英雄の箱庭生活   作:英雄好きの馬鹿

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 RE:バカは世界を救えるか? Fate 問題児達が異世界から来るそうですよ?
 
 の二次創作です! 

 この中の話を読んだことがない人はぜひ読んでください!




五十六億の世界の英雄

 ~佐藤光一視点~

 

 昔からの友達はみんな寿命で死んでいった。

 

 しかし寿命のない自分は死ぬことすら出来なかった。

 

 そして自らをこの状態に縛り付けることとなった大元の『木漏れ日現象』。

 

 それを起こした悪魔を、『導きし者(カノン)』と『堕天経典(アポクリファ)』を使って自らが知覚できる範囲で殺し続ける日々。

 

 そして今。

 

 自分が救った少女アルル。

 

 五十六億の平行世界のうちの最後のアルルが死んだ。

 

 死因は老衰でその最後は平行世界での自分、つまり佐藤光一が看取った。

 

 何の悔いもない死だっただろう。

 

 光一は自分が生きる最後の仕事を終えた。

 

 変わらない自分に、変わっていく友達と最愛の少女達。

 

 変わらない自分に、死んでいった友達と最愛の少女達。

 

 実質的に千五百万年以上生きたのだ。もう死んでもかまわないんじゃないかと思う。

 

 

「もう…………いいよな?」

 

 

 小さい子供達がワーワーと遊んでいる平和な公園で誰に聞かせるわけでもなくつぶやく。

 

「ちゃんと……世界もアルルも友達も…………みんな救えたよな?」

 

「はい…………バカは世界を救えていますよ。光一さん」

 

 声の聞こえた方向をみてみると、目の前には契約したときと同じような格好でアルカナが立っていた。

 

「アルカナか。今回死んだ後もまた天使見習いになったのか?」

 

 アルカナはいくつかの平行世界を保護していた元・悪魔の天使で、いろいろ有って天使を辞めさせられて人間界に追放された事がある。

 

 そして人間界で俺たちと寿命を全うするまで生きて死んだ。

 

 

「はい。ですからこれからは、今まで光一さんが守ってきた平和を私が引き継ぎます。安心してください」

 

 えっへん! と胸を張っていう。

 

 アルカナは死んだ後また天使になる試験を受けて天使見習いになったらしい。

 

 それに苦笑しながらも仲間と過ごした過去へと思いをはせる。

 

 

 

 

 

 『木漏れ日現象』によって、自分が生きてると十年後に世界が滅ぶといわれ、自分が死ぬと時が十年前に戻るといわれた少女・アルルとの出会い。

 

 アルルとのアルルと世界を救うという約束。

 

 天使見習いのアルカナに貰ったしょぼい能力の『付け焼刃(イカロスブレイブ)』。

 

 アルカナの頼みの全ての悪魔による異変を直すことが出きて、逆に異変を起こすことも出来る本『導きし者(カノン)』。

 

 がむしゃらに戦ってアルルを守った日々。

 

 自分のせいで守りきれなかった幼馴染。

 

 『木漏れ日現象』を起こして世界を混乱させている張本人が平行世界の佐藤光一だったときの衝撃。

 

 そしてアルルとは『木漏れ日現象』が生んだ鍵で、『木漏れ日現象』を修正するとアルルも消えるといわれた。

 

 約束を守れなくなることに自暴自棄になったときに自分を結う築けてくれた仲間達。

 

 アルカナと『木漏れ日現象』を起こした元凶である平行世界の佐藤光一の戦い。

 

 消えていくアルカナが残していった悪魔が起こすことができる異常を、人が起こせるようになる本『堕天経典(アポクリファ)』。

 

 アルカナとの契約強化によって強くなった異能『蝋の翼の救世主(ボーンヘッドブレイバー)』。

 

 元凶が口にした言葉の、自分の世界のアルルと世界を救うために五十六億の平行世界を『木漏れ日現象』の犠牲にして世界とアルルを救う手段を探したという一言。

 

 長い戦いの果てに倒した元凶の最後の言葉の、”俺の世界とアルルを救ってほしい”という言葉。

 

 元凶が消えていった先に残された『導きし者(カノン)』。

 

 自分の理想のために、元凶が『木漏れ日現象』を起こした五十六億の世界を『導きし者(カノン)』と、『堕天経典(アポクリファ)』と『蝋の翼の救世主(ボーンヘッドブレイバー)』で救いに言ったこと。

 

 それには自分の時間で千五百万年かかってしまい、『堕天経典(アポクリファ)』で悪魔になって不老不死になっていなければ達成できなかったこと。

 

 自分のもといた世界の時間を遅くしたりなんだりで何とか仲間達の元へ帰れたときのこと。

 

 神がアルカナを人間として復活させて罪を償わせるということで再開したアルカナ。

 

 そこからの楽しい日々と、『導きし者(カノン)』と『堕天経典(アポクリファ)』をもちいた悪魔退治。

 

 そして冒頭で語った仲間との死別。

 

 何一つも後悔はない。

 

 今の自分は悪魔なのだから天使に浄化されて消え去るのだろうが何も後悔はない。

 

 

 

 

「お前が俺を殺しに来たのか? アルカナ」

 

 

 

「いいえ。違いますよ。何で私が光一さんを殺さなきゃいけないんですか。私が人間として死んだ後『導きし者(カノン)』と『堕天経典(アポクリファ)』は神様に返してしまったから裁く理由なんてないですし。そう神様も言ってましたしね?」

 

「そうか。じゃあ何でここに?」

 

「光一さんは『導きし者(カノン)』と『堕天経典(アポクリファ)』を手放した時点で精神も体も時を刻み始めています。しかし神様は最後の仕事だといって会ってもらいたい人がいるそうです」

 

「会ってもらいたい人? 何だそれは?」

 

 今の俺は能力こそあるもののその他はただの人間と変わらない。

 

 そんな俺が行っても意味があるのだろうか?

 

「何でも世界の守護者とか言う立場の人で、もう十分に働いたから別の世界にかくまって欲しいんですって」

 

「いや、俺は今『導きし者(カノン)』も『堕天経典(アポクリファ)』もないから並行世界なんて移動できないぞ?」

 

「そこらへんは今は私が出来るので問題ないです。それで行ってもらってもかまわないですか?」

 

 一瞬は迷うもののすぐに答えは出た。光一は昔のように――アルルと約束したときのように笑いながら答えた。

 

「ああ、もちろんだ! 俺は約束を守る男だからな! 世界とアルルを守ったんだ。一人くらい増えてもどうってことないぜ!」

 

 アルカナは少し面食らったように目を開くと笑いながら本を開き始める。

 

「では――さよならです。光一さんが目的の人にあって向こうの了承を取れれば自動で違う世界に飛ばされます。相手の人は行けば分ります」

 

「そうか。じゃあ『またな』!」

 

 もう二度と会えない状況でも佐藤光一は『さよなら』とは言わなかった。

 

 それは彼の仲間達の死に際の最後の言葉が全員ことごとく『さよなら』や『ありがとう』でもなく、またなだったのだ。

 

 それに気づいたアルカナは目に涙を貯めながらも笑顔で言った。

 

「『また今度』お会いしましょう光一さん! 今までありがとうございました!」

 

「ああ、また今度だ! 俺は世界を救ってきた男だぜ? これからもお前が世界を守ってれば会えるさ!」

 

 そういって光一は別の世界へ送られていった。

 

 公園には気づけば遊んでいた子供達以外誰もいない。

 

 

 しかしこの二人の別れを惜しむように空はぽつぽつと涙をこぼし始めていた。

 

 

 ~佐藤光一視点終了~

 

 

 

 

 

 

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