~光一視点~
……うん。
早すぎて能力使わないと目に映らなかった。
それどころか二人とも最後の一撃以外かすり傷さえ無い。
……俺の使った能力で治ったんじゃなく、一撃も食らってない。
バケモノすぎるだろう。
「相子か。勝ちたかったんだけどね」
「それはお互い様だ。まあ、戦闘技術のみを比べた戦いだったが、良い戦いだった。あれだけやって怪我の一つもないのが良かったな」
「確かにね」
エミヤと遠野はすっきりした顔で歩いてくる。
まあ、気が晴れたならいいけどな。
「ところで、お前にはまだ直死は必要なのか?」
エミヤは遠野に向かって質問をする。
遠野もそれに対して覚悟を決めたような表情で答える。
「ああ、あれがないとじゃアルクェイドを守れるかどうかが変わってくるだろうしね。それに、これだけ完全に封じれたんだから、この箱庭には吸血衝動を抑えるのも、魔眼殺しの上位もあるだろうからね」
ん?
ちょっと待てよ。
「ということらしい。光一、『直死の魔眼』を戻してやってくれないか?」
困ったことが起きた。
いらなそうだから確実に戻るとは限らないけど消してみたとは言えない雰囲気になってきたぞ。
……いや、言い訳をさせてもらうとだな。
あいつの魔眼は対価も大きいんだろうなあと考えていたら、ちょっと気になってカマかけてみたら凄い要らなそうだったからっていう理由があってだな。
ほら、なあ?
「ん? どうかしたのか光一? まさか――」
「いや、戻せるぜ? むしろ強化すら出来るっ!」
「そ、そうか。ならいいんだが」
エミヤが余計なことに気付きそうになっているので遮っておく。
これで一安心か。
ばれるかと思った。
「――とまあ、そんな言葉で騙せると思うなよ光一?」
「ひっ!」
騙せてなかったのか!
「志貴さん。光一は『直死の魔眼』を戻せなさそうだ。私の剣でも持っていくか?」
「いや、戻せるっちゃ戻せるが、もしかしたら失敗するだけで……」
「失敗!? 何が起きるんだ!?」
遠野が目を丸くして驚く。
「あ、ああ。もしかしたら戻らなくなるだけで……。誰かからもらった能力と言う訳でもないんだよな?」
「そうだな。死にかけたら手に入れたものだ」
「はあ、良かった。戻せそうだな」
師匠の形見の能力を貰ったとかだったら死刑ものだったな。
「んじゃ、――『木漏れ日現象』」
俺は指先に光をともす。
世界を覆うほどの範囲を持っていた光は指先から一センチ程度しかなく、眠らせる効果も、悲劇の引き金を生み出す効果もない。
ただ、本人に合った能力を引きだすだけの能力。
本人は魔眼を嫌っていたみたいだし、対価もちゃんとある。
だから失敗するはずなどない。
俺はその光を遠野の両目と頭に当てた。
「どうだ?」
俺は遠野に聞く。
「…………ああ、ちゃんと
「あ、そうだ。ちょっと不安にさせた詫びにちょっとだけいいものをやろう。ずっと持ち歩くなら眼鏡と指輪とその他どれがいい?」
「ん? なら、眼鏡なら今まで付けてたし、眼鏡で。でも何をするんだ?」
「ああ、付けてる間だけ、能力を消すアイテムを作ろうとな」
「「は?」」
エミヤと遠野が二人同時に驚く。
そんなおかしなこと言ったか?
「ああ、その能力は嫌いみたいだし、その手助けをしてやろうとな。ほら、眼鏡をかせ。流石に手元にないと出来ないからな」
「あ、ああ。頼んだ」
遠野は驚気ながらも眼鏡を渡す。
………………………………ふむ。魔眼殺しの能力はこうなっているのか。
それにしても並行世界で手に入れた解析の異能は便利だな。手元に一分あれば解析できるんだからな。
そんじゃあ、これに、回復能力のネメシスを入れて脳みそを修復し続けるようにして、……。後は魔眼殺しの能力を強化して異能殺しになるレベルまで久遠の能力で強化して。
あ、永久化は出来なさそうだから、コピーした能力を埋め込んで自分で発動できるようにしてやろう。
それとエミヤの物出す能力で首にかけられるひもが出るようにして戦闘中でも脳みその回復が出来るようにしておこう。
「なあ、光一ってもしかしてものすごい奴なのか?」
「……私にも分らん。そもそもあんな簡単にできる事じゃないはずなのだがな」
「……これからアレと仲間になって一緒に生活していくんだよな?」
「ああ、もうしているがな」
「……頑張れ」
「……ああ」
二人が何か話していたが聞かなかったことにしよう。
「よしできた! 全部の能力の説明は……かくかくしかじかだ!」
「なるほどわからん。三行で頼む」
「能力追加。
スイッチ付加。
魔眼対策ばっちり。
これでいいか?」
「分ったことにしておく」
遠野は何やら頭を抱えはじめたが、気にしないことにしよう。
「さて。私達は用事も果たした。退散することにしよう」
エミヤがそう言って遠野に別れを告げる。
「志貴ー! おまたせー!」
向こうも連れが戻ってきたようだ。
ここらでお別れとしよう。
「お帰りアルクェイド。吸血衝動抑える事が出来そうなものはあったか?」
遠野が金髪の女性の声にこたえて、その後質問する。
その質問は後ろからついてきた白夜叉が答えた。
「その事じゃが、うちの店にも抑えられそうなのはない。力になれなくて済まんの」
「“サウザンドアイズ”でも無理だったのか? それではこの箱庭でも難しいのだろうな」
エミヤがそう呟く。
そして空気が少し重くなる。
「それなら、俺の血を吸って生きてくれ」
「やっぱりそうなっちゃうか……。それならやっぱり眠りに入るしか……」
「それは駄目だ! 俺は一生お前のそばに居るぞ!」
遠野と金髪の女性が口論になる。
その中でエミヤは俺の方を見てきた。
「光一。事情を説明してやろう。あの金髪の女性は吸血鬼でな、吸血衝動に悩まされている。それは力づくで押さえている今は良いものの限界が来ると眠りにつくか、血を吸う魔王になるしかないようなものだ」
「なるほど。分り易かった。流石エミえもん」
「お前のほうがなんでもできるだろう。ハゲえもん」
「禿げてねえ! 俺は断じて禿げてねえ! 能力使って生やしたりとかもしてねえ!」
「そうか能力を使ったことがあるんだな? まあ、取りあえずどうにかならんか?」
「まあ、どうにかするのは良いんだが、こいつらはカップルか?」
「カップルかは知らないが、相思相愛なのは間違いなさそうだな。プロポーズのようなものもしていたしな」
「ならエミヤは、さっき作った眼鏡の能力はそのままで指輪型の奴を作ってくれ。変化も使えるんだろう? それと同じ形の指輪をもう一つ」
「了解した。しかし、指輪型のだと目が覆えないから能力を封じれないが?」
「なかなかセンスがいい指輪だな。よし――『
「ほう。便利だな」
「次は吸血衝動のほう、と。………………――『
「今のはなんだ?」
「ああ、使えば使うほど理性を失う能力の反転で使えば使うほど理性的になる能力だな。これを日常的に使えば吸血衝動なんて大丈夫だ。テンションが上がりにくくなるのは吸血衝動とで中和する感じで調整するように言っとけばいいしな」
「これで二つ指輪が出来たな。エミヤ。二人に渡してこい。ごねる様なら魔眼殺しでも対価にもらっておいてくれ。もういらないだろうからな」
「了解した。――ところでだが」
「なんだ?」
「血が吹き出そうな程唇をかみしめるな。いくらいちゃついているからってみじめだぞ」
後日、ウェディングドレスを着た金髪の女性と眼鏡を外してタキシードを着た遠野の写真が送られてきた。二人とも指輪を薬指に付けて幸せそうだったのが印象的だ。
…………リア充爆発しろ。
~光一視点終了~
光一「最後のほう地の文が少ない理由は、いちゃいちゃしているカップルがうらや……恨めしすぎて思考が停止したからだ。作者の手抜きではないと思う」
エミヤ「落ち着け」