英雄の箱庭生活   作:英雄好きの馬鹿

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今回はそれなりに投稿できた気がします!

そして光一がつぶされても何も言われないあたりがすこし驚きましたw


ワンサイドゲーム

~エミヤ視点~

 

 まさか光一がやられるとは。

 

 確かに光一の弱点は身体能力とはいえ、あいつなら避けられるといつのまにか盲信してしまったのだろう。

 

 だが、話に聞いていた坊っちゃんとしてのルイオスという人物からは到底かけ離れているほどの霊格に、戦闘能力だ。

 

 どういう手品なんだ?

 

 ここまで高い霊格なら、久遠嬢のギフトではなんの影響も与えられないだろう。

 

「お、一人潰れたか。名無しの癖にでしゃばるからこうなるんだ。ま、今さら降参したところで許さないからがんばれよ?」

 

「もとより貴様を逃がす気はない。そこで死んでいろ。――I am the bone of my sword」

 

 自己に埋没する呪文を唱え、私は片手に弓を生み出し、もう一方の手で剣を造り出す。

 

 「――偽・螺旋剣Ⅱ(カラドボルグ)

 

 真名を以って放たれた矢は、空間ごと抉りながら突き進み、ルイオスに直進する。

 

 彼の大英雄ヘラクレスですら打ち抜く矢だ。並大抵のことでは防げない。

 

 しかし、ルイオスに直撃するはずに矢は、何事もなかったかのように石化し、地に落ちた。

 

「……まさか宝具すらも石化することが出来るとは。読み違えたか」

 

「いや違う。あいつはそんなことは出来るはずがないんだ」

 

 十六夜は唇をかみ締めながら呟く。

 

 おそらく現在の状態を完全に把握したような口調で言った。

 

「光一が岩の下敷きになったのと、お前の攻撃が効かなかったこと。そしてあの坊ちゃんの霊格が高くなっているのは、――お前とお嬢様が居るからだ」

 

 十六夜は私と久遠嬢を糾弾するように言う。

 

 いや、自身にも後悔をにじませているのが見て取れる。

 

「クソ。余裕がある戦いだと思ってたが、英雄様が作ったゲームはそんなに甘くなかったか。箱庭に来てからミスばっかりだぜ」

 

「い、十六夜さん。どういうことなんですか? エミヤさんと飛鳥さんが居ると何が」

 

「ゲームのルールに則っての霊格の強化は反則か? 黒ウサギ」

 

 十六夜は黒ウサギの言葉を遮るように言った。

 

 そしてその言葉は、『ルイオス自身に攻撃をしなければ挑んだことにならない』という勝手な解釈の元ここに来てしまった私と久遠嬢を糾弾するものであり、ルイオスを見誤っていたことによる私達“ノーネーム”のミスなのだ。

 

 さらに私の場合は無意識に攻撃まで加えてしまい、弁明の余地すらない。

 

「ガングロ白髪。お前はお嬢様を連れて外に行け。あいつは俺が倒す」

 

「すまない。借りは返す」

 

 私はそれだけ言って久遠嬢を担ぎ部屋の外に向かった。

 

 そして部屋の外から状況を見守る。

 

 ルイオスと相対する十六夜には、この部屋に入った当初の軽薄さは一切見られない。

 

「作戦会議は終わったのかい名無し共。ま、ルールもろくに考えないで楯突いてきたんだ。一人だけで済んでよかったね?」

 

「ハッ。今にその顔ゆがめてやる」

 

 

 十六夜はその一言とともに駆け出す。

 

 その速度は私でも反応が難しいほどの速度だ。七光りでリーダーをやっているような者には到底かわせまい。

 

 しかしその拳はアルゴールによって妨害される。

 

「ハッ、いいぜいいぜいいなオイ! いい感じに盛り上がってきたぞ!」

 

 自らの拳を受け止められるものが存在したことが嬉しいのか、十六夜は笑顔を浮かべる。

 

 そしてそのままアルゴールをねじ伏せて、ルイオスに一撃を加える。

 

 ルイオスもとっさに手にしていたハルパーで防ぐが、大きく吹き飛ばされる。

 

「くそ! これだけ霊格があがっても吹き飛ばされるのか!? どんな化け物だ!」

 

 ルイオスが余裕をなくしたように喚く。

 

 その隙にもアルゴールは褐色の光を放って十六夜を牽制し、その豪腕で以ってなぎ払う。

 

 しかし、空の雲をも落とす光は十六夜の腕の一振りでくだかれ、豪腕はそれ以上の膂力で持って迎撃される。

 

 ルイオスにも、もう既に余裕は皆無だ。

 

 霊格のあがった影響で強化された炎の弓をひたすらに引いてアルゴールの手助けをしている。

 

「何故、ギフトを砕ける! いや、ギフトを砕く力とその身体能力を得るギフトを両立させている!」

 

 ルイオスは十六夜の矛盾を見抜き、叫ぶ。

 

 その言葉に十六夜は懐からギフトカードを取出して見せ付けながら言う。

 

「ギフトネーム・『正体不明(コード・アンノウン)』――ん、悪いな。これじゃ分からないか」

 

「なんだと!? まさかラプラスが……!? クソ、アルゴール! 宮殿の悪魔化を許可する! 奴を殺せ!」

 

「RAaaaaaaaa! LAaaaaaaaa!」

 

 ルイオスに呼応し、アルゴールが謳う(さけぶ)

 

 そして静謐さを備えていた宮殿は黒く染まりさまざまな魔獣が噴出す。

 

「カッ! しゃらくせえ!」

 

 十六夜はアルゴールをつかみ魔獣に振り下ろす。

 

 それだけで付近の魔獣は打ち砕かれる。

 

 光一のつぶされた場所には危害は加わらないように配慮してはいるのだろうが、それでもなお苛烈すぎる攻撃に石化した雲が砕けた。

 

 祖r手を知ってか知らずか、ルイオス、アルゴールと十六夜の戦いは激しくなっていく。

 

「くそ、終わらせろ! アルゴール!」

 

 ルイオスはこのままじゃ勝ち目がないことを悟り、ゲームマスターとしての教示すら捨てて最終手段を使った。

 

 それは、アルゴールを制御するのに使われていた霊格に、ゲームのペナルティとして上がっていた霊格、さらにアルゴール自身の例格まで含めて行使された石化。

 

 悪魔の星といわれ、全てを席かさせるとされた伝承の再現。

 

 そのまま終わりを体現し、停止した世界に置き去りにする星霊・アルゴールの石化のギフト。

 

 それを一切の手加減をせずに放った。

 

 こんなもの、私の所持している宝具の中のものなら防ぐことは可能だろう。

 

 だが私はこのゲームのルールによって手が出せない。

 

 つまりこのギフトを防げるのは一人だけ。

 

「ゲームマスターが、いまさら狡いことしてんじゃねえ!!」

 

 その声ともに十六夜が光を砕く。

 

「星霊の全力のギフトを砕くだと!? そんなギフトがある訳が!」

 

「知るか。在るもんは在るんだろ?」

 

 慌てるルイオスに、驚くほど冷静な十六夜。

 

 もはやここに勝負は決した。

 

「ああ、そうだ。もしこのままゲームに負けたら……お前らの旗印。どうなるか分かっているんだろうな?」

 

「な、何? こ、このゲームは吸血鬼を取り戻すためじゃないのか?」

 

「ハッ! そんなの後でも出来るだろ? そんなことより、旗印を盾にしてもう一度ゲームを申し込む。――――そうだなあ。次はお前らの名前を戴こうか」

 

 そう。

 

 なめてかかっていたのは、私達だけではなくルイオスもだったのだ。

 

 このゲーム。

 

 商品が決められていない(・・・・・・・・・・・)

 

 つまりルイオスは自身のコミュニティが危機に瀕していることも知らずに戦っていたのだ。

 

 その代償はでかい。

 

「俺はお前らの名と旗を手に入れた後“ペルセウス”が箱庭で活動できないように徹底的に貶めてやる。たとえお前達が泣こうが喚こうが、コミュニティの存続が出来ないぐらい徹底的にだ。仮にもお前は俺達の仲間を一人殺したんだ、それぐらい覚悟しているよな?」

 

 十六夜はそういって一歩前にでる。

 

「や、やめろ……!」

 

 もはや敗北を認めていたルイオスにとってそれは死神の行進にほかならず、情けない声しか出ない。

 

「そうか、嫌か。――ならもう方法は一つしかないよな?」

 

 獰猛で怒れる快楽主義者は、指先で誘うように挑発する。

 

「来いよ。ペルセウス。命がけで俺を楽しませろ」

 

 十六夜はゲームの続行を促す。

 

 仲間を殺したルイオスをこのまま許すことは出来なかったし、自分の力を震える機会を逃すわけがなかった。

 

 完全に十六夜を楽しませる玩具として覚悟したルイオスは全身全霊を持ち、命を懸けて立ち向かう。

 

「負けない……負けられない、負けてたまるか! 奴を倒すぞ、アルゴォォォォォル!」

 

 ここにきてルイオスは負けると知っていながらもコミュニティを守るリーダーとしてのどを震わせて、立ち向かう。

 

 しかし、強力なギフトにかまけてろくに鍛錬をしてこなかったルイオスに勝ち目などなく、ぼろ雑巾のようになる。

 

 そしてついには立ち上がる野もやっとな状態にまでなってしまう。

 

 これは明らかにやりすぎな状況だ。

 

「おいおい。これでお終いか?」

 

 そういって十六夜は近くにあった石を投げる。

 

 ルイオスは何とかハルパーでそれを防ぐが、その衝撃だけで尻餅をつく。

 

 それでもめげずに立ち上がる。

 

「それじゃあ、お開きにしてやる。――吹き飛べや!」

 

 十六夜はもはやかわすだけの体力がないルイオスに向かって拳を振りかぶった。

 

 しかし、その拳はなぞの障壁に阻まれ、その障壁が砕けるだけに止まる。

 

「――やりすぎだバカヤロウ」

 

 いぶかしげに声のほうを見る十六夜に、声の主が言った。

 

「これ以上やるのなら、この佐藤 光一が相手をする!」

 

 凄惨な戦場に馬鹿の声が響いた。

 

~エミヤ視点終了~

 

 




エミヤ「もはや光一が死んだと思っている人が居る気がしないのだが」

光一「それが俺だからな」

エミヤ「何はともあれ元気そうで何よりだ。――死ね」

光一「え? 復活したばかりなのに!?」
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