英雄の箱庭生活   作:英雄好きの馬鹿

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ギフトカード

~光一視点続き~

 

 墜落したグリフォンはかなりの高度から落ちたのに、まだ生きているようだったが、さすがに動くことはできないようで、エミヤに担がれて檻に入れられていた。

 

 その隙に春日部は最初に十六夜が捕まえたグリフォンに乗って湖畔を一周してきていた。

 

 最後春日部はグリフォンから落ちてしまったが、春日部の生物の特性を手に入れるギフトでグリフォンの風を操るギフトを手に入れて見事に着地していて事なきを得ていた。

 

「それで。結局あなたのギフトは何?」

 

 久遠が聞いてくる。なぜかいつでも襲いかかれる体勢で。

 

「俺の『蝋の翼の救世主(ボーンヘッドブレイバー)』は劣化の強化が出来るんだ」

 

「劣化の強化ですか? それってどういう意味だかわからないのデスヨ?」

 

「黒ウサギでも分らないか……。んじゃあ、風を操るギフトが劣化すると何になる?」

 

「微風を操る能力とかですかね?」

 

「ならもっと劣化したら?」

 

「何も動かせないくらい弱くなる……ですか?」

 

「そうだな。そこからもっと劣化したらどうなる?」

 

「うーん。分りません……。答えはなんですか?」

 

 黒ウサギは俺が質問するたびに頭を抱えていく。

 

 その姿はなかなか面白かった。

 

「おい黒ウサギ。分らないなら懇切丁寧に箱庭に後から来た俺様が答えを言っちまうぜ?」

 

 十六夜がにやりと笑いながら言う。黒ウサギは少し悔しそうに耳をしおらせている。

 

 本当に分ってるっぽいな。

 

「で、答えはどう推理したんだ十六夜?」

 

「風を操る能力がどんどん劣化して行くって言うことは、最終的には動かせないというところまで行くだろ? だからあのグリフォンが操っていた風を操れないようにしたっんだろ? だからあのグリフォンが飛ぼうとすれば飛ぼうとするほど風は操れなくなって落ちていった、って事だと思ったんだが正解か?」

 

 おお。十六夜って結構頭良いんだな。まさかここまで完璧に当てられるなんて思わなかった。

 

「正解だ。じゃあ、俺のさっき使った『蝋の翼の救世主(ボーンヘッドブレイバー)』の性能は?」

 

「さっきの奴だと劣化コピーしたギフトの性能をを反転する能力だろ?」

 

「惜しい。もともとの『付け焼刃(イカロスブレイブ)』の劣化コピーした能力の性能の内一つだけ伸ばせる能力も残ってる。じゃなきゃあの距離まで俺の能力は届かない」

 

「そうか。それはミスったな。んで? 白夜叉。俺たちはオマエの眼鏡にかなったのか? もっとも、俺は何も出来ていないけどな」

 

 十六夜は自嘲するように言う。というより本当に自嘲しているのだろう。

 

 今回のギフトゲームでは春日が右腕で触れても大丈夫なように一頭は少なくとも契約書類(ギアスロール)に書かれているように右腕で捕縛しなければならなかったので全く役に立っていないわけではなかった。

 

 しかし、初撃決着を望んでしまったためか十六夜はリタイアとなってしまった。

 

 もしも最後まで十六夜が残っていたら大活躍していた事は間違いなしだろう。

 

 その十六夜の心境を知ってか知らずか白夜叉はさっきの十六夜の質問に答える。

 

「勿論。十六夜の身体能力はもちろん凄かったが、他の四人のチームワークや機転は凄いものじゃったの」

 

「フッ。つまり俺のおかげと言ったところだな」

 

「ところでおんしのギフトだが。それは先天性か?」

 

 白夜叉が俺をナチュラルにスル―して春日部に話しかけている。

 

 ……酷くないか?

 

「ううん。父さんに貰った木彫りのおかげで使えるようになった」

 

「木彫り?」

 

 白夜叉が春日部に聞いたあと猫がニャーニャー鳴いていたので何か話していたのだろう。

 

 おそらくだが木彫りに対する説明なのだろう。その後白夜叉は春日部から木彫りのペンダントを見せてもらっていた。

 

 そして興奮して買いといたいとまで言っていたが春日部は即答で断っていた。

 

 本当にあれは元魔王様なのか?

 

 まあそれを言ったら俺なんて元天使で悪魔か。

 

「で、これはどんな力を持ったギフトなんだ?」

 

 十六夜が白夜叉にペンダントについて聞く。

 

「それは分からん。今分かっとるのは異種族と会話が出来るのと、友になった種から特有のギフトをもらえるという事ぐらいだ。これ以上詳しく知りたいのなら店の鑑定士に頼むしかない。それも上層に住むものでなければ鑑定は不可能だろう」

 

「え? 白夜叉様でも鑑定出来ないのですか? 今日は鑑定をお願いしたかったのですけど」

 

 ゲッ、と気まずそうな顔になる白夜叉。あえて言っておくが白夜叉の格好は和装ロリだ。

 

 想像してほしい。

 

 和服を着た老人のような喋り方をするロリ。それが驚きながら気まずそうな顔になっている。

 

 とてつもなくシュールだ。

 

 

 いやまあ、それはいいとして白夜叉は気まずそうなまま答える。ギフトの鑑定が出来ないらしく困っているようだ。

 

「よ、よりにもよってギフト鑑定か。専門外もいいところなのだがの」

 

 白夜叉が考えていたギフトゲームの商品は依頼を無償で受ける事だったのだろう。

 

 さらにばつが悪そうに頭をかき始める。

 

「どれどれ…………ふむふむ…………うむ、五人ともに素養が高いのは分かる。しかしこれではなんとも言えんな。おんしらは自分のギフトの力をどの程度に把握している?」

 

 白夜叉が問いかけてくる。

 

「企業秘密」

 

「右に同じ」

 

「以下同文」

 

 と、問題児三人が続き。

 

「私は自分で把握できている。それにあまり見せびらかすものではないからな」

 

 とエミヤが続く。こいつは自分で鍛え上げて強くなったタイプに見えるからな。

 

 自分の力を完全に把握し、効率よく運用し、そして勝ち目がないように見えてもそれを努力と根性で活路を生みだす戦い方だ。

 

 能力を把握できてないほうがおかしい。

 

 それを察したのか白夜叉も特に何も言わないようだ。

 

「まあ俺もエミヤと一緒だ。もっとも俺の場合は見せびらかして噂が広がっても、劣化コピーなんて対処なんて取られないから別に見せてもかまわないけどな」

 

 と言っても俺もそうなんだが、俺の場合は自分にも分らないほどの能力がもともと備わっていないだけなのだが……。

 

「うおおおおい? 白髪の二人はともかくとして。まあ、仮にも対戦相手だったものにギフトを教えるのが怖いのは分かるが、それじゃ話が進まないだろうに」

 

 さりげなく俺の髪を白髪扱いしてやがる!

 

 いつか反撃してやる!

 

「別に鑑定なんていらねえよ。人に値札張られるのは趣味じゃない」

 

 はっきりと言い切る十六夜に、それに同意する二人。

 

 白夜叉はとても困ったように頭をかいている。

 

 と、そこでいい案が浮かんだらしく顔をにやりと笑って言う。

 

「ふむ、なんにせよ“主催者(ホスト)”として、星霊の端くれとして、試練をクリアしたおんしらには“恩恵(ギフト)”を与えねばならん。ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ再興の前祝としては丁度良かろう」

 

 白夜叉がパンパンと拍手を打つ。すると俺たちの前には一人一つずつカードが現れた。

 

 カードにはそれぞれの名前と、体に宿るギフトの名称が書かれている。

 

 カードは一人一人色が違っていてかっこいい。

 

 十六夜の前にはコバルトブルーのカードで十六夜の名前と“正体不明(コード・アンノウン)”。

 

 久遠の前にはワインレッドのカードで久遠の名前と“威光”。

 

 春日部の前にはパールエメラルドのカードで春日部の名前と“生命の目録(ゲノム・ツリー)”と“ノーフォーマー”。

 

 エミヤの前には赤く煤けた色のカードで衛宮 士郎と書いてあり、“固有結界(リアリティ・マーブル )無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)”。

 

 そして俺の前にはスカイブルーに黒い斜線が入ったカードに名前と“付け焼刃(イカロスブレイブ)”と“蝋の翼の救世主(ボーンヘッドブレイバー)”。

 

 それを各自受け取る。

 

 それを見て黒ウサギは目をまん丸にして驚いて言う。

 

「ギフトカード!」

 

「お中元?」

 

「お歳暮?」

 

「お年玉?」

 

「ち、違います! というか何で皆さんそんなに息が合っているのです!? このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ! 耀さんの“生命の目録(ゲノム・ツリー)”だって収納で、それも好きな時に顕現できるのですよ

!」

 

 こいつらほんとに出会って二日目なのに凄い息合ってんな。もちろん黒ウサギ含め。

 

 もう既に漫才コンビ並みだ。どんな人間関係の築き方をすれば二日でここまで打ち解け? られるのだろう。

 

「つまり素敵アイテムって事でオッケーか?」

 

「だからなんで適当に聞き流すんですか! あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」

 

 黒ウサギがやけくそになりながら教えている。頑張ってほしいところだと少しだけ思う。

 

 エミヤもやれやれと言った風体で手出しをしないようだ。

 

 少しは助けてやろうという気にはならないのかよ正義の味方。

 

 そのあとしばらく黒ウサギがSAN値を取戻すまで俺とエミヤは黙って黒ウサギを観察していた。

 

 〜光一視点終了〜

 




光一「……」

エミヤ「……どうしたのかね?」

光一「臨戦態勢でいうせりふじゃないよなエミヤ?」

エミヤ「人聞きが悪いことを言うな。私はただ攻撃を仕掛けてきそうなのが前にいるから私もそうしているだけなのだが?」

光一「……前回俺の意識を刈り取ったことは忘れないぞ?」

エミヤ「さあ。覚えていないな。夢でも見ていたのではないか?」

光一「すっとぼけてんじゃねえ! 正義の味方のくせに平気で人を攻撃しやがって」

エミヤ「前回のはさすがに長過ぎたのでな。どちらかが意識を失えばこのコーナーが終わると分ったんだからいいと思わないか?」

光一「ならお前が意識失えばよかっただろう! 俺を巻き込むな! あの後首が寝違えたみたいになったんだぞ!」

エミヤ「それは失礼した。まあ、今回も眠るつもりなどないがね」

光一「ふざけやがって! 今回こそ貴様を倒す! 人型万能家事ロボットが!」

エミヤ「私をドラ○もんのように呼ぶな! そういえば昔と名前を変えたのか? 佐藤ライト君?」

光一「どうしてその名前を! ……あ、アルカナの手紙か!」

エミヤ「今はもうやめたということは痛さに気付いたのかね?」

光一「……………………違う。あれは昔幼馴染にライトと呼べと言ってみたらあいつらが『よし! 髪の毛をそったらライトになるんじゃね?』とか言って俺の髪の毛を…………」

エミヤ「……トラウマを引いたか。まあいい。このまま意識を奪わせてもらおう――」

光一「その隙もらった! 『幸福夢幻(ドリーマーズハイ)』これで貴様は眠りに落ちる!」

エミヤ「なっ!? いきなり眠気が! ……だがただでは!」

光一「お、おい! 俺の髪の毛をつかむな! あ、なんで眠りに落ちてんのに手は握ったままなんだよ! それよりいきなり倒れるな俺の髪が抜け、や、やめろおおおおおおおお――――――!!」


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