英雄の箱庭生活   作:英雄好きの馬鹿

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戦う理由

 〜光一視点〜

 

 

「はあ!? 戦う理由なんてないだろ!?」

 

「ああないな。あるとしたらさっきも言ったとおり五十六億の世界と自分の理想を同時に救った救世主がどれほどの物か知りたくてね」

 

 確かにさっき手紙に書いてあったこの男――エミヤシロウといったか。

 

 正義の味方を目指して頑張ってきたらしい。だから俺と戦いたいのであろう。

 

「私は一を早急に殺すことで九を生かし続けてきた。それを続けてたらいつの間にか英雄なんて呼ばれていてね。私に出来ることなんてせいぜい殺すことしか出来ないんだがな」

 

 なんだろう。何かが引っかかる。

 

 コレでもいくつもの並行世界は見てきたし、数々の悲劇も見てきた。

 

 だけどもしかして――――

 

「――――お前もしかして守る対象まで手にかけたのか?」

 

 コレは感だ。一応いくつか気づいたことから考察している。

 

 例えば『正義の味方』という理想があって、世界も救ってきたのならば、五十六億の世界と自分の理想を同時に救った、という表現を使わないだろう。

 

 それに九を救ってきた、というのはおそらく世界を救ったという意味だろう。

 

 つまりこいつは『正義の味方』のほうをあきらめたということになるのだ。

 

 だとしたら守る対象まで手をかけたのではないか? という今思いついただけのような論理である。

 

 出来れば間違いであって欲しい。出なければ俺は殴りこそすれ救済なんて与えたくはない。

 

 しかし相手の答えは予想を裏切るものだった。

 

「ああ、あるぞ? それがどうかしたのかね?」

 

 平然と、なんの葛藤もなくそいつは答えた。

 

 その答えに俺は臨戦態勢をとる。もちろん目の前の男を殴るためだ。

 

「誤解しないで貰いたいのだが私にだって理由はある」

 

「ああ? …………なんだよ?」

 

 このまま殴ってやりたいが相手が弁明をするのならば聞いておこうと警戒はしたまま臨戦態勢をとく。

 

「例えばだ。もしお前が守ると誓った……アルルだったか」

 

「ああ。アルルだ」

 

「ふむ。アルルの力が十年後に時間が戻るではなく、十年後に全人類が死ぬ。そして手段を探していたら見つから無かったとしよう。

そして世界が滅ぶ日の前日まで来た。だとしたらお前はどうするんだ?」

 

 アルルを殺さなきゃ人類が滅亡する?

 

 だとしたら俺はやることは決まっている。

 

「能力を消して普通の女の子にする」

 

「ふむ。それが出来るのならよかったのだがね。私が知ったのは暴走したら最低でも町一つ分は地図から消えることになるようなものを、暴走する数時間前に言われて、駆けつけたときには最後の言葉を言うのが精一杯だった。さらに彼女は自分を殺してくれと頼んだ。

 

 

 ――それでも私はお前から見る悪か?」

 

 

「確かに悪ではねえよ。でもお前は正しくも無い!」

 

「そうだな。私は正義の味方ではない。ただ目指していた男だよ」

 

「じゃあなんでお前はそんなに後悔してるんだ!」

 

 初めてエミヤシロウの顔に驚きといった表情が生まれる。

 

「お前はさっきの話をしているときに、顔ではポーカーフェイスだったさ。体のどこにも力は入ってなかった。だけどな、さっきの言葉は自分を攻めてるようにしか聞こえねえよ!」

 

 エミヤシロウはもうすでに最初にあったときの余裕を取り戻して言う。

 

「たしかにな。私は後悔している。だが間違ってはいないとも思っている。だって仕方が無いだろう。オレには守るだけの力が無かったんだからな」

 

 何を平然と言ってやがる!

 

「エミヤシロウ。俺にもお前を殴る理由が出来た」

 

「ほう。それは好都合だ。では五十六億の世界と自分の理想を守った男の力を見せてもらうぞ!」

 

「お前は確かに間違っていないだろうよ! だけど気にくわねぇ!」

 

 二人の英雄と呼ばれたものたちは戦いを開始する。

 

 

 

〜光一視点終了〜

 

 

 

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