが、あれを覚えたのは熟練度が七百五十くらいの時だったからな。

 

 

「だからこそ、投剣スキルの奥義技を教えてもらえるってのは、本当かもしれねぇ」

 

「じゃあ、カイさんはこのクエストを受けるんですか?」

 

 

シリカのこの質問は、クエストを受けても達成せずにいることが可能だからだろう。

確かに、このまま戻って南の洞窟に行かないこともできる。本来なら。

だが――――。

 

 

「この渡されたナイフ、《リクイカマタノア》の説明欄に、こう書いてあるんだよな……」

 

 

――このナイフを、制作者の許可無く持ち出すことはできない――。

 

 

「要するに、あのジジイが許可したのは南の洞窟に持って行くことだけ。戻ることは許されないってわけだ」

 

 

恐らく、転移結晶でも無理だろう。

 

 

「じゃあ、行くしかないってことですか……?」

 

「そんなのって、あり……?」

 

「俺もそこには思うところがあるけどな。それに、さっきの奥義技についての予想の根拠はもう一つあるんだ」

 

「「それは――?」」

 

 

女子二人の声が重なった。

隠す様なことでもないし、軽く告げる。

 

 

「あのジジイ、『今までここを訪れた者共』って言ってただろ?

普通、SAOでのクエストは誰でも受けられるようになっている。それぞれのクエストが独立しているんだ」

 

 

例えば、俺とキリトが同時に体術スキルを取ったときのこととかだ。

他のプレイヤーにも同じことをさせて、達成できるようにするんだな。

 

 

「だが、ジジイは今までに来たプレイヤー達のことを覚えているような態度だった。

これはただの推測になっちまうが、これは一回こっきりのクエストだ。俺達が以前巻き込まれたクリスタルワイバーンのクエストみたいにな」

 

 

でなければ、奴が他のプレイヤーを知っていることの説明がつかない。

 

 

「一人しか技を覚えられないってのは不公平かもしれねぇが、LAシステムがある以上、ある程度の不公平は存在するんだ。

まあ、もしかしたら俺が達成した後にもこのクエストを達成できるってオチかもしれないけどな」

 

 

しかし、俺はその可能性はかなり低いと思っている。

それを言葉では説明できないが……言うなれば勘だな。

 

 

「お前等はどうする?一緒に行くか?」

 

「当然です」

 

「ま、ここまで来たんだし。一緒に行くわよ」

 

「そうか、ならよろしく。行くぞ」

 

 

俺達は南の洞窟とやらに向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここか……?」

 

 

俺達は、南の洞窟の最奥の部屋の前に来ていた。

道中に湧いていた虫型モンスターを薙ぎ払い、遂にここまで来たんだ。

 

 

「ここが一番奥だと思いますけど……」

 

「他の分かれ道は全部行き止まりだったもんね」

 

 

シリカとリズの言う通りだ。

ってことは……。

 

 

 

俺は、そっと部屋の中を覗き込む。

 

 

――――いた。あのでかいのが《スナッチスライム》。そして周りにうじゃうじゃいるのが、《ハードスライム》か。

 

 

俺は顔を引っ込め、後ろにいる二人に話しかける。

 

 

「いた。取り巻きは十匹はいたな」

 

「なら、あたし達が取り巻きを相手すればいいのかしら?」

 

「いや、ジジイ曰くでかいのにダメージを与えるには投剣スキルじゃなきゃダメなんだろ?

なら俺も取り巻きを排除しつつ攻撃の方が効率がいい。冷却時間(クーリングタイム)もあるしな」

 

「それもそうですね。あたしは準備できてます」

 

「あたしもオッケーよ」

 

「よし、ならスリーカウントで飛び込むぞ。

スリー、ツー、ワン。ゴー!!」

 

 

俺達は勢いよく部屋の中に飛び込み、俺は即座に投剣スキル《トリプルシュート》を使う。

先ほどスナッチスライムの場所は確認してたからな。先制攻撃だ。

 

《トリプルシュート》は、その名の通りピックを三つ同時に投げるスキルだ。

《ジャミングシュート》との違いは、射程と速度、威力と状態異常の付与の有無だな。

《トリプルシュート》の方が射程と速度では優秀だが、残り二つは《ジャミングシュート》に劣る。

 

今は標的との距離が《ジャミングシュート》では微妙だったのと、不意打ちってことで速度を重視したからこっちにした。

 

三本のピックは、スナッチスライムに見事に突き刺さり、HPバーを減少させた。

 

 

――?あまりにも減りが早すぎないか?トリプル程度であれだけ削れるなら、速攻で倒せるぞ?

 

 

俺の攻撃で俺達の存在に気づいたスライム達が、俺達の方に向かって来る。

しかし、その速度は俊敏とは言いがたい。

 

 

これなら、もう一撃―――!

 

 

今度は威力重視で、《ヘビーシュート》を使う。

スローイングダガーを使い、思いっきり投げつける。

 

これは、《スタンシュート》よりも速度は遅いが、より大きなダメージと強いスタンを与える。

《トリプルシュート》に比べれば威力は二倍くらいあるし、レッドゾーンまで削れると思うが――――何ッ!?

 

 

俺を驚愕させたのは、周囲にいたハードスライムが取った行動だ。

()()()()()()()()()()()()()()()《ヘビーシュート》()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

何だ?取り巻きは壁になるのが役割だったのか?―――って、マジか!?

 

 

再び俺を大きな驚愕が襲う。

()()()()()()()()()()()()()()H()P()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

何でだ!?《ハード》……《hard》……《硬い》か!?クソっ、やられた!

 

 

「チクショウ、そういうことか!」

 

「カイさん、何かわかったんですか!?」

 

 

今の光景を見て驚いていたシリカが焦りを滲ませて訊いてくる。リズもこっちに耳を傾けてるみたいだ。

 

 

「奴らは《ハードスライム》――つまり、《硬いスライム》ってことだ!恐らく、投剣スキルを無効化する設定なんだろう!」

 

「じゃあ、先に取り巻きを倒さないとダメってことですか!?」

 

「多分そうだ!シリカ、《ラウンド・アクセル》で一気に倒すぞ!」

 

「あ、はい!!」

 

 

俺はシリカに声をかけ、広範囲に攻撃できるスキルを使うよう指示を出す。

これでまとめて倒す!

 

 

「うぉぉぉぉおお!!」

 

「やぁぁぁあああ!!」

 

 

俺達の攻撃がハードスライムに当たり――ッ!?

 

 

「グッ!?」

 

「カイさん、この手応え――!」

 

 

俺も感じたこの手応え、恐らくダメージを与えられていねぇ!

すかさずHPバーを見たところ、案の定ダメージが入っていなかった。

まさか奴らには、攻撃が効かないのか!?

いや、そんなはずはない!何か、何かあるはずだ!

 

――と、その時。リズの方から何かが割れる様な音が聞こえてきた。

 

 

「――カイ!こいつら、あたしのメイスだったら倒せたわよ!」

 

 

その言葉を聞き、俺の中である予想が浮かび上がった。

――――攻撃属性の問題か!

 

 

俺達の武器である短剣が持つ攻撃属性は、ほとんど斬撃か刺突。

投剣スキルは全て刺突属性だ。

それに対し、リズの使うメイスは打撃属性。

つまりこいつらには、打撃属性でしかダメージを与えられないってことだ。

 

ってことは、スナッチスライムには投剣スキルしか効かないんじゃなくて、刺突属性の攻撃しか効かねぇってことじゃねぇか!?

 

 

なら、やるべきことは決まった。

 

 

「シリカ!リズと二人で戦え!それとソードスキルは使うな!パリィに徹しろ!それなら少しはダメージを与えられるはずだ!」

 

「はい!」

 

 

シリカがリズの近くまで下がる。

次はリズだ。

 

 

「リズ、お前の攻撃はこいつらに対する有効手段になる!無理はしなくていいがそのまま頼む!」

 

「まっかせといてー!あたしの力、見せてやるわよ!」

 

 

なんて頼もしい。これなら安心だな。

 

 

「任せたぞ!チェンジ!《ショート》・トゥー・《スピア》!」

 

 

俺は《ヴァイヴァンタル》を横に振り抜き、スライム共を殴りつけた。

これなら多少のダメージにはなるだろ。

直後に現れた《デモニックスピア》を横薙ぎに振り払い、これまた少しのダメージを与える。

 

さて、打撃属性でダメージを与えられるならこれでどうだ――?

 

 

「行くぞ、《スピンバッシュ》!」

 

 

俺は槍を持って振り回し、バットで殴るような感覚でスライムをまとめて叩く。

 

これが槍スキル唯一の打撃属性スキル、《スピンバッシュ》だ。一応四連撃技に設定されている。攻撃範囲が広いため、一度に多くの敵に攻撃できるが。

なぜ棍ではなく槍にしたかと言うと、そのままスナッチスライムを攻撃するためだ。

 

 

「ハッ!!」

 

 

俺は周囲に取り巻きがいなくなったスナッチスライムに向けて、槍スキル《ソニックエッジ》を使う。

このスキルは単発技だが、必ずクリティカルヒットし、かなりの確率で低スタンにできる優秀なスキルだ。

威力は低いが、その分技後硬直も短く、中々に有用性のある技と言える。

 

これが当たれば、後は確実に仕留めるだけ―――って、《スナッチ》?……ああっ!?

 

 

俺は重大なことに気づいた。というか、なんで今まで気づかなかったのか先ほどまでの自分をぶん殴りたい。

 

《スナッチ》――すなわち《強奪》や《奪取》。つまり――。

 

 

「チッ、やっぱ取られた!」

 

 

最近戦闘してなかったとはいえ、鈍りすぎだろ俺。

あのジジイが言っていたことは間違いでも何でもなかったんだ。

こいつは、接近してきた相手の武器を奪うんだ。スナッチの名の通りに!

それで投剣スキルじゃなきゃダメってことだったのか。

 

だが、気づいちまえばそれまでだ。

ここから一気に仕留める!

 

 

「食らえっ!」

 

 

《クイックシュート》からの《ジャミングシュート》、そして《パラライズシュート》を放って、スナッチスライムのHPをギリギリまで削る。

 

そして――――!

 

 

「これで、トドメだ!」

 

 

ジジイに渡された《リクイカマタノア》で《ヘビーシュート》を使って、スナッチスライムを攻撃する。

ククリナイフはスライムに直撃し、奴は身体を震わせると、その身を散らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、終わったな。こいつを倒したら取り巻きも消えたし」

 

 

スナッチスライムに取られた槍をストレージにしまい、武器を《ヴァイヴァンタル》に戻してから二人に振り向いて言った。

 

 

「みたいですね。うーん、これで終わりですか。どんなスキルなんでしょうね?」

 

「奥義っていうくらいだから、きっとすごい技よね。相手を即死させるとか?」

 

 

二人も報酬はスキルだと考えてるみたいだな。俺もその考えなわけだが。しかしリズよ、それはないだろう。

……ん?

 

 

「カイさん?どうしました?」

 

「いや、なんであのククリナイフが残ってんのかなって思ってさ」

 

 

俺はシリカの問いに答えながら、床に落ちているククリナイフの下へ足を運ぶ。

 

投剣スキルによって投げられた投擲武器は、使われた後は基本的に消滅する。

例外は《スローイングテクニック》で短剣を投げた場合だが……あのナイフは投擲武器に設定されていたはずだ。

 

俺は疑問に思いながらも落ちているそれを拾い上げ、タッチしてポップアップウィンドウを表示し、三度驚愕に襲われた。

 

そしてその瞬間、転移の感覚が俺を包む。

ああ、またこのパターンか……。

 

 

「カイさん!?」

 

「カイ!?」

 

 

シリカとリズの悲鳴じみた声を耳にしたのを最後に、俺の視界は暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視界が開けた俺は、瞬時にどこなのかを確認する。

 

そこは、出口のないドーム状の空間だった。

土壁に囲まれたそこには、俺以外にもう一人いる。

俺は、その存在に声をかけた。

 

 

「おい、こりゃどういうことだ――――()()()

 

「ククク、儂の――いや、俺様の言う通りにスライムを倒したようだな。これで俺様の悲願も達成される。クククッ」

 

「御託はいい。何が目的だ」

 

 

こいつの言動がシステムに決められたものだってことはわかってる。

それでも俺は、文句を言わずにはいられなかった。

 

 

「クク、お望みとあらば見せてやろう。俺様の真の姿をなぁ!!」

 

 

あ、それ負けフラグだろ。

 

と、俺がしょうもないことを考えたのと同時に、俺の手にあったククリナイフが奴の目の前に現れる。

 

 

「この《悪意の塊》さえあれば……ハアッ!」

 

 

俺がこのジジイから渡されたククリナイフ――あれは拾い上げた時、《悪意の塊》という名前になっていた。

今思えば、アナグラムだったとわかる。そして、それならこいつの正体も予想がつく。

 

 

奴はククリナイフを自分の胸に突き刺し、高笑いしている。

奴の身体がどんどん光っていき、一際強い光を放った後。

そこに佇んでいたのは――紛れもなく『悪魔』だった。

 

 

名前は――《ヴィシャスデーモンキング》か。レベルは73。

ジジイの姿の時の白髪は立派な赤い二本角になり、白髭は跡形もなく消え失せている。

服は消滅していて、盛り上がった筋肉の様子がありありと見て取れる。手には鋭そうな爪が。

 

 

『ククク………俺様がこの姿になったからには、貴様の死は決定事項だ……』

 

「ふーん」

 

『冥土の土産に教えてやろう……あのスライムに取られたのは秘伝書などではなく、俺様の力よ……この世界を俺様の物にする予定だったのが、クク、油断したわ……』

 

「へー」

 

『そのままでは俺様は力を発揮できない……そこで俺様は馬鹿な人間共に俺様の力を取り返させ、力を取り戻した暁には世界を手中に収める算段だったのよ……』

 

「すごいすごーい」

 

『喜べ……俺様の力の犠牲になる最初に人間は貴様だ……俺様に殺されて死ねるなど、またとない幸運だぞ……?』

 

「うわー嬉しいなー」

 

『ククク……恐怖に晒されて、声も出ないか……』

 

 

俺がテキトーにリアクションを返しても、この悪魔はシステムに設定されたことを話す。

そのせいで、とてもシュールなことになっていた。

最後のも、俺、声出せてるからな?

さて、そろそろ戦闘かな……。

 

 

『クハハ……せめてもの慈悲で、一瞬で殺してやろう!喜ぶがいい!』

 

「はいよー」

 

『フフフ……死ねぃ!!』

 

 

戦闘――開始!!

 

 

『グアハハハハ!』

 

「ハッ。オラオラオラオラオラァ――――!!」

 

『グアバババババババババ!!!!』

 

 

奴が高笑いしながら爪を振り下ろしてきた。

しかし、ヒースクリフやキリトに比べたら遅いなんてもんじゃない。

鼻で笑いながら《ヴァイヴァンタル》で受け流し、ソードスキルを使う。

 

体術スキル二十連撃技《富鏤没個(フルボッコ)》。

これを設定した奴は完全にふざけてたんだろうと思うが、これが中々使えるスキルだ。

一発毎の威力は低いが攻撃数だけならキリトの《スターバースト・ストリーム》にも勝り、しかも一撃毎に俺の攻撃力が上がるというオマケ付き。ついでに、上がった攻撃力は次の攻撃まで有効だ。

また、何故かは知らないが《麻痺付与》も付いてる。ふざけつくした名前の割に、超便利スキルだ。

 

 

二十連撃を終えた俺は、硬直に陥りながら相手のHPバーを見る。

四分の一ほど削れていた。思ったよりも耐えてる。腐ってもクエストボスか。

でも、これなら次の攻撃で終わりそうだな。

 

 

硬直が解けた俺は、次に使うスキルの構えを取る。

システムが俺の構えを読み取り、ソードスキルが発動した。

 

激しい動きで、悪魔を四度斬りつける。

短剣スキル奥義技《エターナルサイクロン》。

 

短剣スキルの最強技を食らった悪魔はHPを余すことなく消滅させて、この場から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘を終えた俺は、シリカ達がいた部屋に飛ばされた。

 

 

「カイさん!!」

 

「カイ!!」

 

「悪ぃ、心配かけたか?」

 

 

俺の出現と同時にこちらに駆け寄ってきた二人に声をかける。

 

 

「当たり前です!!」

 

「大丈夫なの!?」

 

「ああ、大丈夫だ。話は後にしよう。まずは脱出だな」

 

 

俺が本当に無事だとわかったのか、二人は落ち着きを取り戻した。

俺のことを心配してくれるのはいいが、ちょっと心配しすぎじゃねぇか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は徒歩で外に出た。

すでに道中で事のあらましは説明した。

 

 

「なるほど……じゃあ、奥義を手に入れることはできなかったんですね」

 

「ああ。だが、面白いアイテムをゲットしてた」

 

「面白いアイテム?何よそれ?」

 

 

リズが興味津々といった様子で訊いてくる。

俺はそのアイテムをオブジェクト化して説明した。

 

 

「これだ。名前は《フリンチャー》。説明からして、《怯ませる者》っていう意味にしたいんだろうな。かなり無理があるけど」

 

 

俺が取り出したのは一本のピック。

これで《スタンシュート》を使えば、相手は必ず高スタンに陥るらしい。

必ずってことは、スタンに耐性のあるボスにも効くってことだ。それはかなり心強い。

 

 

「ふーん、便利なアイテムね」

 

「ああ、使いどころは難しそうだけどな」

 

「何はともあれ、クエストも終えたことですし、帰りましょう!」

 

「そうね」

 

「だな。リズ、今日は助かった。ありがとな」

 

「いいわよ、このくらい。珍しい面子だったけど、楽しかったし」

 

「そうですね!最後は、すっごい心配になりましたけど」

 

「クリスタルワイバーン以来の強制転移だったな。ある意味懐かしい感覚だった」

 

 

それにしても、あの悪魔。弱かったな。

というよりも、その前の条件がキツ過ぎるだろ、このクエスト?

投剣スキルがある程度必要で、打撃属性を持つ武器、もしくはスキルを使えることが必須。

あの悪魔も、俺からしたら雑魚だが爪の一撃はそこそこの威力を持っていたように見えた。

これは、俺がクリアして正解だったかもな。死人が出るのを避けられた。

 

っと、街に着いたな。

 

 

「じゃあ、ここでお別れね。カイ、シリカ、またね」

 

「おう、またな」

 

「また一緒にどこかに行きましょうね」

 

「ええ。それじゃ」

 

 

リズはそう言い残して転移門で転移して帰っていった。

 

 

「さて、俺達も帰るか」

 

「ですね」

 

 

俺達も転移門でフローリアに転移し、家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の謹慎も、今日で終わりだ。

やったね!

 

 

 

 




はい、こんな感じでした。
悪魔さんは、あれです。フラグ立てたのがダメだったんです。

ちなみにこの話、リズにお礼するところまでは考えてあったんですが、そこから先はノープランでした。
そのせいで間に合わなかったとも言えます。
多分思いつくだろ!とか気楽に考えていたあの時の自分を張り倒したいですね、はい。

次回は、原作話です!
この時期で原作の話と言えば、何の話かお分かりですよね?
そうです、あの娘の話です。

ちょっと前に僕が書いてる三作品を順番に書く事に決めたので、次の更新もすぐにとは行かないかもですが、暖かい目で気長にお待ちいただければ幸いです。

感想なども、いくらでもお待ちしてます。
(返信は必ずするよ!だから感想くれると嬉しいな!モチベが上がります!)←心の声。

では、また次回。

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