あと小説家になろうの方でオリジナルを投下してるので暇な方は見てください!
二月中はできるだけがんばって毎日投下する予定です!
~エミヤ視点~
昨日の蛇に力を与えた人物か。
という事は相当の実力者か。
昨日の蛇は威力こそ人体を軽く引きちぎれるくらいはあったが、勝てないわけではない。
ではこの白夜叉という少女はどうだろう?
私にどうにかできるような強さではあるまい。
少なくとも魔力が空っ欠でまともに戦えない状態で戦うものではない。
「へえ? じゃあオマエはあのヘビより強いのか?」
「ちょっと待て! お前は何しようとしてるんだよ!」
光一が珍しく止めに入る。
何気にこいつはただの馬鹿にしか見えなくても敵の強さを測ったりする事は出来るらしい。
まあ、他の異能の劣化コピーくらいしか出来ない光一が生き残るためには必要だったのだろう。
しかし十六夜は大胆不敵な笑みを崩さずに白夜叉を見ている。
よくよく見てみると久遠嬢も少し興味がありそうな目で見ている。
春日部嬢があまり興味が無さそうにしているのは正直嬉しい。
「勿論喧嘩売ろうとしてるんだが? でオマエは強いのか?」
十六夜はもう止まる気が無いように思える。
「ふふ当然だ。私は東側の“
四桁以下のコミュニティ。
つまり“ノーネーム”が二百十万五千三百八十外門に本拠を構えているという事は
最低でもその数の――いやその数倍のコミュニティがこの箱庭には存在する。
その中で三千三百四十五外門に本拠を構えられるだけの実力を持っている。
神々が当たり前のように集って競い合っている中でそれだけの強さだ。
どれだけ異常な力を持っていても十六夜にかなう相手ではない。
「そう…………ふふ。ではつまり、貴女のゲームをクリアできれば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティということになるのかしら?」
「無論、そうなるのう」
久遠嬢が上手い具合に話をコントロールしている。
十六夜が喧嘩を売ってそのままやられるということが無いように、喧嘩からゲームへと話を摩り替えている。
コレには白夜叉も気づいていていそうだから、まだ若干経験が浅そうなところがあるもののたいした話術だ。
ただ光一も気づいたのか首を縦に何度も振っているのがうざい。
「抜け目ない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」
「え? ちょ、ちょっと御三人様!?」
慌てる黒ウサギを白夜叉は右手で制す。
「良いよ黒ウサギ。私も遊び相手には常に餓えている」
確か可能聞いた話だと強大な修羅神仏たちが力を持て余して始めたのがギフトゲームだったんだか。
白夜叉もその例に漏れないらしい。
「ノリがいいわね。そういうの好きよ」
「ふふ、そうか。――――しかし、ゲームの前に一つ確認しておく事がある」
「なんだ?」
少し楽しそうに話す白夜叉に対し、十六夜は大胆不敵な笑みでもって応対する。
久遠嬢も似たようにうすく笑っている。
しかし光一は自分の世界に入っているようだし、春日部嬢は無表情から変わらない。
十六夜と久遠嬢は言わずもがな。
この場で慌てているのは黒ウサギだけだ。
慌てる黒ウサギをよそに白夜叉は懐から着物の裾から一枚のカードを取り出す。
そのカードにはには“サウザンドアイズ”の旗印、向かい合う双女神の紋が入っている。
そして壮絶な笑みを浮かべて言う。
「おんしらが望むのは“挑戦”か――――もしくは“決闘”か?」
その瞬間。
私の知っているものとは
視覚が意味をなくし、脳をさまざまな場所が頭の中で回りだす。
その中に見覚えがあるものとは少し違っているが、黄金色の穂波が揺れる草原があった。
さまざまな場所の流転が終わり、一番最後に投げ出されたのは白い雪原と凍る湖畔――――そして太陽が水平に廻る世界だった。
「……なっ」
その場の全員が言葉も無く驚愕する。
「今一度名乗りなおし、問おうかの。私は“白き夜の魔王”――――太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への挑戦か? それとも対等な決闘か?」
白夜叉の言う“星霊”とは惑星より大きい星の主精霊だ。
妖精、鬼、悪魔などの概念の最上位でほとんど神みたいなものだ。
そしてさまざまな伝記などに残るように力を――――ギフトを与える側の存在だ。
ならば昨日の蛇についても納得できる。
十六夜は驚愕に目を開きながらもつぶやく。
「水平に廻る太陽と…………そうか、白夜と夜叉。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現してるって事か」
「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私が持つゲーム盤の一つだ」
白夜叉が両手を広げると、遥か遠くのほうまで雲が裂け、太陽を浮かび上がらせる。
白夜とは北欧のほうで見られる太陽が沈まない現象。
更に夜叉とは人を殺す鬼のイメージが強いが、水と大地の神霊の事でもある。
そしてこの箱庭で最強種と名高い、
生来の神霊、
星霊。
龍の純血。
この内の二つの属性である白夜叉は間違いなく強大な力を持った者だ。
間違っても十六夜たちでかなう相手ではない。
「これだけ莫大な土地が、ただのゲーム盤…………!?」
「如何にも。して、おんしらの返答は? “挑戦”であるならば、手慰み程度に遊んでやる。――だがしかし“決闘”を望むのなら話は別。魔王として、命と誇りの限り戦おうではないか」
春日部嬢は勿論、さっきまで威勢の良かった久遠嬢や、大胆不敵な笑みをこの光景を見るまで崩していなかった十六夜たちが返答に詰まる。
しかし、自分達が売った喧嘩を簡単に取り下げたくなくて悩んでいるようだな。
まあ、ここで決闘だ何ぞほざいたら拳骨を落とす事は間違い無しだがな。
静寂がこの場を支配して、その終わりを告げたのは十六夜だった。
十六夜は両手を挙げながら諦めたように言った。
「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」
「ふむ? それは決闘ではなく、試験を受けるという事かの?」
「ああ。これだけのゲーム盤を用意できるんだからな。アンタには資格がある。――いいぜ。今回は黙って試されてやるよ、魔王様」
白夜叉は十六夜の“試されてやる”などというささやかな意地の張り方を高らかに笑い飛ばした。
そしてひとしきり笑いきるとこっちを向く。
「く、くく……して、他の者達も同様か?」
春日部嬢も久遠嬢も十六夜に習って“試されてやる”といってうなずいた。
「して、そこの白髪の二人はどうする?」
「私は別に何でも構わないが?」
それよりさりげなくこの人工白髪と一緒にされた事のほうが遺憾だ。
というかもうすでに人の話を聞いていない。
この場所に来たときから目をらんらんと輝かせてあたりを見つめる事に必死だ。
偶に考えるような仕草を取っている事から、おそらく自分でもこの世界を作れないか悩んでいるのだろう。
先ほどまでの非常に緊迫した中ですらこいつの態度は微塵もゆれていなかった。
一週回ってすごいと思える度胸だ。
それを見た白夜叉は目をまん丸に開いた後また笑い出した。
そこでようやく自分が周囲の視線を集めていると知ったのかこっちを見渡して言う。
「フッ。ようやく俺のかっこよさに気づいたか」
ドヤ顔でそんな事をのたまったこいつを反射的に殴った私は間違っていない。
~エミヤ視点終了~
光一「何だここ? いつの間にこんなところに?」
エミヤ「分らんが、またお前のポケットの中に手紙が入っているようだぞ? そこに何か書いてるのではないか?」
光一「あ、ほんとだ。なになに? 『舞台裏的なのやってみたくなっちゃったから任せた! あ、評判悪かったら次回からはなくなるんで安心してくださいね~ by英雄好きの馬鹿』だって?」
エミヤ「どうせ思い付きだろう。続かないに決まっている。それに私に贈られた手紙には違うことが書いてあるようだ」
光一「? なんて書いてあるんだ?」
エミヤ「ああ、今読む。ふむ。『よくよく思い返してみたら原作一巻の最後で外でご飯食べてるんだから長机くらいあるよね? 十五話でエミヤさんわざわざ机が作る必要なかったんじゃね? by英雄好きの馬鹿』」
光一「……確かにな。なんで机くらいあるかどうか確かめなかったんだ?」
エミヤ「……思い立ったら吉日と言わんばかりに各部屋に運ぶと聞いた瞬間から作り始めてしまったのだ。それで黒ウサギの表情が微妙だったのか……はは」
光一「お、おーいエミヤー! 駄目だ、遠い眼をしてやがるッ! と、とりあえずこのコーナーは終わりだ! おーい! しっかりしろエミヤ! 無駄だったからってそんな落ち込むなー!」