唯その代わりに中身は二倍近く増量してます!
~光一視点~
ねむい。
帰ってきた後も少しだけ今日のギフトゲームの準備をしてから寝たせいでねむい。
正直、聞いた話だとペルセウスの現頭首のルイオスは親の七光りと、さらに親から譲り受けただけの強力なギフトでトップに居座っているだけの七光り坊ちゃんのようだ。
つまり十六夜たち三人と、エミヤが居れば余裕じゃね?
俺はこのまま布団の中で寝ててもいい気がするんだ。
ほら、俺もう一週間くらいは休日的なものも無いんだぜ?
まあ、エミヤも休みは無いんだが、ほら、あいつ超人だろ?
鍛えただけで音速で動いてるし。そのくせ傷一つないし。魔力が無い、魔力が無い言いながら伝説に出てくるような、というか伝説に出てくる武器ぽんぽん出してるし。吸血鬼とかあっさり倒してるし。俺がばあさん達に説教されてる間にクラーケン倒してるし。
……よくよく考えたらあいつって伝説って名のつくもの冒涜しすぎだろう?
まあ、今日のゲームはそんな超人と問題児達だけでがんばってもらおう。
「ということでおやすみ」
「寝るな馬鹿!」
すぱーん!
と竹刀で叩かれる。
「って、竹刀で叩くって可笑しいだろうが! どこの熱血教師だ! 普通竹刀で叩いたら大惨事だ!」
「ふむ、目覚めたな。アホな事言っていないで、さっさと起きて来い。もう朝飯が出来ている」
それだけ言い残してすたすたとエミヤは去っていく。
……目も覚めたし、起きるか。
※※※
『ギフトゲーム名 “FAIRYTAIL in PERSEUS ”
・プレイヤー 一覧
・逆廻 十六夜
・久遠 飛鳥
・春日部 耀
・エミヤ シロウ
・佐藤 光一
・“ノーネーム”ゲームマスター
・ジン=ラッセル
・“ペルセウス”ゲームマスター
・ルイオス=ペルセウス
・クリア条件
・ホスト側のゲームマスターを打倒。
・敗北条件
・プレイヤー側ゲームマスターによる降伏。
・プレイヤー側のゲームマスターの失格。
・プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
・舞台詳細&ルール
・ホスト側ゲームマスターは本拠【白亜の宮殿】の最奥から出てはならない。
・ホスト側の参加者は最奥に入ってはならない。 プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿を見られてはいけない。
・失格となったプレイヤーは【挑戦資格】を失うだけでゲームを続行できる。
宣誓 上記を尊重して、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。“ペルセウス”印』
※※※
ギアスロールを読んだ俺達は、詳細は省くが、俺達は無事に宮殿の中に居る。
いや、最初の一人さえ倒せば後はエミヤが複製すれば言いだけだったし。
ペルセウスの最高難易度のゲームなんだよなこれ?
ちょっと不憫だ。
いや、大分不憫かもしれない。
「ただ、まあ、何が不憫って外の大多数の部隊すらエミヤが殲滅したことだよな」
「失礼ね。私も手伝ったわよ。……確かに大多数はエミヤさんが倒したのだけれど」
「む? 確かに私が大多数を倒したのは事実なのだろうが、久遠嬢のようなまだ若い女性に負けたら私の立つ瀬が無いので頑張っただけだよ。君が落ち込む必要は無い」
確かにそうなのかもしれないんだが、それで片付けられるような戦果じゃないだろ。
仮にも五桁のコミュニティの兵士達をばっさばっさとなぎ倒せる女が居ても怖いが、剣だけで大多数をなぎ倒していく姿は凄まじかったとしか言いようが無い。
まあ、そのおかげで全員そろってここで進めているわけだが。
といってもエミヤと久遠は、敵に見つかってるからルイオスとは戦えない。
戦力が減ることは残念だが、十六夜と春日部がいればほとんどのことに対応できるということもあるから問題は無い。
ドン!
「ぐっ!」
隣の十六夜がいきなり後ろに吹き飛ぶ。
「敵襲か!」
まさか十六夜が反応できなかったのか!?
それどころか俺の感知系のネメシスも反応していない。
「何の音も気配もしてない!」
「ああ、俺にも聞こえてない。しかも春日部の耳でも聞こえないし、光一のギフトでも感知できてないってことはオリジナルのハデスの兜か!」
つまり、見えず、聞こえず、感知の能力も効かない三拍子そろった暗殺ギフトがこの場にあるということか。
しかしだ。
「厄介だな。だが、あれは透明化するギフトじゃないんだろ? 十六夜」
俺がそういうと十六夜はその一言だけで理解したようだ。
「指をはじいたら突っ込め!」
「了解だ! 一発分しっかり返してやる!」
ぱちん!
俺は一度指をはじく。
俺が指をはじくと同時に一面が火の海に変わる。
これくらいの通路ならすべて『
「カ、よく見えるぜ暗殺者!」
炎の揺らぎが歪になっている箇所、そこが敵のいる場所だ。
十六夜はまっすぐに右足を引くと、地面に振り下ろして地面をえぐり。
――第三宇宙速度で広範囲爆撃を行った。
……。
…………。
「いやそれなら俺いらねえだろ!」
「ヤハハ! 本来なら直接殴りにいこうかと思ったんだが、光一の炎もかわせないようなら俺が石を蹴ってもあたると思ってな」
「それはそうなんだがな……」
「まあ、それはともかくとして本物のハデスの兜も手に入ったことだし良いんじゃないかしら?」
久遠がそういって足を止めた。
目の前にはそれなりに豪華な扉があった。
――そう。
『あった』だ。
久遠が足を止め、十六夜がノブに手をかけ、瓦礫にした。
あー。
確かに好きなコミュニティじゃないけど、ほとんどルイオス坊ちゃんのせいだし、他の人たちの罪はあんまなさそうなのに。
心からご冥福を祈ってます。
「ふん。――ホントに使えない奴ら。今回の一件でまとめて粛清しないと」
ルイオスはもっと慌てているのかと思ったが、思ったより冷静だ。
よっぽど自分のギフトに自信があるようだな。
「まあでも、これでこのコミュニティが誰のおかげで存続できているか分かっただろうね。自分達の無能っぷりを省みてもらうにはいい切っ掛けだったかな」
「いや? お前のが無能だぜ? エミヤと久遠が戦えなかったとしても、余裕で潰せるんだからな」
「ノーネームごときがほざきやがって。……まあいい。取り敢えず、ようこそ白亜の宮殿の最上階へ。ゲームマスターとしてお会いしましょう。……あれ? そういえばこの台詞言うのも始めてかな?」
こいつの部下は優秀だったみたいだな。
こいつ一人だったら結構なコミュニティでも倒せるだろう。
まともに戦えるギフトが一つしかないんだからな。
三人のばあさんに聞いたところ、主に使うギフトは四つ。
ヘルメスの靴。
ハルパー。
ハデスの兜。
この三つを使いこなすにはそれなりの修練が必要だが、ルイオスにはそれがないと聞いている。
つまりここまでは何もしなくても十六夜が対処できるものだ。
ただ、唯一の敵であるのは、星霊・アルゴールだ。
見たもの全てを石化することが出来る上に、身体能力も星霊だけあって高い。
まあ、身体能力も高いんだが、十六夜には異能無効化能力に『僕の考えた最強キャラ』みたいな身体能力まである。
まず負けることはない。
「ま、不意を打っての決闘だからな。勘弁してやれよ」
「フン。名無し風情を僕前に来させた時点で重罪さ」
そうしてルイオスは俺には出せない速さで上昇し、炎の弓を取出す。
情報に無かったギフトだな。
しかし、制空権を持てるヘルメスの靴との相性は素晴らしい物があるだろう。
「へえ、親の七光りだけのお坊ちゃんだと聞いてた割には少しくらいは考えてたんだな」
「名無し風情が上から物を言いやがって。……まあいい。このギフトがあるんだ、空から狙うのは卑怯とは言わないよな?」
空を飛び、見下しながらルイオスは言う。
そう。この中に空を飛ぶことが可能なギフトは一つだけ。
春日部なら空を飛ぶことは可能だろう。
しかしハルパーなら怪我すら治せない状態に出来る。
おいそれと飛び込める敵ではない。
「ハッ! もちろん。飛べないのは飛べないほうが悪い。そういうもんだろ?」
そんなこっちに状態になっても十六夜は鼻で笑う。
「分かってるじゃないか。それに、わざわざ僕が突っ込んでまぐれ当たりの一撃でももらえば危ない。僕はゲームマスターだ。僕の敗北はそのまま“ペルセウス”の敗北になる。そこまでリスクを負うような決闘じゃないだろ?」
「それもそうだな。んで、出さないのか? “ペルセウス”のお坊ちゃまお得意の星霊さまを」
「お望みどおり出してやるさ。目覚めろ――“アルゴールの魔王”!」
褐色の光が宮殿を覆い、甲高い絶叫が響き渡る。
「ra、GYAAAAAAAAAAAaaaaaaaa!」
「な、なんて絶叫を」
「よけろ黒ウサギ!」
「久遠嬢と春日部嬢は私が拾う! 光一はジンを頼む!」
「いやいやいや、お前らほど早く動けねえから!」
十六夜は黒ウサギを抱きかかえて飛びのき、エミヤは久遠と春日部を抱えて飛びのき、俺はジンを範囲外にはじき出して、そのまま巨大な石が落ちてきた。
~光一視点終了~
エミヤ「まさかあのままつぶれるとは思わなかった……!」